「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀」の版間の差分

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{{放送前の番組|date=2018年7月}}
{{基礎情報 テレビ番組
| 番組名 = Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀
| 画像 =
| 画像説明 =
| ジャンル = [[人形劇]]([[霹靂布袋劇]])、[[群像劇]]
| 放送時間 =
| 放送分 =
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台湾の伝統ある人形劇・[[布袋劇]]を現代的な感覚でアレンジした[[霹靂布袋劇]]をベースにしている。
 
2014年2月、脚本家・[[虚淵玄]]が『[[Fate/Zero]]』台湾版の出版に伴うサイン会で台湾に赴いた際、台湾版の出版社尖端社のスタッフによって、会場付近で開催されていた霹靂布袋劇の展覧イベントへ案内され、強烈な刺激を受ける。これが日本では一部にしか知られていないことを知った虚淵は「もったいない」と感じ、なんとか日本に紹介できないかと<ref>{{Cite web |和書|date=2016-03-27 |url=https://animeanime.jp/article/2016/03/27/27676.html |title=虚淵玄の挑戦「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀」ステージでは声優アフレコも- アニメ!アニメ!(株式会社イード)|accessdate=2016-06-03}}</ref>、各方面へ働きかけたのがきっかけとなっている。
 
その後、物語の原案・脚本は[[虚淵玄]]が担当し、そのキャラクターデザインは彼の所属会社・[[ニトロプラス]]の社員や関係の深いクリエイターたちが担当し、人形の実制作・操演は霹靂布袋劇の本家・「霹靂國際多媒體股份有限公司」(以下、霹靂〈ピーリー〉社)が担当する「日台合同映像作品」として、「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀」が世に出ることとなった<ref name="U153" />。
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虚淵の脚本で[[講談社]]の『[[モーニング (漫画雑誌)|週刊モーニング]]』にて2016年7月に[[佐久間結衣]]によりコミカライズされた他、サイドストーリーが[[秋田書店]]の『[[チャンピオンクロス]]』にて2016年9月に[[霜月かいり]]により[[コミカライズ]]がされた。
 
2017年4月にはニトロプラスブックスNitroplus Booksにて、脚本・虚淵玄が監修した、TVシリーズ第一期の前日譚にあたる殺無生編と刑亥編からなる小説『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 外伝』が発売された。
最終回及び公式HPにて続編の制作が発表され、2017年12月2日より、TVシリーズ第一期の前日譚と後日譚を描いた劇場版『Thunderbolt Fantasy 生死一劍』が公開された。
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第二期の最終回で第三期制作決定の告知がされた。
 
2019年1月には、本作初の大規模展示「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2の世界展」が開催された<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.thunderboltfantasy.com/season2/event-list/event/432-2013-07-04-10-04-13|title=「Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀2 の世界展」開催決定!|accessdate=2022-02-23}}</ref>。
 
同年10月25日に、劇場映画2作目にして浪巫謠の過去の話である『Thunderbolt Fantasy 西幽玹歌』の公開が決定された。
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=== 東離劍遊紀(第一期) ===
: 護印師の末裔、[[#丹衡|丹衡]](タンコウ)と丹翡(タンヒ)の兄妹は、「神誨魔械」(しんかいまかい)の中でもひときわ危険な力を有するという「天刑劍(てんぎょうけん)」を聖域で守っていた。
: ある日、「天刑劍」を狙う悪漢・蔑天骸(ベツテンガイ)率いる徒党、謎の集団「玄鬼宗」(げんきしゅう)が護印師の末裔の兄妹を襲撃した。玄鬼宗を率いる首魁の蔑天骸(ベツテンガイ)は、「天刑劍」を手に入れたあと、それを使ってある大きな野望を考えていた。
: 「天刑劍」は、分解できる剣であり、柄(つか)と鍔(つば)を刀身に取り付け、元の形に戻して初めて「天刑劍」を台座から引き抜くことができた。護印師の末裔の兄妹はそれぞれを持って「玄鬼宗」の襲撃から逃げた。しかし、兄の丹衡(タンコウ)は蔑天骸の邪悪な剣技に破れ、柄を奪われてしまった。そして、鍔を持つ妹の丹翡(タンヒ)にも玄鬼宗の魔の手がすぐそこまで迫っていた。
:一方、雨に濡れた旅の剣客・殤不患(ショウフカン)は、雨ざらしの石仏に備えられた雨傘を拝借しようとしたところを、謎の男・鬼鳥(キチョウ)に諌められ
:鬼鳥(キチョウ)は「お前が借りた雨傘の義理で、この先で最初に出会った者に、仏に成り代わって慈悲をかけてやれ」と説いた。その後、殤不患(ショウフカン)は、道中で一人の女が黒装束を着た謎の集団「玄鬼宗」に追われてるのを目撃した。
:その女は、護印師の末裔の丹翡(タンヒ)であり、今、まさに、玄鬼宗の殘凶(ザンキョウ)たちによって殺されようとしていた。そこで、殤不患(ショウフカン)は、助けに入り、必殺の剣技で玄鬼宗たちを次々に斬っていき、丹翡(タンヒ)を危機から救った。戦いで敗北した玄鬼宗の幹部の殘凶(ザンキョウ)は、玄鬼宗の邪魔をした殤不患(ショウフカン)の顔と名前を憶えて、そして自分の首をはねて自害した。
:結局、この日の殤不患は、鬼鳥の言う「仏のような慈悲」で、玄鬼宗に追われていた丹翡を救い出したのである。
:しかし、殤不患は、この出来事が原因で、玄鬼宗から恨みを買うことになった。その後、殤不患は、町のどの店に行っても人から恐れられたり、追い返されたりした。なぜ自分がこんな対応を受けるのか、街道?」と思いながら町の中を歩いてると、町の壁のあちこちに玄鬼宗の張り紙を見つけた。実は玄鬼宗は殤不患の顔と名前を記した何十枚もの手配書を町中の壁に張り付けて、町の住人達にこの男を「要注意人物」として知らせたのだ。この張り紙を見殤不患茫然としていると、た。そこに玄鬼宗の第二の刺客がやってきた。その女幹部は獵魅(リョウミ)といい、獵魅(リョウミ)は玄鬼宗の敵・殤不患(ショウフカン)を抹殺する為、多くの兵たちで襲撃した。しかし、そこへ、弓の名手の狩雲霄(シュウンショウ)と槍の使い手の捲殘雲(ケンサンウン)が助けに入り、玄鬼宗たちの攻撃を撃退した。そして、そこに、鬼鳥がやってきて、「これから、丹翡の兄の仇討ちの為に玄鬼宗を打倒しに旅に行くので、君も一緒に私たちの旅に参加してみないか?」と殤不患(ショウフカン)を旅に誘った。最初、旅に来ただけの殤不患(ショウフカン)は、その後、この町で玄鬼宗から次々と命を狙われるようになり、もう旅を1人で楽しむどころではなくなったので、鬼鳥のいう玄鬼宗打倒の旅に加わることにした。さらに、鬼鳥(キチョウ)は、魔族の刑亥(ケイガイ)と剣鬼の「鳴鳳決殺(めいほうけっさつ)」こと殺無生(セツムショウ)を旅の仲間に加えた。
:鬼鳥の旅の一行は次のメンバーで行くことになった。
:* 旅のリーダーの鬼鳥
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:鬼鳥の旅の仲間になった人たちは、表向き、鬼鳥に従っていたが、実は内心では鬼鳥を嫌っていた。彼らはそれぞれの自分たちの野望を隠して鬼鳥の話術で説得されたふりをして、表向き、鬼鳥の仲間になっていた。
:鬼鳥たちの旅の行き先は、蔑天骸(ベツテンガイ)が根城にしている七罪塔(しちざいとう)である。七罪塔は魔脊山(ませきざん)の山の上に築かれていて、そこに行くには魔脊山(ませきざん)の「亡者の谷」と「傀儡の谷」と「闇の迷宮」を通る必要があった。
:鬼鳥たちの旅は順調に進んだが、旅の間、鬼鳥の仲間たちは、それぞれ、仲が悪かった。
:特に殤不患(ショウフカン)は素性のわからない謎の男だったので、他の仲間たちから不信の目でしつこく見られた。「亡者の谷」では、殤不患(ショウフカン)は、自分だけ仲間の作った結界に入れてもらえず、1人で死者たちと戦わされた。「傀儡の谷」では、他の仲間たちが安全な場所にいるのに、殤不患(ショウフカン)だけ、巨大な石像と戦わされた。このように旅の仲間からひどい仕打ちを受けた殤不患(ショウフカン)は激怒し、そんな仲間たちと別れて単独で七罪塔に行くことにした。そんな彼を心配して、丹翡(タンヒ)と鬼鳥は、殤不患(ショウフカン)の後を追った。
:すると、その3人の前に、骸骨の鳥「魑翼」(みよく)を見つけたので、3人はそれを使って空を飛んでいき、七罪塔に向かった。一方、地上に残された狩雲霄、捲殘雲、刑亥、殺無生の4人は歩いて七罪塔に向かった。
:殤不患と丹翡(タンヒ)と鬼鳥が七罪塔に着くと、そこには玄鬼宗の首魁の蔑天骸(ベツテンガイ)たちがすでに3人を出迎えていた。丹翡(タンヒ)にとって、目の前にいる蔑天骸(ベツテンガイ)は宿敵だったので、
:丹翡(タンヒ)にとって、目の前にいる蔑天骸(ベツテンガイ)は宿敵だったので、丹翡(タンヒ)は兄の仇を討とうと、玄鬼宗頭目の蔑天骸(ベツテンガイ)に剣で立ち向かうが、途中で鬼鳥が幻術をかけて、丹翡は殤不患(ショウフカン)と味方同士で対決してしまった。やがて、この2人は玄鬼宗の手下に捕まり、牢屋に入れられた。その後、その牢屋の前に狩雲霄、捲殘雲、刑亥、殺無生の4人が来て、牢屋に入れられた二人を嘲笑った。そして、その時、彼らは、今回の旅を企画した鬼鳥のことを2人に教えた。
:弓の名手の狩雲霄(シュウンショウ)は、旅のリーダーである鬼鳥の正体が東離では有名な悪党である大怪盗「掠風竊塵(リョウフウセツジン)」こと「凜雪鴉」(リンセツア)であることを暴露した。「凜雪鴉」(リンセツア)の本当の狙いは丹翡の持っていた天刑劍の鍔を蔑天骸(ベツテンガイ)に売り渡し、その後、その完成形となった「天刑劍」を隙を見て、自分で掠め取るつもりだと説明した。弓の名手の狩雲霄は報奨金のために名声を得る悪漢であるので、自分は鬼鳥に単に金で雇われて、今回の旅に加わったことを明かしのだった。
:このことを初めて知った殤不患と丹翡(タンヒ)は、大きな衝撃を受けて、鬼鳥の言うことをそのまま信じたことを後悔し、悔しがった。
:一方、無双の剣鬼の殺無生(セツムショウ)は、自分の真の目的が「凜雪鴉の暗殺」であることを明かした。凜雪鴉を七罪塔の頂点へ追い詰めた後、殺無生(セツムショウ)は凜雪鴉(=鬼鳥)を斬り殺すことを考えていた。
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:その後、 本物の鍔は七罪塔の親分の蔑天骸(ベツテンガイ)の手に渡り、完全な天刑劍が蔑天骸の手で復元・完成された。そして、「鍛劍祠」(たんけんし)で天刑劍を引き抜くと、突然、大地が揺れて地面に大きな穴が開いた。そこには、数百年も眠り続けていた魔人「妖荼黎」(ヨウジャレイ)があった。この時になって初めて、「天刑劍(てんぎょうけん)」とは、魔神を封じることができた唯一の「神誨魔械」(しんかいまかい)であることが明かされた。
:また、刑亥(ケイガイ)が鬼鳥の旅の仲間の一人として七罪塔に来た目的が、実は天刑劍によって長く地中に封じられた魔人・「妖荼黎」(ヨウジャレイ)を復活させることだと明かした。
:それをその時、初めて知った弓の名手・捲殘ケンサシュウショ)は、魔人が復活したら大変なことになると思い、弓矢を使って魔人復活をなんとか阻止しようとするが、刑亥(ケイガイ)の必殺技によって絞め殺され死亡した。
:こうして、蔑天骸は妖荼黎(ヨウジャレイ)を地上で暴れさせてから自分は救世主としてこの世界に君臨すると明言した。
:しかし、そんな蔑天骸(ベツテンガイ)の野望の前に凜雪鴉(リンセツア)が立ちふさがり、った。凜雪鴉は剣を抜き、蔑天骸に勝負を挑むが、蔑天骸は凜雪鴉をただの盗賊して侮った。しかし、実際に対決してみると、凜雪鴉は過去に剣術を学んだ経験があることがわかり、そして、激闘の末、蔑天骸を正面から剣で打ち破って勝利した。凜雪鴉(リンセツア)は殤不患に言った通り、剣にすべてを捧げた蔑天骸の「剣の矜持を奪うことに成功したのである。
:しかしその後、凜雪鴉(リンセツア)は敗北した蔑天骸は最後の力でから「天刑劍」をへし折って、その場に残された凜雪鴉「妖荼黎」リンセツアヨウジャレイ)を絶望と憤怒の境叩き込みながら、高笑い封印しようとながら死んでいった。
:しかし、蔑天骸は、そんな凜雪鴉の考えを先に読み取り、最後の力で「天刑劍」をへし折った。これは、自分から「剣の矜持」を奪った凜雪鴉(リンセツア)への蔑天骸の仕返しであった。この予想外の展開に凜雪鴉は絶望と憤怒の表情を顔に浮かべて、それを見た蔑天骸は高笑いしながら死んでいった。
:その後、魔神「妖荼黎」(ヨウジャレイ)が地上に復活し、世界を滅ぼさんといったところで、殤不患(ショウフカン)がその目の前に現れた。そして、自分の隠し持っていた「'''魔剣目録'''」を取り出して、その中にある魔剣を解放した。
:この殤不患(ショウフカン)という男は、それまで「刃無鉾(じんむほう)」と人から侮られてきたが、実は「西幽」の地では、人世を騒がせた「魔剣」を奪取して、それを集める大悪党の「啖劍太歳(たんけんたいさい)」であった。それで、魔剣を狙う人たちが、魔剣を持つ殤不患(ショウフカン)を執拗につけ狙っていたので、そんな彼らの追跡を逃れる為、殤不患は各地を旅して、それで「鬼歿之地」(きぼつのち)を超えてはるか遠方の国の「東離」まで来てしまったのである。
:殤不患(ショウフカン)は「魔剣目録」に収蔵されていた「須彌天幻・劫荒劍(すみてんげん・ごうこうけん)」を取り出して、目の前で暴れる妖荼黎(ヨウジャレイ)を再び地中に封印した。
:その後、平和がもどった「東離」では、戦いで片目を失いながらも生還した捲殘雲(ケンサンウン)が丹翡と夫婦になり、丹衝が遺した護印師の技と、再封印された妖荼黎(ヨウジャレイ)の管理を継いでいくことを決意した。
:謎の男・殤不患(ショウフカン)は、「魔剣目録」の落ち着くところを探しに、また新たな旅にでることにした。凜雪鴉(リンセツア)はそんな悪人・奸物を寄せ付ける謎の男・殤不患(ショウフカン)に魅力感じて、その後、密かに付け回すことに決めた。
:再び旅に出た殤不患は、凜雪鴉から別れ際に、受け取った傘を石仏に返還し、雨傘の義理を果たした。
 
