私なりに、朝ドラ「虎に翼」に思った事

NHK朝ドラの「虎に翼」が好評のうちに最終回を迎えました。

私も毎朝非常に楽しんで拝見しました。

 

もちろん主役の伊藤沙莉さんの演技も素晴らしかったですが、その他にも注目すべき要因がいくつかありました。

尾野真千子さんのナレーションも物語進行役としての説明以外にも、主人公寅子の心の声の表現が素晴らしかったです。

しゃべり方もありますが、なんとなく尾野真千子さんと伊藤沙莉さんの声質が似ているので違和感がありませんでした。

尾野真千子さんが役者としても登場するのではないか?という期待もありましたが、結局最後まで出番がなかったのがちょっぴり残念でした。

 

イマジナリーの使い方も、これまで以上に効果的でした。

特に最終回では、イマジナリーの寅子の追想の中に母(はる)がイマジナリーで現れるという入れ子構造の禁じ手ともいえる斬新な使い方でした。

 

タイトルバックも素晴らしかったです。

なんでも、世間では米津玄師の主題歌が流れるとテレビの前で子供が一緒に踊っていたとか・・・

個人的には、バックで踊っている女性達の右端の眼鏡をかけている人が、横切るときも実写に替わるときも一瞬しか映らなかったので、何故か気になりました。

 

そして、一番素晴らしかったのが脚本ですね。

一応、私も法学部卒業なのですが、良く調べているなと感心しました。

実在の人物を元に一人の脚本家が書いていたため、つじつまが合わないとか違和感があるストーリー展開にならなかったのも良かったです。

 

もっとも、終わりに近づいて「箇条書き」的になったという指摘がありました。

確かに、色々な事柄を詰め込み過ぎて、個々の問題に対してもう少し鄭重に描いても良かったのでは?という感じもしました。

私は母の介護をしていたから、登場人物の一人(百合さん)が認知症になるという設定だったので、弱い者の味方の寅子なら、当時の禁治産者とか介護制度の問題点を描いても良かったのではないか?と思っています。

 

次回の朝ドラ「おむすび」は実在の人物でなくオリジナル・ストーリーという事なので、ストーリー展開が大丈夫か?ちょっと心配です。

「日本現代美術私観」展

東京都現代美術館で開催されている高橋龍太郎コレクション「日本現代美術私観」展の図録が届きました。

図録が未だ用意できていないということなので、申し込んでおいた物が届いたのです。

 

展覧会自体は非常に面白かったので、8月に観に行って、さらに9月になってから再度観に行きました。

そもそもは、草間彌生の作品が多数展示してあるという事なので安易に観に行ったのですが・・・展示作品が多くバリエーション豊富なため、一旦図録が届いてからブログに書こうと思っていたのです。

一人の精神科医が集めたという事なのですが・・・これだけ多くの作品を収集したなんて凄いです。

 

シンプルな作品は少なく、非常に細部まで丹念に表現された作品が多かったし、大きな作品も多かったので、すべて観るのに時間がかかりました。

特に、地下に展示してある作品は巨大なものが多かったので観るのが疲れます。

 

現代美術という事で、作者の内面を表現したような作品が多いのですが・・・素敵とかカッコ良い作品は少なく、グロテスクや気色悪い印象を受ける物が多かったのは、現代の日本自体が病んでいるのかもしれません。

みな興味深い作品ばかりですが・・・うなされそうで自宅に飾りたいなんて思う作品はありません・・・というか、大きい作品ばかりなので我が家に入らないか・・・

 

そんな中、太郎千恵蔵の作品はシンプルで良かったし、小谷元彦のサーフ・エンジェルはカッコ良いと思いました。

あと、地震で壊れたガレのランプを刺繍された布で包んだ、竹村京のRenovated Galle Table Lampは、ちょっと良いなと思いました。

もちろん、草間彌生とか奈良美智村上隆といったビッグネームの作品は安心して観れます。

 

「日本現代美術私観」展 図録

「日本現代美術私観」展 チラシ 展示解説 チケット

 

OM-28 Authentic

これまでも何回か書いていますが、ここのところOMサイズのギターにはまってアレコレ数本購入しました。

またまた、興味深い中古ギターを見つけてしまい、お金が無いのに購入してしまいました。

 

