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MITTO (会話 | 投稿記録)
 
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{{銃器2
|画像=[[Image:S&W Model 19-5 .357 Magnum noBG.JPGpng|300px]]
|説明=S&W M66(4M19(4インチモデル、[[ニッケル]]フィニッシュにフィンガーチャンネルグリップ装備
|名称=S&W M19{{Sfn|床井|1993|p=239}}
|種類=[[回転式拳銃]]
|製造国={{USA}}
|設計・製造=[[スミス&ウェッソン|S&W]]社
|口径=約9mm(.38口径、.357口径)
|種別=回転式拳銃
|銃身長=64mm(2.5インチモデル)<br/>102mm(4インチモデル)<br/>152mm(6インチモデル)
|口径=.38[[口径]]<br/>.357口径(約9mm)
|ライフリング=6条右回り
|銃身長=4インチ(約102mm)<br/>6インチ(約152mm)
|ライフリング=
|使用弾薬=[[.38スペシャル弾]]<br/>[[.357マグナム弾]]
|装弾数=6発
|作動方式=[[シングルアクション|シングル]]/[[ダブルアクション]]
|重量=905g(2.5インチモデル)<br/>1,021g(4インチモデル)
|発射速度=
|全長=205mm(2.5インチモデル)<br/>241mm(4インチモデル)
|銃口初速=
|有効射程=
|重量=1,021g
|全長=241mm
}}
[[File:Smith&Wesson Model 19.jpg|250px|thumb|right|スイングアウトされたシリンダー]]
'''S&W M19'''は、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の[[銃|銃器]]メーカーである[[スミス&ウェッソン]]社が[[1955年]]に開発した[[回転式拳銃]]である。通称「コンバットマグナム」。
[[File:My .357 Mag S & W model 66-2 (5).jpg|250px|thumb|right|M66(6インチ)。M19のニッケルフィニッシュモデルに比べて艶がない]]
'''S&W M19'''は、[[スミス&ウェッソン|S&W]]社が開発した[[回転式拳銃]]。[[1955年]]の発売当初は'''コンバットマグナム'''({{Lang|en|Combat Magnum}})と称されており{{Sfn|Supica|Nahas|2007|p=136}}、[[1957年]]にモデルナンバー制度が導入されたあとも、引き続き通称として用いられている{{Sfn|Supica|Nahas|2007|pp=185-188}}。
 
バリエーションまた、本銃をもして、[[ステンレス鋼|ステンレス]]モデルの「を導入した派生型である'''S&W M66'''{{Sfn|Supica|Nahas|2007|p=229-231}}存在する本項で扱う
 
== 開発来歴 ==
[[1930年代]]に登場した[[.357マグナム弾]]は、先行する38-44 HV弾と同様、基本的には[[.44スペシャル弾]]のために設計された頑丈な[[拳銃]]を[[口径|小口径]]化するかたちで運用されていた。[[スミス&ウェッソン]]社でも、.357マグナム弾と同時に、その名前を冠して発表した後の[[S&W M27|M27]]は、大型のNフレームにもとづいている。しかし、このような大型拳銃は、特に法執行官が日常業務で携行するのは困難であった{{Sfn|Supica|Nahas|2007|p=135}}。
当時のコンバットシューティング第一人者であったビル・ジョーダンの意見を取り入れて設計され、調整可能なリアサイトを持ち、角を落としていない末広がりの長方形のスクウェアバット型グリップ、ターゲットタイプのグリップなどを備え、[[スミス&ウェッソン#リボルバーのフレームについて|Kフレーム]]サイズで「[[.357マグナム弾]]も撃てる」[[拳銃]]として完成された。
 
このことから、[[:en:Combat pistol shooting|コンバットシューティング]]の第一人者であり、自身も{{仮リンク|アメリカ国境警備隊|en|United States Border Patrol|label=アメリカ国境警備隊(USBP)}}で法執行任務に携わっていた[[:en:Bill Jordan (Marine)|ビル・ジョーダン]][[大佐]]の意見を取り入れて、従来は[[.38スペシャル弾]]用の[[S&W M10|ミリタリー&ポリス]]などで用いられてきた[[スミス&ウェッソン#リボルバーのフレームについて|Kフレーム]]・リボルバーをもとに、.357マグナム弾を使えるように強化して開発されたのが本銃である{{Sfn|Supica|Nahas|2007|p=136}}。
== 特徴 ==
高威力の[[.357マグナム弾]]を使用する[[拳銃]]でありながら、軽量な[[.38スペシャル弾|.38スペシャル]][[口径]]用の[[スミス&ウェッソン#リボルバーのフレームについて|Kフレーム]]を採用することで携帯性を高めており、職務上、常に拳銃を携帯する[[警察]]用として[[アメリカ合衆国|アメリカ]]で広く採用されていた。
 
