セルトレ解説公開は、内科医資格の質や信頼を落としてしまうのか?
セルフトレーニング問題は、一定の期間に、自由に調べてその解答を作成して良い。
答えに行き着くまでの過程や手段を、出題している側は縛ることができない仕組みになっている。
実臨床でも状況は同じである。
ある一定の時間内に、何かしらかの答えに辿り着けば良いが、その手段は自由。
Pubmedで原著論文を一から漁る方法。
情報量の多すぎる2次文献から検索する方法。
Googleで検索し、ソースのよくわからないがそれっぽいこと書いているWebサイトを見る方法。
自分より知識のありそうな人に聞く方法。
ChatGPT(などの生成AI)に聞く方法。
調べなくてもすでに知っている。
が考えられる。
1,2の方が、時間と労力がかかり、4,5の方が、時間と労力はかからない。
1,2の手段で汗を流したほうが、優れているのか?
価値があるのか?
内科医としての質が高いと言えるのか?
4,5の手段で素早く解答に辿り着けた方が、優れている可能性はないか?
価値があるのではないか?
質が高い診療ができるのではないか?
患者は長い待ち時間に苛立っているし、
医療従事者は長い労働時間で皆疲弊している。
調べるのに時間がかかって面倒だから、調べず適当にやるより
サクッとAIや知見のある人に聞いて、すぐ実践する方がよくないか?
調べるのに時間がかかってしまうから、少ない患者数しか診療できないより、
サクッとAIや知見のある人に聞いて、たくさんの患者数を診療できる方がよくないか?
調べるのに時間がかかってしまうから、患者さんと話す時間や、自分の休憩時間を削らなきゃいけないより、
サクッとAIや知見のある人に聞いて、患者さんの話をよく聞いて、しっかり休憩を取れた方がよくないか?
タイパが求められる時代だ。
知らない誰か(あるいはAIでもいい)の言っていることが正しいのか、
それを判断する能力があれば良いのでは?
「知らない誰か」あるいはAI側は、
サクッと判断しやすいように、その根拠を初めから提示しておけば良い。
知識を自分の頭の中に持っているかどうかを試したければ、カンニング対策ができるオンサイトでの試験をすれば良い。
もはや、知識を蓄えているかどうか、に価値がある時代は終わったのではないだろうか。
いかに手っ取り早く正しい知識を仕入れて活用し、本当に必要なことに時間や労力を配分できるかが、医師の能力として重要ではないか。
AIの回答も、見ず知らずの誰かの回答も、
正しいとは限らないのだ。
それを正しいと判断するか、間違っていると判断するか。
問われているのは、そこの能力だと思う。
セルフトレーニング問題は、答えに行き着くまでの過程や手段を、出題している側は縛ることができない。
ChatGPTは医師国家試験の合格ラインを超えられるのだ。
セルトレ問題をAIに解かせて提出した人がいたとしても、
提出した本人以外には、わからない。
セルトレ問題を、他人に解かせてその解答を提出した人がいたとしても、
提出した本人以外には、わからない。
何割の人が汗をかいてイチから調べているのか、わからない。
そんな状況で、専門医の質が担保されている、と思えるか?
汗を流すことが目的になってないか?
いや、汗を流したい人は好きに流せばいいと思うよ。
ただ、集団として達成すべきゴールは、みんなで汗を流すことではないだろう。
もし知らなかった情報があったとしたら、
これを機に新しく知って、日々の診療ですぐに実践してもらうことだろう。
その目的達成のため、であるならば、
後日、採点されて正答の選択肢だけ公開されるというのでは、足りない、勿体無いと思う。
そこに解説がなければ、納得できる根拠がなければ。
せっかく患者さんの役にたつ新しい情報を仕入れるチャンスだったのに、
十分な理解がないままスルーされる可能性がある。
数年後に一部だけ解説が出版されても、
それいつの話やねん!である。
その時は正しい回答だったかもしれないが、数年後には正しくない、なんてことはあるのだから、旬の話題はその時に消化しておくべきある。
花嫁にもなれず、総合内科専門医にもなりきれぬ哀れで醜い可愛いサンをサポートしたいという気の触れたこだまたちはおらぬか!