入手したのはMartin OM-28 Authentic 1931というモデルです。

ご存知のようにAuthenticというのはマーチンの最高級モデル、Authentic(本物)というように、カスタムショップの熟練職人によって当時のギターを再現したものです。

 

なんでも、トップは経年変化のVTS加工されたアディロンダック・スプルース材、ついでにブレイシングのアディロンダック・スプルース材も当時同様にトップに接着してからスキャロップドに削っています。

ネックも全て手作業で削っているそうで、残念ながらサイド&バックはハカランダではなく、ハカランダに近いと言われるマダガスカル・ローズウッド製です。

 

そして、トラスロッドは、ゴールデン・エラやマーキス等のアジャスタブルロッドと違い、当時と同じTバーロッドが採用されています。

さらに、接着は当時と同じようにすべてニカワで、Martin社の倉庫で見つかった当時のレシピ通りの塗装方法だそうです。

 

他のメーカーだとハカランダ材を使ったOMモデルもあるのですが・・・このような当時の製造方法を再現するというのは、マーチン社にしかできません。

このようなスペックなので以前から興味があったのですが、高価だし製造本数も少ないので、諦めていました。

もちろん、中古でも高価だったのですが・・・いつのまにかOM-28 Authenticは製造終了となっていたので、今後は価格高騰するかもしれず、無理して購入しました。

ちなみに他のモデルのAuthenticシリーズは継続しているようですが・・・マダガスカル・ローズウッドも希少材になってしまったので、グアテマラン・ローズウッドに変更されているようです。

 

で、最初に弾いたときは、オールドに似た感じの音で驚きましたが・・・戦前の000-21やD-28と弾き比べると今一つです。

(残念ながら、戦前のOM-28は弾いたことがありません。一番古いのは1969年製のSOM-28です)

ミッドは結構良いのですが、高音は少し出ていないし、低音はポワンとした感じで・・・やはり、オールドは枯れた感じです。

逆に言えば、このまま経年変化が進めば、かなりオールドに近くなりそうです。

もちろん、ハカランダとマダガスカル・ローズウッドだと、ちょっと違うと思いますけど。

martin om-28 authentic 1931 2015年製

 

祭り等のイベントの中止

やや落ち着いてきましたが、今年の夏は猛暑やゲリラ雷雨など大変でした。

未だ暑さは続くようですが、少し朝晩は涼しくなってきましたね。

 

このような気候のおかげで、祭りや花火大会の中止が相次いでいるようです。

温暖化の影響もあり、昼間のイベントは熱中症対策、夜間のイベントもゲリラ豪雨対策にかける費用がバカになりません。

天気以外にも、主催者の高齢化や開催費用の高騰といった問題もあり、存続を断念するものも多くなっているそうです。

あと、混雑や騒音についての苦情も多いとか(中には動物虐待や安全性に対する批判なんかも)・・・個人的には、祭りなどの風情だと思うのですが、迷惑だという人もいるようです。

 

なんでも、新型コロナ対策で一旦中止にしていたため、再開を検討して断念したケースが多いとか・・・

こんな話を聞くと、今まで惰性で続けていたのが、新型コロナが見直す良いきっかけになったようにも思えます。

余談ですけど・・・リモートワークという選択肢が増えたので、豪雨の時に無理して出勤せず助かり・・・新型コロナの影響にも良い面があると思いました。

(ニュースで通勤に苦労している人を見て、同情してしまいました・・・昔は、私も大変な思いをして台風の時なんかに通勤してました)

 

話を戻すと・・・温暖化に限らず生活も時代によって変わったので、祭りなどのイベントも伝統にこだわらず変わるべきなんじゃないかと考えています。

昔は、共働きや残業、あるいは子供の塾なんてなくて、家族そろって夕飯を食べるのが当たり前、近所づきあいもあったし、介護が必要な高齢者も少なかったし、ゲームやインターネットなどの娯楽もなかった。

こんな状況だったから、祭りのようなイベントは大きな意味を持っていました。

 

そもそも、はるか以前に祭り等を始めた人々の多くは、地域のみんなの娯楽を考えたのではないでしょうか?