=== 東離劍遊紀2(第二期) ===
{{Anchors|第二期|第2期|東離劍遊紀2|2}}
:東離における殤不患(ショウフカン)の活躍は、遥かなる彼の地、西幽にまで伝わった。西幽の町では、殤不患(ショウフカン)の噂、伝聞が流れ、西幽で彼と因縁を持った者たちは、未踏の地と言われた「鬼歿之地」(きぼつのち)の理捻じ曲げ恐れることをやめて、国境を踏み越え、続々と東離にやって来た。
:一方、殤不患(ショウフカン)は1人で旅をしていた。地上に大きな災いをもたらす危険な秘宝「魔剣目録」を捨てる為である。
:その安全な捨て場所を探していた殤不患(ショウフカン)は、やがて、護印師の砦の中でも屈指の堅牢さを誇るという「仙鎮城」(せんちんじょう)に辿り着いた。殤不患(ショウフカン)はそこの城主・伯陽候(ハクヨウコウ)に面会してこの危険な「魔剣目録」を誰の手にも渡らないように、厳重に保管するように託した。
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: その後、蠍瓔珞(カツエイラク)の前に、西幽の捕吏・嘯狂狷(ショウキョウケン)とその役人たちが現れた。嘯狂狷は法の番人として大悪人の殤不患(ショウフカン)を捕まえる為にその町に来たのであるが、すでに殤不患(ショウフカン)たちは逃げた後であった。
: そこで、嘯狂狷(ショウキョウケン)は目の前にいる魔剣で操られている町の人々を次々と殺していき、その動きを見た蠍瓔珞(カツエイラク)は驚いて、その場から逃げた。また、この嘯狂狷(ショウキョウケン)の殺した人々の遺体を見た凜雪鴉は嘯狂狷(ショウキョウケン)という男を不気味に感じた。
: その後、仙鎮城(せんちんじょう)では、城主の伯陽候(ハクヨウコウ)が蠍瓔珞(カツエイラク)の毒に苦しみ寝込んでいたが、謎の苦行僧の諦空(テイクウ )が毒の治療をして、周囲を驚かせた。
: 一方、殤不患(ショウフカン)と浪巫謠(ロウフヨウ)は、どこかの洞窟に逃げ込んで、そこで体を休めていたが、さきほど猛毒攻撃を受けた殤不患(ショウフカン)は依然、顔色が悪かった。それで、殤不患(ショウフカン)は、全身に毒が回らないように独自の呼吸法「調息」を使ってで自分の体の状態をコントロールしていた。
: そんな2人のところに、偶然、凜雪鴉(リンセツア)が現れた。目の前で殤不患(ショウフカン)の苦しんでいる様子を見た凜雪鴉は「解毒薬」のことを教え、凜雪鴉(リンセツア)と浪巫謠(ロウフヨウ)は解毒薬の材料となる「龍の角」を求め「鬼歿之地」(きぼつのち)へ向かうのだった。
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: 西幽の捕吏・嘯狂狷(ショウキョウケン)は、蠍瓔珞(カツエイラク)がまだ魔剣を隠し持っているに違いない、と思い、追っ手たちを町の街道に走らせ彼女の行方を捜索させた。そして、蠍瓔珞(カツエイラク)を街道の途中で見つけた。その時、蠍瓔珞(カツエイラク)は、少しためらっていたが、魔剣「妖姫・七殺天凌」(ようき・ななさつてんりょう)を抜くことを決意し、怪しい光を放つ「七殺天凌」で嘯狂狷(ショウキョウケン)の手下たちを次々に斬り殺していった。「七殺天凌」(ななさつてんりょう)は妖艶な声で蠍瓔珞(カツエイラク)に人間を殺すことを命じ、次の日も蠍瓔珞(カツエイラク)はその魔剣で多くの人間を斬り殺していった。
:しかし、蠍瓔珞(カツエイラク)は「七殺天凌」のそんな命令をいつも聞くのがイヤになり、魔剣「七殺天凌」を小屋の中に置き去りにした。
:その後、小屋の中にあったその魔剣「七殺天凌」(ななさつてんりょう)は流浪の謎の苦行僧の諦空(テイクウ )が密かに手に入れた。そして、「七殺天凌」の妖艶な声を聴いた諦空(テイクウ )は自分の生きる意味を見出し、「七殺天凌」を使って蠍瓔珞(カツエイラク)を殺害した。また、その時から、自分の名前を「婁震戒」(ロウシンカイ)に改めた。
:魔剣の使い手となった婁震戒(ロウシンカイ)は、護印師たちの砦として名高い「仙鎮城」を襲撃し、護印師たちを次々に魔剣で殺していった。そして、城の中にあった多くの「神誨魔械」(しんかいまかい)も破壊した。
:また、自分を討伐をしに来た浪巫謠(ロウフヨウ)も「七殺天凌」で撃退し、鬼歿之地にいる巨龍・歿王も倒した。
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: しかし、そこへ、殤不患(ショウフカン)と浪巫謠(ロウフヨウ)が現れて、嘯狂狷(ショウキョウケン)は彼ら2人に戦闘で負けてしまった。
: 服はボロボロになり、「喪月之夜」(もづきのよ)も奪われた嘯狂狷(ショウキョウケン)は、その後、どこかに敗走した。
: 街道を1人で歩いている嘯狂狷(ショウキョウケン)は、かつての法の番人としての輝きはなく、みじめな負け犬であった。そして、先ほどの戦いに敗れた悔しさから、「殤不患」の名を何度も声に出して殤不患を激しく呪った。
: そこへ、偶然、魔剣「七殺天凌」(ななさつてんりょう)を持つ婁震戒(ロウシンカイ)が通りがかり、婁震戒(ロウシンカイ)は、みじめな負け犬この西幽の元法の番人の嘯狂狷(ショウキョウケン)を殺して、その遺体を木に吊るした。
: その後、殤不患(ショウフカン)と浪巫謠(ロウフヨウ)と凜雪鴉(リンセツア)の3人は、この木に吊るされた遺体が、婁震戒(ロウシンカイ)の仕業であるとわかり、3人は残りの魔剣「七殺天凌」を取り戻すべく、この婁震戒(ロウシンカイ)と最終決戦を迎えるのである。
:
 
