2024年9月17日(火)~21日(土)、北アルプスの奥地、鷲羽岳(2924.4m・日本百名山)から雲ノ平に行ってきた。所属する山の会の例会(新穂高~鷲羽岳~水晶岳)が台風のため中止になり残念に思っていたら、「今年のうちに登っておこう」とあっさり話がまとまった。山仲間3人での山行。
新穂高から鏡平、双六小屋を経て鷲羽岳~水晶岳に登り、雲ノ平、薬師沢に下って太郎平、折立に下山という計画を立てた。今まで双六岳や槍ヶ岳から眺めるだけで中々行けなかったエリアに、漸く進むことができた。遠くて4泊5日の山行になった。 今回、鷲羽岳~水晶岳チャレンジの日が朝から雨風強く、小雨を待って出発し鷲羽岳には登頂できたものの、身体を持っていかれそうな強風と時間不足のため、水晶岳はやむなく断念した。この先この奥地に来ることはできないだろうと心残りだが、鷲羽岳に登り、雲ノ平~薬師沢~太郎平を歩くことができた達成感は大きい。今回、全体にすっきりした天気に恵まれず、見たかった山の眺望もあまり楽しむことができなかった。写真もあまり5撮れなかったけれど、このブログで記録には残しておきたいと思う。
アクセス
9/17(火) ・JR大阪7:58発特急ひだ⇒高山駅12:14着 (7,920円)
・高山駅12:40発バス⇒新穂高ロープウェイ14:16着 (2,200円)
9月17日(火) 新穂高温泉~わさび平山荘
歩行距離4.3Km 歩行約1時間20分 上り343m 下り44m】
【コースタイム】
14:30新穂高ロープウェイ(1103m)-15:30笠新道登山口(1370m)-15:50わさび平小屋(1402m)泊
14:40 笠ヶ岳・双六岳・わさび平登山道入り口(1130m)。
15:50 わさび平小屋に到着(1402m・泊) 夕飯はイワナの塩焼きがついて美味しい。玄関先の水ふねで冷えたトマトときゅうり、オレンジを販売。お風呂も有り。
9月18日(水) わさび平山荘~鏡平~双六山荘~三俣山荘
歩行距離12.4Km 歩行約7時間20分+休憩1時間35分 上り1626m 下り483m】
【コースタイム】
5:40わさび平小屋(1402m)-6:00小池新道登山口(1474m)-6:55秩父沢出合(1725m)-8:05シシウドヶ原(2085m)-9:00鏡池(2285m)-9:20鏡平山荘(2281m)-10:10弓折乗越(2556m)-11:30双六小屋(2547m・昼休憩40分)-14:35三俣山荘(2545m)泊
5:30 わさび平小屋を出発。
6:00 小池新道登山口(1474m)。橋を渡って右に進めば奥丸山。双六方面、左に進む。
9:55 秩父沢出合(1725m)。1時間で300mほど高度を上げ水場で休憩する。「水場」とあるが飲料水の取水口は見当たらない。
8:05 シシウドヶ原(2085m) 再び1時間で300mほど高度を上げて見晴らしの良い所で休憩する。雲が多くて遠くの山は望めない。
9:00 鏡池(2285m)まで上がってきた。期待の槍ヶ岳、槍ヶ岳西鎌も雲に覆われ見ることができない。
10:10 弓折乗越(2556m)。ここまで1000mあまり順調に高度を上げてきた。笠ヶ岳を見たいがここも何も見えない。
10:30 弓折乗越から双六小屋に緩やかなアップダウンを越えて花見平。 夏の花は終わり、実をつけているものが多い。
シラタマノキ
アカモノ
ナナカマド
紅葉が始まったチングルマ
11:10 双六小屋が見えるところまでやってきた。正面に大きな鷲羽岳!!!わくわくする。
左に双六池とキャンプ場。テントは少ない。
11:30 双六小屋(2547m)に到着。ラーメンを食べて昼休憩40分。美味しい!!! 2021年10月双六岳の時と概ね同じタイムで双六小屋に到着できた。うれしい!!!
12:20 双六岳・中道・巻道コース分岐。双六岳、三俣蓮華岳を巻く巻道ルートで三俣山荘に向かう。
しばらく歩きやすい登山道が続く。天気が良かったらものすごい眺望のはずだ。残念。
少し明るくなって、赤褐色の硫黄岳。向こうに大きく聳えるのは常念岳か??
