ロスジェネ世代は今 「若者のせいにした」過ちとそのツケ

浅野智彦・東京学芸大学教授
東京都新宿区で手塚耕一郎撮影
東京都新宿区で手塚耕一郎撮影

 一世を風靡(ふうび)した「ロスジェネ世代」は今、どうしているのか。東京学芸大学教授の浅野智彦さんは、「大きな危機の先端にいる」と言います。【聞き手・須藤孝】

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根本的な間違い

 ――ロスジェネ世代は就職氷河期世代ともよばれ、社会問題化しました。

 浅野氏 2000年代初頭にさまざまな政策がとられましたが、多くは若者対策でした。若者を労働市場に入れるためにスキルなどをつけさせる発想でした。労働市場の構造はそのままにして、若者をなんとかしようとしたのです。根本的に間違った政策でした。

 椅子取りゲームで椅子が減っていく、それも急激に減っていく時に、椅子に座れなかった人に「もう少しやる気を出せば必ず座れるようになる、もっと速く走れ」と言いました。しかし座れない人は絶対に出ます。若者のせいに…

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東京学芸大学教授

 専門は社会学。東京学芸大学教育学部教授。「『若者』とは誰か―アイデンティティの30年」(河出ブックス)「検証・若者の変貌」(編著、勁草書房)「現代若者の幸福―不安感社会を生きる」(編著、恒星社厚生閣)など。(本人の希望により顔写真は掲載しておりません)