=== 東離劍遊紀3(第三期) ===
{{節stub}}
:物語は第二期の直後から始まる。魔脊山(ませきざん)の大決戦で、殤不患(ショウフカン)たち3人は婁震戒(ロウシンカイ)を力を合わせて倒した。そして、残りの魔剣「妖姫・七殺天凌」を回収しようとした。
:しかし、その時、婁震戒(ロウシンカイ)は傷ついた体で大きくジャンプして、空中に舞う「妖姫・七殺天凌」を奪取して、魔脊山(ませきざん)の崖の下に落ちていった。また、この時、婁震戒(ロウシンカイ)は右腕を失った。
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: 実はその頃、魔族の刑亥(ケイガイ)が魔脊山の「闇の洞窟」を時空の入り交じる空間「無界閣(むかいかく)」へと改造していたのだった。そして、現世の空間と魔界の空間を自由に往来できるように連結していた。
: そんなことも知らず、そこを歩いていた殤不患たち一行は、突然、敵の集団に襲撃された。襲撃したのは「神蝗盟」(しんこうめい)の法師である異飄渺(イヒョウビョウ)とその配下たち、そして魔族の刑亥(ケイガイ)だった。「神蝗盟」は、禍世螟蝗(カセイメイコウ)が率いる闇の集団であり、殤不患の持つ魔剣目録をいつも西幽で狙っていた。
: 殤不患(ショウフカン)たちは敵と戦うが、そんな乱戦のさなか、無界閣(むかいかく)に実っている葉の形をした「逢魔漏(おうまろう)」が妖しく瞬き、それに触った一行殤不患たち4人の一行は、突然、大きな光に包まれて、異界へ飛ばされてしまった。
: その後、4人の一行は気が付くと、西幽の宮殿「鳳曦宮」(ホウギキュウ)の中に来ていた。浪巫謠(ロウフヨウ)は他の3人とはぐれ、1人で宮殿の中を歩いていた。すると、西幽の皇女・嘲風(チョウフウ)に偶然、会ってしまい、いきなり彼女に短剣で腹を刺されて出血した。そこへ、殤不患(ショウフカン)たち3人が彼の助けに入るが、皇女が西幽の衛兵たちを呼び、次々とこの4人の「不審者」を襲った。殤不患(ショウフカン)たち4人は急いで走り、なんとか衛兵の追っ手から逃げ切ったが、西幽の宮殿はとても広く、どうやって宮殿の外に脱出すればいいかわからなかった。そんな4人たちのところに西幽の将軍の萬軍破(バングンハ)が現われ、「俺についてこい。宮殿の外へ出られるように秘密の脱出通路を案内してやる」と言った。この萬軍破(バングンハ)という男は、実は殤不患(ショウフカン)とは西幽では知り合い同士の間柄であった。また殤不患(ショウフカン)は西幽では「啖劍太歳(たんけんたいさい)」とよく呼ばれている。
: 萬軍破(バングンハ)は4人を連れて秘密の通路を歩いている間、現在の西幽の宮廷のことを詳しく語った。西幽の帝は誰とも会わずに、いつも奥に引きこもり、宮廷の政治は彼の娘である皇女・嘲風(チョウフウ)が独断で行っていた。嘲風(チョウフウ)という女は悪逆非道の女であり、西幽の兵たちをいつも恐怖で支配していた。萬軍破(バングンハ)はこの嘲風(チョウフウ)のことをひどく嫌っており、このままでは西幽が滅びると、いつも国の将来を悲観していた。そんなことを話しながら萬軍破(バングンハ)たちが宮廷の扉を開いて外に出ると、そこは、とんでもない不気味な光景が広がっていた。西幽の邪教宗門「神蝗盟」(しんこうめい)の軍団がすでに4人たちを待ち伏せていた。西幽の将軍の萬軍破(バングンハ)は、西幽を救う為に邪教宗門の「神蝗盟」(しんこうめい)に入り、大悪党・禍世螟蝗(カセイメイコウ)を西幽の次の新しき指導者として支えることに決めたのである。
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: 一方、魔族の刑亥(ケイガイ)は「無界閣(むかいかく)」で、魔剣「妖姫・七殺天凌」を偶然見つけた。
:その魔剣「妖姫・七殺天凌」は、自分の姉である照君臨(ショウクンリン)であり、剣の中で、彼女の魂が生きていた。ここで「妖姫・七殺天凌」(=照君臨(ショウクンリン))は、なぜ自分が魔剣になってしまったのか、そのいきさつを妹の刑亥(ケイガイ)に語った。
:・・・「窮暮之戰」(きゅうぼのせん)で、人類は魔族との戦いに勝利して、平和な時代になった。しかし、まだ魔族の生き残りが地上にいた。そこで西幽の護印師たちが、各地に散らばり、その魔族の生き残りを探し出し、次々に殺していった。その時、魔族の中で優れた術師であった照君臨(ショウクンリン)は、美貌を持つ人間の女性に変身し、人前で芸を舞う仕事をして護印師たちの目から逃れた。その後、照君臨(ショウクンリン)は町の各地で芸を舞い、その舞う姿が評判になり人気が出てきた。西幽の貴族の男たちも彼女に夢中になった。やがて、照君臨(ショウクンリン)は宮廷内部に入ることに成功し、妓女として芸を舞うようになった。この時、照君臨(ショウクンリン)はウソの経歴を言って、宮廷の人たちは彼女の言うことをそのまま信じた。ついに、西幽の帝の寵姫になった照君臨(しょうくんりん)は、自分の美貌で帝の気持ちを掴みながら、自分の嫌う西幽の将軍たちを次々に獣たちのエサにして殺していった。また、西幽を内部から弱体化させていくのと並行して、魔族の軍団を西幽に侵攻させることも計画した。しかし、運の悪いことに、途中で自分の正体が魔族であることがバレてしまい、照君臨(ショウクンリン)は西幽の宮廷から追放された。そして、また護印師たちに追われる身となり、照君臨(ショウクンリン)は遠くへ逃げたが、最後は崖に追い詰められた。そして、護印師たちに聖剣で体を貫かれて死亡した。しかし、この時、照君臨(ショウクンリン)は必殺の魔術を使って、護印師たちの聖剣に自分の魂が乗り移ることに成功した。その後、その聖剣は150年もの長い年月をかけて魔剣になり、「七殺天凌」になった。ある日、護印師の子孫が、その魔剣を何も知らずに抜くと、「七殺天凌」の妖艶な声(=照君臨の声)によって頭の思考が変になり、周囲の人を殺しまくった。その後、「七殺天凌」の持ち主が別の人に変わっても、同じように妖艶な声でその持ち主の頭が変になり、多くの人たちを殺しまくった。しかし、ある時、西幽で魔剣を集めてる盗賊の「啖劍太歳(たんけんたいさい)」(=殤不患(ショウフカンのこと)がその魔剣「七殺天凌」のことを知り、魔剣「七殺天凌」を奪取して、「魔剣目録」の中に封印した・・・。
:このことを聞いた刑亥(ケイガイ)は、また殤不患に対し、怒りが込み上げてきた。
:その後、刑亥(ケイガイ)は、萬軍破(バングンハ)たちのところに行くと、その近くに自分の嫌う凜雪鴉(リンセツア)がいた。彼は得意の弁舌を駆使して邪教宗門の「神蝗盟」(しんこうめい)に入ったのである。この予期せぬ事態に、刑亥(ケイガイ)は大いに驚き、憤り、もう人間たちと一緒に協力するのをやめて、自分だけで今ある「無界閣(むかいかく)」をさらに拡張することにした。さらに、同じ魔族である阿爾貝盧法(アジベルファ)にも協力を求め、魔剣「七殺天凌」を昔の人間の状態に戻したいので、過去にも行ける「逢魔漏(おうまろう)」を作る手伝いをしてほしい、と頼んだ。
:時空を操る魔界伯爵の阿爾貝盧法(アジベルファ)は刑亥(ケイガイ)に協力することにし、まず殤不患(ショウフカン)と浪巫謠(ロウフヨウ)を過去の異世界に飛ばした。殤不患(ショウフカン)が行ったところは、大昔の「神誨魔械」(シンカイマカイ)の鍛造の現場であり、そこで、聖剣の秘密を知った。浪巫謠(ロウフヨウ)が行ったところは、かつて、殤不患(ショウフカン)と浪巫謠(ロウフヨウ)と睦天命(ムツテンメイ)の3人が禍世螟蝗(カセイメイコウ)と対決している現場であった。彼らの戦闘を遠くから見ていた浪巫謠(ロウフヨウ)は、自分も戦闘に加わって過去を変えようかどうか葛藤したが、結局、何もできなかった(その後、睦天命は目を攻撃され、失明する)。その次に、浪巫謠が飛ばされたところは、自分が生まれる前の若き母親の所であった。母親の咒旬瘖(ジュシュンイン)は恋人の男に愛の告白をするが、その相手の男の正体は実は魔族であった。母親は男から目を攻撃されて失明し、その後、光を失った母親はその男との間にできた息子の浪巫謠(ロウフヨウ)を苦労して産む。その場面を初めて見た浪巫謠(ロウフヨウ)は、大きな声で叫び、深い悲しみと絶望に沈んだ。また、その魔族の男の正体(つまり、浪巫謠の父親)とは、同じ髪の色をし、時空を操る魔界伯爵の阿爾貝盧法(アジベルファ)であった。
:一方、婁震戒(ロウシンカイ)は結界から逃げた殤不患(ショウフカン)たちを追っていたが、彼らの姿を見失った。そして、自分が今どこにいるのか道に迷った。
:その後、殤不患(ショウフカン)と浪巫謠(ロウフヨウ)は、過去の世界から別々に「無界閣」(むかいかく)に戻ってきたが、殤不患(ショウフカン)は運悪く、「神蝗盟」の兵たちに捕まり、「魔剣目録」を萬軍破(バングンハ)に奪われしまった。そして、牢屋に厳重に入れられた。
:一方、婁震戒(ロウシンカイ)は結界から逃げた殤不患(ショウフカン)たちを追っていたが、彼らの姿を見失った。そして、自分が今どこの国にいるのかすら、わからなかった。
:最初、婁震戒(ロウシンカイ)は、魔脊山(ませきざん)で、空中に舞う「妖姫・七殺天凌」を奪取して、そのまま崖の下に落ちていったが、その時、右腕を失った。その後、婁震戒(ロウシンカイ)は魔剣「七殺天凌」をどこかで落としてしまい、見知らぬ土地を1人で歩いていた。すると、世捨て人の隠者、鬼奪天工(キダツテンコウ)と出会い、「ここは、人間の世界から遠く離れた異世界だ」と知らされた。鬼奪天工(キダツテンコウ)は、右腕のない婁震戒(ロウシンカイ)を憐れみ、右腕の義手を彼にプレゼントした。その後、鬼奪天工(キダツテンコウ)はガラクタの装置で、時空の穴を夜空に人為的に作ると、婁震戒(ロウシンカイ)は空高くジャンプしてその穴に飛び込み、「無界閣(むかいかく)」に入った。そして、殤不患(ショウフカン)たちを再び見つけて彼らに戦闘を仕掛けたが、また見失ってしまった。そして、今、婁震戒(ロウシンカイ)が森をフラフラ歩いていると、西幽の衛兵たちに見つかり、西幽の宮殿に連行された。婁震戒は西幽の皇女・嘲風(チョウフウ)と謁見し、「私は東離から来た。今、殤不患(ショウフカン)を探している」と告げると、嘲風(チョウフウ)は彼を気に入り、西幽皇軍の部隊を彼に預けて、殤不患(=西幽では大悪党の「啖劍太歳(たんけんたいさい)」と呼ばれてる)の捜索に協力した。また、その時、その場には、西幽の将軍・萬軍破(バングンハ)がいて、同じく殤不患の行方を捜していたので、萬軍破は婁震戒を「神蝗盟」(しんこうめい)のアジトのある「無界閣」(むかいかく)に案内した。そこで婁震戒は自分の探し求めていた魔剣「七殺天凌」と再会した。そして、刑亥(ケイガイ)は新たな「逢魔漏(おうまろう)」を使って、婁震戒と魔剣「七殺天凌」と一緒に過去に行き、照君臨(ショウクンリン)の遺体を回収して、照君臨(ショウクンリン)を生き返らせた。そして、婁震戒はその過去の場所にそのまま置き去りにされて、刑亥(ケイガイ)と照君臨(ショウクンリン)は再び「無界閣」(むかいかく)に戻った。
:照君臨(ショウクンリン)の復活を知った萬軍破(バングンハ)は、大きな衝撃を受けた。萬軍破(バングンハ)は照君臨(ショウクンリン)の恐ろしさを西幽に伝わる伝説でよく知っていたので、彼女を「無界閣」に閉じ込めて、地上(=西幽)に出ないようにした。そして、萬軍破は殤不患から奪った「魔剣目録」の中にある魔剣を使って目の前にいる照君臨(ショウクンリン)を倒そうとした。しかし、どの魔剣も萬軍破(バングンハ)には使いこなせなかった。魔剣を持って戦おうとすると、萬軍破(バングンハ)の体から煙が出てた。実は、魔剣目録にある魔剣は自分の持ち主を自分で選ぶ性質があったので、誰でも魔剣を使えるものではなかったのだ。そんなことも知らなかった萬軍破は体の中から炎がでて、もだえ苦しんだ。一方、照君臨は、魔剣で自滅していく西幽の将軍の愚かさを嘲笑った。そんな時、横から、殤不患(ショウフカン)が飛び出てきて、萬軍破の助けに入り、照君臨に立ち向かった。しかし、照君臨は魔剣「七殺天凌」の時と同じ怪しい光を全身から放って、殤不患の剣技を跳ね返した。照君臨のその怪しい光には、人間の思考回路をおかしくする性質があるので、殤不患は照君臨に近づけず、攻撃もできなかった。こうして、照君臨は人間たちとの戦いで自分の勝利を確信して有頂天になったが、その時、突然、「無界閣」の空に時空の穴が開き、そこから婁震戒が飛び出てきた。そして、手にしている旧・魔剣「七殺天凌」を照君臨の体に突き刺した。そして、照君臨の魂を再び、魔剣「七殺天凌」の中に封じ込めることに成功した。
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:実は、凜雪鴉(リンセツア)が「逢魔漏(おうまろう)」を使って過去にタイムスリップし、過去に置き去りにされた婁震戒を「無界閣」に連れてきたのであった。
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:その後、魔剣「七殺天凌」を手にして喜んだ婁震戒は、「逢魔漏(おうまろう)」によって宇宙空間に飛ばされ、二人で静かに漂うことになった。
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:一方、先ほどの戦闘で体がボロボロになり、自分の命がもう少ないと感じた萬軍破(バングンハ)は、凜雪鴉の持つ「逢魔漏(おうまろう)」で西幽の宮殿「鳳曦宮」(ホウギキュウ)にすぐ飛んだ。そして、いつも御簾に隠れて部屋の奥に引きこもってる西幽の帝に対して「どうか、皇女・嘲風(チョウフウ)の暴政を止めてください!」と最後の進言した。西幽の将軍は、死の間際でも西幽の行く末を心配していた。
:しかし、御簾から出てきた西幽の帝の声はそっけないものであった。それどころか、これほどまでに自分に忠義を尽くした西幽の将軍を西幽の帝は大きな衝撃波で吹き飛ばした。
:この西幽の帝・幽皇の正体とは、西幽の大悪党・禍世螟蝗(カセイメイコウ)であった。それまで、萬軍破は表の顔と裏の顔を使い分けて二人に仕えてきたが、このことは、西幽の帝は最初から知っていたのであった。
:衝撃波を受けた萬軍破は御簾の奥にいる帝(=禍世螟蝗)の顔を一瞬見て、死亡した。
:その後、皇女・嘲風(チョウフウ)がその場にやってくると、西幽の帝は、萬軍破のことを逆賊と言った。それを聞いた嘲風は、元・西幽将軍の萬軍破の遺体を何度も足で踏みつけた。
:一方、「無界閣」では、殤不患(ショウフカン)が神誨魔械・「萬世神伏」(マンセイシンプク)を地中に突き刺して、「無界閣」を封印することにした。「無界閣」の世界は魔剣の効果でどんどん崩れていき、殤不患(ショウフカン)たちは急いで脱出したが、浪巫謠(ロウフヨウ)だけ、その崩れる「無界閣」の中に一人で戻っていった。そして、自分の父であり魔界伯爵である阿爾貝盧法(アジベルファ)と対面し、魔族の刑亥(ケイガイ)と一緒に魔界の世界に行った。
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=== 生死一劍 ===
 
