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ちょいちょい書くかもしれない日記(POLO FRUITS)

イギリスにいた頃、よく買った駄菓子に、POLO Mintsがあった。
日本で言うところのカルミンのような立ち位置のミント菓子だ。
カルミンはもうとっくになくなってしまったけれど。
ポロはカルミンより固く、真ん中に穴が空いている。
「ポロは、実は穴を食べるものなんだよ」と、よく同じ冗談を言われたので、何かそういうCMでもあったのかもしれない。
少しだけ甘すぎるのだが、ミントの風味がほどよく、ちょっとしたリフレッシュにいいお菓子で、いつもバッグに入っていた。
そう、私はいつもバッグに飴ちゃんを入れておくタイプの人類である。
同じような包みでPOLO FRUITSというのもあって、これはいわゆるフルーツ味のハードキャンディだった。
無論、真ん中には穴があいていて、苺とかブラックカラント、あと、オレンジとライムがあったような気がする。
もう一つ何かフレーバーがあったはずなのだが、思い出せない。グレープか何かだっただろうか。
順番に淡々と食べていくから、あまり個々の味を気にしていなかった。
すぐベタベタになってくっつき、あまり扱いやすい飴ではなかったが、さっぱりして美味しくて、私は大好きだった。
たとえ何度かうっかりして、バッグの底を溶けた飴でネトネトにしようとも。
どうしても食べたくなって、何度か現地の友達に送ってもらったこともあるのだが、昨年、ついに終売になったそうだ。
今どきのお菓子とは言い難いので、やむを得ないのだろう。
でも、好きだったお菓子が永遠に食べられなくなるのは寂しい。
もう何度か経験したけれど、ある意味、古い友達が死んだような気持ちになる。
決して人の死が軽いわけではなく、お菓子の死が私の中で激重なのだ。

専門学校の二学期が始まり、最初の講義だった。
まだ他の科は夏休み中らしく、職員室にはもうひとり、面識のないパイセンジェントルマンがいるだけだった。
講義開始2分前に来た上、「あっつ! こんな暑い中で二学期始めた頭おかしい奴は誰やねん夏休み舐めとんか」とぼやきながら爆速で準備をする私に、パイセンは「元気だねえ」と笑っていた。
どっかで見たようなお顔の先生である。
初対面なのは確かなので、よく似た知り合いでもいただろうか……と思いながら午後を過ごし、帰りの車の中で、「あ!」と思わず声が出た。
亡き塩爺こと塩川正十郎さんにうり二つであった。

こんなご時世なのでお気遣いなく、気楽に楽しんでいってください。でも、もしいただけてしまった場合は、猫と私のおやつが増えます。