レビューメディア「ジグソー」

パフォーマンスに妥協しない 超静音 省エネメインPCを創ってみる


今回のレビューテーマは、小さくても妥協しない。いや、妥協したくない。
現在のメインPCを省電力のPCに置き換えてしまうというものです。


現在、私のメインPCは、Core i7 6700KをZ170チップセット搭載のマザーに乗せたデスクトップPCです。
メモリは、DDR4-2800のメモリを8GBx4=32GB積んでいます。

普段は、メールチェックやWEB閲覧が殆どで、休日に写真を撮ったりすると、RAWファイルの現像を行ったり、通勤で見ているフルHD動画のエンコードや、レビュー作成用にグラフィックスソフトを使ってデータを作成したり、レビュー用の比較的短時間のビデオ編集を行うのが主な使い道です。


今回は、間もなく2世代前になるCore i7 6700K システムをリフレッシュついでに、省電力PCにしてしまおうというものです。

普段使いなので、特段のハイパフォーマンスは求めませんが、通常行っている作業でストレスが溜まるようなパフォーマンスでは困ります。


これまでの、メインPCと大きく変わらないパフォーマンスが欲しいのです。
普段使いでのパフォーマンスの比較や消費電力の比較等を行いながらレビューを進めたいと思います。

個装箱自体は、一昔前のノートPC位の大きさで比較的コンパクトですが、ACアダプタが、箱の端に積載してあるので、パッケージを付属の持ち手で持つとバランスが悪く、端っこが重たいです。

箱を付属の取っ手を持ってぶら下げるとアンバランスです。


パッケージデザインは、最大面は茶段に単色印刷で、加飾もなくシンプルです。

一方、サイド面には、カラー印刷された特徴を箇条書きしたシールが貼られていて、パーツナンバー(型番等)とシリアル番号が印刷された小さなシールが貼られています。

この面が見えるように、個装箱を棚に並べて販売されることを前提としているのではないかと思います。

記載された箇条書きは、一通りShuttle XH110Gの特徴が網羅されているものですが、対応メモリは、SO-DIMMである記載は欲しかったですね。

デスクトップ用のDDR4メモリが搭載できるという誤解を生みかねません。


また、ACケーブルが付属していることは記載した方が良いかもしれません。
最近のNUCをはじめとする小型PCは、ミッキーケーブルを付属していないものが多いので、勘違いしてミッキーケーブルを買いそうなので、記載があると親切だと思います。

多くのNUCでは、ケーブルが同梱されていないことがパッケージに記載されています。


同梱品は、ドライバー類の入ったDVD-ROM,2.5インチマウントアダプタ,CPUソケットカバー,CPUグリス,多言語マニュアル(日本語を含む7カ国語),VESAマウントアダプタ,ACアダプタ,ACケーブル,Windows 7インストール時の注意書き,各種ネジ類が入っていました。
ACアダプタ用ミッキーケーブルが付属していることも親切ですが、CPUグリス迄が同梱されているのは、新鮮な驚きでした。

VASAマウントアダプタは、VESA規格のディスプレイやディスプレイスタンドに、Shuttle XH110Gを取り付けることができ、Shuttle XH110Gの底面にVESAマウントアダプタを取り付けることができます。マウントアダプタは、75mm/100mm規格の両対応になっていますので、幅広い取り付け対応が可能です。

ACアダプタは、大きめで、約167mm X 82mm X 25.5mmの大きさで、180Wの出力が可能です。
重量は、585gあり、別途、1.7m長のミッキーケーブルが付属しています。

頻繁に持ち歩くものでもありませんから、この位の大きさは問題になりません。

 

今回の、Shuttle XH110Gの本体は、横幅 200mm 高さ 78mm 奥行 250mm 重量1.9kgというコンパクトな筐体です。
丁度、私が持っている、Micro ATX用PCケース、Flactal Design Define R4 FD-CA-DEF-R4-TIの上に乗ります。

 

