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{{独自研究Expand English|Queer|date=2010202465月}}
{{LGBTサイドバー}}{{性的指向}}
{{出典の明記|date=2011年8月}}
'''クィア'''({{lang-en-short|Queer}})とは、[[ヘテロセクシュアル]]でない人々および[[シスジェンダー]]でない人々を指す総称。元は「不思議な」「風変わりな」「奇妙な」などの意味を持つ[[同性愛|同性愛者]]に対する侮蔑語であったが、20世紀後半から戦略的にあえて自分達をクィアと呼ぶことで権利を主張していき、現代では肯定的な意味合いを持つ言葉に変化した<ref>{{cite web|url=https://www.vogue.co.jp/tag/queer|title=クィア / Queerに関する最新記事|website=Vogue Japan|accessdate=2023-10-23}}</ref>。
'''クィア'''('''クイア'''とも)とは、[[英語圏]]の言葉「Queer」の[[片仮名|カタカナ]]表記である。元々は「不思議な」「風変わりな」「奇妙な」などを表す言葉であったが、現在では、{{要出典範囲|[[性的少数者|セクシュアル・マイノリティ]]([[レズビアン]]・[[ゲイ]]・[[両性愛|バイセクシュアル]]・[[性同一性障害|トランスセクシュアル]]・[[トランスジェンダー]]など)の人々全てを包括する言葉として|date=2015年12月23日 (水) 08:44 (UTC)}}一部では用いられている。しかし男性性を受け入れているゲイや女性性を受け入れているレズビアンには、この言葉に拒否感を抱く者もいる{{要出典|date=2014-5}}。
 
== 概説 ==
{{Main|{{ill|LGBTの歴史|en|LGBT history}}|{{ill|LGBT史年表|en|Timeline of LGBT history}}}}
Queerqueer」という言葉が[[英語圏]]では偽造酒や男性同性愛者のことを指したために、[[19世紀|19]]~[[20世紀]]にかけては、主に[[性的少数者|セクシュアル・マイノリティ]](性的少数者)に対する[[侮蔑|蔑称]]、[[差別用語]]として用いられた<ref name=pinknews240126>{{Cite web|url= https://www.thepinknews.com/2024/01/26/what-does-queer-mean/ |title= What does queer mean? Unpicking the history of the reclaimed LGBTQ+ term |accessdate=2024/01/27|publisher= PinkNews |author= |date=2024/01/26 }}</ref>
 
[[19901980年代]]後半になって、セクシュアル・マイノリティの'''一部の者たち'''は、侮蔑用語となった「クィア」を、[[異性愛]]や[[性別二元制|ジェンダー・バイナリ]]を規範とする社会に違和感を覚える[[性的指向]]、[[性自認]]、性のあり方、およびそのような自分達を言及する際の適切な用語として、自己肯定的に、[[ラディカル]]に用いる言葉に採用し使用するようになった。
 
「クィア」という語を学問領域で初めて肯定的に使用したのは、[[{{仮リンク|テレサ・デ・ラウレティス]]|en|Teresa de Lauretis}}(テレサ・デ・ローティス)である。彼女は、[[1990年]][[2月]]に、[[カリフォルニア大学サンタクルーズ校]]で行われた、レズビアンやゲイの[[セクシュアリティ]]を理論的に考える研究会議「[[クィア理論|クィア・セオリー]]」においてクィア概念を提唱した。[[風間孝]]、[[河口和也]]、[[キース・ヴィンセント]] 『別冊id研』<ref>風間孝、河口和也、キース・ヴィンセント『別冊id研』([[動くゲイとレズビアンの会]]、[[1997年]]、13ページ/河口和也 『クイア・スタディーズ』 [[2003年]]、57-58ページにも採録)</ref>によると、ラウレティスは、[[アメリカ合衆国]]において、「ゲイとレズビアン」という“ひとかたまり”の集団として扱われることについて、セクシュアリティについての差異がないかのように捉えられていることを問題提起する機会として<!--1990年のカリフォルニア大学サンタクルーズ校での-->会議を主催。そのときには、人種とセクシュアリティの関係についてなど、セクシュアリティという単一な概念から、多様で複数性のあるセクシュアリティーズや様々な変数を組み入れて[[アプローチ]]できる言葉として「クィア」という語を使用した。
 
