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|属 = [[エンドウ属]] {{Snamei||Pisum}}
|種 ='''エンドウ''' {{Snamei|P. sativum}}
|学名 = {{Snamei||Pisum sativum}} {{AU|L.}}<ref name="YList">{{YList|id=1085|taxon=Pisum sativum L.|accessdate=2022-04-06}}</ref>
|和名 = エンドウ<!--(豌豆)生物名はカタカナ -->
|英名 = pea{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=134}}
|英名 = pea
|下位分類名 = [[変種]]・[[品種]]
|下位分類 =
* アカエンドウ {{Snamei|P. s.}} var. arvense<ref name="YList_13336">{{YList|id=13336|taxon=Pisum sativum L. var. arvense (L.) Poir.|accessdate=2022-04-06}}</ref>
* サヤエンドウ {{Snamei|P. s.}} var. macrocarpon<ref name="YList_13337">{{YList|id=13336|taxon=Pisum sativum L. var. macrocarpon Ser.|accessdate=2022-04-06}}</ref>
}}
'''エンドウ'''('''豌豆'''、学名:''Pisum sativum'' L.)は、[[マメ科]]の一・二年草。広く栽培され、食用となっている。一般に、'''エンドウマメ'''とも。別名(古名)に'''ノラマメ'''<ref>{{Cite web|title=野良豆(ノラマメ)とは|url=https://kotobank.jp/word/%E9%87%8E%E8%89%AF%E8%B1%86-597488|website=コトバンク|accessdate=2020-05-19|language=ja|first=デジタル大辞泉,大辞林 第三版,動植物名よみかた辞典 普及版,精選版|last=日本国語大辞典}}</ref>。'''実エンドウ'''・'''[[グリーンピース]]'''(未熟の種子を食用とする場合の呼び方)、[[サヤエンドウ]](莢豌豆・絹莢、未熟の莢を食用とする場合の呼び方)、'''ヨサクマメ'''([[北東北]]の一部地域での呼び方)など。日本での栽培種には、ウスイエンドウ('''うすい豆''')<ref group="注釈">名称は明治時代にアメリカから大阪府[[羽曳野市]]碓井地区に導入されたことに由来する。</ref><ref>{{Cite web|title=グリーンピース 実えんどう|url=https://www.yasainavi.com/zukan/miendou.htm|website=野菜ナビ|accessdate=2020-05-19|language=ja|last=野菜ナビ}}</ref>、キヌサヤエンドウ、オランダエンドウなどがある。
 
'''エンドウ'''('''豌豆'''{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=134}}[[学名:'']]: {{Snamei||Pisum sativum'' L.}})は、[[マメ科]]の一・二年草。広く栽培され、食用となっている。一般に、'''エンドウマメ'''とも。別名(古名)に'''ノラマメ'''<ref>{{Cite web|和書|title=野良豆(ノラマメ)とは|url=https://kotobank.jp/word/%E9%87%8E%E8%89%AF%E8%B1%86-597488|website=コトバンク|accessdate=2020-05-19|language=ja|first=デジタル大辞泉,大辞林 第三版,動植物名よみかた辞典 普及版,精選版|last=日本国語大辞典}}</ref>。'''実エンドウ'''・'''[[グリーンピース]]'''(未熟の種子を食用とする場合の呼び方)、[[サヤエンドウ]](莢豌豆・絹莢、未熟の莢を食用とする場合の呼び方)、'''ヨサクマメ'''([[北東北]]の一部地域での呼び方)など。日本での栽培種には、ウスイエンドウ('''うすい豆''')<ref group="注釈">名称は明治時代にアメリカから大阪府[[羽曳野市]]碓井地区に導入されたことに由来する。</ref><ref>{{Cite web|和書|title=グリーンピース 実えんどう|url=https://www.yasainavi.com/zukan/miendou.htm|website=野菜ナビ|accessdate=2020-05-19|language=ja|last=野菜ナビ}}</ref>、キヌサヤエンドウ、オランダエンドウなどがある。
== 変遷 ==
 
