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{{Expand English|Hate crime|date=2024年5月}}
'''ヘイトクライム'''({{lang-en-short|hate crime}}、'''憎悪犯罪'''<ref>[httphttps://kotobank.jp/word/%E3%83%98%E3%82%A4%E3%83%88%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%A0-158247#E3.83.87.E3.82.B8.E3.82.BF.E3.83.AB.E5.A4.A7.E8.BE.9E.E6.B3.89 ヘイト‐クライム1736907] デジタル大辞泉 - コトバンク</ref>)とは、[[人種]]、[[民族]]、[[宗教]]、[[性的指向]]などに係る、特定の属性を持つ個人や集団に対する[[偏見]]や憎悪が元で引き起こされる、嫌がらせ、脅迫、暴行等の犯罪行為を指す<ref name="brit">[[ブリタニカ百科事典]]:[http://www.britannica.com/EBchecked/topic/914040/hate-crime ヘイトクライム] {{en icon}}</ref>。アメリカ連邦公法によれば「人種・宗教・性的指向・民族への偏見が、動機として明白な犯罪 (Public Law101-275) 」と定義されている<ref>{{Harv|新恵里|2001|p=141}}</ref><ref>{{Cite web|url=http://www.gpo.gov/fdsys/pkg/STATUTE-104/pdf/STATUTE-104-Pg140.pdf |title=PUBLIC LAW 101-275—APR. 23, 1990 |format=PDF |accessdate=2015-11}}</ref>。
 
== 概要 ==
[[1970年代]]の[[アメリカ合衆国|米国]]で発生した概念である<ref name="brit"/>。この概念が広く注目を集めるに至ったのは、[[ワイオミング州]]にて[[マシュー・シェパード]]という[[同性愛]]者の惨殺事件が発生し、更には[[テキサス州]]で3名の[[白人至上主義|白人至上主義者]]らによる一人の黒人男性の殺害事件が発生した1998年のことであった。時のアメリカ大統領[[ビル・クリントン]]による非難声明が発されるなどして広く注目を集め浴びたこれらの事件は、やがてヘイトクライム撲滅運動それ自体の象徴として記憶される事柄となった<ref name="sophia">{{sfn|前嶋和弘, [[文教大学]][[人間科学部]][[準教授]]:[http://www.info.sophia.ac.jp/amecana/Journal/18-5.htm ヘイトクライム〔憎悪犯罪〕規正法とその問題点] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20090618060150/http://www.info.sophia.ac.jp/amecana/Journal/18-5.htm |date=2009年6月18日 2001}}</ref>。この事件をきっかけに起草された、[[性的指向]]、[[性自認]]、[[障害]]を理由とした犯罪を新たにヘイトクライムに規定する{{仮リンク|マシュー・シェパード法|en|Matthew Shepard and James Byrd, Jr. Hate Crimes Prevention Act}}が[[2007年]]に議会に提出され、[[2009年]][[10月28日]]に[[バラク・オバマ]]大統領の署名で成立した。注意点として、ヘイトクライムはその被害者が必ずしも[[マイノリティ|少数者]]に属する者とは限らないということがあげられる。[[連邦捜査局]]による1998年度アメリカの人種に基づくヘイトクライム統計では少数者の黒人による多数者の白人に対するヘイトクライムが全件中の1割以上を占めるという報告されている。また、他の少数者によるものや、同人種間でのヘイトクライムも報告されている<ref name="sophia"/>{{sfn|前嶋和宏|2001}}。ヘイトクライムは、行われる場においての多数対少数という状況の下、多数による少数への暴力という形で起こり得ることが多いとされている。
 
