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{{複数の問題
| 出典の明記 = 2019年4月
| 大言壮語 = 2019年4月
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{{Infobox 組織
| 名称 = 勧善懲悪委員会
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| ボランティア =
| 予算 =
| ウェブサイト = [http://www.hesbah.gov.sa/ 勧善懲悪委員会公式サイト]
| 補足 = [[サウジアラビア]]の[[宗教警察]]
}}
{{Islam}}
'''勧善懲悪委員会'''(かんぜんちょうあくいいんかい、{{Lang-ar|هيئة الأمر بالمعروف والنهي عن المنكر}}、{{Lang-en|Committee for the Promotion of Virtue and the Prevention of Vice}}<ref group="注">サウジアラビア政府公式の英語訳</ref>、略称: '''CPVPV''')は、[[サウジアラビア]]の[[宗教警察]]。別名は[[ムタワ]]。
 
'''勧善懲悪委員会'''(かんぜんちょうあくいいんかい、{{Lang-ar|هيئة الأمر بالمعروف والنهي عن المنكر}}、{{Lang-en|Committee for the Promotion of Virtue and the Prevention of Vice}}<ref>サウジアラビア政府公式の英語訳</ref>、略称: '''CPVPV''')は、[[サウジアラビア]]の[[宗教警察]]。別名は[[ムタワ]]。
 
== 概要 ==
正式名称は「徳の奨励と悪徳の禁止の委員会」となる。サウジアラビアの[[国教]]である[[イスラム教]][[ワッハーブ派]]の三大教義の一つである「[[勧善懲悪 (イスラーム)|勧善懲悪]]の実施」を行う政府機関として宗教警察の役割を持ち、国内の[[思想統制]]に大きな力を発揮している。一般にはイスラム社会における宗教警察を表す「[[ムタワ]]」の略称で呼ばれている。
 
[[サウジアラビア]]の[[国教]]である[[イスラム教|イスラーム教]][[ワッハーブ派]]の三大教義の一つである「[[勧善懲悪 (イスラーム)|勧善懲悪]]の実施」を行う政府機関として長年にわたり宗教警察の役割を持ち、同国が開放政策へと転換するまでの期間において国内の[[思想統制]]に大きな影響力を持っていた。
 
代表者は長年にわたり[[シャイフ]]・イブラム・ビン・アブドゥッ・アルガイス{{enlinklang|ar|إبراهيم بن عبد الله الغيث}}, Ibrahim Bin Abdullah Al-Ghaith<ref group="注">{{en|Sheikh Ibrahim Bin Abdullah Al-Ghaith}} のうち {{en|Sheikh}} は文語アラビア語でシャイフ、口語アラビア語でシェイフないしはシェーフと発音される称号・敬称。</ref>)が務めていたが、2009年に[[解雇]]され、穏健派指導者へと代えられている。
 
[[ターリバーン]][[政権]]下の[[アフガニスタン]]にも同様の組織として[[勧善懲悪省]]が存在していた。
 
== 歴史 ==
現在の名称になったのは[[1940年]]であるが、組織の発足は[[1927年]]のイフワーンの反乱にまで遡る。[[1912年]]頃、[[サウード家]]が[[アラビア半島]]に支配権を確立して現在のサウジアラビアの基礎ができた当時、[[宗教]]的な取締りの役目は[[イフワーン]]が担っていた。しかし、[[1926年]]にイフワーンが[[エジプト]]から来た[[ハッジ|メッカ巡礼]]団を[[異教徒]]として襲撃した事件が問題になり、襲撃事件が[[イラク]]や[[クウェート]]にまで越境して深刻な問題に発展した。

このため、イフワーンから襲撃の大義名分を奪う目的で、[[国王]]の[[勅令]]により勧善懲悪委員会の前身となるムタワが設置された。イフワーンの反乱が鎮圧され、イフワーンが実質的に壊滅してからは現代に至るまで勧善懲悪委員会が宗教警察としての役目を担っている。
 
元々は地域[[住民]]への生活指導などを行うボランティア組織的なものであり、懲罰といっても小さな[[鞭]]で軽く叩く程度であった。[[湾岸戦争]]以降、[[西洋]][[文化]]の流入が進むと態度を硬化させるようになり、取り締まりの過激化が進み、違反者の[[逮捕]]・[[サウジアラビアにおける死刑|処刑]]まで行うようになった。
 