Shuttle XH110Gは、天板の約60%と、両サイドは放熱(吸気/排気)を良くするため、パンチングメタルになっています。
フロントパネルは、モールド製で、メイン部分は、アルミヘアライン風の仕上げで、質感があり好感が持てます。USB等の端子や電源スイッチが搭載されている部分は、マット仕上げす。

フロントパネルには、USB 3.0 x2 , USB 2.0 x2 , マイクジャック , ヘッドフォンジャック , 電源スイッチが配置され、電源スイッチには、パワーインジケータ用のブルーLEDが搭載され、電源スイッチの脇のフロントパネル上に、オレンジLEDのHDDアクセスランプが内蔵されています。
一般的な、ミドルタワーケースに標準的に搭載されているコネクター数,スイッチ類と変わりません。

一方、背面には、映像出力として、HDMI , RGB出力端子 , ギガビットイーサコネクタ , USB 2.0 x4 , ACアダプタ用電源コネクタが搭載されています。
また、CMOSクリアボタン用の穴 , ケンジントンロック用穴 , オプションのM.2 WiFiカードセット用アンテナ用穴が開いています。PCIエクスプレススロット用パネルと、アンテナ用穴は、スクリュードライバー等で押して折り曲げることで簡単に切り取ることができます。

Wi-Fi アンテナ用の穴は、遊びが少なく、折って切り取ったタブのバリが残っていると、アンテナコネクタがうまく入りません。

バリをとることをお勧めします。


上記写真は、Shuttle XH110G純正のWi-Fiカードセット WLN-Mを購入して取り付けてあるので、Wi-Fiカードセット用アンテナ穴は利用済で、PCI Express スロットにはHDMI キャプチャーカードを搭載した写真です。

 

PCI Expressスロット及びアンテナ穴をあける前の背面パネルは、下記のようになっています。

しかし、背面に、USB 3.0ポートが1つもないのは寂しい限りです。
外付けHDD位は、背面にUSB 3.0で接続したいものですが、前面に挿さなければならないのは、Shuttle XH110Gの設置場所にもよりますが、使いづらいのではないかと思います。
インテル H110チップセットは、折角 USB 3.0を4ポートサポートしているので背面に1つ位は欲しいものです。
今時のUSB機器で、USB 2.0が必要な機器がどの位いあるのかわかりませんが、私の場合、マウス/キーボード以外は、全てUSB 3.0にして欲しいと思います。

 

右サイドは、CPU周りの冷却を行うラジエータを冷却するための冷却ファンが2つ付いています。

底面は、75mm/100mm両対応VESAマウントに、Shuttle XH110Gを取り付けることが可能な仕様になっています。


一方、マザーボードは、H110チップセットを搭載したマザーボードで、DDR4 SO-DIMMソケットが2つ(デュアルチャンネル 最大32GB)と、M.2 2242/2260/2280 (SATA/NVMe用) ,M.2 2230(Wi-Fi/Bluetooth用),PCI Express x16ソケットが各々1つ付いています。

搭載しているチップセットが、H110なので、帯域としてPCI Express 2.0で最大6レーンしかありませんので、グラフィックボードにも制限がでると思います。


M.2 SSDも、どの程度のパフォーマンスが出せるか、レビューしたいと思います。

仕様としては、PCIe 2.0 x4の帯域しかないようです。


CPUの冷却は、ICEモジュールと言われる、ヒートパイプとラジエターで構成され、筐体右側面の冷却ファンで冷却するもので、原理はノートパソコンと同じです。

ノートPCの冷却システムを大型にしたものですが、チップセットのH110は、発熱が少ないのか、シートシンクが貼られただけです。

一般的に、ノートPCは、CPUとチップセットを一緒に冷却するものが多いような気がします。

ファンの風が当たるラジエターの近くにM.2 SSDを搭載するスペースがあるので、CPUと併せて、ファンの風力でM.2 SSDも空冷されるように作られています。


仕様/スペックは下記の通りになっています。

 

前述の仕様のShuttle XH110Gに搭載するパーツは下記のとおりです。

搭載パーツに関しての詳細は、各々のレビューに記載し、このプレミアムレビューでは、Shuttle XH110Gを主体としたレビューにしたいと思います。

CPU intel Core i7 7700T
Shuttle XH110Gに搭載できるCPU(TDP65W以下)の中で、省電力とパフォーマンスのバランスを考えて選びました。