:凜雪鴉(リンセツア)は狡猾な手段を使い、人を欺き、陥れ、その誇りや宝を奪う怪盗であった。その為、いつも多くの人たちから恨まれていた。そこで、凜雪鴉は自分の用心棒として無双の剣鬼、殺無生(セツムショウ)を雇った。殺無生(セツムショウ)は金さえ払えば相手を殺す殺し屋であり、その名前は悪名高いものであった。殺無生は生まれた時から不遇の人生を送った。生まれた時に不吉な鳥が鳴き、それで母親が殺された。その後、その場で騒動が起こり、壮絶な殺し合いが起きた。それで、父親はまだ赤子だった殺無生(セツムショウ)の頭を叩き割り、頭蓋骨が見える血だらけの状態で剣術の道場の前に捨てた。そこで、殺無生(セツムショウ)は道場の師匠に拾われ、育てられ、剣術を習った。その後、殺無生(セツムショウ)は、人の情けを知らぬ冷酷な殺し屋になった。
:ある日、凜雪鴉は殺無生に「君はまっとうな人間にならないか。もし、過去の自分と決別したければ、別の新しい名前を使って名誉ある行いをすればいい」と言い、剣技を競い合う大会「劍聖會」(ケンセイカイ)の出場をすすめた。その大会は剣聖・鐵笛仙(テッキセン)が主催する大会であり、優勝はずっと鐵笛仙(テッキセン)が独占していた。また、鐵笛仙は殺無生の昔の剣術の恩師であった。 そこで、殺無生は「鳴鳳決殺」(メイホウケッサツ)という新しい名で出場することになった。しかし、この大会は最初から謎めいた展開となった。大会中に謎の矢が大会の参加者たちに射られたり、毒を盛られたりして、大会の参加者たちは次々と負傷した。殺無生にも、その謎の矢が飛んできたが、殺無生は素早くその矢を掴み取り無事だった。その後、殺無生はそんな参加者たちと対決していった。対戦相手には、玄鬼宗の殘凶(ザンキョウ)もいたが、先ほどの謎の矢で右手を負傷し、競技中に殺無生に降伏を申し出た。その後、殺無生は次の対戦相手に順調に勝利していき、最後は、剣聖・鐵笛仙(テッキセン)の対決となった、剣聖・鐵笛仙(テッキセン)は殺無生に「剣聖とは剣の玉座だ、貴様にはふさわしくない」と言って戦闘が始まった。剣聖・鐵笛仙と殺無生は互いの剣技をぶつけ合い、白熱した戦闘となったが、殺無生が剣聖・鐵笛仙(テッキセン)の腹に剣を突き刺して勝利した。しかし、大会の競技審判団は、殺無生に対し「反則負け」の判定をした。この予期せぬ判定結果に殺無生は驚き、なぜそんな判定になったのか理解できなかったが、剣聖・鐵笛仙(テッキセン)の足を見ると、戦闘中に誰かに射られたと思われる矢が突き刺さっていた。
:剣聖・鐵笛仙(テッキセン)は殺無生に「生涯、貴様には剣聖の名など与えられない、貴様は剣鬼でしかない。私は貴様に剣など教えるべきではなかった・・・。昔、貴様を拾った時、私は貴様があのまま死ぬのを待てば良かった、死なぬと言うならこの手で殺すべきだった・・・。」と言い残して死亡した。殺無生はまだ事態が理解できなかった。ここで、凜雪鴉が登場し、「大会側は、殺無生が卑怯な手段を使って参加者たちを事前に負傷させたり弱らせたりして、それで殺無生が戦いに勝利した、と思ったのだ」と説明した。それに対して、殺無生は「自分にも矢を何者かに射られた。攻撃された。」と反論するが、その時、自分に射られた矢は、凜雪鴉の幻術によって今は笛に変わっていた(つまり、殺無生のところには矢が飛んでこなかったことになる)。ここで、殺無生は自分が凜雪鴉にはめられたことに気づいた。最初、大会に出場するように勧めたのは凜雪鴉なのに、その凜雪鴉が殺無生を反則負けになるように仕組んでいたのだった。また、大会で、謎の矢を放った犯人は弓の名手の狩雲霄(シュウンショウ)であり、これも凜雪鴉が仕組んだことであった。凜雪鴉は、日頃から他人の剣技に格式ぶった肩書を与える「劍聖會」を不愉快に思っていた。しかも、その大会の歴代の優勝者は主催者の鐵笛仙(テッキセン)がずっと独占していた。その長年の「劍聖會」の伝統と名誉も今回でなくなった。つまり、怪盗の凜雪鴉は殺無生を利用して、「劍聖會」の最高の至宝を盗んだのであった。一方、殺無生は、この大会に出場して過去の血塗られた人生と決別して、新しい人生を歩むという希望が打ち砕かれたので、凜雪鴉に対して激しい憎悪が生まれた。そして、自分の剣技を「反則負け」と一方的に断罪した大会の関係者たちをその場で次々と剣で殺していった。この時から、剣鬼の殺無生と怪盗の凜雪鴉は因縁の関係で結ばれ、殺無生は凜雪鴉を殺す為に、凜雪鴉の行方をどこまでも追うようになった。
 
=== 西幽玹歌 ===
薄暗い空の下、冷たい風が吹く山の場所で、少年の浪巫謠(ロウフヨウ)は、盲目の母親・咒旬瘖(ジュシュンイン)の指導を受けて歌の練習をしていた。浪巫謠がちょっとでもミスをすると、母親は木の枝でひっぱたき、厳しく叱った。母親はいつも浪巫謠にこう言った。
 
