こんにちは。株式会社キュービックの与那覇(よなは)と申します。
転職に悩む人の「次の一歩」を応援するサイト「HOP!薬剤師」の運営責任者を担当しています。
さて、本日は「派遣」という働き方について、少し書いてみたいと思います。
「派遣で働きたい」と希望する人々は、実は多い
「派遣社員」と言うと、どんなイメージをお持ちの方が多いでしょうか。もしかしたら、
・給料や福利厚生などの待遇が悪い
・不安定
・スキルアップできない
などの、ネガティブなイメージをお持ちの方も多いかもしれません。
もっと言えば、「正社員になれない人がやっているもの」と考えている人もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、データを見ると、それらは事実と異なることがわかります。
実際には「正社員になれないから派遣」という人は、全体の3分の1を占めるに過ぎず、少数派なのです。
派遣社員のキャリアと働き方に関する調査(派遣労働者調査)
(出典:http://www.jil.go.jp/institute/research/2011/080.html)
多くの人が、「好きな勤務地」や「私生活との両立」、あるいは「仕事内容を選べる」という理由を挙げており、結局のところ、正社員よりも条件が良いという理由で、「派遣社員」という働き方を選択しています。
また、この調査が興味深いのは、「いずれは正社員になりたい」と思っている人であっても、「今は派遣で良い」とする人が多い点です。
要するに「働き方」についての自由度を重視する人が、半分フリーランスのような形で「派遣社員」として働いている、というのが実情です。
「派遣社員」は、プロフェッショナル職に適している
誤解のないように申し上げておくと、正社員を切望する人たちが、正社員になれない世の中が良いか、と言われれば、もちろんそうとは思えません。
雇用の安定は重要なことです。
元来、派遣という働き方が「専門的業務」に限って行われていたのはそのためです。
ところが2004年の法改正により、製造業への派遣が許可された結果、「日雇い」的な派遣の方が増え、現在のようなネガティブなイメージが確立したと考えられます。
ただ、「派遣社員」という働き方そのものを望む人たちもまた、数多くいるのは事実です。
例えば、専門的業務、プロフェッショナル職の方々は、「フリーランス」と言うかたちで様々な会社に出入りしていました。
フリーランスは営業が苦手な方も多く、それを肩代わりするのが「派遣会社」だったのです。
今でも、コンサルタント、ソフトウェアエンジニアなどの方々は、「高スキル」人材として、各企業に「派遣」されていますが、これに異を唱える人はそれほど多くはないでしょう。
問題は「派遣かどうか」ではなく、「待遇の良し悪し」なのです。
そして、我々が専門としている「薬剤師」の方々についても、それは同じです。
医療従事者向け人材サービス大手の、エムスリーキャリアの調査では、「派遣薬剤師」として働く理由の多くは
「期間の融通がきく」
「時給が良い」
「勤務時間の融通がきく」
など、待遇面に魅力を感じている人が多いという結果になっています。
派遣薬剤師に聞きました「派遣薬剤師で働く理由」
(出典:https://agent.m3career.com/service/haken/questionnaire1)
我々が実際にヒアリングをしたところ、中には、「職場コミュニティに気を遣わずに済む」などと言った意見もあり、正社員以上のメリットを感じて、派遣社員として働いている方も多数です。
派遣薬剤師の実際
キュービックでは「派遣薬剤師」向けの転職サイトを運営していますので、かなり詳しい実態を把握しています。
例えば、仮に「派遣薬剤師」として働く場合、具体的にはどのような待遇が得られるのでしょう。
まずは「高時給」であることが挙げられます。地域によって異なるのですが、一般的には以下のような相場があります。
・都市部→2,200円~3,300円
・地方都市→2,300円~3,600円
・地方の都市部以外→3,000円~4,500円
仮に時給が2800円だったとした場合、2,800円×8時間×20日×12ヶ月=5,376,000円となり、賞与がなかったとしてもかなりの高水準の年収を得ることができます。
薬剤師は都市部よりも地方のほうが給与が良いため、「都会勤務が良い」という条件をつけなければ、時給4000円以上(年収7,680,000円)も狙うことが可能です。
また、一般的に「派遣は福利厚生が悪い」と言われがちですが、これも派遣会社によって大きく異なります。
例えば、派遣会社の情報を調べると、
・出産育児付加金1児につき90,000円が付加給付
・勤続3ヶ月で産休・育休取得可能
・長期的就業者には、長期旅行や結婚前の準備などの際に、休職扱いとして対応する
など、大手の正社員とさほど変わらない待遇の会社もあります。
さらに、派遣薬剤師として働く方に「なぜ派遣として働くのか?」とヒアリングをしたところ、「融通が利く」/「(残業なしなど)条件が良い」が、7割を占めており、
・小さな子どものお迎えの為残業不可
・プライベートの時間確保の為残業をしたくない
・両親の介護や通学、習い事の為、週4日以下の勤務を希望している。又は正午以降の勤務開始を希望している
と言った、「働き方」に関するメリットをあげる方が多数です。
では、派遣として働くことに「デメリット」はあるのでしょうか。
一つは、職場が変わるたびに人間関係や仕事内容が変わるのが煩わしいと感じる方が居るかもしれない、という点です。
また、「派遣社員」に対する偏見がある職場も、たしかに存在しています。
もう一つは、「企業内で管理職へのキャリアアップ」を狙うことはできない、というデメリットです。
まだマネジャーを派遣が担う、という会社は少なく、派遣としてマネジャーを狙うのは、現実的ではありません。
まとめ
以上、「派遣社員」という働き方について、書いてみました。
人によっては、言葉だけでネガティブなイメージを抱く方も多いかもしれません。
しかし「働き方」をよく吟味してみれば、正社員では得られないメリットを得られるのもまた、事実です。
柔軟な働き方がしたい、ご自身のライフステージの変化に合わせて働き方を変えたい、定時で仕事を終えたい、などの要望がある方であれば、一度「派遣」という働き方を選択して見るのも、良いかもしれません。
*今回使用したデータの詳細が掲載されているページです
◯薬剤師が派遣で失敗「高時給求人がウリの派遣会社に騙されるな!」
(Photo:Army Medicine)