== 事例 ==
第三者がヘイトクライムと断定したものを列挙する。本記事の定義と必ずしも合致していない。
 
=== アメリカ ===
イスラム系を標的とした殺人<ref>{{Cite news | url = https://web.archive.org/web/20140201191852/http://www.47news.jp/CN/201212/CN2012123001001181.html | title = NYで線路に男性突き落とし殺害 女訴追、憎悪犯罪か | agency = [[共同通信社]] | publisher = [[47NEWS]] | date = 2012-12-30 | accessdate = 2014-01-29}}</ref>や黒人への暴行事件<ref>[https://web.archive.org/web/20150217175455/http://www.47news.jp/CN/201311/CN2013112301001277.html 米、ヘイトクライムで3人訴追 黒人学生を侮辱、暴行] 47NEWS(よんななニュース) 2013年11月23日</ref>、[[白人]]が犠牲者となった[[バージニア・テレビクルー射殺事件]]<ref name="PatBuchananTownhallAug282015">Pat Buchanan [http://townhall.com/columnists/patbuchanan/2015/08/28/disintegrating-america-n2044674 Dis-Integrating America] Townhall Aug 28, 2015 </ref>、同性愛者を標的とした[[オーランド銃乱射事件]]<ref>{{Cite news|author1=Ashley Fantz|author2=Faith Karimi|author3=Eliott C. McLaughlin|title=Orlando shooting: 49 killed, shooter pledged ISIS allegiance|url=httphttps://edition.cnn.com/2016/06/12/us/orlando-nightclub-shooting/|newspaper=[[CNN]]|date=2016-06-13}}</ref>など様々なヘイトクライムが指摘されている。
 
==== アジア系へのヘイトクライム ====
{{See|2019年コロナウイルス感染症による社会・経済的影響#社会}}
[[2020年]]以降は、[[SARSコロナウイルス2|新型コロナウイルス]]の発生源を[[中華人民共和国|中国]]だと信じる市民らにより、[[アジア系アメリカ人]]へのヘイトクライム被害が相次いだ<ref>{{Cite web |和書|url=https://www.afpbb.com/articles/-/3336326 |title=バイデン氏、アジア系標的のヘイトクライムを非難 「米国らしくない」 |publisher=AFP |date=2021-03-12|accessdate=2021-03-14}}</ref>。
 
ニューヨークの地下鉄でアジア系男性が突然顔を刃物で切られるという事件が発生した<ref>[https://www.bbc.com/japanese/video-56452631 いきなり顔を横一直線に切られ……急増するアジア系アメリカ人への暴力]</ref>。
 
[[2021年]][[3月16日]]には[[ジョージア州]][[アトランタ]]で、21歳の白人男性がマッサージ店3箇所で8人の女性(うち6人がアジア系)を殺害する事件が起きた<ref name=vog>https://www.vogue.co.jp/change/article/celebrities-stop-asian-hate</ref>。[[Stop AAPI HATE]]によると2020年3月から2021年2月までに3795件のアジア系への差別行為が報告されている<ref name="vog" />。生存者の証言として男が当時「すべてのアジア人を殺すつもりだ」と叫んでいたと伝えられた<ref>[https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000210358.html 「全てのアジア人殺す」米でアジア系女性ら8人殺害]2021/03/19 15:15テレ朝ニュース</ref>。これに対して[[リアーナ]]や[[グウィネス・パルトロウ]]、[[マーガレット・チョー]]、[[ジェンマ・チャン]]、[[オリヴィア・マン]]、[[ケイト・ハドソン]]、[[バーニス・アルバーティーン・キング]]牧師、[[バラク・オバマ]]元大統領、[[ミンディ・カリング]]、[[エイヴァ・デュヴァーネイ]]映画監督らが抗議し、#[[StopAsianHate]]という[[ハッシュタグ]]ムーブメントが起こった<ref name="vog" />。
 
対応策として[[ニューヨーク市警察]]ではヘイトクライム専門の捜査班を組織している<ref>{{Cite web|和書|title=アジア系女性、突然蹴られ重傷 NY、ヘイトクライムか:朝日新聞デジタル|url=https://www.asahi.com/articles/ASP3023QBP3ZUHBI03X.html|website=朝日新聞デジタル|accessdate=2021-11-03|language=ja}}</ref>。
 