小型PCであっても、パフォーマンスに妥協はしたくないと考え、普段使いでは低消費電力を目指そうと考えての選択です。


第7世代のCore i7 7700Tは、Core i7 7700同様4コア8スレッドのCPUですが、最高クロックが、2.9GHzと、他のCore i7 7700(3.6GHz)のに比較すると若干遅いのです。
併せて、ターボブースト時のクロックも、Core i7 7700が4.2GHzなのに比べて、3.8GHzと若干遅いのです。


その分、TDPは、Core i7 7700が、65Wなのに対して、7700Tは35Wしかありません。
これは、省電力PCを作る上では大きな差ですが、私の場合、TDPの少なさ=発熱の少なさ=静かさだと考えているので、このCPUにしました。最優先は静音です。


また、私が普段行う作業の中で、PCに最も負荷のかかる作業が、通勤時に観る動画ファイルの作成なのですが、Core i7 7700Tは、Core i7 7700や7700K同様のインテルHD630グラフィックスを搭載していています。

そのHD630グラフィックスのクロックは、350~1,150MHzと、Core i7 7700/7700Kとまったく同じなのです。

インテル QSVを使ったエンコードでは、HD630グラフィックスが使用するメモリのクロックでしか差が出ないと考えました。

(インテルHD630グラフィックスは、メインメモリから所定量のメモリをHD630グラフィックス用に割り当てるため)

 

メモリ Crucial DDR4 SO-DIMM 2400 8GBx2
Shuttle XH110Gがサポートするなかで最高速のメモリです。

デュアルチャンネル対応なので、8GBを2枚挿します。
16GB搭載していれば、私が使うアプリケーションで、メモリが不足することは無いと考えました。

 

また、DDR4-2133よりは、動画エンコードで有利に働くのではないかと考えて、DDR4-2400にしました。

 

M.2 SSD Samsung PCIe 3.0 x4 NVMe SM961 512GB
市販モデルでは、960 PROを言われるモデルのバルク品です。
私が持っているM.2 SSDの中では最も高速なSSDです。

 

Shuttle XH110Gに搭載されているM.2ソケットは、NVMe PCIe 2.0 x4のM.2規格なので、SM961(NVMe PCIe 3.0 x4仕様)の本領は発揮できませんが、搭載するSSDがパフォーマンスのボトルネックになることはありません。

 

レビュー作成後、インテル SSD 600p Series 256GB PCIe 3.0 x4 NVMe M.2 SSD SSDPEKKW256G7X1を新たに購入し、換装しました。

 

M.2 Wi-Fi Shuttle WLN-M
普段使いでは、Shuttle XH110Gはイーサネットケーブルを使って、宅内のギガビットイーサハブに接続しますが、Shuttle XH110Gを設置する部屋からShuttle XH110Gを移動させて、別室のテレビ等に接続する場合、高速転送等、速度が必要な宅内のファイルコピー等を行わない場合は、Wi-Fiの方がインターネットへの接続は楽なので、追加で搭載することにしました。


WLN-Mは、Shuttle純正のWi-Fi/Bluetoothキットです。

M.2 インターフェイスのWi-Fi-カードと、アンテナケーブル,アンテナをセットにしたものです。
アンテナケーブル長等もShuttle製品に最適化されているだろうと考え選択しました。

IEEE 802.11a/b/g/n/ac対応の無線LAN機能とVer.4.0対応のBluetooth機能を、Shuttle XH110Gに搭載できます。

 

2.5inch HDD Seagate Barracuda 5,400rpm 2TB HDD
普段使っているデータドライブに入っている私の所有するデータのうち、動画コンテンツ以外は全て収まる容量です。


Shuttle XH110Gに搭載できる最大容量のHDDストレージだと思います。
もっと厚みのあるHDDであれば、大容量の2.5inch HDDもあるのですが、厚さが9.5mm以下という制約があるので、2TB以上の搭載は難しいと思います。