「もっと高く、もっと透明に!その歌声を神々に伝えなさい! 歌うが如く鍵(ケン)を振るうのです! 敵を斬るように奏でるのです!拍も音階も刃の上の生と死に等しい! 歌に生き、歌に一途なら、その声は剣と同然!武の心をもってその声を操るのです!」
 
浪巫謠は母親の言う通りに毎日歌の練習をし、武芸を磨いた。また、母親は我が息子が歌の世界で「天下の至宝」になることを願った。しかしある日、浪巫謠は歌の練習のしすぎで喉を痛めてしまい、翌朝目覚めたときには、彼の声はすっかり変わってしまっていた。盲目の母親は、その声が息子のものだと理解することができず、「私の息子!巫謠(フヨウ)はどこ?どこにいるの?」と叫んだ。自分の息子がどこかに消えたと思った母親はひどく取り乱して、外を走って我が息子を何度も呼び、やがて、崖の下に落ちて死亡した。その後、浪巫謠(ロウフヨウ)は町の酒場に行き、食事をしたが、お金を持ってなかったので、代わりに歌を歌った。すると、その歌声は店内に美しく響き、客たちは言葉を失って聴き惚れた。その後、浪巫謠はその店で楽士として働き、その歌は評判になって、客がどんどん店に集まるようになった。しかしある夜、浪巫謠は外を散歩してると、謎の女・睦天命(ムツテンメイ)と出会い、彼女は「あなたの働いてる酒場は悪い連中が多いので、その酒場から逃げたほうがいい」と彼に忠告した。
 
ある日、西幽の警察機関・衙門(がもん)はその酒場に立ち入り捜査し、店の経営者や客たちを逮捕・連行した。また、楽士の浪巫謠も共犯として逮捕・連行した。衙門の取調室では、メガネをかけた西幽の役人の嘯狂狷(ショウキョウケン)が、浪巫謠に「あの店は、高額の席料と阿片酒を客たちに毎日、振る舞っていた。客たちは皆、窃盗や追いはぎ、贋作作りなど犯罪に手を染めていた。お前もそいつらと共犯だ。このままだと罪人として裁かれるぞ」と伝えた。それを初めて知った浪巫謠はびっくりしたが、嘯狂狷は「お前のその歌声で西幽の皇女を満足させば、新しい人生が開ける」と助言した。
 
西幽の宮殿「鳳曦宮」(ホウギキュウ)では、多くの奏者、楽士たちが演奏していた。しかし、皇女・嘲風(チョウフウ)は彼らの演奏を退屈に感じていて、演奏中に横から剣で襲うよう、配下の衛兵に命令した。この予期せぬ動きに奏者たちは真っ青になり、必死に逃げ回ったが、多くの者が斬り殺された。それを見た皇女・嘲風は大いに喜んだ。そして楽士の浪巫謠の番になると、同じように西幽の衛兵が次々に剣で攻撃してきたが、浪巫謠は彼らの攻撃を全てかわして、歌を美しく最後まで歌い切った。皇女・嘲風(チョウフウ)はこの浪巫謠の歌と武芸を大いに気に入り、西幽で最も優れた奏者を意味する「天籟吟者」(テンライギンジャ)の称号を浪巫謠に与えた。
また、浪巫謠を町で見つけた嘯狂狷(ショウキョウケン)は、その功績を嘲風に認められ、役職が「緝察使」(しゅうさつし)に昇進し、次の新たな使命「啖劍太歳」(タンケンタイサイ)の討伐を命じられた。
 
一方の浪巫謠は「天籟吟者」(テンライギンジャ)となったことにまだ実感がわからなかったが、西幽の皇女・嘲風(チョウフウ)は浪巫謠に「そなたは、私のウグイス(鶯)じゃ!この宮殿のカゴの中で一生、暮らすのじゃ!」と命じた。
 
浪巫謠が「天籟吟者」になったニュースは西幽の城下町で大きく報じられた。また、その彼を歌と武芸で倒す新たな挑戦者たちを広く募集する触れ書きが町中の壁に掲示された。
 
次の日、西幽の宮殿「鳳曦宮」(ホウギキュウ)で、多くの奏者・楽士たちが演奏の腕を競う大会が始まった。その奏者・楽士たちの多くは必死に演奏するも、西幽の衛兵たちに横から次々に剣で刺され、血を流して死亡した。その演奏会場は多くの人間の血で赤く汚れ、まるで処刑場のようであった。「天籟吟者」の浪巫謠もまた競技者の一人として大会に出場したが、その時、自分の対戦相手を見て驚いた。そこには、以前、散歩してる時に出会った謎の女・睦天命(ムツテンメイ)がいたからである。浪巫謠はこの謎の女・睦天命と対戦することになった。演奏が始まると、浪巫謠と睦天命はそれぞれ、楽器を美しく奏でて華やかに歌った。西幽の衛兵たちが横から剣で襲うも、浪巫謠と睦天命は軽やかに飛び、衛兵たちの剣を素早くかわしていった。そんな二人を見た西幽の皇女・嘲風(チョウフウ)は目を輝かせて大いに感動し、二人の奏でる演奏の世界にますます引き込まれていった。
 
一方、同じ頃、西幽の宮殿内に魔剣を集める大悪党の「啖劍太歳」(タンケンタイサイ)が侵入した。
 
== 登場人物 ==
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: キャラクターデザイナー - 三杜シノヴ([[ニトロプラス]])
: 二つ名 -「掠風竊塵」(リョウフウセツジン / Lüè Fēng Qiè Chén / ルゥエフェンチエチェン)
: 本作の主人公。常に煙管を手にした謎の美丈夫。普段は「鬼鳥(キチョウ)」という偽名を使う。飄々とし、人を食ったような性格で、博識かつ狡知に長け、立ち振る舞いは常に優雅。顔が広い(本人曰く「唯一の取り柄」)一方、他者を己の利のために平然と操るため、恨みを買う事が多い<ref>具体例:「生死一劍」殺無生編(第一期の前日譚)において、殺無生を利用し「劍聖會」の解体を行ったことで、以降彼に命を狙われることとなった</ref>。
: 凜雪鴉(リンセツア)のその正体は「月明かりを浴びて影を落とさず、雪道を踏んで足跡を残さず、天地の理さえも欺いて奇計妙策を巡らす」と謳われる悪名高き大怪盗である。贋作の製造や幻術・魔術に長け、尋常ならざる策士でもある。
: 狡猾な悪党を煽り、欺き、陥れ、その誇りの在り処を奪い、驕慢という宝石を屈辱という土塊にすり替えることを「至高の娯楽」としている。しかしその一方で、その全霊を賭けた企みが失敗した時は、欺いた悪党に対して我を忘れるほど激高し、身勝手な[[罵詈雑言]]を叩きつけるほどに感情を露わにする。
: 実は、愛用の魔道具・煙管は剣「煙月(えんげつ)」に変形する。剣の達人であるが、それを他者にはひた隠しにしている。かつては剣の道を極めており決して侮らなかったゆえ、極めるほど果ての見えない剣の道に、ついには嫌気がさしてしまった。
: 第一期の最初の場面では、旅をしている丹翡(タンヒ)に殤不患(ショウフカン)が偶然、道中で出くわした。そして、その時、凜雪鴉(リンセツア)は殤不患(ショウフカン)とともに強引に旅の同行を丹翡(タンヒ)に紳士的に申し出たが、実はこれは、蔑天骸(ベツテンガイ)の「覇者の矜持」を奪うための画策だった。これも、怪盗・凜雪鴉(リンセツア)が巧妙に描いたシナリオの一部だった。
: その後、多くの悪漢を巻き込みながらもあと一歩というところまで蔑天骸を追い詰めるが、目的が失敗するどころか、魔神封印の手段をそのせいで失ってしまった。決着後には魔剣目録を持つ殤不患が引き寄せる悪に興味を持ち、たびたび彼の行く先に姿を現し、時として共闘するようになる。
: 「生死一劍」殤不患編では、凜雪鴉は道化師姿で登場し、東離での殤不患の武勇譚に尾ひれをつけて民衆に喧伝していた<ref name="seishi ikken">映画『Thunderbolt Fantasy 生死一劍』</ref>。この行為が偽殤不患の小さな騒動から始まり、後に第二期の「魔剣目録」をめぐる大きな騒乱へと繋がることになる。
: 第二期では、凜雪鴉(リンセツア)はまたもや偽名「鬼鳥」を名乗り、身分も「四方御使<ref>宮廷から派遣され、辺境各地にある刑部の内務監査をして廻る役人。</ref>」(しほうごし)と詐称して、事前に衙門に潜入した。表向き「四方御使」となった凜雪鴉(リンセツア)は得意の弁舌で人を信用させ、メガネをかけた西幽の捕吏・嘯狂狷(ショウキョウケン)も、凜雪鴉(リンセツア)の言うことを信用した。
: こうして、四方御使・凜雪鴉(リンセツア)は西幽の捕吏・嘯狂狷(ショウキョウケン)の案内役として彼に同行することに成功した。一方で、その裏では、凜雪鴉(リンセツア)は「友」である殤不患(ショウフカン)の窮地に駆けつけた。嘯狂狷に標的を絞り、騙そうとしたが嘯狂狷が生粋の悪党に豹変したことで失敗、激怒する。
: その後不患達と共に「喪月之夜」を使って「七殺天凌」を操る婁震戒を翻弄しこれを打ち破り、その際に甚く喪月之夜を気に入っていた。
:第三期では、凜雪鴉は魔剣「七殺天凌」(ななさつてんりょう)の捜索に半ば強引に加わるが、魔剣目録を狙う神蝗盟との戦いに巻き込まれながらも、次なる「獲物」の目星をつけ、得意の弁舌を駆使して「神蝗盟に接近を図る。そしての後、彼に深い恨みを抱く魔族の刑亥(ケイガイ)姦計はまり、抵抗むなしく七殺天凌魅了魔の光により意識を失い、「七殺天凌」の虜にされてしまったと思われた。しかし凜雪鴉は事前に捲殘雲(ケンサンウン)を自分の身代わりに立てて、その計略を回避し、同時に邪魔な異飄渺を捲殘雲に変装させて捲殘雲に殺させ、自分自身は異飄渺に成りすますというアクロバットなすり替わりの策を展開する。そ、極上の獲物として禍世螟蝗(カセイメイコウ)に狙いを定め、魔剣「七殺天凌への妄執で狂人と化した婁震戒(ロウシンカイ)を利用して照君臨を封印する。
 