=== 韓国 ===
[[2019年]][[8月23日]]に[[ソウル]]麻浦区で地下鉄弘大入口駅の近くで10代の日本人女性観光客の女性が、道で声をかけてきた[[執行猶予]]中の30代の男に「[[チョッパリ]]」などと侮辱され、髪の毛を掴まれた後に地面に殴りつけられて顔面を蹴られた暴行された。<ref>{{Cite web|和書|title=日本人女性を暴行した韓国人 差別的発言に韓国TVも「ピー音」だらけ|url=https://news.livedoor.com/article/detail/16983437/|website=ライブドアニュース|accessdate=2019-11-29|language=ja}}</ref><ref>{{Cite web|title="헌팅 거절하자 때려"…홍대 폭행사건 日여성, 법정서 '눈물'|url=https://news.naver.com/main/read.nhn?mode=LSD&mid=sec&oid=018&aid=0004526228&sid1=001|website=news.naver.com|accessdate=2019-11-29|language=ko}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=韓国の「弘大日本人女性暴行」30代男性、拘束起訴|url=https://s.japanese.joins.com/JArticle/258134?sectcode=430&servcode=400|website=中央日報 - 韓国の最新ニュースを日本語でサービスします|accessdate=2019-11-29|language=ja}}</ref><ref name=":3">{{Cite web|和書|title=韓国・日本人女性暴行事件、「チョッパリ!」に透ける韓国人の“根深い反日感情”|url=https://biz-journal.jp/2019/08/post_115790.html|website=ビジネスジャーナル/Business Journal {{!}} ビジネスの本音に迫る|accessdate=2019-11-29|last=編集部}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=韓国人の暴行事件に『ゴゴスマ』で武田邦彦が「日本男子も韓国女性が来たら暴行しなけりゃいかん」とヘイトクライム煽動 (2019年8月28日)|url=https://www.excite.co.jp/news/article/Litera_litera_9798/|website=エキサイトニュース|accessdate=2021-04-26|language=ja}}</ref>。
 
=== 日本 ===
[[2009年]]の[[京都朝鮮学校公園占用抗議事件]]に関し、朝鮮学校側<ref>{{Cite web |和書| url = http://www.47news.jp/CN/200912/CN2009121801001139.html | title = 朝鮮学校で「スパイの子」 “抗議行動”を告訴へ | agency = [[共同通信社]] | publisher = [[47NEWS]] | date = 2009-12-18 | archiveurl = https://web.archive.org/web/20091221072605/http://www.47news.jp/CN/200912/CN2009121801001139.html | archivedate = 2009-12-21 | accessdate = 2021-04-26}}</ref>と[[中村一成]]<ref>『世界』(7月号)中村一成「ヘイトクライムに抗して──ルポ・京都朝鮮第一初級学校襲撃事件」{{リンク切れ|date=2019年12月}}</ref>は「憎悪犯罪(ヘイトクライム)」であると主張した。[[2016年]]の[[相模原障害者施設殺傷事件]]について、[[沖縄タイムス]]や[[東京新聞]]など<ref>{{Cite news|title=社説[障がい者施設殺傷]兆候は幾つも出ていた|newspaper=沖縄タイムス|date=2016-07-27|url=httphttps://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=180289articles/-/49918}}</ref><ref>{{Cite news|url=http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201607/CK2016073002000275.html |title=相模原・障害者殺傷 ヘイトクライム許さない 「優生思想、尊厳抹殺の克服を」|newspaper=[[東京新聞]] |date=2016-07-16}}</ref>がヘイトクライムであると主張した。但し、障害者施設殺傷事件については、前述の特定の属性を持つ個人や集団には当たらない為、ヘイトクライムと判断することは不当であるという根強い反論意見が存在している
 
