※本ブログ記事のために天体写真撮影を行ってから半年ほど経過してしまいました。公開日(9月27日)には地平線下にあって撮影出来ない対象が含まれますことをご了承ください。ぜひ、これからの季節に撮影してみてください!
FC-100DZは 焦点距離800mm F8.0 の、「FCシリーズの完成形」を謳っている2枚玉フローライトアポクロマート屈折望遠鏡です。FC-100DC/FDとは異なる対物レンズを使用することで、2枚玉の屈折望遠鏡ながら97.6%と驚異の眼視ストレール比を実現していることからも、主に眼視目的として多くの方にご愛用いただいております。本記事を執筆しているスタッフもFC-100DZを愛用していますが、入手した当初は"すごい眼視をしたい"ことが一番の目的でした。
このような文脈ではTSA-120のブログ記事と同様、FC-100DZは眼視主体の鏡筒だ…と思われるかもしれません。
しかし!!!
実はFC-100DZも、天体写真撮影のための望遠鏡としても、かなりの高性能を秘めています!そこで、今回は作例とともにその魅力をお伝えしていこうと思います!まずは第1弾として「FC/FSマルチフラットナー1.04×」を使用した作例のご紹介です。(いずれ「FC-35レデューサー0.66×」についてもご紹介したく思っています。)
スポットダイアグラムと実写画像の等倍切り出し
スポットダイアグラムのご紹介です。
続いて、等倍切り出し画像です。クリックで別ウィンドウで表示
フルサイズ周辺までスポットダイアグラム通りの星像を実現しています。実写画像から測定した中心比光量は、APS-Cサイズ周辺では95~96%、フルサイズ周辺で61~62%でした。
左下の恒星に放射状の光条が生えているのはマルチフラットナーによるケラレ(フラットナーのレンズと金枠の境界面による回折光条)と思われます。
ばら星雲
まずは、FC-100DZにFC/FSマルチフラットナー1.04×を組み合わせ、ばら星雲をフルサイズの冷却CMOSカメラで撮影してみました。クリックで別ウィンドウで表示
いかがでしょうか。フルサイズ最周辺まである程度の光量が保持されているため、中心の最も明るい部分のみに気を配って画像処理をしたとしても、周辺まで無理のない表現が自然と可能になっていたように感じました。
上は右下隅1000ピクセル四方の切り抜き画像です。フルサイズ最周辺に至るまで色ハローは極小で、色彩豊かな星像を実現しています。恒星の多い天の川領域を撮影すれば、様々な色の恒星にとともに美しい星雲を撮影できるでしょう。
M51 子持ち銀河
M51 子持ち銀河 も撮影してみました。特徴的な形とその明るさから眼視でも撮影でも人気の銀河です。おおぐま座のしっぽの先あたり(北斗七星のあたり)と北極星に近いところに位置していますので、撮影可能な時期が長い対象です。
こちらもフルサイズの冷却CMOSカメラで撮影を行いました。クリックで別ウィンドウで表示
銀河の撮影には、小さいセンサーでも十分なことがあります。以下は、正方形センサーの「ASI533MC Pro」の画角(約11.3mm四方)と同じになるようにトリミングしたものです。クリックで別ウィンドウで表示
銀河の細かい構造まで捉えられていて「おお~~」と思わず声が出そうになりました。「FC-100DZ+FC/FSマルチフラットナー1.04×」の組み合わせならば、同じ口径帯の撮影用鏡筒よりも焦点距離が長い分、(シーイング次第ではありますが)より高い分解能を得られるように思います。
せっかくですので、今話題のデコンボリューションツール「BlurXTerminator」も使用して処理してみました。こちらも「ASI533MC Pro」の画角に合わせてトリミングしたものです。クリックして別ウィンドウで表示
圧倒的な迫力に10cm屈折で撮影した画像であることを忘れてしまいそうになります。鏡筒本来のポテンシャルに加えて最新の画像処理ツールを活用することで、これまで考えられなかったような高精細な作品をアマチュア天文家が撮影できるようになってきていることをひしひしと感じます。
焦点距離820mmにおける撮影対象の例
先にもご紹介した通り「FC-100DZ」と「FC/FSマルチフラットナー1.04×」の組み合わせでは焦点距離820mmとなりますが、どんな対象が撮影に向いているのか?フルサイズとAPS-Cサイズでのスタッフおすすめ撮影対象をご紹介します(^^)/
なお、シミュレーションにはアストロアーツさんの「ステラナビゲータ12」を使用しました。ステラナビゲータは、星図に画像を貼りつけられるため、構図を考える際にとても便利です。(インストール時に拡張恒星カタログもインストールすることで使用できる自動位置合わせ機能も大変便利です。)貼り付けてある画像は、すべて以前に当ブログでご紹介させていただいた(別鏡筒による)作例となっております。画像のキャプションには記事へのリンクを張りました。
画像上の黄色い枠が撮影写野になります。
フルサイズ
夏の代表的な撮影対象、北アメリカ星雲は大迫力です!!
冬は馬頭星雲などの撮影も楽しそうです。
APS-Cサイズ
まずは上でご紹介したばら星雲をAPS-Cサイズ相当にトリミングしてみました。クリックで別ウィンドウで表示
人気の高い、APS-Cサイズの冷却CMOSカメラ「ASI2600MC Pro」程度にトリミングでは窮屈になってしまうかな?と思っていましたが、迫力のある姿に意外にも収まりの良さを感じました。
夏はペリカン星雲の撮影も楽しそうです。
また、冬の代表的な星雲「オリオン大星雲」にはぴったりのセンサーサイズです。
フルサイズとAPS-Cサイズの構図例をご紹介しましたが、このように焦点距離820mmで撮影しやすい明るい星雲は多くあります。また、先にご紹介したように、M51などの明るい銀河を小さいセンサーサイズのカメラで撮影するのにも十分オススメできる鏡筒でもあります。
おわりに
さて、ここまで「FC-100DZ」と「FC/FSマルチフラットナー1.04×」を使用した天体撮影についてご紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。
最高の眼視を楽しみたい方にはもちろん、(反射望遠鏡に対して比較的取り扱いやすい)屈折望遠鏡ですごい!天体撮影を楽しみたい方にも大変おすすめです!
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