勿論、SSDであれば、2TB以上のものもありますが、価格的に個人で購入できるものではないので、HDDとしました。
動画コンテンツを扱う場合は、USB 3.0接続で、大容量8TB 3.5inch HDDを接続予定です。

 

ビデオキャプチャーボード DRECAP DC-HC3PLUS
レビュー作成時にPCやビデオカメラの映像出力をキャプチャーしたり、Blu-Rayレコーダの出力をモニタするために使います。

 

OS Windows 10 Pro x64 DSP版
ネットワーク経由でのシステムバックアップができるが使えるため、我が家のPCは全て、Windows 10 Pro x64です。

 

メインシステムとして使うShuttle XH110Gに接続するものは、モニタは、DELL U2711を接続します。

これまでのメインシステム,サブシステムも接続していたものです。
キーボード/マウスの接続は、通常は、USB切り替え器を経由して、使用しています。

マウス,キーボード,モニタに搭載のカードリーダ,フラットベッドスキャナをUSB切り替え機に接続した最大4台のPCに、各々個別に割り当てることができるものです。

 

現状は、メインシステム,サブシステム,サードシステムと共用します。

キーボードは、ELECOM TK-FCP004WH , マウスは、静音マウスのiBuffalo BSMBU18を使います。

 

利用状況に応じて接続するものは、
Seagate 8TB HDDをNOVAC製 USB 3.0対応接続台に挿して繋ぎます。

SONY BD-5840H(Blu-Ray XL/3D対応 BDドライブを、USB 2.0ケースに入れて接続します)
別室にあるテレビ TOSHIBA 32inch TVをHDMIで繋ぎます。
ワイヤレスキーボードとして、rapoo E9070W ワイヤレスマウスとして、Logicool M905rを接続します。

まず、Shuttle XH110Gの天板を外します。
背面の固定ねじを外し、天板を後ろ方向に移動させ、上方向に持ち上げます。
丁度タワー型PCケースのサイドパネルを外す感じです。

天板を固定するスクリューは、手でも回せる大きさのネジが使われています。
ShuttleではICEシステム呼んでいる、ヒートパイプとラジエターを使ったCPU冷却システムを固定しているネジを外して、CPU冷却システムを外します。

CPU冷却システムを外すと、CPUソケットの固定パネルに透明ビニル製のシールが緩衝材として貼ってありました。
CPUソケットの保護目的だけであれば、付属のCPUソケットカバーを使えば良いのですが、透明のビニル製シールは、CPU冷却システムのCPUとの接触面を保護する目的があるのではないかと思いました。

CPUソケットカバーが、マザーボードについていなくて、付属品になっていた利用がこれで漸く理解できました。

M.2 SSD,M.2 Wi-Fiカード,CPU,メモリを取り付けます。
Wi-Fiカードに、付属のアンテナ端子用ケーブルを取り付けて、アンテナ端子の固定及びアンテナ線の配線を行います。
次に、DDR4 SO-DIMMを2枚、メモリソケットに挿します。
CPUをソケットに取り付けた後、CPUに熱伝導効率の高いダイヤモンドグリスを塗り、ICEシステムを元通りに取り付ければ完了です。
私は、最近CPUグリスは、JunPus DX1を使っています。
同じダイヤモンドグリスの中で、熱伝導率が16W/mkあり伝導率が高いのがウリです。

PCI Expressソケットに、キャプチャボードを取り付けるため、背面のPCI Express用ブラケットを外して、キャプチャボードを差し込みます。
ブラケットを戻してキャプチャボードを固定します。

x16 PCI Expressソケットは、マザーボードの端にレイアウトされているのですが、
(上図では黄色文字のキャプチャボードと記載したところにPCI Express x16のソケットがあります)

私は、PCIe x16ソケットに、HDMIキャプチャボードを挿しましたが、グラフィックカードを挿す場合、カード本体の大きさが、シングルスロットで208.5 mm x 120 mm x 30 mm 以内で、かつ消費電力が75W以下のものに限られます。