[[風間孝]]、[[河口和也]]、[[キース・ヴィンセント]] 『別冊id研』<ref>風間孝、河口和也、キース・ヴィンセント『別冊id研』([[動くゲイとレズビアンの会]]、[[1997年]]、13ページ/河口和也 『クイア・スタディーズ』 [[2003年]]、57-58ページにも採録)</ref>によると、ラウレティスは、[[アメリカ合衆国]]において、「ゲイとレズビアン」という“ひとかたまり”の集団として扱われることについて、セクシュアリティについての差異がないかのように捉えられていることを問題提起する機会として<!--1990年のカリフォルニア大学サンタクルーズ校での-->会議を主催。そのときには、人種とセクシュアリティの関係についてなど、セクシュアリティという単一な概念から、多様で複数性のあるセクシュアリティーズや様々な潜在的な人を組み入れて言及できる言葉として「クィア」という語を使用した。
[[イヴ・セジウィック]]によると、「クィア」とは「連続する動き、運動、そして動因であり―繰り返し、渦巻き、トラブル性をもつもの」とされる(Sedgwick "TendenciesLondon:Routledge", 1994)。また、語源として、[[ラテン語]]の「横切る」という意味、また「ひねる」という意味の[[インド]]=ラテン語の "torquer" について触れ、「斜めに」を意味する[[英語]] "athwart" がそれに相当すると指摘している。いずれにしても、不変、静止、同化といった固定的な状態を表す言葉ではなく、[[名詞]]的(「~である」)でもなく、[[動詞]]的(「~する」)な語源であることに注意が必要である。
 
[[イヴ・セジウィック]]によると、「クィア」とは「連続する動き、運動、そして動因であり―繰り返し、渦巻き、トラブル性をもつもの」とされる(Sedgwick "TendenciesLondon:Routledge", 1994)。
「セクシュアル・マイノリティ」を始めとして、「規範」、「法」に対して、「クィアさ」(奇妙さ、奇怪さ、転覆可能性、異常さ)をもっている当事者であることを満たしている限り、クィアを行うことが可能であり、クィアという概念の外延は安定しない。この意味で「[[アイデンティティ]]なき概念」と言われており、現在もその意味や内容を更新し続けている。
 
現在は若い世代で肯定的に受け入れられる用語になっており、逆に高齢な世代では否定的に受け止められることがある{{R|pinknews240126}}。アメリカの[[Z世代]]は「クィア」という言葉を上の世代よりも好んで使用する傾向にある<ref name=advocate231215>{{Cite web|url= https://www.advocate.com/news/gen-z-identity-labels-queer#toggle-gdpr |title= Gen Z Is the Most-Queer Generation. They Also Want to Be Labeled the Least |accessdate=2023/12/16|publisher= The Advocate |author= |date=2023/12/15 }}</ref>。
具体的には、ある人物が、いわゆる[[変態性欲|変態]]を肯定的にとらえ、権力によってそれが異常と同定され、その人物がそれを苦に感じ、その人物がクィアと感じるならば、クィア・カテゴリーの外延は更新される可能性がある。
 
[[21世紀]]に入ってからは、セクシュアリティについてのみならず、[[人種]]や[[民族]]などへのクィア理論の敷衍が行われ、あらゆる[[社会的少数者|マイノリティ]]の連帯に転化しようとしている。{{要出典|date=2010年6月}}
 
なお、文脈によっては、元々の「不思議な」「風変わりな」「奇妙な」という意味合いを持つことも少なくない。よって領域によっては、クイアという言葉を、新しい意味合いで使用することを明示しておく必要がある。
 
== 日本における「クィア」 ==
{{seealso|日本におけるLGBTの権利|日本におけるLGBTと政治}}
発音、カタカナ表記ともに、日本語圏では「クィア」と呼ぶ/書くことが多いが、書名などクイアやクイア理論という表記も散見される。
[[日本]]における本語の普及は『クィア・スタディーズ』、『クィア・パラダイス』、『クィア・ジャパン』、『変態(クィア)入門』の編著としての、[[伏見憲明]]の労に依る面が大きい<ref>{{cite web|url=https://www.outjapan.co.jp/pride_japan/glossary/ka/9.html|title=クィア|website=Magazine for LGBTQ+Ally - PRIDE JAPAN|accessdate=2023-10-21}}</ref>。
 