; {{Anchors|殤不患}}殤不患(ショウフカン / Shāng Bù Huàn / シャン・ブーファン)
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: 西幽から「鬼歿之地」(きぼつのち)を越えて東離に来たという経歴から、その素性を東離の様々な人間に訝しがられることになる。
: また殤不患(ショウフカン)は英雄好漢を絵に描いたような真っ直ぐな人柄で、自他ともに悪戯に命を捨てることを良しとせず、時として敵を見逃し「その復讐に怯えない」自らを真の強者と考える。しかし後述の通り、「殤不患」は圧倒的な力を持っているためか、良くも悪くも大雑把であり、生来の情け深さも災いして状況を悪化させてしまうこともままある。
: 「刃無鋒」(ジンムホウ)の二つ名は、初め捲殘雲(ケンサンウン)が皮肉として付けた不名誉<ref>斬れない刃(=なまくら)の意。</ref>な名前である。しかし後述の理由から、殤不患(ショウフカン)はとても気に入っており、以降は進んでその二つ名を名乗ることになる。
: 西幽では、殤不患(ショウフカン)は帝の体制に抵抗して、魔剣・聖剣の回収を独自に続けていた。そのため、西幽から「'''啖劍太歳'''」'''(タンケンタイサイ)'''の二つ名で呼ばわれ、禍世冥蝗(カセイメイコウ)と並ぶ西の大悪党として広く恐れられている。七罪塔に行く途中、西幽での二つ名を捲殘雲(ケンサンウン)に問われた時、殤不患話しをはぐらかし、伝えることをしなかった。
: また、殤不患は木の棒を以って鋼刃を凌駕する[[気功|氣功]]術の達人であり、「軽々しく剣を振るうものではなく、かと言って自身を常時戒めるのも面倒なため、いっそ刃の付いていない剣の方が良い」との理由で、普段は刀身を銀色に塗っただけの木刀「拙劍(せっけん)」を携えている。木刀を以ってして幾多の戦いを潜り抜けてきた事実に気づいた凜雪鴉(リンセツア)からは、その実力を改めて評価されている。また第二期の終局では、相手がこの拙劍を真剣と思い込んだことで勝利への一助となった局面が存在する。
: 西幽において、殤不患は人心を惑わし天下を乱した魔剣・妖剣・聖剣・邪剣の36振りを回収し、それらを「魔剣目録」の中に封印した。その後、「魔剣目録」を狙う悪党たちから逃れ、安全に捨てられる場所はないかと探し歩いた結果、気が付けば「鬼歿之地」(きぼつのち)を越えて、はるか遠い国の「東離」(とうり)に流れ着いていた。
: 西幽においては魔剣を戦争に使おうとした西幽の帝から剣を奪取したことで、殤不患(ショウフカン)はお尋ね者となり、悪人である禍世螟蝗の一門「神蝗盟」とも敵対関係にある。
: 「生死一劍」殤不患編では、旅先で「偽」殤不患騒動に遭遇。殤不患を名乗る小太りの男を問い詰め、騒ぎの元である凜雪鴉のところに口止めに行った。
: 第二期では、殤不患(ショウフカン)は「魔剣目録」の危険性を案じ、密かに仙鎮城に預けようとするものの、蠍瓔珞(カツエイラク)によって収蔵する魔剣二振りを奪われ、また嘯狂狷からもその身を追われるなど、窮地に陥っている。西幽での相棒役であった浪巫謠と行動を共にした。蠍瓔珞からの毒撃を受け一時は戦線を離脱するも、後に蠍瓔珞と再戦し、改心させた。彼女亡き後は我欲に従って暗躍する魔剣・「喪月之夜を携えた嘯狂狷、七殺天凌とともに殺戮を繰り返す婁震戒という二陣営と転戦する。最終的には嘯狂狷から奪還した喪月之夜と、凜雪鴉・浪巫謠との共闘で婁震戒を撃破する。
: しかし婁震戒は魔剣「七殺天凌」とともに谷底へ落ちて行方をくらまし、新たに仙鎮城から三本の聖具を魔剣目録に預かることになってしまうなど、当初の算段が失敗に終わってしまった。
:第三期では魔剣・七殺天凌」の回収に動くが、その先で「神蝗盟」の軍団と激突することになる。その戦いに割り込んできた魔界貴族の阿爾貝盧法(アジベルファ)によって、彼の人生に一大転機をもたらした「神誨魔械」の誕生の場へと送り込まれる。そこで、その中心人物である神仙・白蓮との出会いを通じて、「魔剣目録」を守ることが古の神仙・白蓮の志を守ることに繋がることを悟る。より一層の使命感に燃えて殤不患(ショウフカン)は元の時空へ戻ることになるが、刑亥の策によって「魔剣目録」を託したばかりの捲殘雲(実は異飄渺)を討たれ、異飄渺(実は凜雪鴉)に魔剣目録を取り上げられてしまう。殤不患(ショウフカン)は、そのまま刑亥に囚われるかと思われたが凜雪鴉の幻術によって人形を身代わりにして難を逃れる。そして、萬軍破(バングンハ)に加勢して、照君臨率いる魔界の軍勢へ斬り込み、凜雪鴉の助力もあって照君臨を実質的に討滅はしたものの、親友の萬軍破と浪巫謠との別離を経験する。
==== 東離の協力者 ====
; {{Anchors|丹翡}}丹翡(タンヒ / Dān Fěi / ダン・フェイ)
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: 二つ名 -「泣宵」(キュウショウ / Qì Xiāo / チーシァオ)
: 第一期第三話で初登場。「夜魔の森」に棲む、冥界生まれで死霊術・呪術の達人である妖人。子供の生き肝から若返りの仙薬を作り、理想の生き人形を作るために美男子100人を切り刻んだとされる邪悪な女性。武器は鞭「吊命棘(ちょうめいきょく)」。
: 刑亥(ケイガイ)は、人間と世間を嫌い、とりわけ凜雪鴉を「顔を見ただけで臓腑を炙られるよう」と憎悪している。しかし事に「天刑劍」が関わっていると知るや、掌を返して彼に協力を申し出る。その真意は魔神・妖荼黎(ヨウジャレイ)を復活させることであり、「天刑劍」の封印を蔑天骸に解かせて悲願を成就したのち、これで望みは叶ったとばかりに祠の崩落と共に姿を消す。
: 第二期の最終回では、刑亥(ケイガイ)は禍世螟蝗(カセイメイコウ)のアジトの中に姿を現し、凜雪鴉・殤不患を討つための盟約を結んだ。
: 第三期では、刑亥(ケイガイ)は神蝗盟との共闘をするさなか、自前の結界である「無界閣」(むかいろく)を作り、東と西を自在に行き来できる瞬間移動の空間を作るが、その最中、偶然にも因縁浅からぬ魔剣・「七殺天凌」(ななさつてんりょう)を拾うことになった。
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: 二つ名 -「鳴鳳決殺」(メイホウケッサツ / Míng Fèng Jué Shā / ミンフォンジュエシャ)
: 第一期第四話で初登場。誕生日は7月10日<ref>{{Cite web|url=https://www.thunderboltfantasy.com/season1/goods/#item23|title=Goods | Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀|date=2020-05-29|accessdate=2020-07-16}}</ref>。悪名高い殺し屋<ref>剣術を極めてから名門流派に道場破りを行ったが、強すぎたため金子を積まれ他の流派を先に襲うよう頼まれる。やがて、いずこかの武門に恨みを持つものが献金を募り、一定額に達すると道場破りを行い師範門弟を皆殺しにするという道場破り代行業を営むようになる(キャラクターデザイン画集 p.15より)。</ref>にして無双の剣の達人。武器は双剣「鳳啼雙聲(ほうていそうせい)」。
: 過去に凜雪鴉(リンセツア)に命より重い屈辱を味わわされた<ref>その様子が劇場版「生死一劍」殺無生編で描かれている。</ref>ため、凜雪鴉を執拗に付け狙う。
: 凜雪鴉の首を担保に、奪った迴靈笛を持って旅の一行に加わる。人を斬る事しか頭にない常軌を逸した殺人鬼ではあるが、逗留している酒楼に殺人鬼の自分が居座ったことで、他のたちが店の外に逃げられことについて、その店の損害分の貸し切り料を店主に払うなど、気前のいい面もある。
: 凜雪鴉の首を取るべく七罪塔に踏み込んだが、退路を失くした凜雪鴉よりも、力量を計り負けると分かった蔑天骸(ベツテンガイ)へ勝負を挑み敗死。その亡骸は魔脊山の頂に葬られ、生前の愛剣を墓標として眠っており、いる。
: 第三期は凜雪鴉がこの墓を参る一幕から始まる。
 
==== 西幽の協力者 ====
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: 『生死一劍 殤不患編』で初登場。紅蓮の装束を纏った吟遊詩人。西幽では殤不患の相棒役であった。武器は魔[[琵琶#中国の琵琶|琵琶]]「聆牙(リョウガ)」。
:生まれと育ちは西幽。生来に天賦の歌声と音感を持ち、幼少期は盲目の母・'''咒旬瘖'''と山で過ごし、歌と刀の稽古に明け暮れる日々を過ごす<ref name="seiyuu genka character">[https://web.archive.org/web/20190907115136/http://www.thunderboltfantasy.com/gaiden2/character Thunderbolt Fantasy 西幽玹歌 Character]</ref>。
:声変わりを境に事故で母を失ってからは酒場の客寄せとして歌を披露していたが、その酒場が浪巫謠の歌声を目当てにした客に超高額の席料と[[アヘン|阿片]]酒を振る舞うようになり、それ目当てに悪を成して金を稼ぐ小悪党を増やすことになった罪で捕縛される。捕縛した嘯狂狷によって西幽皇女・'''嘲風'''の前に突き出され、彼女の前に武芸と歌を披露したことで'''天籟吟者(テンライギンジャ)'''の称号を授かり寵愛を受ける。母の悲願であった宮廷入りを果たすものの、嘲風の悪趣味な血の宴に付き合わされ続けたことで、自分の在り方の正邪について悩み続け、かつて親交のあった睦天命(ムツテンメイ)の策に嵌ったことをきっかけに殤不患と知り合う。その後、自らの正義の在り方を問い続け、皇女の鶯(ウグイス)としての立場を捨て、正義を追い求めるために殤不患に同行することを決めた。
: 『生死一劍 殤不患編』で、殤不患を追って単身、鬼歿之地を渡る姿が描かれ、第二期序盤で東離の殤不患と再会。禍世螟蝗が彼の居場所を察知し蠍瓔珞を追っ手として差し向けたことを伝え、以後行動を共にする。
: 喉に尋常ならざる魔力が宿っており、かつてその魔性の歌声に当てられた西幽の皇女は、彼を宮中に囲おうと軍隊を駆り出し国ぐるみの騒動を起こした。このように声そのものが何かと厄介事を引き寄せることから滅多に口を開かない。その為、普段は常に携えている魔琵琶「聆牙」が彼の言葉を代弁する他、その音色でも感情表現をする。
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: 声 - [[千葉一伸]]
: キャラクターデザイナー - 三杜シノヴ([[ニトロプラス]])
: 『生死一劍 殺無生編』に登場。「剣聖」、「永世劍聖位」と呼ばれ、四年に一度行われる「劍聖會」で百戦百勝を続けている剣の王でもある。今大会では、鐵笛仙は参加者たちを審議する審判団の最高位団長も兼任している
:かつての殺無生の師匠で、幼い時に頭蓋骨を割られ捨てられた殺無生を救った恩人でもある。
:鐵笛仙は凜雪鴉の策略により、殺無生が由緒正しき「劍聖會」に怪しい弓使い(神箭手と名乗っていた狩雲霄)を引き入れ、参加者の大半を殺傷する暴挙卑怯なことを行ったと誤解したまま、する。劍聖會の決勝戦では、殺無生し、尋常ならざる怒りと殺意を持って襲いかった<ref name="seishi ikken"/>。
:試合の最終局面で、狩雲霄の矢により右足を射抜かれ身動きが出来なくなった所を、殺無生の剣で胸を刺し貫かれ、それが致命傷となった。今際の際には殺無生に向かって「生涯、貴様には剣聖の名など与えられない、剣鬼でしかない。剣など教えるべきではなかった。拾った時にあのまま死ぬのを待てば良かった、死なぬと言うならこの手で殺すべきだった。」と彼に呪詛を吐きながら、落命するした。この結果、大会の優勝者は殺無生に決まった、と思われた。しかし、審判団の判定は殺無生の予想外のものだった。なんと、殺無生は反則負けとなり、鐵笛仙試合の勝者となった<ref name="seishi ikken"/>。
 