14:05 三俣峠(2750m)まで200mほど上がってきた。少し小雨が降ってきた。三俣蓮華岳にピストンする予定をやめてそのまま進む。今になって登っておけばよかったと思う。登っていればこの後の大雨にあって全身ずぶぬれだが、残念なことをした。ここから三俣小屋に今度は200mほど下っていく。
14:35三俣山荘(2545m)に到着。何とか大雨に合わないで到着できた。この後ものすごい雷と土砂降りになった。
※三俣山荘は初めて泊まる山小屋。晩ご飯はジビエ(鹿肉)のシチュー。朝ご飯には猪肉の大きなソーセージが出た。どちらも上等な美味しさだ。写真を撮るのも忘れてガッついてしまった。 ※小屋左上(2階)が食堂。展望食堂とある。天気が良ければここから正面に槍ヶ岳と北鎌がドンと見えるようだ。あーつくづく残念。
9月19日(木) 三俣山荘から鷲羽岳~祖父岳~雲ノ平へ
歩行距離7.5Km 歩行約6時間+休憩1時間 上り666m 下り661m】
【コースタイム】
7:30三俣山荘(2545m)-8:55鷲羽岳(2924.4m)-10:00ワリモ岳(2888m)-10:40岩苔乗越(2731m)-12:00祖父岳(2856m)-13:30雲ノ平山荘(2552m)泊
7:30 昨夜から大雨と強風が続いている。天気予報では午前中に止む様子なので、小雨になるのを待って出発。
小屋を出て5分ほどの所に有名な伊藤新道入口(ゴール)。鷲羽岳へはきつい急登だが、ジグザグで思ったより上りやすかった。身体を持っていかれそうな強風がきつい。
8:55 鷲羽岳(2924.4m)山頂。三等三角点有り。展望なし。今回一番の残念ポイントだ。
10:30 ワリモ岳山頂(2888m)のすぐ横を通過(ワリモ岳の山頂は岩が重なっていて上ることはできないらしい。漢字だと割物岳と書くらしい)して、ワリモ岳北分岐(2797m)。ここから右に向かうと水晶岳。悪天候と時間不足のため水晶岳は断念して、ここから雲ノ平を目指す。
10:45 岩苔乗越(2731m)。
この日はたくさんのライチョウに出会った。ここでは8羽のライチョウがまとまっていた。羽の色が少し白くなってきているようだった。 ※食べ残したハイマツの実があちこちに残っていた。ハイマツの中に巣を作るライチョウの食べ残しかと思っていたら、ライチョウの餌はコケモモやガンコウランなどの実だと書いてある。ハイマツ帯でハイマツの実を食べる代表格はホシガラスらしい。ホシガラスは一度にたくさんの実を取り出して喉にためて持ち帰り貯めておくらしい(貯食)。あんなに実を取り出した後があったのに、ホシガラスの姿は見ていない。
12:00 祖父岳(2856m)。広い山頂だ。
13:05 祖父岳から300m近く下って、雲ノ平が一面に広がった。少し明るくなった。
木道を進む。
左手のカールにある広いテント場。管理棟が見える。 ※1981年8月ここにテントを張った。カラフルだったかどうか??テントが広がっていた記憶だけが残っている。悪天候のせいかテントは中央にポツンと一張り。今日は寂しいテント場だ。
美しい雲ノ平。雲ノ平山荘が見えてきた。
13:30雲ノ平山荘(2552m)に到着。全身濡れて小屋に入り、乾燥室にとびこんだら強力な乾燥機が回っていた。感動の暖かさ。本当にうれしかった。 晩ご飯は、雲ノ平名物の鮭と野菜がたっぷり入った石狩鍋。お代わり自由。これも写真をとるのを忘れてしまった。美味しかった。
17:50 西に沈む夕日。天気回復の様子だ。
9月20日(金) 雲ノ平から薬師沢~太郎平へ
歩行距離9.0Km 歩行約5時間40分+休憩1時間30分 上り573m 下り786m】
【コースタイム】
6:45雲ノ平山荘(2552m)-6:55祖母岳分岐(2521m)-7:05祖母岳(2560m・アルプス庭園)-8:05アラスカ庭園(2456m)-10:15薬師沢小屋(1916m)-12:10左俣出合(2027m)-13:50太郎平山荘(2328m)泊
6:15 東に水晶岳の双耳峰。鷲羽岳のあたりから出る朝陽。今日はいい天気だ。
南に聳える笠ヶ岳。かっこいい。
南やや西寄りに黒部五郎岳。大きな山だ。行きたいなぁ。
南やや東寄りに三俣蓮華岳。あ-登っておけばよかった。
6:45 雲ノ平山荘を出発。広い雲ノ平の中を木道を歩いて進む。しばらくして木道を逸れて祖母岳・アルプス庭園に向かう。10分ほど上っていくと祖母岳の広い山頂台地が広がり、そこからの眺望がすばらしかった。
祖母岳山頂より。ここで漸く大きな薬師岳を眺めることができた。
深田久弥氏が言う「そのボリュームの大きさを満喫するには、雲の平から望めばいい。ここからはその長大な尾根を、値打ち通り横から眺めることになる。全く呆れるくらい巨大な壁が眼路の正面を扼している」(「日本百名山」)先月室堂から長く長く歩いた薬師岳の稜線を、今日は横から眺め、その大きさを実感することができた。
北に立山連峰。一ノ越乗越から雄山・大汝山・富士の折立の平な尾根がはっきり分かって嬉しい。手前は赤牛岳か??
