「雪組さん久しぶりだなあ」と思っていたけれど、そうでもなかった。ライラック見てたわ。記憶に残っていませんでした(かなしい)『ベルばら』は100周年の時に観ています。まさみりのオスアン編と、えりあゆのフェルゼン編。役替わりで何パターンか。宙組のオスカル編フェルゼン編は観ていません。11年ぶりの『ベルばら』です。
今回の『ベルばら』に期待していたことは、わたしが歌舞伎をちゃんと観るようになって、いかに『植田歌舞伎』が『歌舞伎』であるかがわかるか、ということです(変な見方である)『ベルばら』の中に『歌舞伎』的な要素をどれだけ見いだせるようになっているか、歌舞伎を観るようになったことで、自分の歌劇の見方がどう変わったかを実感したかったのです。
そして、寺田瀧雄ミュージックが聴けるのを、本当に本当に楽しみにしていました。古き良き『歌劇』の楽曲。さすが『宝塚のモーツァルト』どれも往年の名曲揃い。
植田作品のフィナーレが大好きなんですけど、今回のフィナーレは、今までの『ベルばら』を踏襲したものではないと、お先にムラで観劇したお友だちから聴いていてがっかり。あの兵隊さんのロケットも、薔薇のタンゴも、愛の棺もないなんて・・・。わたしが大好きで、観たいと思っているフィナーレは観られなさそう。
『これって見取りじゃん!』って思いました。歌舞伎では、『皆さんご存じのあの物語の面白いところを、かいつまんで上演しますよ』っていうスタイルの興行があるのですが(『仮名手本忠臣蔵』とか)まさにそれだなと思いました。まるで歌舞伎を観ているようだったよ。『ベルばら』が『忠臣蔵』に近づいたなと思いました。『ベルばら』は古典作品として、こういうスタンスで行くのかなと思いましたが、不親切だなと思いました。イヤホンガイドいるよこれ。『忠臣蔵』といえば、『ベルばら』の小公子小公女の「♪ご覧なさい ご覧なさい」は『忠臣蔵』の口上人形の「とざい とざーい」のオマージュなのでは!?って思った。
ストーリーの面白さや深さを味わうというより、タカラヅカの『ベルばら』の景を愉しむ、という趣旨にも捉えられたような。やっぱりドレスや宮廷服、軍服は豪華絢爛だし、セットも美しいから、目が満足するもの。オスカルとアンドレの今宵一夜も、馬車を走らせるフェルゼンも、処刑台に向かうアントワネットも、みんな美しい型として成立しているし、それ以外の解を許さない。そのうえ見目麗しいタカラジェンヌが熱演しているこの景色を、わたしは愉しんだのだなと思いました。
あまりにも歌舞伎でちょっと笑っちゃったのが、フェルゼンがスウェーデンから出ていくところ。下手でのちょっとしたチャンバラがあって、わたしの耳にはツケの音が聞こえたし、上手にツケ打ちさんを探してしまった(笑)そして客席に捌けてゆくフェルゼンには、花道が見えたし、鳥屋のチャリン!っていう音も聞こえた(笑)格好良かったんだけど、あまりにも東銀座の景色だったので、ちょっと笑ってしまった。
ということで、結論は『結構歌舞伎だったな!』でした。この感想ってニーズあるんだろうか(笑)わたしはずっと中村屋でオスアン編を、澤瀉屋と高麗屋でフェルマリ編をやってほしいと願っています。異論は認める。
フィナーレはわたしが観たいものではなかった。わたしが『ベルばら』のフィナーレに求めているものでもなかった。ロケットはいつものフランス国歌のやつでやってほしいし(あのアイロニーがたまらないんだよ)わたしはデュエットダンスが観たかった。おそろいの衣装のあーさとあやちゃんは、お披露目で観たかったです。
以下、主なキャストとキャラクターの印象。順番はめちゃくちゃです。
フェルゼン/彩風咲奈
いんやー、咲ちゃんかあっっっっこうよかったなああああ。男役の集大成として納得のフェルゼンだった。フェルゼンのひとつひとつが全部、男役仕草として洗練されているのですよ。特に、立て膝をついたところの美しさといったらない。脚が長いんだよ42.195kmあったよ。マントの扱い方、長髪の扱い方、ブーツを履いた脚の美しい見せ方、全部が洗練されている。すべての2.5次元俳優は彩風咲奈を見てお勉強して下さい!