古代[[オリエント]]地方や[[地中海]]地方で麦作農耕の発祥とともに栽培化された[[豆]]で、原産地域である[[フェルガナ]]から[[漢]]に伝来した際に、フェルガナの中国名が'''大宛国'''であることから'''豌豆(えんどう=宛の豆)'''と名付けられたことが名の由来となっている。原種は近東地方に今日でも野生している ''P. humile'' Boiss. et Noö. と推察されている。もともとは[[ムギ|麦類]]の間で[[雑草]]として生えてきたこの原種の野生植物を、種実を食用にしたり、[[根粒菌]]による土の肥沃化に効果があるなどの利用価値を発見することで、麦類とともに混ぜ植え栽培するようになり、次第に栽培植物として品種改良が進んだと考えられている。この地域では農耕開始期に、[[カラスノエンドウ]]もエンドウと同時に同様の利用が行われ始めたが、こちらの栽培利用はその後断絶し、今日では[[雑草]]とみなされている。また、同じ地域に起源を持つマメ科作物としては、[[ソラマメ]]、[[レンズマメ]]、[[ヒヨコマメ]]が挙げられる。麦作農耕とともに[[ユーラシア]]各地に広まり、[[中国]]に伝わったのは[[5世紀]]、[[日本]]へは[[9世紀|9]]-[[10世紀]]には伝わった。また、[[グレゴール・ヨハン・メンデル|メンデル]]が実験材料としたことでも知られている。
== 変遷歴史 ==
原産地は、[[エチオピア]]、[[中央アジア]]などとされ、[[古代エジプト]]や[[古代ギリシア]]での記録があることから、世界最古の農作物ともいわれている{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=134}}。古代[[オリエント]]地方や[[地中海]]地方で麦作農耕の発祥とともに栽培化された[[豆]]で、原産地域である[[フェルガナ]]から[[漢]]に伝来した際に、フェルガナの中国名が'''大宛国'''であることから'''豌豆(えんどう=宛の豆)'''と名付けられたことが名の由来となっている。原種は近東地方に今日でも野生している ''P. humile'' Boiss. et Noö. と推察されている。もともとは[[ムギ|麦類]]の間で[[雑草]]として生えてきたこの原種の野生植物を、種実を食用にしたり、[[根粒菌]]による土の肥沃化に効果があるなどの利用価値を発見することで、麦類とともに混ぜ植え栽培するようになり、次第に[[栽培植物]]として品種改良が進んだと考えられている。この地域では農耕開始期に、[[カラスノエンドウ]]もエンドウと同時に同様の利用が行われ始めたが、こちらの栽培利用はその後断絶し、今日では[[雑草]]とみなされている。また、同じ地域に起源を持つマメ科作物としては、[[ソラマメ]]、[[レンズマメ]]、[[ヒヨコマメ]]が挙げられる。麦作農耕とともに[[インド]]や[[中国]]など[[ユーラシア]]各地に広まり、[[中国]]に伝わったのは[[5世紀]]、[[日本]]へは[[9世紀|9]]-[[108世紀]]ごろ伝わった{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=134}}。また、[[グレゴール・ヨハン・メンデル|メンデル]]が実験材料としたことでも知られている。
 
== 特徴 ==
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[[画像:Pisum sativum green.jpg|thumb|200px|グリーンピース - エンドウの種子]]
[[画像:Pisum sativum MHNT.BOT.2010.12.9.jpg|thumb|完熟した硬莢種]]
さやの硬さにより、硬莢種(こうきょうしゅ)(''P. sativum'' subsp. ''arvense'') ({{Taxonomist|Poir.}}) と軟莢種(なんきょうしゅ)(''P. sativum'' subsp. ''hortense'') ({{Taxonomist|Asch.}}) がある。硬莢種はその名の通り莢(さや)が固く、主として完熟して乾燥した豆を収穫して利用する。花は紅色(紫色)または白色である{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=135}}。軟莢種は莢が柔らかく、未熟な莢を[[サヤエンドウ]]として利用したり、成長を終えて乾燥前の生の豆を[[グリーンピース]]として利用する{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=134}}花は白いもエンドウが多い。一品種[[スナップエンドウ]]は軟莢種の中でも豆が大きく成長しても莢が柔らかく、豆と莢の両方を野菜として利用できる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=134}}。グリーンピースは、缶詰や冷凍種であにして通年市場に流通していが、生のものは春が[[旬]]で、この時期は香りや甘みが格別によい{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=134}}{{sfn|主婦の友社編|2011|p=96}}
 
原産地が冬に雨が多い[[地中海性気候]]の[[近東]]地方であるため、夏の高温期は成長適期ではなく、麦類と同様に基本的には秋まきして翌春収穫する。冬の寒さの厳しい東北北部や北海道では春まきして初夏に収穫する{{sfn|主婦の友社編|2011|p=100}}。[[連作]]に弱く、一度栽培した土地では数年間栽培が困難となる{{sfn|主婦の友社編|2011|p=100}}。また、原産地が[[土壌]]に[[カルシウム]]などが多い乾燥地帯であることから想像できるように、[[酸性土壌]]にも弱い。
 
発芽に際しては同じマメ科の[[ダイズ]]のように[[胚軸]]が伸張して地上で[[子葉]]を双葉として展開するのではなく、[[上胚軸]]だけが伸張して地上に本葉だけを展開し、子葉は地中に残る。
 
== 食品として ==
{{栄養価
|name = えんどう<br>(全粒、青えんどう、乾)<ref name=mext7>[[文部科学省]]、「[{{Cite web|和書|url=https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/1365297.htm |title=日本食品標準成分表2015年版(七訂)|publisher=[[文部科学省]]|date=2015-12|accessdate=2023-05-09}}</ref>
|kJ = 1473
|water = 13.4 g
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}}
{|class="wikitable" style="float:right; clear:right"
|+エンドウ(100g中)の<br>主な[[脂肪酸]]の種類<ref>[http://ndb.nal.usda.gov/ndb/foods/show/3037?qlookup=11304&format=Full+Link+to+USDA+Database+entry&max=25&man=&lfacet=&new=1 Basic Report Nutrient data for 11304, Peas, green, raw] National Agricultural Library (USDA)</ref>
!項目!!分量 (g)
|-
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硬莢種は古くから乾燥種実として利用されており、日本ではアオエンドウは煎り豆、煮豆、[[餡]](鶯餡)などに加工され、アカエンドウは[[みつまめ]]やゆで豆として利用される。ヨーロッパでは煮込んで[[スープ]]({{ill2|ピースープ|en|Pea soup}})などとして利用されてきた。
 
