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'''学士'''(がくし、{{lang-en-short| bachelor's degree}} バチェラー・ディグリー)は、「学問を行う者」を原義とする語で、以下のような多様な意味がある。
 
# 現在の[[学位]]の1つ。[[博士]]の学位、[[修士]]の学位および[[専門職学位]]に準ずる。この項目で主に解説する。学士の学位は「学士(○○)」(○○は専攻分野)と表記される。通称して学士号といわれる。学士に準ずる学位として[[短期大学士]]、学位に準ずる[[称号]]として[[準学士]]がある<ref>[[新村出]][[編集|編]]『[[広辞苑|広辞苑 第六版]]』([[岩波書店]]、[[2011年]])497頁および[[松村明]]編『[[大辞林|大辞林 第三版]]』([[三省堂]]、[[2006年]])441頁参照。</ref>。
# [[第二次世界大戦前|戦前]]の日本において、[[1872年]](明治5年)に[[学制]]が施行されてから[[1887年]](明治20年)に[[学位令]]が発布されるまで、一等学士から五等学士までの五段階で授与された[[学位]]。(→[[学位#日本における学位の歴史|日本における学位の歴史]])
# 1991年の学校教育法および学位規則の改正まで、[[大学]]を卒業した者に与えられていた[[称号]]。現在の「学士の学位」の前身。専攻分野ごとに定められた固有の名称を称した(例)法学…法学士、経営学…経営学士。
# [[第二次世界大戦前|戦前]]の日本において、[[大学令]]に基づく[[旧制大学]]を卒業した者、[[専門学校令]]に基づく[[旧制専門学校]]等の[[旧制高等教育機関]]のうち[[文部省]]が学士の称号授与を認める[[修業年限]]3年以上(医学は4年以上)の課程を卒業した者に授与された[[称号]]。学士の称号は原則「○○学士」(○○は専攻分野)と表記されたが「製薬士」のような称号もあった。(→[[学士#日本における学士の種類|日本における学士の種類]])
# [[第二次世界大戦後|戦後]]の日本において、[[1991年]](平成3年)の[[学校教育法]]及び[[学位規則]]の改正まで、[[学校教育法]]に基づく[[新制大学]]を卒業した者に授与された[[称号]]。学士の称号は「○○学士」(○○は専攻分野)と表記された。(→[[学士#日本における学士の種類|日本における学士の種類]])
# 学問を専門とする人のことを学士という。いわゆる[[学者]]。ただし、肩書きや称号を意味するものではない。
# 日本の[[律令制]]下において[[皇太子]]に[[経書]]の[[講義]]をした[[教官]]を[[東宮学士]]という。[[位階]]は[[従五位|従五位下]]に相当する。
# [[名誉学位]]のひとつ。[[名誉学士]]。
# いわゆる、[[市民大学講座|市民カレッジ]]などで、学位ではない称号として[[市民学士]]の称号が授与されるケースもある。
# [[資格#民間資格|民間資格]]([[資格称号]])のひとつに[[探偵学士]]や[[食学士]]、[[準食学士]]、[[ワイン科学士]]がある。
<div style="float:left;">
{|class="wikitable" style="font-size:small;"
|+日本の称号・学位の分類
! colspan="2" | 分類
! colspan="2" | 区分
! colspan="2" | 授与を行う標準的な課程
|-
| colspan="2" rowspan="3" | 称号
| colspan="2" | [[準学士]]
| colspan="2" | [[高等専門学校]]の本科
|-
| colspan="2" | [[高度専門士]]
| colspan="2" | [[専修学校]]の専門課程([[専門学校]])のうち、<br>4年制の学科
|-