近年では、[[皇太子]][[ムハンマド・ビン・サルマーン]]の近代化改革で開放政策・娯楽産業推進政策<ref>[https://mainichi.jp/articles/20181029/ddm/007/030/187000c 【揺れるサウジ カショギ氏事件の背景】(中)改革で開放感 リヤドの春/宗教警察に「強権」発動]『毎日新聞』朝刊2018年10月29日(国際面)2018年12月2日閲覧。</ref>受け影響力が低下しつつあり<ref>{{Cite news|title=「牙を抜かれた」サウジの宗教警察、社会に解放感も一抹の不安|newspaper=AFPBB News|date=2018-02-15 |url=httphttps://www.afpbb.com/articles/-/3162443|accessdate=2018-02-15}}</ref>、[[2016年]][[4月]]には、サウジアラビア政府の決定により逮捕権が剥奪された<ref>{{Cite journal|和書|last=Ishiguro|author=石黒大岳|first=Hirotake|year=2016|title=サウジアラビア「ビジョン 2030」とサルマーン体制の課題|url=http://www2.jiia.or.jp/pdf/research/H28_Middle_East/06_ishiguro.pdf|journal=平成28年度外務省外交・安全保障調査研究事業 安全保障政策のリアリティ・チェック ―新安保法制・ガイドラインと朝鮮半島・中東情勢― 中東情勢・新地域秩序|volume=|page=90|chapter=6|accessdate=2017-11-06|format=PDF}}</ref><ref>{{Cite report|author=在サウジアラビア日本国大使館|date=Dec 2017-12|title=安全の手引き|url=http://www.ksa.emb-japan.go.jp/j/consular/security.pdf|accessdate=2018-02-15}}</ref>ことでサウジアラビアの表舞台から姿を消し<ref>{{Cite web |title=عامان على تجميد "هيئة الأمر بالمعروف" في السعودية |url=https://www.alaraby.co.uk/%D8%B9%D8%A7%D9%85%D8%A7%D9%86-%D8%B9%D9%84%D9%89-%D8%AA%D8%AC%D9%85%D9%8A%D8%AF-%22%D9%87%D9%8A%D8%A6%D8%A9-%D8%A7%D9%84%D8%A3%D9%85%D8%B1-%D8%A8%D8%A7%D9%84%D9%85%D8%B9%D8%B1%D9%88%D9%81%22-%D9%81%D9%8A-%D8%A7%D9%84%D8%B3%D8%B9%D9%88%D8%AF%D9%8A%D8%A9 |website=https://www.alaraby.co.uk/ |access-date=2023-10-06 |language=ar |last=Salamah.Abdulhameed}}</ref><ref>{{Cite web |title=هيئة "الأمر بالمعروف" السعودية ترد على أخبار بشأن عودتها للعمل |url=https://arabi21.com/story/1512289/%D9%87%D9%8A%D8%A6%D8%A9-%D8%A7%D9%84%D8%A3%D9%85%D8%B1-%D8%A8%D8%A7%D9%84%D9%85%D8%B9%D8%B1%D9%88%D9%81-%D8%A7%D9%84%D8%B3%D8%B9%D9%88%D8%AF%D9%8A%D8%A9-%D8%AA%D8%B1%D8%AF-%D8%B9%D9%84%D9%89-%D8%A3%D8%AE%D8%A8%D8%A7%D8%B1-%D8%A8%D8%B4%D8%A3%D9%86-%D8%B9%D9%88%D8%AF%D8%AA%D9%87%D8%A7-%D9%84%D9%84%D8%B9%D9%85%D9%84 |website=عربي21 |date=2023-05-14 |access-date=2023-10-06 |language=ar}}</ref>、社会運営の主導権は総合娯楽庁に移った形となっている<ref name=":0">{{Cite web |title=أين ذهبت هيئة الأمر بالمعروف في السعودية؟ |url=https://www.swissinfo.ch/ara/afp/%D8%A3%D9%8A%D9%86-%D8%B0%D9%87%D8%A8%D8%AA-%D9%87%D9%8A%D8%A6%D8%A9-%D8%A7%D9%84%D8%A3%D9%85%D8%B1-%D8%A8%D8%A7%D9%84%D9%85%D8%B9%D8%B1%D9%88%D9%81-%D9%81%D9%8A-%D8%A7%D9%84%D8%B3%D8%B9%D9%88%D8%AF%D9%8A%D8%A9-/47261892 |website=SWI swissinfo.ch |date=2022-01-14 |access-date=2023-10-05 |language=ar}}</ref><ref name=":1">{{Cite web |title=Rise and fall of the Saudi religious police |url=https://www.arabnews.com/node/1558176/saudi-arabia |website=Arab News |date=2019-09-22 |access-date=2023-10-06 |language=en}}</ref>。
 