伝統とかいう呪縛にとらわれず、祭り等のイベントの本来の目的を考え直し、そのまま継続するか、あるいは内容を変更するか、それとも撤退するか、判断する時期のように思います。

 

事業等でも言われますが・・・継続するのは簡単、上手くいかなくなっても最初に始めた人のせいにできるから・・・で、だらだらと続けてしまう。

将来を見通して変更や中止をするのは、結果が悪いと今まで上手くいっていたのにと非難される・・・最初に始めた人より大変。

そういった面があるから・・・新型コロナが見直すきっかけになったように、猛暑やゲリラ豪雨が見直す良いきっかけになるかもしれませんね。

紫檀

前回はストラトキャスターの指板について書きました。

メイプルとローズウッド・・・ローズウッドもハカランダが入手困難になりインディアン・ローズウッドへ・・・最近はインディアン・ローズウッドも希少になってきたらしくパーフェロー等といった感じですね。

 

今日のNHKプロジェクトX薬師寺東塔の解体修理でしたが・・・そこで思い出したのが、正倉院螺鈿紫檀五絃琵琶の復刻の話。

なんでも、現存する五弦の琵琶はこの1本だけ・・・というわけで、本物になにかあった場合を考慮し復刻版を作成したそうです。

(本物は気軽に弾けないし・・・)

実は、明治の修理時にも1本模造されたそうですけど復刻度が今一つだったようです。

 

今回はなんと、復刻にかかった期間が8年間(楽器自体の調査や材料の調達を含めると17年間)という長さ!・・・それだけ厳密に再現したようです。

材料の調達も困難を極めたそうで・・・螺鈿細工に使われる夜光貝やべっ甲も大変ですが・・・なかでも楽器の本体が一本の大きな紫檀材だったそうです。

紫檀・・・そうローズウッドです。もちろん、新大陸発見以前の話ですからハカランダではなく東南アジア産です。

 

そんな昔からローズウッドが楽器材として使われていたのも驚きですが・・・東洋の楽器でも使われていたというのも意外でした。

当時の人たちも、ローズウッドの優れた音響特性を理解していて、楽器に使っていたのですね。

 

ローズウッド=紫檀という事は知っていたのですが、ちょっとした盲点でした。

西洋のアンティーク家具なんかにローズウッドが使われていることは知っていたのですが・・・よく考えれば、日本でも紫檀は高級材として家具等、特に仏壇などの仏具なんかで多く使われています。

 

今の時代、継承者がいなくて廃棄される仏壇とか過疎化による廃寺の仏具など、探せば希少な紫檀材が沢山ありそう。

ブラジル政府が規制して価格高騰する以前は、ハカランダがローズウッドの代替材として広く使われていたので、ひょっとしたらハカランダで作られた物もあるかも・・・

昔、来日したアメリカのギター製作者が、母国ではインレイ材の入手に苦労していたのに、寿司屋の前に大量に捨てられているアワビの貝殻を見て絶句した、という話を思い出しました。

ストラトキャスターの指板

ギターマガジン今月号の特集は「教養としてのストラト学」ということで、ストラトキャスターも好きな私は興味深く拝見しました。

もっとも私が好きなのは、やはりヴィンテージです(一応、2000年以降の物も所有していますが・・・)。

 

ところで、記事によるとヴィンテージというのは1983年製までだとか・・・確かに、それ以降は楽器としての個性が無くなったという感じです。

個人的には4ボルトの時期までが好みで、ブレット・トラスロッドになって以降は今ひとつですが・・・それも当時の音楽シーンに合った個性的なサウンドなので、愛用する人がいるのは理解できます。

 

そういえば、70年代~80年代はアメリカ国内で軽い個体を優先にした結果、日本に重い個体が多くなったという記事も載っていました。

確かに、私が初めて買った1974年製は滅茶苦茶重かったです。

でも、当時の雑誌にフェンダー社のインタヴューが載っていて・・・サスティーンを稼ぐために重く硬いアッシュ材を選んでで製造しているというのがあった記憶があります。

当時はサスティーンを重要視していて・・・スルーネックやブリッジ下に金属を埋め込んだギターが流行したり・・・ストラトに限らずテレキャスターレスポールなんかも滅茶苦茶重かったです。