| colspan="2" | [[専門士]]
| colspan="2" | 専修学校の専門課程(専門学校)のうち、<br>2〜3年制の学科
|-
| rowspan="11" | 学位
| rowspan="4" | (下記以外)
| colspan="2" | [[博士]]
| colspan="2" | [[大学院]]の博士課程<ref group="注釈">前期2年の課程を除く</ref><br>特定の[[省庁大学校]]の課程<ref group="注釈">[[大学改革支援・学位授与機構]]より、大学院の博士課程に相当する教育を行なうと認められたもの([[防衛大学校]]、[[防衛医科大学校]]、[[国立看護大学校]])</ref>
|-
| colspan="2" | [[修士]]
| colspan="2" | 大学院の修士課程<ref group="注釈">前期2年の課程を含む</ref><br>特定の省庁大学校の課程<ref group="注釈">大学改革支援・学位授与機構より、大学院の修士課程に相当する教育を行なうと認められたもの([[防衛大学校]]、[[防衛医科大学校]]、[[国立看護大学校]]、[[水産大学校]]、[[職業能力開発総合大学校]])</ref>
|-
| colspan="2" | '''学士'''
| colspan="2" | [[大学]]の[[学部]]<ref group="注釈">専門職大学を除く。また学部に置かれる学科のうち、専門職学科を除く</ref><br>短期大学<ref group="注釈" name=Jr.Col.>専門職短期大学を除く</ref>の[[専攻科]]<ref group="注釈" name=univ.>大学改革支援・学位授与機構より、大学の学部を卒業した者と同等以上の学力を有すると認められた者</ref><br>高等専門学校の専攻科<ref group="注釈" name=univ. /><br>特定の省庁大学校の課程<ref group="注釈">大学改革支援・学位授与機構より、大学の学部に相当する教育を行なうと認められたもの([[防衛大学校]]、[[防衛医科大学校]]、[[国立看護大学校]]、[[水産大学校]]、[[職業能力開発総合大学校]]、[[海上保安大学校]]、[[気象大学校]])</ref>
|-
| colspan="2" | [[短期大学士]]
| colspan="2" | [[短期大学]]<ref group="注釈" name=Jr.Col. />の本科<ref group="注釈">専門職学科を除く</ref>
|-
| rowspan="7" | [[専門職学位]]
| colspan="2" | [[専門職学位#専門職学位の名称|修士(専門職)]]<ref name="kisoku5no2" /><br>(○○修士(専門職))
| rowspan="3" | 大学院の専門職学位課程<br>([[専門職大学院]])
| (法科・教職以外)
|-
| colspan="2" | [[法務博士(専門職)]]<ref name="kisoku5no2">学位規則(昭和28年文部省令第9号) 第5条の2</ref>
| [[法科大学院]]
|-
| colspan="2" | [[教職修士(専門職)]]<ref name="kisoku5no2" />
| [[教職大学院]]
|-
| rowspan="2" | 学士<br>(専門職)
| ○○学士(専門職)
| colspan="2" | [[専門職大学]]
|-
| 学士(○○専門職)
| colspan="2" | 大学の学部の専門職学科
|-
| rowspan="2" | 短期大学士<br>(専門職)
| ○○短期大学士(専門職)
| colspan="2" | 専門職大学の前期課程<br>[[専門職短期大学]]
|-
| 短期大学士(○○専門職)
| colspan="2" | 短期大学の専門職学科
|-
|}
</div>{{clear|left}}
 