[[メッカ]]の元委員会責任者だったアフマド・カースィム・アル=ガーミディー(<span lang="ar" dir="rtl">أحمد قاسم الغامدي</span>, Ahmed Qasim Al-Ghamdi)は、勧善懲悪委員会の方針と対立<ref>[http://toyokeizai.net/articles/-/127977 「サウジ宗教警察」と戦う無謀な男の正体][[東洋経済新報社|東洋経済]]</ref>。男女同席の容認、音楽鑑賞の容認<ref>{{Cite web |url=https://english.alarabiya.net/articles/2012%2F01%2F23%2F189993 |title=Saudi cleric says nothing wrong with genders mixing, listening to music |access-date=2023-10-06}}</ref>、[[バレンタインデー]]は禁止でないとの意見発表などを行い<ref>{{Cite web |url=https://www.arabnews.com/node/1247011/saudi-arabia |title=Valentine is not ‘haram’, says ex-Saudi religious police boss |access-date=2023-10-06}}</ref>、今ではサウジアラビア王国における開放政策・娯楽産業推進政策を支える存在となっている。
 
かつて勧善懲悪委員会が取り締まっていたバレンタインデー祝賀も公的に解禁<ref>{{Cite web |url=https://english.alarabiya.net/features/2023/02/13/Valentine-s-Day-in-Saudi-Arabia-Once-banned-holiday-entices-couples-singles-alike |title=Valentine’s Day in Saudi Arabia: Once-banned holiday entices couples, singles alike |access-date=2023-10-06}}</ref>となるなど、サウジアラビア王国は大きな変化を経験。勧善懲悪委員会は既にその役目を終えた状態となっており<ref name=":0" /><ref name=":1" />、[http://www.pv.gov.sa/ 公式ウェブサイト]も無くなった。
 
== 組織と活動 ==
イスラム宗教庁の内部委員会であり、[[日本]]の省庁でいうところの局に相当する組織である。
 
2022年時点で[https://web.archive.org/web/20230709104116/https://www.pv.gov.sa/Pages/HT.aspx 傘下組織]には一般宗教犯罪部門、詐欺部門、情報犯罪部門(いわゆるネット犯罪やプライバシー侵害類)、魔術・まじない部門があり宗教系犯罪に加え一般道徳に関する問題に関与。電話相談窓口の案内などもウェブサイトに掲示していたが、現在では[http://www.pv.gov.sa/ 公式ウェブサイト]は無くなり活動詳細の確認もできなくなっている。
サウジアラビアでは3,500人の職員と多数の[[ボランティア]]によって運営されており、総人数は4,000人から5,000人ともいわれている。委員には王族に知事や副知事、宗教指導者まで幅広い権力者が在籍しており、サウジアラビア国内における影響力は非常に大きく、イスラムにおける倫理委員会の役目を果たしている。
 
=== 魔術・まじない撲滅班 ===
勧善懲悪委員会自体は[[司法警察|司法警察権]]や裁判権は持っていないため、正規の[[警察官]]と二人一組で活動している。実際に[[逮捕]]を行うのは警察官である。逮捕した相手に対する[[告訴・告発|告発]]を行うだけで[[裁判]]そのものは[[裁判官]]が執り行うが、実質的に[[警察]]も[[裁判所]]も勧善懲悪委員会の威光には逆らえない。
勧善懲悪委員会の組織の一つ。アラビア語では {{lang|ar|وحدة مكافحة السحر والشعوذة}} といい、英語では {{en|Commission anti-sorcery}} や {{en|Anti-Witchcraft Unit}} などと表現。年々増加する(黒)魔術ならびに[[まじない]]・[[詐欺]]に対応するために創設された。委員会の地域支部に班員らがおり地元で発生した案件に対処、報道陣向けに情報を提供する[[スポークスマン]]も置かれている。
 
組織名に含まれる {{lang|ar|السحر}} や {{lang|ar|الشعوذة}} は小説や映画に出て来るファンタジー的な魔法ではなくアラブ諸国で社会問題化している[[黒魔術]]・呪詛、[[除霊]]といった[[迷信]]行為を具体的には指す。イスラームの教えから外れている[[民間信仰]]であること、また人間が[[魔法]]などの超自然的な力を持つと主張することは詐欺・詐称や人々を惑わす行為であるとし、黒魔術・呪詛・霊感商法類を摘発。
湾岸戦争以降に流入するようになった西洋文化に対して非常に強い拒否反応を示しており、彼らの考える「イスラムの教義」に合わない[[欧米]]文化の排除に積極的に活動している。
 