[[伊東乾 (作曲家)|伊東乾]]は、2019年に発生した[[京都アニメーション放火殺人事件]]について、[[ホロコースト]]と本質的に変わりのないヘイトクライムであると主張した<ref>[[伊東乾 (作曲家)|伊藤乾]]『京都アニ放火殺人の本質はヘイトクライム』(JP press 2019.7.30)[https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57147]※学術博士(東京大学)</ref><ref>{{Cite web |和書| author = [[伊東乾 (作曲家)|伊藤乾]] | url = https://news.goo.ne.jp/article/jbpress/nation/jbpress-57147.html?page=6 | title = 京都アニ放火殺人の本質はヘイトクライム (6/7) | website = [[goo#情報提供サービス|gooニュース]] | publisher = [[日本ビジネスプレス]] | date = 2019-07-30 | accessdate = 2019-12-07 }}</ref>。
 
2021年7月と8月、名古屋市の在日本大韓民国民団施設と、在日コリアンに関係が深い[[京都府]][[宇治市]][[伊勢田町]][[ウトロ地区]]の空き家に男が火をつけた事件について、一般財団法人「ウトロ民間基金財団」や市民団体「京都府・市に有効なヘイトスピーチ対策の推進を求める会」はヘイトクライムの可能性があると声明文を発表した<ref name=kyotonp211215>{{Cite web|和書|url= https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/694735 |title= 京都・ウトロ放火は「ヘイトクライムの可能性」 市民団体が根絶目指し声明 |accessdate=2021/12/16|publisher= 京都新聞 |date=2021/12/15 }}</ref>。
 
== 各国の関連法 ==
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=== アメリカ合衆国 ===
連邦法として次の法律が制定されている。(※大半の州では州法により別途厳罰規定あり)
*'''連邦保護活動法'''(1968年、通称「KKK法<ref group="注釈">{{lang-en-short|Ku Klux Klan Act}}</ref>」) &mdash; 「公立の学校への通学」「投票」「州や自治体の施設での活動」「州裁での陪審員としての義務遂行」「州際通商に関する施設での活動」「公共施設での活動」の6つを「連邦保護活動<ref group="注釈">{{lang-en-short|federally protected activities}}</ref>」と定義し、人種や国籍、宗教に対する偏見に基づく、暴力、脅迫などの犯罪行為を禁じる<ref>{{lang|en|18 U.S.Code§245}}</ref><ref>{{sfn|前嶋和弘「ヘイトクライム [憎悪犯罪] 規正法とその問題点」(アメリカ・カナダ研究 2000 上智大学アメリカ・カナダ研究所){{NAID|400047694222001}}</ref>
*'''ヘイトクライム統計法'''(1990年)<ref group="注釈">{{lang-en-short|Hate Crime Statistics Act of 1990}}</ref> &mdash; 統計の対象になる犯罪は、殺人、故殺、婦女暴行、過重暴行、単純暴行、脅迫、放火、破壊、器物損壊。また法によって司法長官に統計対象の犯罪リストへの自己裁量で追加・削除ができる権利が付与されており、強盗、住居進入、自動車窃盗などもデータ収集の対象に加えられている<ref>{{sfn|前嶋和弘2000</ref>宏|2001}}
*'''ヘイトクライム判決強化法'''(1994年)<ref group="注釈">{{lang-en-short|Hate Crimes Sentencing Enhancement Act of 1994}}</ref> &mdash; 1994年暴力犯罪制御法執行法の一部として成立しており、差別犯罪をした場合は通常の犯罪の刑罰より反則レベルを3段階厳しくし重い刑を適用するよう米国判決委員会の判決ガイドラインを修正するもの<ref group="注釈">例えば過重暴行の場合、判決ガイドラインに定められた基本となる反則レベルは15だが、ヘイトクライムが認められた場合18となり、実際の判決も「禁固18カ月 - 24カ月」から「禁固27カ月 - 33カ月」と厳しくなる。</ref><ref>{{sfn|前嶋和弘2000</ref>宏|2001}}。{{仮リンク|マシュー・シェパード法|en|Matthew Shepard and James Byrd, Jr. Hate Crimes Prevention Act}}
 