『ゆけゆけフェルゼンのうた』(正しくは『駆けろペガサスの如く』)はもう、テンションがブチ上がりすぎて、ピンスポが当たって影コが入った瞬間「待ってました!!!!」と叫びたくなりました。大好きなんですよあそこ。ストーリー的にどうとかこうとかではなく、シンプルにに『男役が格好良く見える場面』だから好き。見た?あの片脚上げた咲ちゃんの姿。脚が長いんだよ。
フィナーレは、わたしが『ベルばら』に望むものではなかったけど、わたしが見たい彩風咲奈だった。長い四肢を大きく使ってのびのびと踊る咲ちゃん、素敵でした。
マリー・アントワネット/夢白あや
後半になるにつれて、本当に素晴らしかった。獄中のお芝居や、王妃としての最期の場面は、頬を涙でびしょびしょに濡らしながらも、美しく威厳のある表情で、何と言えば良いのか、とても『見応え』があった。この作品のお芝居の芯も、あやちゃんにあるなと思いました。
あやちゃんのエリザベートが観たい。この人が『真ん中』になる作品が観たい。そう思わせてくれるマリー・アントワネットでした。
オスカル/朝美絢
オスカルのお化粧好きとしては、意外に感じたあーさのオスカル化粧。がっつり入るブルーのアイシャドウがレトロで好きなんですけど、あーさのスーパードルフィーみたいなお顔にあれをやっちゃうとtoo muchなんでしょうか。でも、美しかったし、似合っていたので良し。
フェルゼン編とはいえ、あまりにオスカルの人物像が書き込まれていない脚本に不満があります。あれじゃ、しどころがないじゃないか。フェルゼンもいい男に見えない。往年の名曲を歌わせたら全部説明できるわけでもないのに。
しかしながら、往年の名曲を歌ってくれるとめちゃくちゃ嬉しくなっちゃうので、オタクはチョロいもんである。パレードで朗々と『我が名はオスカル』を歌い上げてくれたのには、キャッキャと喜んでしまうのでありました。
アンドレ/縣千
可哀想なくらい描き込みが足りない①アンドレのエピソードほぼカットで、名場面につなげたあがちん凄すぎるよ。原作も知らず初見の人に、彼は何者に見えるんだろうか。あの一瞬の説明台詞だけで、自分のポジションを理解させるのって鬼ムズよな。
アンドレ芝居としては、とても的確だったと思うので、もっと描き込まれたホンで、縣千のアンドレのエピソードが観てみたいなと思うのでした。
ジェローデル/諏訪さき
可哀想なくらい描き込みが足りない②いやあなた誰!?って思われても仕方ないよね(泣)すわっちは素敵なのに勿体ないよ・・・。
なので、すわっちはフィナーレの方が素敵で印象的でした。特に、群舞の時は目を惹きますね。
ロザリー/野々花ひまり
可哀想なくらい描き込みが足りない③ベルナールの何なのかもよくわからないまま話が進んでいて涙。それでも、ひまりちゃんの説得力というか、王妃様の最期のお世話をしている女性として「なんで?」と思わせる隙のない存在感。オスカルとの関係性を一切描かれていなくても、バスティーユの悲鳴だけで、ロザリーにとってオスカルとはどんな人だったのかわかる芝居の的確さがすごい。
フィナーレの穏やかな笑顔の娘役姿がとても素敵でした。
ジャンヌ/音彩唯
はばまいちゃん好きなんです。あんなに可憐な見た目なのに、ドスの利いたお芝居が出来ちゃう!素晴らしい。『伯爵令嬢』の時のくらっち(有沙瞳ちゃん)を思い出しました。ジャンヌも良かったけど、仮面舞踏会のソロも良かったなあ。
ベルナール/華世京
一緒に観たお友だちと「ベルナールってこんなに大きいお役だったっけ!?」と驚いてしまった。それだけ、かせきょーの存在感が大きかったのです。これからも楽しみ。
そういえば、わたしはいつ、どうして『ベルサイユのばら』の漫画を読むことになったのだろう。と、ちょっと思い返してみました。多分、高校生くらいの時だったと思うんだけど。駅の本屋さんで、文庫本をちょっとずつ買い揃えて、読みました。どうして読もうと思ったのかは、まったく思い出せません。なんで読もうと思ったんだろう・・・。まだタカラヅカに出会う前だったし、謎。母がマーガレット連載時に中学か高校生で、タカラヅカの『ベルばら』初演のムーヴメントも知っているので、母から聞いていたのか、小学生くらいの時には『オスカル』のことは知っていたような気がする。
今年、韓国で『ベルサイユのばら』のミュージカルが上演されましたが(日本でもやって~~)韓国でミュージカルを観る年齢層が、この漫画に出会っているものなのかなあと思いました。来年公開されるMAPPAのアニメ映画で、「こういう話だったのか」と知るのかなあ。原作に忠実な作りだといいなあ。
みなさんは、どうやって『ベルサイユのばら』と出会ったのですか?自分より若い世代、特に10代20代前半の方がこのお話と出会ったのは、何がきっかけだったのか、気になります。