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'''狆'''(ちん)は、[[日本]]原産の[[ペット|愛玩犬]]種。
 
他の[[小型犬]]に比べ、長い日本の歴史の中で独特の飼育がされてきたため、体臭が少なく性格は穏和で物静かな愛玩犬である。狆の名称の由来は「ちいさいいぬ」が「ちいさいぬ」、「ちいぬ」、「ちぬ」とだんだんつまっていき「ちん」になったと云われている。また、'''『[[wikt:狆|狆]]』'''という文字は[[和製漢字]]で<ref>[[康熙字典]]には、『【字彙補】音未詳。狆宗,苗人名也。見諸苗考』と、[[ミャオ族]]に見える姓名として記されており、その他、[[プイ族]]の旧称「仲」「仲家」「仲蛮」の「仲」の代替字として用いられていた。日本のものは、これと独立に案出され、「字体の衝突」を起こしている。</ref>、屋内で飼う(日本では犬は屋外で飼うものと認識されていた)犬と猫の中間の獣の意味から作られたようである。開国後に各種の洋犬が入ってくるまでは、姿・形に関係なくいわゆる小型犬のことを狆と呼んでいた。庶民には「'''ちんころ'''」などと呼ばれていた<ref>[http://zokugo-dict.com/17ti/chinkoro.htm チンコロ(ちんころ) - 日本語俗語辞書]</ref>。
 
== 歴史 ==
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天武ないし天平期からこのころまでの前後100年余の間に、「蜀狗」と呼ばれた短吻種犬が何度か渡来した。ちなみに「狛犬」は「高麗犬」であり、朝鮮半島を経由して伝わったものだからという説も存在するが、朝鮮半島にもモデルとなるような架空の霊獣はあるものの、姿が異なるものであり、そこに同一性を求めるのは少し難しいと考えられている。また、文献によっては、日本から中国([[唐]]時代;[[618年]] - [[910年]])並びに朝鮮(渤海時代;[[698年]] - [[926年]])に派遣された使者が、直接日本に持ち帰ったとも記されているという。
 
狆の祖先犬は、当初から日本で唯一の愛玩犬種として改良・繁殖された。つまり、狆は日本最古の改良犬でもある。とは言うものの、現在の容姿に改良・固定された個体を以て狆とされたのは明治期になってからである。[[フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト|シーボルト]]が持ち出したちんの[[剥製]]が残っているが[[日本テリア]]に近い容貌である。つまり小型犬であれば狆と呼ばれていたことを物語る。
しかし実際には、これらの犬が現在の狆の先祖とは考えにくく、[[フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト|シーボルト]]の記述によると、[[戦国時代 (日本)|戦国時代]]から[[江戸時代]]にかけて、北京狆(ペキニーズ)がポルトガル人によってマカオから導入され、現在の狆に改良されたという。いずれにしても[[室町時代]]以降に入ってきた[[短吻犬]]や[[南蛮貿易]]でもたらされた小型犬が基礎となったと思われる。承寛襍録には[[江戸時代]][[1735年]](享保20年)に[[清国]]から輸入された記録がある。
 
狆の祖先犬は、当初から日本で唯一の愛玩犬種として改良・繁殖された。つまり、狆は日本最古の改良犬でもある。とは言うものの、現在の容姿に改良・固定された個体を以て狆とされたのは明治期になってからである。[[フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト|シーボルト]]が持ち出したちんの[[剥製]]が残っているが[[日本テリア]]に近い容貌である。つまり小型犬であれば狆と呼ばれていたことを物語る。
 
=== 近世以降 ===
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== 文化 ==
{{出典の明記|date=2017年12月|section=1}}
*[[中国]]の[[南北朝時代 (中国)|南北朝時代]]にあった北朝の[[東魏]]では、[[孝静帝]][[高澄]]が宴席で酒の無理強いをした時、孝静帝が「昔から滅亡しなかった国はないというのに、朕はどうしてこのように生まれてきたのだ」とぼやくと、高澄は怒って「朕、朕、'''狗脚の朕(狆)'''」と罵倒し、[[崔季舒]]に孝静帝を殴打させた。
*[[大政奉還]]前後には、こんな[[川柳]]が出回った。「'''江戸の豚 都の狆(朕)に追い出され'''」
*:「狆」は[[天皇]]が「[[朕]]」という[[一人称]]を用いることから、天皇([[明治天皇]])を指し、「[[ブタ|豚]]」は「豚[[公方]]」と渾名された[[徳川慶喜]]のことをさしている。最後の[[征夷大将軍|将軍]]である慶喜には様々な渾名が付けられているが、[[豚肉]]が好物であったことから「豚公方」や「豚一」と言った渾名もあったという。
* 「[[日本]]の[[国犬]]」とされている。
*「ちんくしゃ(狆くしゃ)」とは、「狆が[[くしゃみ]]をしたよう(な顔)」の略で、不美人の形容。このような語の存在は、狆が一般によく親しまれていたことのあらわれと言ってよい。[[夏目漱石]]の小説『[[吾輩は猫である]]』の猫の飼い主、珍野 苦沙弥(ちんの くしゃみ)先生(作者自身がモデル)の名も、これにちなむものと思われる。
*[[足立区]]の[[マスコットキャラクター]]に[[アダチン]]という狆をモデルにしたキャラクターがいる<ref>{{Cite web|和書|url=http://www.city.adachi.tokyo.jp/miryoku/character/adachin.html|title=お助けキャラクター「アダチン」|publisher=足立区|accessdate=2019-05-14}}</ref>。
*[[田河水泡]]の漫画「[[のらくろ]]」の大尉時代には、「破片」という名前の狆(名前の由来は破片の様に小さいから)が兵士(二等兵)として登場する。身長や体重が足りず、徴兵検査に合格出来そうになかったので、頭を殴ってもらってタンコブを作り、どんぶり飯を2杯平らげて合格するエピソードがある。
*: 戦後に[[田河水泡]]自身が書いた小説版[[のらくろ]]である「[[のらくろ]][[自叙伝]]」では、チンコロ二等兵と呼ばれている。    
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== 外部リンク ==
* [http://www.nihonchinclub.jp/ 日本狆クラブ]
* [{{Wayback|url=http://www5a.biglobe.ne.jp/~nobon/torai1.htm |title=狛犬と狆の渡来] |date=20030811175508}}
* [http://jcscjapan.web.fc2.com/ 国犬狆保存会]
* [http://www.animal-planet.jp/dogguide/directory/dir08600.php ドッグ・ガイド - 狆]