=== イギリス ===
*{{仮リンク|公共秩序法|en|Public Order Act 1986}} &mdash; イギリスでは、公共秩序法の規制する類型のひとつとして、人種的嫌悪を煽動した者、あるいは文書等を所持・頒布等した(例外規定あり)者は、2年以下の拘禁、又は罰金、若しくはその両方、略式の有罪判決によるばあいは6ヶ月以下の拘禁、または罰金、若しくはその両方(第27条3項目)とされる<ref>「現代イギリスにおける公共秩序法の研究」{{sfn|元山健(早稲田法学(1988-12-25、早稲田大学法学会)P.108、PDF-P.52[http://jairo.nii.ac.jp/0069/00003299][http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/2065/2142/1/A03890546-00-064010057.pdf]</ref>)}}。刑罰については2001年のアメリカ同時多発テロ事件を受け、{{仮リンク|反テロリズム犯罪と安全法|en|Anti-terrorism, Crime and Security Act 2001}}によって、人種的憎悪扇動罪<ref group="注釈">{{lang-en-short|Racial hatred offences}}。日本語訳については{{harv|元山(1988)[http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/2065/2142/1/A03890546-00-064010057.pdf]P101、PDF-|P.=45}}</ref>は刑罰を2年から最高7年に引き上げ<ref>Anti-terrorism, Crime and Security Act 2001. Part5 Race and Religion. 40 Racial hatred offences: penalties In section 27(3) of the Public Order Act 1986 (c. 64) (penalties for racial hatred offences) for “two years” substitute “ seven years ”.(legislation.gov.uk)[http://www.legislation.gov.uk/ukpga/2001/24]</ref>られている。宗教的憎悪は1986年法では定義に含まれていなかったが、2007年に規制対象化。なお本法の保護法益は公共の秩序であり、居室内や閉鎖されたグループ内での行為を制限するものではない。
 
=== イタリア ===
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=== 日本 ===
憎悪犯罪を特別に重く罰する法律は、[[思想・良心の自由]]・[[表現の自由|創作、表現する自由]]を脅かす恐れがあり、[[日本国憲法]]の理念に反するという主張がある<ref>日本国憲法における「表現の自由」の意義、梅山香代子 </ref>。また、何がヘイトに該当するかは必ずしも明確ではなく、恣意的な運用が懸念されることから、そのような法律は制定されていない<ref>[[山口厚]]『刑法総論』[[有斐閣]]、[[大谷實]]『新版 刑法講義総論』[[成文堂]]、裁判所職員総合研修所監修『刑法総論講義案』[[司法協会]]、[[大塚仁]]『刑法概説(総論)』有斐閣ほか刑法総論の基本書多数あり。</ref>。
 
これに対し、「[[在日特権を許さない市民の会]]などによる過激なデモや一連の行為に対して、法規制を検討すべきだ」という意見もある<ref>[[東京新聞]] (2013-3-29)「こちら特報部 欧州との違い 法規制なし」</ref>。法学者の[[前田朗]]は、全体的な研究課題を整理して、1 立法事実論、2 ヘイトクライム統計法、3 比較研究法、4 立法政策論、5 憲法論、6 人種差別扇動処罰規定の可否、7 警察と裁判所の権限の可否、8 具体的な犯罪規定の検討など8つの論点を上げ、さらに世界各国の具体的な犯罪規定としてはイギリス、チェコ、ケニアなど50か国の「ヘイトクライム規制法」を例示し<ref>[[前田朗]]『ヘイト・クライム法研究の射程 人種差別撤廃委員会 第79会期情報の紹介』pp. 5-13 {{NAID|40019492803}}</ref>、ヘイトクライムを法の対象として、 物理的暴力などによるもののみならず[[ヘイトスピーチ]]も含め「表現の自由を守るためにも今日、増加している人種差別やヘイトスピーチのような発言を規制する必要がある」と主張している<ref>前田朗『ヘイト・クライム法研究の射程 人種差別撤廃委員会 第79会期情報の紹介』pp. 12-13 {{NAID|40019492803}}</ref><ref>[httphttps://maeda-akira.blogspot.jpcom/2013/06/blog-post_1092.html ヘイト・スピーチ処罰は世界の常識である](前田朗Blog)を参照。</ref>。
 