== 学位の種類 ==
{{Main2|イギリスにおける学士種別一覧|:en:British degree abbreviations}}
 
以下は学位名称の英語略称及び英語表記の正式名称について代表的なものを記す。B.A.とBSは代表的な学位名称である。そのため、例えば[[学士(政治学)]]は英語表記でBachelor of Political Scienceとさず、B.A. in Political Scienceと表記することが多い。
 
学位の種類及び英語表記例(略称付き)
{{Columns-list|2|
* [[リベラルアーツ]]系 - B.A. ([[Bachelor of Arts]])
* 自然科学 - BS または BSc (Bachelor of Science)
* 社会科学 - BSocSc (Bachelor of Social Science)
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[[1991年]](平成3年)に、学位制度が改正される前までは、学士の種類は定められていた。
 
[[1878年]](明治11年)に[[東京大学]]が定めた学士の種類は、'''[[学士(法学)|法学士]]・[[学士(理学)|理学士]]・[[学士(文学)|文学士]]・[[学士(医学)|医学士]]・[[学士(薬学)|製薬士]]'''の5つであった。ちなみに、これらの学士号のうち東京大学製薬学科本科で授与される製薬士のみ特異な名称であるが、明治11年1回生9名が卒業、東京大学大学院薬学研究科によれば製薬士の称号を授与されたとされ、実際に製薬士号の授与は5回生で終了し全員34名に留まったとされる<ref>[httphttps://www.f.u-tokyo.ac.jp/about/history.html 東京大学大学院薬学系研究科・薬学部の沿革]</ref>。前述5種類の学士以外の学士として、[[東京高等商業学校]](現[[一橋大学]])専攻部修了者に授与された'''商業学士'''、[[日本法律学校]](現[[日本大学]])の卒業生に[[1898年]](明治31年)から授与された'''日本法律学士'''、[[明治法律学校]](現[[明治大学]])卒業生に[[1900年]](明治33年)から授与された'''明法学士'''、[[旧制専門学校|小西寫眞専門学校]](現[[東京工芸大学]])本科卒業生に授与された'''写真学士'''がある。(→[[学士#学士の称号の広がり|学士の称号の広がり]])
 
1956年に定められた[[大学設置基準]](昭和31年文部省令第28号)では、学士の称号は'''[[文学士]]・[[学士(教育学)|教育学士]]・[[学士(神学)|神学士]]・[[学士(社会学)|社会学士]]・[[学士(教養学)|教養学士]]・[[学士(学芸学)|学芸学士]]・[[学士(社会科学)|社会科学士]]・[[法学士]]・[[学士(政治学)|政治学士]]・[[学士(経済学)|経済学士]]・[[学士(商学)|商学士]]・[[学士(経営学)|経営学士]]・[[理学士]]・[[医学士]]・[[学士(歯学)|歯学士]]・[[学士(薬学)|薬学士]]・[[学士(看護学)|看護学士]]・[[学士(保健衛生学)|保健衛生学士]]・[[学士(鍼灸学)|鍼灸学士]]・[[学士(栄養学)|栄養学士]]・[[学士(工学)|工学士]]・[[学士(芸術工学)|芸術工学士]]・[[学士(商船学)|商船学士]]・[[学士(農学)|農学士]]・[[学士(獣医学)|獣医学士]]・[[学士(水産学)|水産学士]]・[[学士(家政学)|家政学士]]・[[学士(芸術学)|芸術学士]]・[[学士(体育学)|体育学士]]''''''29種類'''が定められていた(最終改正時)<ref name="gakujutsu">日本学術会議編「{{PDFlink|[https://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/daigaku/pdf/gakui4-2.pdf 学位に付記する専攻分野の名称の多様化について]}}」参照。</ref>。
 
しかし、1991年(平成3年)の学位制度改正によって、学士号が称号から学位に移行するとともに、学位の名称も「○○学士」と専攻名称を冠する表記から「学士(○○)」と学位の後に括弧書きで専攻分野を付記する方式に変更。学位の種類も国が定める方式が廃され、各大学が自由に定められるようになった<ref name="gakujutsu"/>。
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=== 沿革 ===
==== 学士の名称の由来 ====
学士という概念のはじまりは[[唐]]における学術・研究・教育分野の官職名として成立し、[[日本]]では律令制の導入に際し、その原型であった唐の[[官制]]に沿い皇太子付教育官として'''東宮学士'''の[[官職]]が設置されたことによる。明治以降、東宮学士の官職は廃止されたが、欧米のBachelorに相当する学位・称号として'''学士'''という語が充てられることとなった。
 