Shuttle XH110Gは、マザーボードの端に設置してあるPCI Express x16スロットにライザカードを挿して、PCI Express x16のスロットの位置を移動しています。

 

次に、本体を返して、底面のパネルを外します。
底面のパネルを外すと、2.5インチサイズのHDD/SSD (最大9.5mm厚)を1つと、USB 2.0 対応の機器(最大11.5mm X 28mm X 88mm)を取り付けることができます。
固定ねじを外して、底面パネルをスライドさせて外します。
2.5inch HDD/SSD取り付けスペースの横には、内部接続用USB 2.0 ポートが1つ付いています。

私は、Seagate Barracuda 2TBのHDDを搭載しますが、このHDDは、容量が2TBでも、厚みは7mmなので問題なく搭載できます。
7mm厚だと、本体との隙間が2.5mm以上あることになるので、HDDの放熱面でも有利ではないかと思います。
内部USB 2.0 ポートは裏蓋を取り付けると、簡単に脱着できなくなりますので、利用用途は限られますが、ワイヤレスキーボードやワイヤレスマウスのレシーバーを付けたりするのには良いかもしれません。

試しに一般的な大きさの、SanDisk製USBメモリを搭載してみましたが、充分なスペースがありますので、利用は、アイデア次第です。
私は、USBコネクタに、rapooのワイヤレスキーボード用レシーバーを挿して、底面のケースを元に戻します。

 

USBメモリを搭載して、ストレージ容量の不足を補うか、システムイメージをバックアップしておき、ノートPCのように、いつでもリカバリできるようにしておくのも良い使い方だと思います。いずれにせよ、USB 2.0での接続なので、転送速度が必要なデバイスは避けた方が良いと思います。
試しに、手持ちの容量が128GBのUSBメモリを挿してみましたが、問題なく搭載できました。

 

今回は、7mm厚の2TB HDDを搭載しましたが、マウントアダプタの厚みも7mmでした。

SATAケーブルをHDDに接続して、フォルダを元に戻します。

以上でハードウェアのセットアップは終了です。

 

ハードウェアの組み込みが終わったら、組み込んだハードウェアを正しく Shuttle XH110Gに認識させるため、BIOSの設定を行います。

 

BIOSの設定

Shuttle XH110Gにキーボードとマウス,モニタ,ACアダプタを接続して、Shuttle XH110Gの電源ボタンを押します。

上記のPOST画面が表示されている間に、"DEL"キーか、"ESC"キーを押すと、BIOS設定画面が表示されます。

このメイン画面はBIOSのバージョン情報や、搭載されているCPUとそのクロック、搭載されている総メモリ,日時が表示されます。
日時が異なっていればここで調整ができます。

アドバンス タブでは、M.2スロットに挿した、M.2 SSDが、SATA対応なのか、NVMe対応なのかの設定をします。
デフォルトは、SATAになっていたので、PCIEに設定します。

アドバンス タブの項目では、CPUの設定を変更することもできますが、設定できる機能は限られています。

SATA接続されている機器を確認することができます。
SATA1(底面)には、シーゲートの2TB HDDが接続されていることが、PCのBIOSレベルで認識されていることが確認でき、M.2は、先ほど、SATAからPCIEに切り替えたので、何も認識されていません。

セキュリティタブでは、各種パスワードが設定できるのと、セキュアブートのON/OFFが設定できます。
私は、Windows 10 Pro 64bit版をインストールするので、イネーブルに設定します。

これで設定は終了です。変更を保存してリブートすると、設定した項目が本体にセットされます。

 

今度は、OSのインストールです。
私は、Windows 10 Pro 64bit クリエータアップデート版のISOイメージを、仮想ドライブとして使える、USB 3.0 ポータブルHDDに入れてインストールを行いました。


前述のPOST画面で、ZALMAN Virtual CD-Romと表示されていたものが、仮想ディスクとして扱えるポータブルHDDです。
USB 3.0 HDDは、DVD-ROMと比較すると圧倒的に短時間でOSのインストールが行えます。

