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海外転勤者も気を付けた方がいい。非居住者の不動産収入に対する源泉徴収

円安で日本の不動産が外国人に人気です。別荘として購入する場合もあれば、不動産収入(賃料収入)を得るために購入する場合もあります。

別荘として外国人(非居住者)に不動産を販売する場合は収入(課税所得)が発生しないため、税務上は問題になりません。
ただし、外国人(非居住者)が投資目的で日本の不動産を買った場合は別です。
非居住者が日本国内で不動産収入を得る場合、その収入に対して源泉徴収が行われます。

外国人に不動産を販売した後、物件の管理を任された不動産業者は外国人(非居住者)の国内課税所得に対して源泉徴収します。なので、不動産業者は不動産の販売時に、外国人(非居住者)に日本の税金の取り扱いを説明しないといけません。
さらに、非居住者は日本に住んでいない日本人も含みます。海外転勤で日本にある家を他人に貸す場合、貸手(日本人の非居住者)の収入に対して源泉徴収しないといけません。

ここでは、外国人(非居住者)が不動産投資をする際、日本人(非居住者)の賃貸管理をする際の税金(源泉徴収)について解説します。


1.非居住者とは


まず、「そもそも非居住者とは誰のことを指すのか?」です。

日本の税法上、非居住者とは、日本国内に居住地を持たず、主に国外に生活拠点を持つ人を指します。
具体的には、日本国内に1年以上居住する意図がなく、生活の本拠が国外にある者が非居住者とみなされます。

つまり、国籍は関係ありません。日本人であっても外国で1年以上居住する場合には非居住者となります。海外転勤で外国に住む日本人は多くいます。これらの日本人は非居住者です。

2.源泉徴収の適用範囲は?


源泉徴収の対象となる非居住者が日本国内の不動産から得る収入とは、次のようなケースです。

・賃貸収入:日本国内の土地や建物を貸し出した際に得る賃貸料
・その他の収入:不動産の管理や使用に関連する収入

主に非居住者が日本国内に所有する住宅、コンドミニアムから発生する家賃収入と理解してください。

3.源泉徴収税率


非居住者の不動産収入に対する源泉徴収税率は20.42%(所得税20%と復興特別所得税0.42%)です。この税率は、賃貸収入の総額に対して適用されます。

給与所得の源泉徴収のように所得課税(控除後の利益に対する課税)ではなく、総額(売上)に対する課税です。印税や専門家報酬と同じですね。

4.源泉徴収の手続き


不動産収入を支払う者(例えば、賃借人や管理会社)は、非居住者であるオーナーに支払う賃料から源泉徴収を行い、その税額を国税庁に納付します。
この手続きにより、非居住者は賃料を受け取る時点で、すでに税金が差し引かれた状態で支払われます。

賃貸管理している不動産会社は、非居住者に送金する前に源泉徴収しないといけません。源泉徴収を忘れると厄介です。国税庁に徴収漏れを指摘され、源泉所得税の納付を求められる可能性があります。

5.源泉所得税の還付


収入総額(売上)に対して源泉徴収されるため、費用(管理費、修繕費、減価償却費など)を控除すると課税所得が減ります。源泉所得税は過剰に徴収される場合が多いでしょう。
非居住者は、確定申告を行うことで税金の還付を受けることができます。

以上のように、賃貸管理を行う不動産業者は非居住者の不動産収入に対して源泉徴収をしなければいけません。面倒ですが、覚えておいてください。


今回は非居住者の不動産収入に対する源泉徴収について解説しました。
もっと不動産ファイナンスについて詳しく知りたい人は下記の書籍を参考にしてください。

【金融マンのための不動産ファイナンス講座】

【金融マンのための実践ファイナンス講座】


【図解 不動産ファイナンスのしくみ】

 

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