==== 学位制度草創期 ====
学位制度草創期には、学士号の扱いをめぐって迷走した。[[1872年]](明治5年)8月3日に公布された[[学制]](明治5年[[太政官布告]]第214号。[[1879年]](明治12年)に廃止。)は、大学卒業者に学士の称号を与えることとした。さらに、翌[[1873年]](明治6年)4月の条文の追加により、(旧制)[[旧制専門学校|専門学校]]の学科を卒業した者にも学士の称号を与え得ることと規定された。
 
[[1878年]](明治11年)12月には、(旧制)[[東京大学 (1877-1886)|東京大学]]に学士の称号を付与する権限が与えられ、翌1879年(明治12年)の第1期生卒業に際し学位の称号を授けた。学位の名称は、'''[[学士(法学)|法学士]]・[[学士(理学)|理学士]]・[[学士(文学)|文学士]]・[[学士(医学)|医学士]]・[[学士(薬学)|製薬士]]'''と定められた<ref name="meijigakuienkaku">[{{NDLDC|809607/564}} 明治学位沿革]。</ref>。もっとも、[[1883年]](明治16年)になると、東京大学卒業生に学士の称号を授与するのを止めて、代えて[[得業士]]の称号を授けることとなった<ref name="meijigakuienkaku" />。そして、学士の位号は大学卒業の後、さらに高等試問を経て登第する者に限って授与されることとなった<ref name="meijigakuienkaku" />。
1876年(明治9年)設立の[[札幌農学校]]は、この規定に基づき開学当初より学士の称号を与えることが認められた日本初の学士授与機関である<ref>[http://www.niad.ac.jp/sub_press/houkoku/RH12T10001.pdf 北海道大学 - 学位授与機構] 2018/10/12閲覧。</ref>。
 
[[工部大学校]]の卒業生の一部に対しても、同様に'''一等学士(The degree of Master of Engineering)から五等学士'''までの学位が制定され、成績の程度に応じてそれぞれの等級の学位が与えられていた<ref>{{Cite |和書|author=[[宮地正人]] |author2=[[佐藤能丸]] |author3=[[櫻井良樹]] |title=明治時代史辞典第1巻 |publisher=[[吉川弘文館]] |date=2011年 |isbn=4642014616 |pages=487-488}}</ref>。この他、[[司法省法学校]]、[[駒場農学校]]の卒業生にも学士の学位の授与が認められた。
1878年(明治11年)12月には、(旧制)[[東京大学 (1877-1886)|東京大学]]に学士の称号を付与する権限が与えられ、翌1879年(明治12年)の第1期生卒業に際し学位の称号を授けた。学位の名称は、[[学士(法学)|法学士]]・[[学士(理学)|理学士]]・[[学士(文学)|文学士]]・[[学士(医学)|医学士]]・[[学士(薬学)|製薬士]]と定められた<ref name="meijigakuienkaku">[{{NDLDC|809607/564}} 明治学位沿革]。</ref>。もっとも、1883年(明治16年)になると、東京大学卒業生に学士の称号を授与するのを止めて、代えて[[得業士]]の称号を授けることとなった<ref name="meijigakuienkaku" />。そして、学士の位号は大学卒業の後、さらに高等試問を経て登第する者に限って授与されることとなった<ref name="meijigakuienkaku" />。
 
[[1887年]](明治20年)に[[帝国大学令]]が施行されて後は、学士号は学位ではなくなり、帝国大学分科大学卒業生が称し得る称号と位置付けられることとなった(得業士は大学が授与するものは廃止)。そして与えられる対象者も、原則として[[帝国大学]]分科大学卒業生と[[札幌農学校]]本科卒業生に限られることとなった。
[[工部大学校]]の卒業生の一部に対しても、同様に一等学士(The degree of Master of Engineering)から五等学士までの学位が制定され、成績の程度に応じてそれぞれの等級の学位が与えられていた<ref>{{Cite |和書|author=[[宮地正人]] |author2=[[佐藤能丸]] |author3=[[櫻井良樹]] |title=明治時代史辞典第1巻 |publisher=[[吉川弘文館]] |date=2011年 |isbn=4642014616 |pages=487-488}}</ref>。この他、[[司法省法学校]]、[[駒場農学校]]の卒業生にも学士の学位の授与が認められた。
 