今回は、OSを512GBのM.2 SSDにインストールします。

手動で領域を確保して、丁度200GBをOSを含む起動ドライブとして領域を確保し、OSインストール後に、残りの領域を、別のドライブレターに割り当てます。

OSのインストールが終了したら、各種ドライバをインストールします。


Shuttle XH110Gに付属のDVD-ROMをポータブルBlu-Rayドライブに入れて、インストールを行います。

もちろん、DVD-ROMからISOイメージファイルを生成して、前述のバーチャルROM HDDに入れてもよいのですが、今回は、ポータブルBlu-Rayドライブを使いました。

ドライバ類のインストールやマニュアルが収録されています。

Auto Install Driver/Utilityを選択すると、必要なドライバ類やユーティリティが自動でインストールされます。

必要な全てのドライバがインストールされます。

DVD-ROMには、システムやデータのバックアップが行える、NTI Backup Now EZtoiuアプリケーションもバンドルされていました。


ドライバ類のインストールでは、何度かリブートされますが、全てのインストールが終わったら、リブートしてOSインストールの完了です。

 

この状態では、電源スイッチを押してから、約10秒でOSの起動が完了します。
とってもスピーディーな起動です。

 

先ずは、CPU-Zでシステムを確認します。

CPU Core i7 7700Tは正常に認識されていて、Max TDPも35Wと表示されています。
クロックも、800MHz-3.8MHzでの動作です。

メモリも、DDR4-2400が、8GBx2のデュアルチャンネルとして動作していることが確認できます。

マザーボードとCPU内蔵グラフィックス Intel HD Graphocd 630が確認できます。
マザーボードは、FH110Gという型番で認識されています。

CPU-Zのベンチマークです。
これまでのメインシステムである、Core i7 6700Kと比較してみました。
Core i7 6700Kのシングルスレッドのパフォーマンスを100としたとき、Core i7 7700Tは、シングルスレッドで約89%のパフォーマンスを発揮し、マルチスレッドでは、約93%のパフォーマンスであることがわかります。
CPUの最大電力消費電力が、65W VS 35Wであることを考えれば、かなりのワットパフォーマンスです。

 

先ずは、総合パフォーマンスを見るため、Crystal Maek 2004R3を走らせます。
Shuttle XH110G

Core i7 6700K システム

Core i7 6700Kのシステムは、前述のように、メモリのクロックも早く搭載量も32GBと倍の量があります。

また、起動ドライブも、システム自体がPCIe 3.0 x4対応で高速ですし、グラフィックスカードも搭載しています。

 

次に、ストレージ関連のDiskInfoを掲載します。

M.2 SSDは、思いの外温度が上がりません。
冷却が上手くいっているのか、PCIe 2.0 x4 で動作しているので温度が上がらないのか判りませんが、システムとして良いことです。

こちらも、PC本体内部ではなく、PCの発熱パーツが実装されていない面にHDDが搭載されているためか、比較的温度が上がりません。

 

DiskMarkを走らせてみました。

M.2SSDのほうですが、従来のPCに比較すれば充分に高速なのですが、搭載しているSamsung SM961本来のパフォーマンスは出ていません。
このSSDは、シーケンシャルで、3Gを超えるパフォーマンスが出るのですが、PCIe 2.0 x4では、2Gを超えることすらできません。

HDDは、SATA6Gbps対応としては、一般的なスコアです。
HDDのパフォーマンスは発揮できているのではないでしょうか。

 

単純なスコア比較はできませんが、Shuttle XH110Gは、充分に健闘していると思います。
システムがコンパクトな分起動時間も速いし、WEB閲覧やメールチェックでストレスを感じるようなことが一切なく、充分に高速です。

次に、私が普段PCで行っている作業の中では、比較的重たい作業である、動画のエンコードを試してみたいと思います。


行う作業は、24Mbps 2時間15分のフルHD動画 約18.6GBのTSファイルを、MPEG4 AVC 6Mbps-8Mbpsの可変ビットレートにエンコードするものです。
この変換を、Pegasys TMPGEnc Video Mastering Works 6を使ってエンコードします。
エンコードは、インテルQVSを使ってハードウェアエンコード行います。