[[2013年]]5月30日の参議院[[法務委員会]]において[[有田芳生]]参議院議員は、日本における[[人種差別]]の問題について取り上げた際に「人種差別法、あるいはヘイトスピーチ、ヘイトクライム」という言葉を用いながら<ref name="sangiinselect0103">[httphttps://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU#/sangiin/183/0003/main.htmldetail?minId=118315206X00720130530 第183回国会 参議院法務委員会] 第7号 [httphttps://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU#/sangiin/183/0003/18305300003007.pdfdetailPDF?minId=118315206X00720130530&page=1&spkNum=0&current=-1]</ref>、具体的な人種差別事例を示した上で、日本における人種差別の実態に関する調査委員会などの設置をうながした。これに対して法務大臣[[谷垣禎一]]は「人権擁護機関としては、先ほど申し上げた啓発活動というだけではなく、人権相談あるいは(中略)調査活動(中略)人権侵犯事件。そういう観点から(中略)人権状況の把握には我々も力を入れて努めなければならない」が、「今の人権擁護機関の仕組みを超えた調査機関を設けるということは現時点では考えておりません」と答弁した<ref name="sangiinselect0103" />。
 
=== フランス ===
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* 前田朗編 『なぜ、いまヘイト・スピーチなのか』 [[三一書房]] 2013年 ISBN 978-4-380-13009-0
* [[金漢一]] 『朝鮮高校の青春 ボクたちが暴力的だったわけ』 [[光文社]] 2005年 ISBN 978-4-334974-80-0
* {{Cite journal|和書|author=[[新恵里]]|title=アメリカ合衆国におけるヘイトクライム厳罰法がもたらしたもの : ヘイトクライムをめぐる人種の運動力学 |date=2001|publisher=日本犯罪社会学会 |journal=犯罪社会学研究 |number=26 |naid=110002780181 |pages=141-162 |url=https://doi.org/10.20621/jjscrim.26.0_141 |doi=10.20621/jjscrim.26.0_141 |ref=harv}}
* {{Cite journal|和書|author=元山健 |title=現代イギリスにおける公共秩序法の研究」元山健(--1986年公共秩序法を中心に |journal=早稲田法学1988-12-25、 |issn=03890546 |publisher=早稲田大学法学会)[http |year=1988 |month=dec |volume=64 |issue=1 |pages=57-136 |naid=120000788431 |url=https://jairohdl.niihandle.ac.jp/0069/00003299][http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstreamnet/2065/2142/1/A03890546-00-064010057.pdf] |ref={{harvid|元山(1988)}}}}
* {{Cite journal|和書|author=前嶋和宏 |title=ヘイトクライム[憎悪犯罪]規制法とその問題点 |journal=The Journal of American and Canadian Studies |issn=09148035 |publisher=Sophia University, Institute of American and Canadian Studies
|year=2001 |month=mar |issue=18 |pages=77-96 |naid=120005885876 |url=http://digital-archives.sophia.ac.jp/repository/view/repository/00000032089 |ref={{sfnref|前嶋和宏|2001}}}}
 
== 関連項目 ==
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== 外部リンク ==
* [https://www.afpbb.com/articles/-/2657794?pid=4824832 憎悪犯罪を禁止する米連邦法、同性愛者らにも拡大] AFPBB News 2009年10月29日17:43 発信地:ワシントンD.C./米国
* [https://getnews.jp/archives/349432/gate 韓国人が靖国神社で放尿しネットで自慢] 2013.05.29 13:25:42 ガジェット通信 発信地:日本
* {{Kotobank}}
 
{{レイシズム}}
{{嫌がらせ}}
 
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:へいとくらいむ}}
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[[Category:人種差別]]
[[Category:人権侵害]]
[[Category:悪徳]]
[[Category:社会心理学]]