== 設計 ==
その一方、構造は.38スペシャル弾用の中型フレームであるため、.357マグナム弾の強装弾を多用すると[[シリンダー]]の歪みや破損などを起こすことがあり、そのため、Kフレームよりもひと回り大きい[[スミス&ウェッソン#リボルバーのフレームについて|Lフレーム]]を採用した[[S&W M586|M586]]という[[銃]]が[[1980年]]に開発された。また、更に大型の[[スミス&ウェッソン#リボルバーのフレームについて|Nフレーム]]を採用した[[S&W M27|M27]]も存在する(こちらの方が先に製造されている)。 現在は熱処理技術の向上と、シリンダーの溝の位置変更のおかげでシリンダーの破損の危険は低くなっている。
上記の経緯より、本銃は[[スミス&ウェッソン#リボルバーのフレームについて|Kフレーム]]をもとに、ヨーク(シリンダーの保持機構)部分をわずかに拡張したKターゲット・フレームを用いて設計されている。Kフレームと同様に4スクリュー(ビス4本留め)タイプであり、[[シリンダー]]も同じく6連発であるが、シリンダー長は42mm(1,67インチ)となった。[[銃砲身|銃身長]]は、当初は4インチのみであったが、後に2.5インチおよび6インチが追加された。リアサイトは調整可能となっており、フロントサイトは抜き撃ちに優れるランプタイプ。グリップは木製で角を落としていない末広がりの長方形のスクウェアバット型、表面処理はブルーフィニッシュと[[ニッケル]]フィニッシュから選択できた{{Sfn|Supica|Nahas|2007|p=136}}{{Sfn|Supica|Nahas|2007|pp=185-188}}。また、M19はトラディショナルな[[炭素鋼]]製であったが、[[1970年]]には、[[ステンレス鋼]]製とし、トリガーメカニズムもフィーリングをスムーズ化した'''M66'''も発表された{{Sfn|Supica|Nahas|2007|p=229-231}}。
 
なお、小型のKフレーム・リボルバーで強力な[[.357マグナム弾]]を常用すると、銃・射手ともに負担が大きいという指摘があった。これは銃自体が軽量であるため反動が強いのに加え、元々小型なKフレームのシリンダーで6発の.357マグナム弾を収めるため、フレームのサイズの割にシリンダー自体が大型となり、エジェクターロッドの位置も高くなるため、ハウジング部分に収めるスペースを確保すべく銃身の下方が削られているのが要因である。[[1970年代]]末にはNフレームよりも小さくKフレームと同等の携行性を確保しつつ、より頑丈なLフレームが開発され、[[1980年]]よりこれを採用した'''ディスティングイッシュド・コンバットマグナム([[S&W M686|M586/686]])'''などが発表されている{{Sfn|床井|1993|p=241}}{{Sfn|Supica|Nahas|2007|pp=346-353}}<ref>{{Cite book|title=リボルバーマニアックス|date=2016年9月29日|year=2016|publisher=株式会社ホビージャパン}}</ref>。
M19は[[1999年]]に、M66は[[2005年]]に生産中止となっていたが、M66は新仕様で[[2014年]]に再生産されている。
 
M19は[[1999年]]に{{Sfn|Supica|Nahas|2007|pp=185-188}}、M66は[[2004年]]に生産中止となったが{{Sfn|Supica|Nahas|2007|p=229-231}}、M66は細部のデザインが異なり、ブラックラバーグリップを標準装備した新仕様で[[2014年]]に再生産されている。
== 登場作品 ==
{{Clearleft}}
本場[[アメリカ合衆国の警察|アメリカの警察]]で採用例が多いため、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の[[アクション映画]]や[[ドラマ]]などでは[[ステージガン]]として頻繁に登場し、[[漫画]]やアニメーション作品などの他、[[モデルガン]]や[[エアソフトガン]]としても商品化されている。
<!--メディアごとに分類してください。何でも挙げていくと煩雑になるので、載せるべきか慎重に判断してください。 -->
 
