(詩)汗

きみの汗が
きみに語りかけること


病室のベッドに横たわる
きみの額に夏の日差し

静かに生まれた汗が
きみの額から
ベッドへと零れ落ちる

きみはもう
自分は生きていないのも
同じ、だという

午後の眠りの中で
日差しの暑さに
はっと目を覚ました
きみの額に汗
ほほにも汗

まるで悪い夢から
きみを守った戦士のように

たたかい疲れた
汗のしずくたちが
最後の力をふりしぼり

今きみのほっぺたを
優しく撫でながら
零れ落ちてゆく

きみのほっぺたに
生まれた一粒の汗が

きみと一緒に
生きられてよかった、と

今日も世界中で
生まれては零れ落ちる
幾千の汗たち

涙のかわりに
やさしく、やさしく
人に寄り添って生きた汗


きみの汗が
きみに語りかけること

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