; {{Anchors|偽殤不患}}偽殤不患(ニセショウフカン)
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:『生死一劍 殤不患編』に登場。「殤不患」を名乗り、蔑天骸率いる玄鬼宗を倒した武勇伝を語り歩いている肥満の男。その正体は赤子の時に攫われ育てられた名もなき玄鬼宗の一人だった。二十歳を越えて並以下の武術しか身に付かず、そのままでは試し切りの据物を待つばかりの未来を悟り、一年前に魔脊山より逃げ出した<ref name="seishi ikken"/>。
:巷で凜雪鴉が流布している殤不患の武勇伝と玄鬼宗にいた頃の知識を合体させた、虚実入り混じった話を吹聴し、自身を殤不患と偽る事で、飯場で酒の支払いをツケにして居座っていた。そこをたまたま本物の殤不患に出会し、彼にほら話を聴かせ始める<ref name="seishi ikken"/>。
:玄鬼宗の殊遇を説いて回っている事を聞きつけた残党が飯場にやって来て一目散に逃げ出すが、呆気無く追い付かれ命の危険に晒される。そこを駆けつけた不患により命を救われる<ref name="seishi ikken"/>。
:故郷や親・兄弟、語るべき名前も持っていなかった彼は、玄鬼宗を抜けてから物乞いとなり犬畜生の様に生きてきた。彼に残されていたのは玄鬼宗にいた時の知識のみであったから、その真実を己の半分とし、残りの半分を凜雪鴉が吹聴している「殤不患の英雄譚」の知識で嘘偽りの自分として埋めることで、新しい自分になろうとしていた。殤不患を騙った事を本人に見逃してもらい、話の盛り過ぎはボロが出るから弁えるよう忠告される。これに感動した偽殤不患は、いつか必ず自分だけの顔と名前でご恩返しすると、本物の殤不患に言うのだった<ref name="seishi ikken"/>。
 
;{{Anchors|棄天帝}}棄天帝
: 声 - 黄文擇
: 『生死一劍 殤不患編』に登場。[[霹靂布袋劇]]の霹靂神州III之天罪からゲスト出演。
:偽殤不患のほら話において、追い詰められた蔑天骸が最後の魔力を駆使した秘術で呼び出された、異世界の彼方からの助っ人という扱いで登場する。偽殤不患のキョウリュウハチレンホウ狂龍八斬法・夜龍一炬で一刀で、斬り捨てられたという事になっている<ref name="seishi ikken"/>。
 
;{{Anchors|諦空}}諦空(テイクウ / Di Kong / ディ・コン)/ 婁震戒(ロウシンカイ / Lu Zhen Jie /ローチェンシー)
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: キャラクターデザイナー - [[なまにくATK]]([[ニトロプラス]])
: 第二期第三話で初登場。流浪の苦行僧。
: 諦空(テイクウ )は、出会った者の要求を聞き届けるかわりに、その意味を問いただすという、奇妙な行動を繰り返す人物である。また、彼には氣功の心得があり、患者を助ける意味があるならば自身を顧みずに解毒を行うものの、それは慈悲や信仰によるものでなく、自分を含めた何ものにも価値や意味を見いだせぬ虚無感から来る行為であった。
: 諦空(テイクウ )は、いつも人間的な情を否定しているので、その大善にも大悪にもなり得る彼の行動理念は、浪巫謠(ロウフヨウ)から見たら、最大限の警戒を要する程、危ういものであった。
: その後、諦空(テイクウ )は魔剣「七殺天凌」(ななさつてんりょう)に出会うと、「七殺天凌」(ななさつてんりょう)の怪しい妖気に夢中になり、その後は、自分の全てを魔剣「七殺天凌」(ななさつてんりょう)に捧げるようになった。
: また、諦空(テイクウ )は魔剣「七殺天凌」(ななさつてんりょう)のことを「媛(ひめ)」と呼び慕い、彼女にすべてを捧げる悪鬼羅刹と化した。そして、その時に還俗し、それ以後は、俗名の「婁震戒」(ロウシンカイ)を名乗ることにした。
: 俗名に戻った婁震戒(ロウシンカイ)は、蠍瓔珞の殺害、仙鎮城を陥落、討伐をしに来た浪巫謠を返り討ち<ref>ただし浪巫謠は凜の横槍で敗死に至らずに済んでいる。</ref>、鬼歿之地にて巨龍・歿王を斃すなど驚異的な戦闘能力を見せつける。
: また、婁震戒(ロウシンカイ)は、心底から魔剣「七殺天凌」(ななさつてんりょう)へ強い思慕を抱いており、魅了の術にかかっていないために、彼女の思惑を超えて暴走し、何よりも他人の手に「七殺天凌」(ななさつてんりょう)が渡ることを恐れて、人跡未踏の谷底へ心中同然の身投げを行おうとするなど狂気的な行動を取るようになる。
: 凜雪鴉によって鬼歿之地に流された後、ここで七殺天凌とともに残りの時間を過ごすことを望もうとしたが、七殺天凌の挑発によって鬼歿之地から舞い戻り、偶然遭遇した嘯狂狷を殺害した上に吊し上げ、殤不患に宛て付けの「果たし状」とした。
: 婁震戒(ロウシンカイ)は殤不患との決戦の際、最初は優勢となるも、殤不患の、凜雪鴉・浪巫謠との「喪月之夜」を使用した連携の前に敗北する。七殺天凌を手放しかけるも、七殺天凌が墨と化して封印される直前、右腕を犠牲にして七殺天凌を奪回し、七殺天凌と共に魔脊山の底へと落ちて姿をくらましていった。
: 第三期では婁震戒(ロウシンカイ)は無界閣(むかいろく)で七殺天凌(なさつてんりょう)を紛失し、逢魔漏でどことも知れぬ異世界へ漂着して鬼奪天工と出会う。代替となる機械義手を授かった後、七殺天凌を侮辱した鬼奪天工を置いてひとりで現世へと帰還する。
: 当初は殤不患(ショウフカン)が七殺天凌を奪還したと見て執拗に彼を付け狙うが、西幽に流れ着いたことで嘲風に取り入り、間者となっていた萬軍破と渡りをつけて神蝗盟の協力者となり追跡を続行した。
: 最終的に無界閣(むかいろく)のなかで身を潜めていた七殺天凌を彼女の不本意な形であるが取り戻し、言われるがままに過去に渡るものの、「照君臨」となった彼女に絶望し、あくまで剣であることを求めたことで照君臨の不興を買って過去に取り残されてしまう。
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: 脚本・虚淵玄の参加するTRPG企画「[[レッドドラゴン (TRPG)|レッドドラゴン]]」より[[スターシステム]]としての登場<ref>[https://web.archive.org/web/20181015173940/https://twitter.com/Butch_Gen/status/1051881475430277120 10:04 - 2018年10月15日 虚淵玄]</ref>。混同を避ける為、レッドドラゴン版の呼び名を「[[レッドドラゴン (TRPG)#主要なNPC|チーシャーティェンリー]]」、東離劍遊紀版を「ななさつてんりょう」とする<ref>[https://web.archive.org/web/20181015174040/https://twitter.com/Butch_Gen/status/1051881681613778945 10:05 - 2018年10月15日 虚淵玄]</ref>。
:;照君臨(しょうくんりん)
:: 声 - [[悠木碧]]
:: 第三期より登場。七殺天凌が魔族であった時の姿であり、魔界きっての妖術使いとしてその名を轟かせた刑亥の実の姉。西の国を乱した伝説の妖姫。
:: 照君臨(しょうくんりん)は絶世の美貌を持つ女性であり、窮暮之戰(きゅうぼのせん)が終結した後に西幽に紛れ込み、帝国の内部から人の世を乱すために暗躍した。
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:『西幽玹歌』に登場。浪巫謠の実母であり、盲目の音曲師。物語時点ですでに故人。
:現在では『聆牙』となっている琵琶のもともとの持ち主。山の奥深くで息子とともに暮らし、厳しすぎるほどの歌の特訓を息子に強いていた。自分を追いやった宮中に浪巫謠を送り込むことを望んでいたが、それは強い愛情ゆえだということを息子には気づかれていた。浪巫謠が声変わりした際、盲目であるため息子だと認識できず錯乱し、そのまま崖下へと転落して還らぬ人となる。
:本名は聆莫言。元・西幽の皇女であり、歌に秀でた恋に恋する女性だった。魔族である阿爾貝盧法(アジベルファ)が扮した男と不義の恋に落ち、子供を授かるものの、正体を現した阿爾貝盧法に「光」を奪われ、盲目となった。魔族の子を孕んだことで堕胎と尼寺送りの選択を強要されるが、盲目の身を顧みずに子を産み育てるために宮廷より出奔し、冬山へと落ち延びて咒旬瘖を名乗るようになる。
 