文学研究者の[[竹村和子]]は、クィアという言葉が、ファッショナブルに消費される可能性について、「[[変態 (曖昧さ回避)|変態]]」という常ならざるという立場を積極的に活かして、「変態理論」という訳も可能であることについて述べている([[小森陽一 (国文学者)|小森陽一]] 『研究する意味』、[[東京図書]]、[[2003年]])。
日本における本語の普及は『クィア・パラダイス 「性」の迷宮へようこそ』(対談集、1996、[[翔泳社]])の執筆、雑誌『クィア・ジャパン』(1999-2001、[[勁草書房]])、『クィア・ジャパン・リターンズ』(2005、[[ポット出版]])の編集長としての、[[伏見憲明]]の労に依る面が大きい。
 
また、「クィア」という語を「定義」するか否かについて、[[社会学]]者の[[上野千鶴子]]と[[心理学]]者の[[小倉千加子]]が、『ザ・フェミニズム』([[筑摩書房]]、[[2002年]]3月、ISBN 4480863370)の中で議論している。上野はクィアを定義する必要を感じないことを主張し、小倉は一度定義し、突き壊すべきではないかと主張している。
文学研究者の[[竹村和子]]は、クィアという言葉が、ファッショナブルに消費される可能性について、「[[変態 (曖昧さ回避)|変態]]」という常ならざるという立場を積極的に活かして、「変態理論」という訳も可能であることについて述べている([[小森陽一 (国文学者)|小森陽一]] 『研究する意味』、[[東京図書]]、[[2003年]])。
 
== 脚注 ==
<!--(ふたりが性的マイノリティでないとどう知ったの?)(性的マイノリティの非当事者がクイアについて語るのは越権。) また、「クィア」という語を「定義」するか否かについて、[[社会学]]者の[[上野千鶴子]]と[[心理学]]者の[[小倉千加子]]が、『ザ・フェミニズム』([[筑摩書房]]、[[2002年]]3月、ISBN 4480863370)の中で議論している。上野はクィアを定義する必要を感じないことを主張し、小倉は一度定義し、突き壊すべきではないかと主張している。-->
{{reflist}}
また、「クィア」という語を「定義」するか否かについて、[[社会学]]者の[[上野千鶴子]]と[[心理学]]者の[[小倉千加子]]が、『ザ・フェミニズム』([[筑摩書房]]、[[2002年]]3月、ISBN 4480863370)の中で議論している。上野はクィアを定義する必要を感じないことを主張し、小倉は一度定義し、突き壊すべきではないかと主張している。
 
== 関連文献 ==
いずれにせよ現在の日本においては、英語圏におけるQueerという語の毒々しさ、それをあえて逆手にとるという戦略的な意味合いが薄れ、[[性的少数者]]や[[LGBT]]と同義か、ほとんど区別されない形で用いられがちである。イベントや団体の名称に用いられることも増えている{{誰範囲|date=2015年8月|が、実質的な定義抜きに用いられることも多い}}。
* {{Cite |和書 |title = 現代思想2019年2月号 特集=「男性学」の現在 |date = 2019年1月 |publisher = [[青土社]] |isbn = 978-4-7917-1376-9}}
 
日本語発祥の用語と言われる「Xジェンダー」は、英語圏における"genderfluid"の語意に近似してはいるが、日本における独自のクィア概念である。また、英語圏において"queer"を自称することで、Xジェンダーであることを説明する人もいるが、クィアはXジェンダーだけではなく広義の意味合いであるため、明確にセクシュアリティを示したい場合には沿わない。<ref>http://life.letibee.com/study/xgender-english-name/</ref>
 
== 「クィア」を冠にした日本の運動・グループ ==
*[[関西クィア映画祭]]
*[[アジアンクィア映画祭]]
*[http://www.queerjp.org クイア学会]
 
==脚注==
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== 関連項目 ==
{{Portal_LGBT}}
* [[クィア理論]]
* [[関西クィア映画祭・パルム]]
*[[性的少数者]]
* [[LGBT]]
 
{{LGBT-stub}}
{{LGBT}}
 
{{DEFAULTSORTデフォルトソート:くいあ}}
[[Category:クィア理論|*くいあ]]
[[Category:LGBTの用語]]
[[Category:セクシュアリティの哲学]]
[[Category:偏見と差別]]
[[Category:差別用語]]
[[Category:侮蔑]]