黒魔術類の増加を受け同様の活動が他のアラブ諸国でも行われており似たようなネーミングの組織も存在するが、サウジアラビア王国の場合は勧善懲悪委員会自らが率先して行ないキャンペーン等を展開している。
=== 魔法部 ===
人間が[[魔法]]などの超自然的な力を持つと主張したり、信じることはアラーへの冒涜であるとされており、勧善懲悪委員会では魔法部が魔術師を自称する者を取り締まっている。
 
オフィスでの受付に加え電話やメールによる問い合わせにも対応<ref>{{Cite web|url=https://www.my.gov.sa/wps/portal/snp/servicesDirectory/servicedetails/9270|title=مكافحة السحر والشعوذة|accessdate=2022-1-12}}</ref>。黒魔術被害に遭った人々からの相談を受け呪詛具の判定作業<ref group="注">人々は呪詛具に触れたり袋を開けたりすることを嫌うためイスラーム宗教者に手渡し相談することを希望する傾向が強い</ref>ならびにイスラーム的手順に従ったそれらの無効化作業({{lang|ar|فك السحر}})も行う。呪詛により原因不明の病気に襲われていると疑われるケースでは[[クルアーン]]の章句を唱えるなどし解除作業に当たる。
魔法部では魔法使いに魔法をかけられた場合にどうしたらよいか電話相談を受け付けており、相談内容に信憑性がある場合には実際に調査、逮捕、起訴が行われ、実際に魔女とされる人物が摘発される([[魔女狩り]])。ただし、魔法部の担当者は[[ウラマー]]一人しか居ない。
 
よくある業務はサウジアラビア国民や外国人居住者による黒魔術摘発、呪詛具への対応、非イスラーム的霊媒師・呪術師・詐欺師の摘発など。
== 活動 ==
[[インターネット]]サイトの監視に加えて、[[イヌ|犬]][[ネコ|猫]]を[[ペット]]として飼うことを禁止したり<ref>{{en icon}} Associated Press (2006-12-18), [http://www.msnbc.msn.com/id/14738358/ "Cats and dogs banned by Saudi religious police"], [[MSNBC|msnbc.com]]; 2011-02-03閲覧.</ref>、[[酒]]の販売禁止と取締り、[[バレンタインデー]]を禁止して、市内の店舗からバレンタイン関連の商品を撤去させたりしている<ref>{{en icon}} Irfan Al-Alawi and Stephen Schwartz (2007-05-05), [http://www.weeklystandard.com/Content/Public/Articles/000/000/013/328rmach.asp "Valentine's Day in Saudi Arabia: Portents of change from the desert kingdom"], ''The Weekly Standard'', Vol. 12, No. 24; 2011-02-03閲覧.</ref>。
 