 

結果は下記のとおりです。
Shittle XH100G

エンコードに要した時間は、47分3秒で、エンコード中の平均的な消費電力は45W位でした。
Core i7 6700K システム

エンコードに要した時間は、34分59秒と高速ですが、エンコード中の平均的な消費電力は135W位でした。

 

これを、グラフにしてみると、

グラフの黄色いバーのパフォーマンスは、1W当たりのエンコード時間です。つまり、1Wの電力で、Shuttle XH110Gは、約104秒エンコードすることができ、Core i7 6700Kシステムでは、約26秒エンコードすることができるというもので、Shuttle XH110Gは、約4倍の省エネ効果が得られることになります。


当然ながら、Shuttle XH110Gは、長時間エンコードできても、10%位余計にエンコード時間が必要ですから単純に4倍のパフォーマンスとは言えません。


しかし、同じ動画を同じようにエンコードする場合、Shuttle XH100Gは、21.3Wの電力で動画を1本エンコードでき、Core i7 6700K システムは、47.2Wの電力が必要ということで、エンコード時間が約10%程度伸びることが容認できれば、消費電力は、半分以下に抑えられることになります。

 

次に、Shuttle XH110GでHD動画6本を同時にエンコードしてみました。

この動画は、1本約20分のHD動画なのですが、6本全てを約35分でエンコードできました。

 

その時の、タスクマネージャーのCPU項目を見てみると、

CPUのクロックは、3.25GHzまで、 クロックアップされていました。

Core i7 7700Tは、ターボブースト時の最大クロックは、3.8GHzなので、まだ多少余裕があるようで、CPUの使用率も90%位で推移しています。

メモリも、搭載量の約半分の7.3GBが使われていました。

 

一方、CPU内蔵の、インテルHDグラフィックス630をGPU-Zで見てみると、

GPUのクロックは、最大の1,150MHzまでクロックアップされ、温度も65℃で、利用率100%と、インテルQVSでのエンコードを行っていることがわかります。

 

インテルHDグラフィックス630の仕様は、Core i7 7700とCore i7 7700Tでは、全く一緒なので、搭載メモリのクロック数が変わらなければ、Core i7 7700を用いたとしても、Core i7 7700Tと同様のエンコードパフォーマンスのはずです。

 

更に、Core i7 7700Tを用いても、CPUの使用率が100%に到達していないので、Core i7 7700では、利用率が、Core i7 7700Tより低くなるだけで、CPUの利用率は下がるのではないかと推測できます。

 

この状況では、HDビデオのマルチエンコードを、インテルQVSで行う限りにおいては、Core i7 7700と、7700Tでは、余り差が出ないのではないかと推測できます

 

システムがコンパクトなので、システム全体の消費電力も抑えられていますが、本来目標としていた、省エネメインシステムは完成したと思います。

 

次に、メインシステムを、簡単に他の部屋に持ち運ぶトライアルです。
Shuttle XH110Gに、オプションのWi-Fi カードセット、 WLN-Mを搭載したのは、Wi-Fiでインターネット/ホームネットワークに接続し、普段メインシステムを設置している部屋から簡単に別の部屋に移設出来たら便利だな。と考えたためです。

モニターは、別室のテレビにHDMIで接続すれば、キーボードとマウスをShuttle XH110Gと一緒に移動させるだけなので簡単です。

偶然ですが、Shuttle XH100Gの全高と、東芝テレビのスタンドの高さがほぼ一緒で、Shuttle XH100Gをテレビの前に設置しても、画面が欠けることなく表示することができました。

画面では醜いですが、向かって左側のアンテナは、テレビのベゼル部分と重なり、全く目立ちません。右側のアンテナは、画面に掛かるため、横に寝かせて撮影しましたが、Wi-Fiの受信パフォーマンスに影響は出ませんでした。

 

サイズの大きなファイルを、ホームネットワーク内の他のPCからコピーする際にも、11ac対応のWi-Fiカードでストレスなく行うことが可能で、メインシステムを容易に移動でき、場所にこだわらずに作業ができることは非常に便利です。