1887年(明治20年)に[[帝国大学令]]が施行されて後は、学士号は学位ではなくなり、帝国大学分科大学卒業生が称し得る称号と位置付けられることとなった(得業士は大学が授与するものは廃止)。そして与えられる対象者も、原則として[[帝国大学]]分科大学卒業生と[[札幌農学校]]本科卒業生に限られることとなった。
 
==== 学士の称号の広がり ====
学士授与の対象者は徐々に広がり、[[日本法律学校]](現[[日本大学]])は[[1898年]](明治31年)から卒業生に対して'''日本法律学士'''の称号を授与するようになり<ref>{{Cite web|和書|title=学祖・沿革|学部について|日本大学法学部 |url=https://www.law.nihon-u.ac.jp/faculty/history.html |website=日本大学法学部 |access-date=2022-12-06 |language=ja}}</ref>、[[明治法律学校]](現[[明治大学]])は[[1900年]](明治33年)2月から卒業生に対して'''明法学士'''の称号を授与するようになった。また、[[東京高等商業学校]](現[[一橋大学]])は[[1901年]](明治34年)から専攻部修了者に対して'''商業学士'''の称号を授与するようになった。
しかし対象者は徐々に広がって、[[1901年]](明治34年)以降[[東京高等商業学校]][[専攻科|専攻部]]修了者に対しては、商業学士の称号が授与されるようになった([[高等商業学校#東京・神戸・大阪三高商の成立]])。
 
1920年公布の[[大学令]]によって、帝国大学以外の大学が認められるようになり、学士の称号を与えられる対象者が一気に広がった。その一例として明治法律学校は大学令公布以降、明治大学校となり、卒業生に対して明法学士の称号を授与するようになった。
 
[[1920年]](大正9年)公布の[[大学令]]によって、帝国大学以外の大学が認められるようになり、学士の称号を与えられる対象者が一気に広がった。その一例として明治法律学校は大学令公布以降、明治大学校となり、卒業生に対して明法学士の称号を授与するようになった。
また[[1930年]](昭和5年)には、同年3月31日以前において[[東京高等師範学校]]の専攻科又は[[広島高等師範学校]]の徳育専攻科を卒業した者は文学士と称することが認められた<ref>昭和5年勅令第36号(高等師範学校専攻科卒業者の称号に関する件)。「昭和五年三月三十一日以前ニ於テ東京高等師範学校ノ専攻科又ハ広島高等師範学校ノ徳育専攻科ヲ卒業シタル者ハ文学士ト称スルコトヲ得 」という条文。</ref>。
 
[[1923年]](大正12年)に創設された小西寫眞専門学校(現[[東京工芸大学]])は設置申請後に文部省からその高度な教育内容に鑑み、'''写真学士'''の称号を与えるとの通知があり、本科卒業者に写真学士の称号を授与していた<ref>{{Cite web|和書|title=小西寫眞専門学校の教育 {{!}} 東京工芸大学 創立100周年特設サイト |url=https://100th.t-kougei.ac.jp/kougeihistory/08/ |website=工芸ヒストリー {{!}} 東京工芸大学 創立100周年特設サイト |access-date=2022-12-03 |language=ja}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=東京写真専門学校に校名変更/写真理学科・写真芸術科を設置 {{!}} 東京工芸大学 創立100周年特設サイト |url=https://100th.t-kougei.ac.jp/kougeihistory/09/ |website=工芸ヒストリー {{!}} 東京工芸大学 創立100周年特設サイト |access-date=2022-12-03 |language=ja}}</ref>。[[1930年]](昭和5年)には、同年3月31日以前において[[東京高等師範学校]]の専攻科又は[[広島高等師範学校]]の徳育専攻科を卒業した者は'''[[文学士]]'''と称することが認められた<ref>昭和5年勅令第36号(高等師範学校専攻科卒業者の称号に関する件)。「昭和五年三月三十一日以前ニ於テ東京高等師範学校ノ専攻科又ハ広島高等師範学校ノ徳育専攻科ヲ卒業シタル者ハ文学士ト称スルコトヲ得 」という条文。</ref>。
==== 戦後 ====
戦後、大学進学者が増加するに伴い、学士の称号を得る者も増加していった。また、戦後、沖縄が本土復帰を果たした際に、沖縄の学校教育法の規定による学士の称号は、学校教育法の規定による学士の称号とみなされることとなった<ref>沖縄の復帰に伴う文部省関係法令の適用の特別措置等に関する政令(昭和47年政令第106号)第2条。</ref>。
 