祖母岳から望む雲ノ平山荘と水晶岳。南の方面にある黒部五郎も三俣蓮華岳も笠ヶ岳も、ここからはもっと近くに大きく見えていた。
木道に戻り薬師沢を目指す。1時間余り木道を徐々に下りながら進む。
8:30 木道が終わり、薬師沢に向けて大きな岩だらけの急な下り。一気に500m余り下って薬師沢だ。雨の後で怖い。けがをしないように慎重に下る。
10:10 薬師沢(1916m)に到着。橋を渡って薬師沢小屋に。
薬師沢を流れるきれいな川。ここまで来て釣りを楽しむ人もいるようだ。
10:15 薬師沢小屋。 ※薬師沢小屋は思い出深い山小屋だ。もう30年以上も前(1990年)、夫と私と娘2人、兄とその息子の6人で折立から雲ノ平を目指して薬師沢まで下った。ここで1泊したその日、夜中の大雨で薬師沢の橋がいくつも流され、雲ノ平に進むことも、太郎平に戻ることもできなくなってしまった。結局2日間ここで水が引くのを待ち、3日目、雲ノ平を断念して折立に戻った。橋が流された所をロープで渡渉した。まだ小学生だった子どもたちを大人がサポートしての渡渉で、一緒になった方も助けて下さった。薬師沢小屋にいた間は、その頃流行っていたウノをして遊んだ。子どもたちが案外と逞しかったことを思い出す。
小屋の中。30年前と変わらない配置。ここでウノをしていた。思い出の場所を覗かせていただいた。
11:30 ゆっくり休憩して、太郎平に向かう。
しばらくは沢に沿って徐々に上がっていく。何度も橋を渡る。右は一番大きい橋で、佐俣出合(2026m)か? 30年前にロープで渡ったのは佐俣出合のような気がする。
13:40 沢が終わり、太郎平に向けて350mほど上ると広い太郎兵衛平に出た。太郎平小屋が見えてきた。
13:50 太郎平小屋(2328m)に到着。静かだ。明日から3連休だというのに、雨天予報のため予約120人が17人に減ったとのこと(オーナーの話)。
太郎平小屋から見える水晶岳。
正面に雲ノ平の広い台地。雲の平の広さと薬師沢への下りを実感しながら眺める。
太郎平小屋の夕飯はとんかつ(左)。朝ごはん(右)
9月21日(土) 太郎平小屋から折立へ下山
歩行距離6.9Km 歩行約3時間+休憩40分 上り87m 下り1027m】
【コースタイム】
7:10太郎平小屋(2328m)-9:15三角点(1869m)-10:50折立(1402m)
7:10 太郎小屋を出発。折立発のバスが12:30のため、のんびり出発しゆっくり歩く。この日も天気はあまりよくない。雨予報。
10:50 折立に下山。
折立に下りた所に、1963年1月に遭難死した愛知大学山岳部13名の慰霊碑が建立されている。
静かな折立。下山後すぐに雨が降り出した。
【帰 路】
・折立12:30発富山駅行バス⇒14:30富山駅着 (4,500円)
・富山駅より敦賀まで新幹線。敦賀より新快速(姫路行)利用し帰阪。(8,360円)
山の会の例会(鷲羽岳・水晶岳)参加には最後まで尻込みして迷っていたのに、仲間との山行になって安心できるところが多くありがたかった。 水晶岳に進めなかったのは残念だったけれど、鷲羽岳から三俣山荘、雲ノ平へと、北アルプスの奥地、黒部川の源流エリアを歩けたのはとても有意義だった。長いコースを歩けたことは大きな達成感になった。雨風の中を歩いたことも経験になった。雨風の中でもまだ歩ける、濡れて小屋についても大丈夫だった。昨年あたりから、北アルプスはこれが最後か・・と何度も思うのに、ゆっくりでもこうして歩くことができると、また次は何処に行こうかと、調子のよいことを考えている。