==== 西の朝廷関係者 ====
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: 蔑天骸(ベツテンガイ )は宝剣魔剣の蒐集家であり、「剣こそは力の証」を信条とする。剣鬼の殺無生(セツムショウ)すら凌駕する無双の剣術と死霊を操る法術を身につけており、その強大な力に裏打ちされた己の価値観を絶対であると信じて疑わぬ尊大な性格である。一方で蔑天骸(ベツテンガイ )は、大変なカリスマ性の持ち主であり、彼の配下は主人の為に喜んで命を投げ捨てる。
: 蔑天骸(ベツテンガイ )は、かつては七罪塔の前主であった強大な力を持つ魔術師の一衛兵にすぎなかった。しかし、その後、剣の道への執着心と己の覇道を進むために、自分の主である魔術師を殺害した。そして、魔術師の書庫から法術を学び、自分の剣技と戦闘能力を高めて、自ら「玄鬼宗」(げんきしゅう)を率いる頭目になった。また、「玄鬼宗」(げんきしゅう)は七罪塔をアジトにした。
: 蔑天骸(ベツテンガイ )は、「天刑劍」を至高の剣と見定め、「鍛劍祠」(たんけんし)を襲撃、丹衡を殺害し「天刑劍」の「柄」を奪取した<ref>アニメ1期1話</ref>。七罪塔に乗り込んできた凜雪鴉に対しては、その素性を知った上で彼を歓待し、和やかに会食をしながら「天刑劍」の「鍔」を手に入れるために舌戦(心理戦)を繰り広げた。その会談の最中に、剣鬼・殺無生(セツムショウ)が乗り込んできたが、蔑天骸は殺無生と剣で戦い、撃破する。一方で、弓の名手・狩雲霄らと裏取引をして「天刑劍」の本物の「鍔」を探すように指示する。そして、蔑天骸が「鍛劍祠」(たんけんし)で念願の「天刑劍」を引き抜いた時、地面に大きな穴が開き、刑亥から妖荼黎(ヨウジャレイ)の復活を聞くも、蔑天骸は妖荼黎(ヨウジャレイ)によって地上が破壊つくされ、再び乱世の世界になることを喜ぶ。そして、そんな乱世の世界で自分が生きることを望み、世の破滅間際での再会を約束し、立ち去ろうとした。しかし、その時、そこで、凜雪鴉と対峙し、両者は、剣を交えて対決する。しかし、蔑天骸(ベツテンガイ )は凜の剣の攻撃に圧倒され、屈辱と怒りを覚えた。覚悟と情熱が結果とならない理不尽さへの憤りこそが武の本質から遠ざけているものの正体と諭されるが、それでもなお蔑天骸(ベツテンガイ )は、自分こそが無双と信じ、全身全霊を賭けた奥義を放つが凜には届かず、逆に寸止めで殺されずに済まされてしまう。
: この時になってようやく蔑天骸は凜雪鴉の目的が自身の矜持を傷付けることであるのに気づき、屈辱と絶望に塗れる。そして、凜が愉しんでやまぬこの世界を滅ぼし、絶望を与えようと「天刑劍」を破壊する。妖荼黎(ヨウジャレイ)を再び地中に封印する唯一の術を失わせ、驕慢と傲岸の魂を砕かれながらも最期は笑いながら果てた。
 
623 ⟶ 657行目:
: 魔族の三兄弟。長男の諾八地だけが窮暮之戰の経験者で人間を知っていた。迷い込んだ殤不患と浪巫謠を討つべく当初は圧倒したが、形勢逆転の末に敗北した。
 
=== 萬輿 ===
;白蓮(びゃくれん)
:声 - [[子安武人]]
:窮暮之戰が起こった200年前の萬輿(ばんこう)において、神誨魔械(しんかいまかい)を作り出した人物。後世においては人々に技を授けた神仙だと伝えられている。
: その正体は、異なる世界の「中原」なる地から漂流してきた'''人間'''である。魔族に虐げられる人々を見かね、救いの手を差し伸べたところ、自らの地で鍛えられた剣が魔族に覿面な効果があると知る。神誨魔械の生みの親でもあるが、本人も自分の領域で鍛えられた剣が神誨魔械となる理屈までは理解しておらず、未来から現れた殤不患(ショウフカン)によって後世の人々の争いの種になっていることを知るや深い後悔に囚われる善心の持ち主。
:深い洞察力と包容力を併せ持つ懐の深い人物でもあり、殤不患との対話を経て肝胆相照らす仲となり、未来を託すに足る人物と認めると彼に魔剣目録の後事を託した。程なくして萬輿からもとの中原へと帰還したとされる。
:本家「霹靂布袋劇」の主人公である'''素還真'''と同一人物、もしくはスターシステムであることが示唆されている。白髪や特徴的な眉の形、「中原」という地から現れたこと、「清香白蓮」の二つ名を持っていること、また日本語吹き替えを子安武人が担当しているなど、多くの要素が彼に通じている。
 
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=== 神誨魔械(しんかいまかい) ===
: 「魔」と「人」との大戦である窮暮之戰の折、人知を超えた魔神に対抗するため人類が神仙より知恵を拝借して究極的技術で造り上げた武器群。
: 威力は伝承ほどではなく、せいぜい魔神を追い払う程度しかない。
: 窮暮之戰より200年が経過した今では殆どが時の流れの中に消え去り、たまに世に出てくるもののほとんどは後世に作られた紛い物である。
: 尚、 第二部終盤まで仙鎮城にて所蔵されており、そして城の要である「三聖具」と呼ばれる三振りの神誨魔械は魔剣目録の項を参照。
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:神誨魔械の一振り。現在はその機能は失われている。
:長い間行方不明になっていたが、第一期にて壊滅したとされる蔑天骸が率いていた玄鬼宗に略奪され、そのアジトにて収蔵されていた事が発覚、凜雪鴉が後述のその他の武器に記されている三振りとともに嘯狂狷を貶める策に用いた。
 
=== 魔剣目録(まけんもくろく) ===
: 第一期第十三話から登場。殤不患が西幽で集めた魔剣・妖剣・聖剣・邪剣が封印してある巻物型の道具。
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=== 念白 ===
;; {{読み仮名|念白|ねんぱく}}
: 布袋劇では重要な登場人物が舞台に現れた際、「口白(こうはく)師」(講談師のような人)が、その人物固有の詩吟を唄う(詳しくは[[布袋劇#出場詩]]を参照)。本作では声優が人形に声を当てているが、この念白に関しては布袋劇本来のテイストを一端でも視聴者に体感してほしいというスタッフの意向により、本場の口白師が[[台湾語]]で唄っている<ref name="famitsu">{{Cite web|和書|url=httphttps://www.famitsu.com/news/201607/07110341.html|title=『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』虚淵玄氏(ニトロプラス)が衝撃を受けた布袋劇のすごみとは? 放送開始記念ロングインタビュー|accessdate=2015-07-13|date=2016-07-07|work=ファミ通.com}}<!-- ページ下のほう「――“見慣れない演出”とは、たとえば?」あたり--に記載>--></ref>。
: 各人物の念白は、第一期公式サイト「Keyword」<ref name="Keyword">{{Cite web|和書|url= http://www.thunderboltfantasy.com/season1/keyword/| Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀|title=第一期公式サイト「Keyword」|accessdate=2018-10-31}}</ref>や、第二期公式サイト「Character」<ref name ="Character">{{Cite web|和書|url= http://www.thunderboltfantasy.com/season2/character |title= 第二期公式サイト「Character」|accessdate=2018-10-31}}</ref>のページに、日本語訳と共に記載されているので、そちらを参照。
 
== スタッフ ==
741 ⟶ 777行目:
** 第一期 - [[Niθ]]、[[中央東口]]
** 第二期 - [[なまにくATK]]
*武器デザイン - 霹靂國際多媒體股份有限公司、[[石渡マコト]]{{R|アニメディア2016/7}}
*造形アドバイザー - [[グッドスマイルカンパニー]]{{R|アニメディア2016/7}}
*音楽 - [[澤野弘之]]{{R|アニメディア2016/7}}、[[和田貴史]](第二期より)
764 ⟶ 800行目:
:作詞 - [[井上秋緒]] / 作曲 - [[浅倉大介]] / 歌 - [[T.M.Revolution]]
; 第二期オープニングソング
;「[[His/Story/Roll The Dice|His/Story]]
:作詞 - [[藤林聖子]],[[mpi]] / 作・編曲 - 澤野弘之 / 歌 - [[西川貴教]]
; 第三期オープニングソング
770 ⟶ 806行目:
:作詞 - [[エンドケイプ]] / 作・編曲 - 澤野弘之 / 歌 - 西川貴教
; 第二期エンディングソング
;「[[His/Story/Roll The Dice|Roll The Dice]]
:作詞 - 藤林聖子 / 作・編曲 - 澤野弘之 / 歌 - 西川貴教
 
980 ⟶ 1,016行目:
| 2021年4月3日 - | 土曜 22:30 - 23:00 | TOKYO MX | 東京都 |
| 2021年4月4日 - | 日曜 0:00 - 0:30(土曜深夜) | [[BS日本|BS日テレ]] | 日本全域 | BS放送 / 『[[アニメにむちゅ〜]]』枠
| ref={{Cite web|和書|url=http://www.thunderboltfantasy.com/season3/onair/|title=放送・配信情報|work=『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀3』公式サイト|accessdate=2021-2-4}}
}}
ネット配信は第1期がバンダイチャンネルほかにて実施中<ref>[httphttps://www.b-ch.com/ttltitles/index.php?ttl_c=5235&utm_source=wis&utm_medium=tops&utm_campaign=ttl/ Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀]バンダイチャンネル公式ホームページ</ref>。
 
== 書誌情報 ==
1,007 ⟶ 1,043行目:
=== 小説 ===
;Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀 外伝(刑亥編・殺無生編)
* 刑亥編 著:手代木正太郎、殺無生編 著:[[江波光則]]、イラスト:三杜シノヴ・源覚([[ニトロプラス]]、Nitroplus(Nitroplus Books刊)、全1巻
**2017年4月7日発売(一般流通を使った出版物ではないためISBNは無い)
 
1,026 ⟶ 1,062行目:
{{Main2|主な配役|Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀#登場人物}}
:宝塚版のみの登場人物:捲殘雲の母 [[万里柚美]]、傀儡師[座長][[如月蓮]]、傀儡師 [[白妙なつ]]、傀儡師 [[瀬稀ゆりと]]、傀儡師 [[紫月音寧]]、傀儡師 [[ひろ香祐]]、傀儡師 [[紫りら]]、傀儡師 [[音咲いつき]]、捲殘雲の父 [[拓斗れい]]、傀儡師 [[彩葉玲央]]
* その他詳細は、宝塚版公式ホームページを参照。<ref>{{Cite web|和書|url= https://kageki.hankyu.co.jp/sp/revue/2018/thunderboltfantasytourikenyuuki/index.html|title= 星組公演 『Thunderbolt Fantasy(サンダーボルト ファンタジー)東離劍遊紀(とうりけんゆうき)』|accessdate=2018-10-31}}</ref>
 
== コラボレーション ==
1,033 ⟶ 1,069行目:
 
; Fate/Grand Order
: 2021年春の『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀3』放送を記念し、同作と同じく虚淵玄がシナリオを担当するソーシャルゲーム『[[Fate/Grand Order]]』とのコラボレーション企画として制作された短編動画。[[グッドスマイルカンパニー]]のYoutube[[YouTube]]チャンネルにて、2021年4月2日から期間限定配信された。
;: あらすじ
:: 殤不患は旅の途中、魔剣目録を狙う一人の妖術使いと対決していた。その術により体の動きを乗っ取られ、自害させられそうになった殤だが、凜雪鴉が助太刀に駆けつけて自害は免れた。しかし危機は去ったわけではなく、妖術使いは殤を操り凜と戦わせる。その時、魔剣目録の中から殤の見覚えのない剣が顕現する。それは「この世の理を守ろうとする天の采配」によって顕現した異世界の聖剣・'''エクスカリバー'''だった。
1,086 ⟶ 1,122行目:
[[Category:漫画作品 さ|んたあほるとふあんたしいとうりけんゆうき]]
[[Category:モーニングの漫画作品]]
[[Category:チャンピオクロス]]