しかし、今日、世界中で最も大量に消費されているのは乾燥していない未熟の莢や種実を野菜として利用する軟莢種である。東アジアでは未熟な莢を利用する[[サヤエンドウ]]として、インドから西では完熟直前の種実を利用する[[グリーンピース]]として、主に消費されている。両者の性質を兼ね備えたのが[[スナップエンドウ]]で、グリーンピースと同様に種実が完熟寸前まで大きく成長したものを収穫するが、莢もサヤエンドウと同様に柔らかく、果実全体が食べられる。
 
若い莢を食べるサヤエンドウはエンドウを代表する栽培種で、莢のこすれる音が衣ずれのようだといわれキヌサヤともよばれている{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=134}}。スナップエンドウはアメリカ由来の品種で、莢は肉厚で、実はふっくらと大きく甘みがあるのが特徴である{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=135}}。サトウサヤは、実がやや大きくなってから食べられるようにサヤエンドウから改良された品種で、糖度が高めなのが特徴である{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=135}}。濃い紫色の莢をもつ「ツタンカーメン」という品種は、エジプトの[[ツタンカーメン]]の墓から出土したともいわれ、中の豆を食べる{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=136}}。日本の伝統野菜として知られるウスイエンドウ(碓井豌豆)は、大きくなった豆を食べるグリーンピースに似た品種で、主に関西で食べられている{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=136}}。
 
エンドウは収穫期と食べる部位で呼び名も変わる{{sfn|主婦の友社編|2011|p=101}}。食品としての莢や豆は、未熟な莢が「さやえんどう」(絹さや)、丸く大きくなった豆が「グリーンピース」、完熟して茶色になった豆を「えんどう豆」とよんでいる{{sfn|主婦の友社編|2011|p=101}}。若い苗や蔓の先の柔らかい茎葉も野菜として利用され、中国ではこれを[[豆苗]](トウミョウ)とよぶ{{sfn|主婦の友社編|2011|p=101}}。
 
野菜としては[[緑黄色野菜]]に分類され、[[炒め物]]や[[和え物]]、[[炊き込みご飯|豆ごはん]]などに調理されるが、料理の彩りに使われることも多い{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=134}}。[[β-カロテン]]、[[ビタミンC]]、[[食物繊維]]が豊富で栄養価が高く、豆の部分には[[たんぱく質]]も多く含まれている{{sfn|猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|2012|p=134}}。
 
スペインのバスク地方は早摘みのエンドウ(涙豆)の産地となっており「畑のキャビア」とも呼ばれている<ref>[https://jwing.net/t-daily/data2019/1907/190711food-eu100.pdf 美味しいヨーロッパ] アウトバウンド促進協議会、2021年12月13日閲覧。</ref>。
 
[[2004年]]には、[[サッポロビール]]によりエンドウのタンパクを用いた[[第三のビール]]が開発され、新たな食品を生み出す素材として注目を浴びた。
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[[キッコーマン]]では大豆・[[小麦]]のアレルギーにより醤油を利用できない顧客向けとして、エンドウで濃口醤油の味を再現した製品を販売している。
 
== メンデルの実験材料として ==
種実以外の利用もあり、若い苗や蔓の先の柔らかい茎葉も野菜として利用される。中国ではこれを[[豆苗]](トウミョウ)と呼ぶ。
 
== メンデルの実験材料として ==
[[グレゴール・ヨハン・メンデル|メンデル]]は[[遺伝]]の研究を行い、現在は[[メンデルの法則]]として知られる法則を発見し、[[遺伝学]]の歴史に大きな足跡を残した。特に1遺伝子雑種と2遺伝子雑種の研究が有名である。
 
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===出典===
{{Reflist}}
 
== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書|author =猪股慶子監修 成美堂出版編集部編|title = かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典|date=2012-07-10|publisher = [[成美堂出版]]|isbn=978-4-415-30997-2|pages =134 - 136|ref=harv}}
* {{Cite book|和書|author =主婦の友社編|title = 野菜まるごと大図鑑|date=2011-02-20|publisher = [[主婦の友社]]|isbn=978-4-07-273608-1|pages =96 - 101|ref=harv}}
 
== 関連項目 ==
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*[[エンドウ豆の上に寝たお姫さま]]
*[[ピープロテイン]]
*[[天然痘]] - 特徴的な発疹がエンドウに似ていることから、[[続日本紀]]などでは「豌豆瘡」と書かれている。
 
{{Normdaten}}