下記のように、Wi-Fiルータとは433.5MHzでリンクしています。

上記写真は、普段使っていない部屋なので、籠って作業をする際には今後も活用したいと思います。

 

最後に、搭載したHDMI キャプチャボードですが、Blu-Rayレコーダーの出力をHDMIキャプチャボードに入力し、Shuttle XH110Gを接続したモニタをテレビ代わりに使うものです。

接続するBlu-Rayレコーダーは、Panasonic DMR-BWT660という1TB HDDを搭載したレコーダーなのですが、このレコーダーは、主にケーブルテレビのSTBで録画したコンテンツを管理するために使用しています。

 

何をするかというと、ケーブルテレビのSTBは、Panasonic TZ-BDT920というもので、3ch同時録画対応1TB HDD+Blu-Rayドライブを搭載したセットトップボックスで、HDDに録画したコンテンツを一旦BD-REに書き出し、前述のBlu-Rayレコーダー Panasonic DMR-BWT660のBlu-Rayドライブに入れると、Blu-Rayレコーダー Panasonic DMR-BWT660のHDDにコンテンツを移動させることができます。(BD-REのコンテンツは消えます)

Blu-Rayレコーダー Panasonic DMR-BWT660は、最大8台のUSB HDDが接続できるため、現在、2.5inch 2TB HDDを3台、ポータブルHDDケースに入れて、接続しています。(同時接続はできず、1台のみの接続です)

そこで、映画のシリーズ物やカテゴリ別に、HDDに分けてライブラリー化しています。

 

そこで、Blu-Rayレコーダー Panasonic DMR-BWT660をリビングのテレビに接続してしまうとコンテンツの整理(主にコピー)中は、コンテンツの選択や移動設定等している間、家族が他のコンテンツを見ることができなくなるので、この作業画面を移すのは、PC画面としていたのです。

PCモニターのHDMIに接続すると、今度は、私が、整理設定のコンテンツのムーブ進捗確認のためPCモニターの入力を切り替えなければならなくなり、それも面倒です。

 

そこで、PCにHDMIキャプチャノードを挿し、画面の片隅で、整理の確認をしています。

このように、Blu-Rayレコーダー Panasonic DMR-BWT660に設定画面を映して、操作しています。

これまで、メインPCでこの作業を行っていました。

Shuttle XH110Gでも同様のことができないとメインPCを置き換えることができないので、今回は、手持ちのビデオキャプチャボード、DRECAP DC-HC3PLUSを搭載して、Blu-Rayレコーダー Panasonic DMR-BWT660の操作モニタができるようにしました。

また、HDMIキャプチャボードは、レビューでも活躍してくれていて、BIOS画面が、簡単にキャプチャできないときでも、HDMIボード上で、静止画のキャプチャをしたりして、レビューコンテンツの制作にも使っています。

これまで、我が家のメインシステムは、メインストリームにあたるCPU商品群の中で、比較的トップエンドに近いシステムを中心に組んできて、周辺機器も、ある程度の要求には柔軟に対応できるよう、ストレージや他のデバイスもてんこ盛りだったので、パフォーマンスとの引き換えに、軽作業であってもある程度の消費電力を覚悟して使っていました。

 

今回、Shuttle XH110Gを組んでみて、普段の作業でのパフォーマンスは、この程度で充分満足できるだけのパフォーマンスが得られ、アイドリング時には20%程度の消費電力で、比較的重たい作業でも半分以下の消費電力で対応できることが確認できましたので、このレビューで想定していた、メインシステムの移行をすることにしました。

 

デジカメのデータをコピーするのに、SDカードリーダを別途透ける必要がありますが、USB 3.0対応のカードリーダも複数ストックがあるので問題ないと思います。

 

これまで、消費電量=パフォーマンスと考えてシステムを組んできましたが、自分に必要なパフォーマンスは思ったより低いことに気づきました。

 

また、暫く使ってみて、思ったより静かなのに感心しました。Core i7 搭載の17inchノートPCよりはるかに静かです。
良いこと尽くめのShuttle XH110Gレビューでした。

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