一般社団法人 日本民間放送連盟

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会長会見

2024.09.19遠藤会長定例会見

【日 時】 2024年9月19日(木) 午後2時~2時30分

【場 所】 民放連地下ホール

 

○パリ五輪の放送など

◆記者:パリオリンピックの放送や配信の取り組みをどう評価しているか。ほぼ全競技を配信したTVerの視聴結果も含めて教えてほしい。

◆遠藤会長:海外大会では過去最多となる45個のメダルを獲得するなど、日本選手の活躍で大いに盛り上がった大会となった。民放テレビは地上波で約304時間、BS4Kで約59.5時間の放送を行った。時差の関係もあり深夜から早朝の中継もあったが、現地の興奮と感動をリアルタイムにお届けできたのではないか。配信展開は「TVer」に一本化し、日本人選手の予選や海外選手が出場する競技をライブ配信することができた。

ラジオでは各局個別にニュース内で競技音声を効果的に使うなど、リスナーに臨場感を与えられたのではないか。

◆記者:パリ五輪コンテンツのTVerでの視聴は好調だったようだが、会長はどのように評価しているか。

◆遠藤会長:TVerでの配信はユーザーにとっては利便性が高まる取り組みだ。テクノロジーの進歩に沿ったビジネスモデルを作っていく必要がある。

 

○自民党の「提言」について

◆記者:自民党「情報通信戦略調査会」が提言を示した。テレビの広告収入の減少や配信サービスへの人材流出などを指摘し、放送コンテンツ産業の強化への取り組みを求めているが、どのように受け止めているか。

◆遠藤会長:自民党の提言は、アテンション・エコノミー、フィルターバブル、エコーチェンバーなど、インターネット空間が抱える問題を挙げたうえで、放送について、「信頼できるものにより編集され、一定の質が担保された放送コンテンツの価値がより高まった」と指摘している。放送への高い期待として受けとめている。

放送が社会からの期待に応えていくためには、コンテンツの中身の信頼性を確保して、競争力を強化しなければならないと感じている。本日発表した第2期「民間放送の価値を最大限に高め、社会に伝える施策」で述べたことと重なるところもあり、民放連全体で取り組んでいく。

◆記者:提言には「伝送路にとらわれない放送制度の検討」が盛り込まれているが、会長の受け止めを教えてほしい。

◆遠藤会長:放送由来のコンテンツがさまざまなデバイスで視聴されている現状を踏まえれば、提言に記載された考え方もあり得ると思う。(議論を始めることについては)賛成だが、積み残されている問題は多い。

 

○字幕付きCMについて

◆記者:字幕付きCMが増えない要因をどのように考えているか。

◆遠藤会長:ユニバーサルサービスは各局で工夫する余地があると思う。

◆堀木専務理事:民放連は日本アドバタイザーズ協会、日本広告業協会の3者で、字幕付きCM普及推進協議会を構成し、字幕付きCMの普及促進を積極的に進めている。同協議会で2024年4月に在京キー局5社でオンエアされたCMを調べたところ、放送割合で25.2%が字幕付きCMだった。2023年4月の数字が16.9%だったので、大幅に増えている。字幕付きCMを出稿した企業は118社だ。2023年4月は70社だったので、約1.7倍の伸びとなっている。3団体でさらに協力し、字幕付きCMを制作する広告主の輪を着実に広げたい。

 

○NHKのラジオ国際放送問題について

◆記者:NHKのラジオ国際放送問題は、生放送中の事案発生という点では民放も危機感を抱く点だと思う。対策の難しさなどについて、会長の意見を聞かせてほしい。

◆遠藤会長:(NHKの今回の事案と民放は事情が異なるので)一般論として、出演者が不適切な発言をしないように、特に生放送の場合には、事前に十分なコミュニケーションをとることが必要だ。万が一、不適切な発言があった場合は、放送内で速やかにお詫びや訂正をする体制を整えておくことも肝要だ。いずれにせよ、各社が自主・自律的に考えることである。

 

○NHKインターネット活用業務について

◆記者:NHKは今後、業務規程を公表し、インターネット上でのテキストメディアの取り扱いに関する考え方を示す見通しだ。民放連会長としてNHKに何を求めるか。

◆遠藤会長:テキスト情報に限らず、NHKが「何をやり、何をやらないのか」を明示してほしいとこれまでも述べてきた。公正競争に支障が生じるものはやらないとのことだが、より一層の明確な基準を提示してほしい。

◆記者:NHKはインターネット活用業務の費用上限を事実上撤廃する方針を示しているが、どのようにお考えか。

◆遠藤会長:公正競争に支障がないものに限定するとのことだが概念的な説明だ。NHKは具体案を早期に示してほしい。改正放送法は成立したが、全体を見通すには「まだ道半ば」という印象だ。

 

○NHKとの中継局の共同利用について

◆記者:NHKとの中継局の共同利用に関する議論の進捗状況を教えてほしい。

◆遠藤会長:民放、NHK、総務省の3者による協議会を軸として、議論が進んでいると聞いている。送信コストの低廉化は民放にとって重要な経営課題だ。引き続き議論を深めていきたい。

 

○コンテンツ官民産業協議会について

◆記者:製作現場の待遇改善は、コンテンツ官民産業協議会の議論の焦点の1つだと思うが、今後どのように取り組むべきか。政府に対してはどのようなことを求めるか。

◆遠藤会長:コンテンツ産業に限らず、若者の流入は業界の隆盛に欠かせない。働き方改革を進めることで、以前よりも現場で必要な人員は増えており、これまでの制作プロセスを見直すことが必要だろう。こうした自助努力をしたうえで、日本のコンテンツ業界がさらに飛躍していくためにアイデアを出していくことが重要だ。コンテンツ業界が魅力的であれば、人材もおのずと集まってくると思う。

 

○民放連「施策」について

◆記者:第2期「施策」が発表されたが、今回のポイントを教えてほしい。

◆遠藤会長:基本的な精神は第1期から変わっていない。この2年の間でクローズアップされた「人権」を加えた。また、放送広告の価値が「ブランドセーフティ」などに焦点があたることで言われるようになったことも、新しい点だ。

◆記者:ローカル局、ラジオ局に関する柱を新設したのは、経営環境などが大きく変化したからか。

◆遠藤会長:放送収入の減少の影響は2年前よりも大きな課題として捉え、新たな柱として立てた。

 

 

(了)