1977年にチョコレート菓子として誕生し、長きに渡って多くの年代に愛され続けてきたビックリマン。87年にはアニメ『ビックリマン』の放送がスタートした。
アニメシリーズはその後89年に『新ビックリマン』を、92年には『スーパービックリマン』が放送された。

『新ビックリマン』までのアニメシリーズはキャラクターは2頭身だったが、『スーパービックリマン』ではそのイメージを一新。5頭身、6頭身キャラとなり、見た目が大きく変化した。加えて『スーパービックリマン』では「サイバーアップ!」の掛け声とともにプロテクターを身にまとい、戦闘体へと変身するという新要素がアニメを見る子どもたちを驚かせた。

想像以上にハードな物語


異例の6頭身アニメ「スーパービックリマン」最終回が当時の子供に与えた衝撃
画像はAmazonより

アニメ『スーパービックリマン』の物語は、それまでのギャグ多めのアニメシリーズとは異なり、シリアス街道をひた走るもので、当時の幼い子どもたちが見てすべてを理解するのは難しい物語であったと記憶している。

『ビックリマン』、『新ビックリマン』では天使と悪魔が争いながらも、平和な世界を作り上げていくという物語だったが、アニメ『スーパービックリマン』では、主人公ら4人を残して世界は崩壊し、新世界が誕生させる(主人公ら以外は死ぬ)という最終回は多くの視聴者を悶々とさせた。筆者は当時小学校中学年、正義が悪を倒すという単純明快な物語を好むお年頃だったこともあり、『スーパービックリマン』のバットエンドっぷりを理解し受け入れることができたのは、アニメ放送が終了してから10年を過ぎた頃だった。

格闘ゲーム「スーパービックリマン」の理不尽さはアニメを凌ぐ


異例の6頭身アニメ「スーパービックリマン」最終回が当時の子供に与えた衝撃
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物語は必ずしもハッピーエンドでは終わらないという理不尽さを味わうことは、当時小学校中学年の筆者にとっては衝撃だった。しかし、93年に発売されたスーパーファミコン用格闘ゲームソフト「スーパービックリマン」は、アニメをも凌ぐ理不尽の塊だった。いわゆるクソゲーだ。

すでに他の格闘ゲームでは登場キャラが12を越えていることが少なくなかった時代に、「スーパービックリマン」はたったの8人しか登場しなかった。しかもそのうちの1人は、アニメ版にも漫画版にも登場しなかった、スーパービックリマンチョコシールにのみ存在したマイナーキャラ。どう考えても人選に問題があった。


「スーパービックリマン」を格闘ゲーム界きってのクソゲーたらしめたのはそれだけが理由ではない。1人プレイの場合、主人公のフェニックスと準主人公的立ち位置だったティキの2人しか使用できないという謎の縛りがあったり、他の格ゲーには普通にあるストーリーモードが存在しなかったのだ。ストーリーモードの楽しみといえば、ゲームクリア後等に見ることができる各キャラクター固有のショートストーリー。同ゲームには、アニメとは違った結末を迎える物語が用意されているかもしれないという可能性が最初から潰されていた。

さらに、必殺技使用時や勝利時、敗北時などその一切にボイスがない(例外としてプレイスタート時に棒読みながら「サイバーアップ」という声だけが存在したが、誰の声なのかは不明)、ファミコン初期かと見間違うほどに動きがカクカクなど、不満を上げだすとキリがなかった。スーファミ格闘ゲーム史上最高のクソゲーと言い切ってしまってもあながち間違いじゃない。

アニメの最終回では衝撃を与え、ゲームではこだわりの設定と仕様が格闘ゲーム史上最高のクソゲーとの呼び声と笑撃を与えたスーパービックリマンは、文字通り我々をスーパービックリさせてくれた90年代を代表する作品だった。

(空閑叉京/HEW)
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