サウジアラビア他アラブ諸国では黒魔術・霊感商法・詐欺が年々増えていると言われ、勧善懲悪委員会の支部一つだけでも年間数百件単位の事案を扱うなどする。魔術・まじない摘発活動や典型的呪詛手段に関する知識を高めるためのスタッフ講習会開催、啓発のための移動展示や宗教講話を通じた注意喚起も実施<ref>{{Cite web|url=https://www.al-madina.com/article/487251/%D9%87%D9%8A%D8%A6%D8%A9-%D8%A7%D9%84%D9%85%D8%AF%D9%8A%D9%86%D8%A9-%D8%AA%D9%83%D8%B4%D9%81-21-%D8%B9%D9%84%D8%A7%D9%85%D8%A9-%D9%84%D9%84%D8%B3%D8%AD%D8%B1%D8%A9-%D9%81%D9%8A-%D9%85%D8%B9%D8%B1%D8%B6-%D9%85%D9%83%D8%A7%D9%81%D8%AD%D8%A9-%D8%A7%D9%84%D8%B4%D8%B9%D9%88%D8%B0%D8%A9-%D9%87%D9%8A%D8%A6%D8%A9-%D8%A7%D9%84%D9%85%D8%AF%D9%8A%D9%86%D8%A9-%D8%AA%D9%83%D8%B4%D9%81-21-%D8%B9%D9%84%D8%A7%D9%85%D8%A9-%D9%84%D9%84%D8%B3%D8%AD%D8%B1%D8%A9-%D9%81%D9%8A-%D9%85%D8%B9%D8%B1%D8%B6-%D9%85%D9%83%D8%A7%D9%81%D8%AD%D8%A9-%D8%A7%D9%84%D8%B4%D8%B9%D9%88%D8%B0%D8%A9|title=هيئة المدينة تكشف 21 علامة للسحرة في معرض مكافحة الشعوذة هيئة المدينة تكشف 21 علامة للسحرة في معرض مكافحة الشعوذة|accessdate=2022-1-12}}</ref>。黒魔術・呪詛に関して術の完遂を防いでほしい・不安に陥れられた・病気になった・一家が不幸に見舞われた・金を騙し取られたと訴える人々への対応を強化。経験豊富なエキスパート集団・手頃な宗教詐欺事件通報先として認知されている。
近年の悪名高い活動の一つに、[[2002年]][[3月11日]]に[[メッカ]]の女学院が[[火事]]になった際の対応が挙げられる。当時、委員会は「女子生徒たちの[[セーラー服]]が規則違反だから外に出てはならない」という理由で、燃えさかる炎の中に女子生徒たちを閉じ込め、さらに[[消火]]活動にきた[[消防|消防隊]]に「女学院に[[男性]]は立ち入ってはならない」と言って、消火活動を妨害した。その結果、[[女性]]15人が死亡、50人が負傷する事態になった<ref>[http://www.arabnews.com/?page=1&section=0&article=13420&d=12&m=3&y=2002 Arab News. 12 March 2002, 14 girls die in Makkah School Stampede]</ref><ref>[http://www.arabnews.com/?page=1&section=0&article=13448&d=13&m=3&y=2002&pix=kingdom.jpg&category=Kingdom Arab News. 13 March 2002, Shock turns to outrage over school fire tragedy]</ref><ref>[http://www.arabnews.com/?page=1&section=0&article=13531&d=16&m=3&y=2002&pix=kingdom.jpg&category=Kingdom Arab News. 16 March 2002, Abdullah vows action to prevent repeat of Makkah School Tragedy]</ref><ref>[http://www.arabnews.com/?page=1&section=0&article=13582&d=18&m=3&y=2002&pix=kingdom.jpg&category=Kingdom Arab News. 18 March 2002, Naif denies commission men prevented rescuers]</ref><ref>[http://hrw.org/english/docs/2002/03/15/saudia3801.htm Human Rights Watch. Saudi Arabia: Religious Police Role in School Fire Criticized]</ref>。
 
またできないにもかかわらず能力を主張する詐欺行為ということで財宝を探し当てることができるとして大金を騙し取った詐欺師の逮捕<ref>{{Cite web|url=https://www.alriyadh.com/1043495|title=الإيقاع بمشعوذ يدعي استخراج الكنوز.. بالمدينة المنورة|accessdate=2022-1-12}}</ref>なども業務範囲に含まれる。
 
なおアラブ諸国では黒魔術に関する規定が法律に盛り込まれているなどしており、サウジアラビア王国でも最高刑として[[死刑]]が設定されている。死刑宣告が撤回された例もあるがこれまでに魔術師・詐欺師と判定された人物らが複数人死刑となっていることからしばしば国際的人権団体からの非難を受ける原因となっている。
 
== 過去の活動 ==
 
=== 過去の活動形態 ===
サウジアラビアでは3,500人の職員と多数の[[ボランティア]]によって運営されており、総人数は4,000人から5,000人ともわれている。委員には王族に知事や副知事、宗教指導者まで幅広い権力者が在籍しており、サウジアラビア国内におけるいて大きな影響力は非常に大きくを持ち、イスラムにおける倫理委員会の役目を果たしてい
 
勧善懲悪委員会自体は[[司法警察|司法警察権]]や裁判権は持っていないため、正規の[[警察官]]と二人一組で活動している。実際に[[逮捕]]を行うのは警察官であるだった。逮捕した相手に対する[[告訴・告発|告発]]を行うだけで[[裁判]]そのものは[[裁判官]]が執り行うこととされたが、実質的に[[警察]]も[[裁判所]]も勧善懲悪委員会の威光意向は逆らえない従う形だった
 