 

記事の中では・・・貼りメイプル指板が素晴らしい、特に64年~65年のものはとてもいい倍音を含んだ鳴りがする・・・という箇所が嬉しかったです。

64年~65年の貼りメイプルは凄くレアですが、私も1本所有しているのです。

 

そういえば、何故か記事で触れてなかったのが、指板材がハカランダとインディアン・ローズウッドの違い。

ヴィンテージのスラブ貼りはすべてハカランダ材、ラウンド貼りも初期の物だけハカランダ材です。

スラブ貼りでもリイシュー物は、ほとんどがインディアン・ローズウッド材です。

 

以前も書きましたが、初期のフェンダー・スティヴィ―・レイヴォーン・モデルはハカランダ材で、SE90xxxxのシリアルナンバーの中にハカランダ指板が存在し、SE91xxxx以上は全てパーフェロー指板・・・ネック・デイトでは、1992年前半のものはハカランダ指板、1992年後半のものはパーフェロー指板ですが、中には1992年3月でもパーフェロー指板もあり、1992年9月でハカランダ指板という例外もあるそうです。

 

SE90xxxxのシリアルのものを見つけたら指板を見て判断するのですが・・・明るい色のハカランダや黒くハカランダっぽいパーフェローもあるので難しいです。

以前書いたのは・・・ハカランダは板目しか入手できないのに、当時新規採用されたパーフェロー材は柾目だったので判断できるという事・・・でも、現在はパーフェローも多くのギターで使われるようになって板目も使われています。

 

フェンダー ストラトキャスター 1964年製 貼りメイプル

フェンダー ストラトキャスター 1961年製 ハカランダ材スラブボード

フェンダー スティヴィ―・レイヴォーン・モデル 1992年製

スティヴィ―・レイヴォーン・モデル ネックデイト(MAY 07 1992)

スティヴィ―・レイヴォーン・モデルの指板 (明るくして木目が判るようにしています)

 

戦没者数について

15日の終戦記念日式典の生中継を視ていて、皆が8月15日に亡くなったわけではないので、まとめて戦没者の慰霊をして済ますのも妙な感じがしました。

また、二度と戦争を起こさないという誓いなら、戦争を起こした日に行えば良さそうな気もします。

もちろん、戦勝国なら戦勝祝いの日なのでしょうが、敗戦国だから終戦祝いをする日でもありません。

 

あと、日本の戦没者310万人と聞いて、不謹慎にもそんなものか?と思ってしまいました。

もちろん、ガザの死者数が4万人を超えたなんていうのに比べたら凄い数なのですけど・・・日本の人口の4%という割合で・・・沖縄戦や原爆の話、あるいは親から東京大空襲で一面焼け野原になって遺体が転がっていたなんて話を聞いていた事もあり、もっと多いような気がしていました。

 

で、調べてみたら民間人の死者数は80万人・・・沖縄戦は19万人(民間人は9万人)、原爆は広島14万人と長崎7万人、3/10の東京大空襲10万人といったようで・・・当時は人口集中がそれほどでもなかったから、都市部以外の死者が少なかったので全体数も少ないのかもしれません。

 

ちなみに、各国の戦没者数はソ連2,060万人、中国1,321万人、ドイツ689万人、ポーランド603万人、ユーゴスラビア171万人、オーストリア118万人、フランス60万人、イタリア43万人、イギリス38万人、アメリカ29万人・・・こうみると、国土が戦場となった国の戦没者数が多いことが判ります。

もし本土決戦が行われていたら、こんな戦没者数では済まなかったと考えると、終戦を決断した事に感謝ですね。

 

もっとも、日本が戦場とした国々は・・・上記の中国1,321万人以外にも、インドネシア400万人、ベトナム200万人、フィリピン111万人、インド150万人・・・の事を考えると、日本が戦争を起こしてしまった事が申し訳ないです。

もちろん数の問題ではないですけど・・・終戦記念日関連のテレビ番組なんかでは、特攻とか空襲など当時の日本が悲惨だった事ばかり・・・なんか被害者づらしているようで、加害者として、もっと日本が戦場にしたアジアの国々についても取り上げるべきだと考えます。