自立支援って何?

高齢者の自立支援について解説

自治体における自立支援の具体例

自立支援とは、高齢や障害などで生活に困難を抱える人たちに対して、必要なサービスや情報を提供し、その人らしい生活を送ることができるように支援することです。各自治体は、自立支援のために様々な事業を実施しています。例えば、ターミナル駅を抱える地域での自立相談支援事業と、町村部における自立相談支援事業は、それぞれ異なったニーズに対応するサービスを行っています。

東京都豊島区は、池袋駅を中心に人口約30万人の区です。池袋駅は、日本で最も利用者数の多い駅の一つであり、多くの人が出入りする繁華街です。しかし、その一方で、障害や高齢などで生活に困難を抱える人たちも多く住んでいます。ネットカフェや路上で生活している方からの相談が多いのも、ターミナル駅を抱える都市ならではでしょう。そこで、豊島区は、自立相談支援事業を行っています。住居に関する相談や貧困による食料の支援など緊急を要するケースも多く、今後の課題となっています。

岩手県は、日本で最も面積が広い県の一つであり、人口密度が低い県です。そのため、町村部では、障害や高齢などで生活に困難を抱える人たちが孤立しやすいという問題があります。そこで岩手県では、町村部での自立相談支援事業を行っています。町村部では交通手段が限られていることもあって、利用者が相談に訪れることができない場合も少なくありません。そこで職員が利用者の自宅や施設などに出向いたり送迎したりして、相談や支援を行うこともあります。この訪問・送迎での相談は過疎化が進み交通手段の少ない町村部において、重要なセーフティネットとなっています。

自立支援のキホン 高齢者の自立とは

皆さんは「自立支援」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。これは、昨今深刻な高齢化が進んでいる日本の介護業界において重視されている考え方です。一般的に介護といえば、自分の力ではもはや生活できなくなってしまった高齢者の身の回りをサポートすることを指すものでしたが、自立支援は違います。自立支援とは、高齢者のサポートを一から十まですべて行うのではなく、高齢者が自分の力でできることを増やし、最終的には自分の力で生活できる状態にまで回復することを指す考え方です。一生涯介護をし続けるのが従来の介護であれば、「介護がいらない状態」まで介護することが自立支援だといえるでしょう。

ここでいう自立にも、身体的自立、精神的自立、社会的自立という3つの要素が存在します。身体的自立とは、他の人に頼らずに身の回りの家事、生活全般をできる状態のことであり、一般的に「介護がいらない状態」と聞けばこれをイメージする方も多いでしょう。ですが、自立支援はこれだけでなく、精神的、社会的にも自立した状態を目指しています。

つまり、自分の老後を自分で考え、そのために必要であれば経済活動も行うことができる状態が、理想的な自立状態なのです。自立支援ではそのために必要最低限のサポートを行います。もちろん、サービスの利用者によって「必要最低限」がどの程度なのかは異なります。自立支援には介護士と被介護者の信頼関係や、家族、地域のサポートも必要ですが、上手く行えれば、介護業界の問題を解決する一助となるでしょう。自立支援に関する介護施設・事業所の取り組みについては、こちらもご覧ください。