=== 過去の出来事 ===
かつては大きな権限を持っていたことから、[[インターネット]]サイトの監視に加えて、[[イヌ|犬]][[ネコ|猫]]を[[ペット]]として飼うことを禁止したり<ref>{{en icon}} Associated Press (2006-12-18), [http://www.msnbc.msn.com/id/14738358/ "Cats and dogs banned by Saudi religious police"], [[MSNBC|msnbc.com]]; 2011-02-03閲覧.</ref>、[[酒]]の販売禁止と取締り、[[バレンタインデー]]を禁止<ref group="注">開放政策に伴う国の方針としてバレンタインデーは公的に認められ、現在ではハロウィーンパレードやクリスマス祝賀も解禁となっており状況が変わっている。</ref>して、市内の店舗からバレンタイン関連の商品を撤去させたりしてい<ref>{{en icon}} Irfan Al-Alawi and Stephen Schwartz (2007-05-05), [http://www.weeklystandard.com/Content/Public/Articles/000/000/013/328rmach.asp "Valentine's Day in Saudi Arabia: Portents of change from the desert kingdom"], ''The Weekly Standard'', Vol. 12, No. 24; 2011-02-03閲覧.</ref>。
 
近年の悪名高い活動の一つに、[[2002年]][[3月11日]]に[[メッカ]]の女学院が[[火事]]になった際の対応が挙げられる。当時、委員会は「女子生徒たちの[[セーラー服]]が規則違反だから外に出てはならない」という理由で、燃えさかる炎の中に女子生徒たちを閉じ込め、さらに[[消火]]活動にきた[[消防|消防隊]]に「女学院に[[男性]]は立ち入ってはならない」と言って、消火活動を妨害した。その結果、[[女性]]15人が死亡、50人が負傷する事態になった<ref>[http://www.arabnews.com/?page=1&section=0&article=13420&d=12&m=3&y=2002 Arab News. 12 March 2002, 14 girls die in Makkah School Stampede]</ref><ref>[http://www.arabnews.com/?page=1&section=0&article=13448&d=13&m=3&y=2002&pix=kingdom.jpg&category=Kingdom Arab News. 13 March 2002, Shock turns to outrage over school fire tragedy]</ref><ref>[http://www.arabnews.com/?page=1&section=0&article=13531&d=16&m=3&y=2002&pix=kingdom.jpg&category=Kingdom Arab News. 16 March 2002, Abdullah vows action to prevent repeat of Makkah School Tragedy]</ref><ref>[http://www.arabnews.com/?page=1&section=0&article=13582&d=18&m=3&y=2002&pix=kingdom.jpg&category=Kingdom Arab News. 18 March 2002, Naif denies commission men prevented rescuers]</ref><ref>[http://hrw.org/english/docs/2002/03/15/saudia3801.htm Human Rights Watch. Saudi Arabia: Religious Police Role in School Fire Criticized]</ref>。
{{Main|en:2002 Mecca girls' school fire}}
 
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[[2008年]]には、逆に一般[[市民]]が勧善懲悪委員会メンバーに「集団暴行を行う」という事件まで起きている。
 
2008年に、[[メディナ]]への聖地巡礼に来ていた[[レバノン]]の[[霊能力]]者、アリ・フイン・スィト ([[:en:Ali Hussain Sibat]]) を法を使術(彼が行てい罪で霊能術と衛星局Shahrazad TV放送を通じた広域への影響)を理由にメディナ市内のホテルにて逮捕告発し、死刑判決が出されている死刑判決を受けた人物は、レバノンではテレビこの措置出演し、霊能力と称して[[生相談]]を行う番組を持っていた有名権団体タレントであるどから抗議寄せられもちろん本当に魔法使いだったわけではない。彼は30ヶ月にもおよぶ拘留の後、死刑罪状の再決は撤回され、断を経て釈放されている
 
[[メッカ]]の元委員会責任者だったアフメド・カシム・ガムディは、勧善懲悪委員会のやり方に疑問を投げかけ、対立している<ref>[http://toyokeizai.net/articles/-/127977 「サウジ宗教警察」と戦う無謀な男の正体][[東洋経済]]</ref>。
 
== 関連項目 ==
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== 脚注 ==
{{reflist脚注ヘルプ}}
===注釈===
{{reflist|group="注"}}
===出典===
{{reflist|24em}}
 
== 外部リンク ==
*[http://www.hesbah.gov.sa/ 勧善懲悪委員会公式サイト] {{ar icon}}
*[http://www.anzen.mofa.go.jp/manual/saudi_arabia.html#index2-5 在サウジアラビア日本国大使館,勧善懲悪委員会について(日本語)] - 日本大使館による在留邦人向け安全の手引き
 
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{{DEFAULTSORT:かんせんちようあくいいんかい}}
[[Category:サウジアラビア]]