== 運用史 ==
=== 映画・テレビドラマ ===
本銃は、本場[[アメリカ合衆国の警察|アメリカの警察]]で多く採用されている。FBI捜査官の間でも好評を博し、後に同社のM13([[S&W M10]]の.357マグナム弾・3インチ銃身仕様)が正式採用された<ref name="Vanderpool2011">{{Cite web|author=Bill Vanderpool|date=August 22, 2011|url=https://www.americanrifleman.org/articles/2011/8/22/a-history-of-fbi-handguns/|title=A History of FBI Handguns|language=英語|accessdate=2017/01/21}}</ref>。
* 『[[アウトレイジ (2010年の映画)|アウトレイジ]]』
: 石原が2.5インチモデルを使用。グバナン大使に闇[[カジノ]]の経営を強制させるシーンに登場(発砲なし)。また、大友組を裏切り、山王会にカチコミに行くフリをする場面で、自身の横領を知っていた舎弟の頭に本銃の[[銃口]]を突き付け、車内で射殺する。
* 『[[ガントレット (1977年の映画)|ガントレット]]』
: ベン・ショックリー刑事([[クリント・イーストウッド]])が、M66の2.5インチを使用。
* 『[[刑事貴族]]』
: 須藤刑事が使用。
* 『[[ザ・シークレット・サービス]]』
: 冒頭のシーンに登場する。
* 『[[西部警察]]』
* 『ゾーン・オブ・ザ・デッド』
* 『ソルトン・シー』
* 『[[ダイ・ハード2]]』
* 『[[タイトロープ (映画)|タイトロープ]]』
: ウェス・ブロック刑事([[クリント・イーストウッド]])が、M66の2.5インチを使用。
* 『[[チャイルド・プレイ]]』
: チャールズ・リー・レイ([[ブラッド・ドゥーリフ]])が、2.5インチモデルをマイク刑事との銃撃戦で使用。
* 『[[トレーニングデイ]]』
* 『[[バトルロワイアル]]』
: 元渕恭一が使用していたものを、主人公の七原秋也が使用。
* 『バレットブレイク』
* 『[[ハンチョウ〜神南署安積班〜]]』
: 3シリーズ共に村雨秋彦刑事が使用。
* 『[[フェイス/オフ]]』
: ショーン・アーチャー刑事([[ジョン・トラボルタ]])が、M66の2.5インチをバックアップガンとして使用。
* 『[[ブラインド・フューリー]]』
* 『[[ブラックレイン]]』
: ニックの相棒チャーリー・ビンセントが、M66の2.5インチを所持しており、後に松本刑事からニックへ遺品として渡される。
* 『[[ブロークン・アロー]]』
* 『[[ペイバック]]』
: 主人公ポーター([[メル・ギブソン]])が使用。
* 『[[マイアミバイス]]』
: ジーナが使用。
* 『[[あぶない刑事#もっとあぶない刑事|もっとあぶない刑事]]』
: 谷村刑事が初期の頃に2.5インチモデルを使用している。
* 『[[蘇える金狼#テレビドラマ|蘇える金狼]]』
: TVドラマ版にて茂義賀津夫がM66を使用。
* 『[[ラスト・ボーイスカウト]]』
: ジョー・ハレンベック(ブルース・ウィリス)がM19の2.5インチを使用。
* 『[[リーサル・ウェポン]]』
: ロジャー・マータフが使用。
* 『[[相棒season14]]』
廃工場に潜んでいたチンピラが角田課長を撃った銃。
 