==== 称号から学位へ ====
[[1991年]](平成3年)[[7月1日]]に施行された学校教育法の改正及び学位規則の改正により、学士は再び学位として定められることとなった。従前の学士の称号は'''[[法学士]][[経済学士]]'''などのように「学士」の前に専攻名を冠したものであったのに対して、現行の学位制度では'''[[学士(法学)]][[学士(経済学)]]'''のように統一的に「学士」とした上で専攻分野を括弧書きで付記することとされた。なお、前述のとおり'''旧制度時代の称号の学士も学位とみなされる'''が、当該制度改正に際して表記まで新制度方式に書き換える措置はとられなかったため、旧制度時代取得の学士はそのまま経済学士のように表記することとなっている。さらに、学位授与機構(現・[[大学改革支援・学位授与機構|独立行政法人大学改革支援・学位授与機構]])による学士の学位授与の制度が設けられるに至った。
 
=== 今日の学士の学位 ===
138 ⟶ 195行目:
しかし、大学の数は年代を経るごとに増加していき、大学卒業者も次第に一般化していく。学士様と呼ばれ、新聞報道では氏名の後に学士号を付記した習慣も、やがて無くなっていった。昭和3年([[1927年]])にかけては[[昭和金融恐慌]]が起こり、大学卒業者の就職難が深刻化し、昭和4年([[1929年]])には『[[大学は出たけれど]]』という映画作品まで作られるようになった。大正初期以降の社会においては増加する高学歴者を受け入れる場所が、官界以外殆どなく、学士は常に過剰で就職も困難であった。そのあおりで財閥に学士が就職することが起こった。
 
戦後は、大学卒業者が企業の幹部候補として珍重された。しかし、国民生活が豊かになるにつれて、大学の数、卒業者数ともに増加していった。大学(学部)・短期大学進学率については、昭和35年(1960年)は10%だったものが、平成18年(2006年)では45.5%である。1991年に、学校教育法並びに学位規則が改正され、学士号を学位とするなどの変更があった。
 
学士の学位は資格取得の要件とされたり、[[学士入学]]の機会や、大学院進学の要件とされている。次のステップアップを図る上での基礎資格的性格を帯びているのである。また、今日の[[生涯学習]]の時代にあっては、学士の学位をひとつの目標としてとらえる人も多い。学習意欲のよりどころとして、学士取得を目標に掲げる人が増えつつあるのが現状である。さらに、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構が発足し、4年制大学学部卒業者以外にも学士の学位取得の門戸が広がっている。既に所有している学士に加えて別の学士を取るべく同機構の審査を受ける者もいる。能力と意欲のある人に学士の学位を取得する機会を広げることは、有効な選択肢として期待される。
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== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Notelist}}
=== 出典 ===
{{reflist}}
187 ⟶ 246行目:
 
== 外部リンク ==
* 独立行政法人[[大学改革支援・学位授与機構]] - 大学以外で唯一、学士の学位授与権を保持する組織
 
{{Normdaten}}
{{デフォルトソート:かくし}}