今日は父の兄、つまり伯父の家に滞在している。
1年に数回、県内に住む父の兄弟が集まる機会がある。
世を去った兄弟姉妹も多いが、それでも数人が昼から集まり、近況を話し、酒を飲み食事を楽しむ。
酒が入るので、僕が運転手として駆り出される。父だけでなく、他の親戚の人達を送迎するのも、酒を飲まない僕の役目となっている。
伯父も伯母も料理が上手で、しかも贅沢な素材を惜しまない*1。
なのでこの集まり自体はとても嬉しい。しかし今日は、早く家に帰りたかった。
なにしろ家にはゲーム「ゼルダの伝説」が待っている。
午前中に少し遊んで、とても良いゲームだと確信した。早く続きをやりたい。
父と叔父が半ば眠ってしまっているので、彼らが動けるようになったら帰宅できる。それまでは、伯母が勧めるスイカや梨を食べながら、頭の中でゼルダの伝説をエミュレートするしか無いのだった。
このイベントについては、すっかり失念していた。僕のなかでは、今日はもう「100%ゲームの日」だったのだ。それがくやしい。
それにしても伯母は、どうして僕にひたすら食べ物を出すのだろう。
僕はもう中年であり、中学生や高校生では無いのだ。
「スイカを切ったから食べろ」と言ったあとに「炊き込みご飯もあるけど食べる?」と聞いてくる。
思えば、この集まりでの最年少が僕なのだった。
彼ら彼女らの子ども世代(僕や従兄弟・従姉妹たち)の参加者は僕だけ。孫世代は部活などで忙しい。
僕にとっては人生で最初の「大人の集まり」だった親戚達が、もれなく老人になっている。そのなかでは、僕はいつまで経っても「小さな従弟」なのだった。
とにかくそんな状況で、こうして日記をぽちぽちとスマホで入力している。
あと少ししたら、この集まりも”お開き”となるはずだ。まさか「泊まっていけ」とは、ならないと思う。