また[[1972年]]の[[ミュンヘンオリンピック事件]]を受けて、[[大陸ヨーロッパ]]の法執行機関では[[対テロ作戦]]を担当する[[特殊部隊]]の編成が相次いだが、創設直後のこれらの部隊は、動作の確実性を評価して、本銃を含む回転式拳銃を多用していた。[[1977年]]の[[ルフトハンザ航空181便ハイジャック事件]]では、突入した[[GSG-9]]隊員が装備していた[[H&K P9S]]自動拳銃および[[H&K MP5]][[短機関銃]]が有名になったが、隊長のウェグナー大佐はM19を、また突入隊員の数人もM66を携行していた{{Sfn|ネヴィル|2019|pp=156-193}}{{Efn2|狭い[[飛行機]]の機内での取り回しを重視して、多くの隊員が拳銃を携行していたものの、本作戦の経験から、拳銃では瞬間制圧力が不足であることが問題になり、GSG9はその後、MP5への依存度を高めていくことになった{{Sfn|トンプソン|2019|p=94}}。}}。
=== 漫画・アニメ ===
* 『[[ゴルゴ13]]』
: [[ゴルゴ13 (架空の人物)|ゴルゴ13]]が2.5インチモデルを[[S&W M10]] 2インチ、[[S&W M36]] 2インチとともに愛用。
* 『[[シティーハンター]]』
: 16巻で[[槇村香]]が使用。
* 『[[ニセコイ]]』
: 鶫 誠士郎が、[[ブレザー]]の袖に仕込み[[拳銃]]として携帯している。グリップは[[木]]製もしくはそれに似た色のもの。
* 『[[ルパン三世]]』
: [[次元大介]]が、[[アニメ]]では4インチモデル、[[漫画]]『[[ルパン三世Y]]』では2.5インチモデルを使用。[[ステンレス鋼|ステンレス]]モデルではないが、使いこまれて表面処理が剥がれ、銀色になっている。
 
日本でも、[[海上保安庁]]の[[特殊警備隊]](SST)の前身となった[[関西国際空港]]海上警備隊(海警隊)は、4インチ銃身モデルのM19を使用していた{{Sfn|小峯|坂本|2005|pp=45-74}}。
=== ゲーム ===
* 『[[WarRock]]』
: ゲーム内通貨で購入可能。
* 『[[バトルフィールド ベトナム]]』
* 『[[メタルギアソリッド ピースウォーカー]]』
: 作中で唯一の[[回転式拳銃]]として登場。開発が進むと[[銃砲身|長銃身]]化や[[照準器#オプティカルサイト(Optical sight)|レーザーサイト]]の付加も可能となる。
 
[[1996年]]、スコットランドのダンブレーンで発生した小学校内無差別乱射事件([[:en:Dunblane massacre]])において、2丁のブローニング・ハイパワーと共に犯人が使用した銃でもある。
== 関連項目 ==
* [[回転式拳銃]]
* [[マグナム (実包)|マグナム]]
* [[スミス&ウェッソン]]
* [[S&W M10]]
* [[S&W M29]]
* [[コルト・パイソン]]
 
== 注釈 登場作品==
{{Main2|詳細は[[S&W M19に関連する作品の一覧]]を}}
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{notelist2}}
=== 出典 ===
{{Reflist|2}}
 
== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書|authorlink1=小峯隆生|last1=小峯|first1=隆生|authorlink2=坂本新一|last2=坂本|first2=新一|year=2005|title=海上保安庁特殊部隊SST|publisher=並木書房|isbn=978-4890631933|ref=harv}}
* {{Cite book|first1=Jim|last1=Supica|first2=Richard|last2=Nahas|year=2007|title=Standard Catalog of Smith & Wesson (Third Edition)|publisher=Gun Digest Books|isbn=978-0896892934|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|last=床井|first=雅美|year=1993|title=最新ピストル図鑑|publisher=[[徳間書店]]|series=[[徳間文庫]]|isbn=978-4195776544|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|first=リーロイ|last=トンプソン|year=2019|title=MP5サブマシンガン|others=床井 雅美 (監修), 加藤喬 (翻訳)|series=[[:en:Osprey_Publishing#Series|Osprey Weapon Series]]|publisher=[[並木書房]]|isbn=978-4890633821|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|first=リー|last=ネヴィル|year=2019|title=欧州対テロ部隊|others=床井雅美 (監修), 茂木作太郎 (翻訳)|publisher=並木書房|isbn=978-4890633852|ref=harv}}
 
== 関連項目 ==
* {{Commonscat-inline|Smith & Wesson Model 19}}
* {{Commonscat-inline|Smith & Wesson Model 66|S&W M66}}
* [[コルト・パイソン]] - [[コルト・ファイヤーアームズ|コルト]]社の同口径拳銃
* [[S&W M29]] - S&W社の大口径拳銃
 
{{デフォルトソート:S&W M0019}}
[[Category:回転式拳銃]]
[[Category:スミス&ウェッソンの回転式拳銃|M0019]]
[[Category:アメリカ合衆国の小火器]]