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[[ファイル:Swiatlomierz1968rok-Leningrad4.jpg|thumb|right|電気機械式露出計(1968)<br>旧ソビエト連邦製のレニングラード4型、反射光式単体露出計である。]]
'''露出計'''(ろしゅつけい、''Exposure Meter'' )は、[[写真]]や[[映画]]の撮影において光の強度を測定し、設定すべき[[露出 (写真)#露出値|露出値]]を割り出すための機械である。露出計で光の強弱を測ることを「'''[[測光]]'''」と言う。
== 露出計の歴史 ==
世界で最初の露出計はハーターとドリフィールドが発明し1892年に[[マリオン (カメラ)|マリオン]]から発売された[[計算尺式露出計]]であった。その後色々な方式の露出計が発明され使用されてきたが、精度や信頼性や速写性など圧倒的に優れる電気露出計が発明されてからはほぼ露出計=電気露出計となっている。
当初は単体露出計として普及したが、その後より速写性を上げるためにカメラに内蔵されるようになり、さらには絞りやシャッター速度と連動するようになった。
今日では一般撮影用のカメラに露出計が搭載されているのは当然のこととなっているが、一方で露出計としてより高度な機能を持つ単体露出計も継続的に販売・使用されている。もっとも、保有機が中古で信用できないというユーザーは、
== 方式による分類 ==
=== 計算尺式露出計 ===
日時、天候、被写体の種類、フィルム感度、フィルターなど色々な要素を機械的な計算尺に入力することで適正なシャッター速度と絞り値を求めるもの。{{main|計算尺式露出計}}
=== 感光紙式露出計 ===
感光性を持つ紙を光に晒し、変色する時間で明るさを測定するもの。'''ワトキンス'''(''Watkins'' )の'''ビーメーター'''(''Bee Meter'' )などが知られている<ref name="clacamesenka2-75">『クラシックカメラ専科No.2、名機105の使い方』
=== 光学式露出計 ===
例えば透過率が違う数字が印刷された透明板が並べてあり目視で読み取れなくなる限界から露出を求める、数字や被写体を見ながらフィルターを濃くしていき見える限界で明るさを求め、適正なシャッター速度と絞り値を求めるもの。
=== 比較露出計 ===
光学式露出計と似ているが、露出計本体に基準となる光源を内蔵し、それとの比較で測光する。理論的な精度は得られるはずだが、当時の書籍には「値段が高いわりには、何回測っても同じ値にならなくて不満だ」と書いてある。究極的な製品として'''サルフォード・エレクトリック・インスツルメンツ'''が[[1947年]]に比較露出計式のスポットメーター、'''S.E.I.望遠露出計'''を発売し、[[アンセル・アダムス]]も1950年代に多用した<ref name="clacamesenka3-149">『クラシックカメラ専科No.3、戦後国産カメラの歩み』
=== 電気露出計 ===
感光素子の出力により明るさを測定し、適正なシャッター速度と絞り値を求めるもの。最も基本的な電気露出計は、電源と受光部と電磁[[検流計]]を直列につないだもので、表示部には露出計算スケールがある。最初の電気露出計は'''ウェストン'''の'''ユニバーサル617型'''<ref
==== セレン光電池式 ====
[[セレン]]を塗布した金属板を受光部に用い、セレン板と接続された検流計で光量を計測する仕組みで、もっとも原始的な電気露出計である。セレン板の面積が広ければ広いほど、計測精度と暗所での応答性が向上する。▼
[[ファイル:Selenium Sensor.jpg|thumb|150px|right|セレン光電池受光部 - キヤノンメーターIIのもの]]▼
▲[[セレン]]を塗布した金属板を受光部に用い、セレン板と接続された検流計で光量を計測する露出計。
利点としては、分光感度特性が他の受光素子よりもフィルムに近い。目の感度に近い。安価。また素子自体が発電するため、電源を必要としない。耐久性が高い。
欠点としては、一般的に計測精度が次項のCdS式より劣る。また受光量に対し起電力の増加量が完全には比例しないため、明所と暗所で感度切り替えを必要とするものが多い。暗い場所では測光できない。
また、破棄されたセレンが[[環境問題|環境汚染]]につながることから、現在はセレン光電池を採用する製品はほとんど見かけない。▼
カメラ内蔵型の露出計では格子と複眼レンズをセレン板に重ねてあり、計測角度を制限・集光している。単体型露出計([[#単体露出計|後述]])では、受光部にかぶせるカバーを交換、または切り替えできるものがあり、反射光の他に立体及び平面の入射光に対応している。
▲破棄されたセレンが環境汚染につながることから、現在はセレン光電池を採用する製品はほとんど見かけない。
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==== CdS式 ====
[[ファイル:Cds-Meter.jpg|thumb|100 px|right|CdS受光部 - コニカC35<ref>{{Cite web|和書|author=[[ケンコー・トキナー]] |date= |url=https://www.kenko-tokina.co.jp/konicaminolta/history/konica/1960/1968.html |title=Konica C35ジャニーコニカ |website=コニカミノルタ製品アフターサービス |publisher=ケンコー・トキナー |accessdate=2019-09-04}}</ref>のもの]]
測光素子に[[硫化カドミウム]]を使用したCdSセルを用いる方式。セレン光電池が光によって起電力を変化させるのに対して、CdSセルは電気抵抗値を変化させる。▼
▲測光素子に[[硫化カドミウム]]を使用したCdSセルを用いる方式。セレン光電池が光によって起電力を変化させるのに対して、CdSセルは[[電気抵抗]]値を変化させる。
利点としては、セレン光電池式と比較し暗い場所でも測光できるようになった。また、受光角を狭くできるためスポットメーターも製造できる。抵抗変化の直線性も優れている。▼
▲利点としては、セレン光電池式と比較し暗い場所でも測光できる
欠点としては、電源を必要とする。電源に電池を用いる場合、電池残容量が少なくなってくると起電力が低下して測光精度が低下するため起電力が安定している電池を用いる必要があり、[[ブリッジ回路]]などを用いて起電力変化の影響を受けないようにしているものもある。反応は遅く、特に低輝度域で顕著であるため、針が安定し正しい数値を示すまでに時間がかかる。寿命が短い。光履歴特性があり、暗い場所に放置した後はさらに反応が遅くなる。
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==== フォトダイオード式 ====
受光量に比例して導電性が上がる光半導体素子、[[フォトダイオード]]を使用する。使用される測光素子は[[ケイ素|シリコン]]
CdS式同様、電源が必要である。CdSより微弱な電流で動作するため、[[トランジスタ]]などの増幅回路と組み合わせて使用され、回路が複雑になる。また起電力の変化による影響がきわめて大きく、[[安定化電源|電源
==== イメージセンサー式 ====
[[
== 測定形式による分類 ==
=== 入射光式 ===
[[ファイル:
被写体に当たる光量を測定する形式。被写体の反射率や、被写体に近い方向の強い光源に左右されることなく適正な露出が得られる。極僅かの例外を除いて単体露出計である。現在は太陽光等の定常光だけではなく、フラッシュ光も測定できるフラッシュメーターが主流となっている。
被写体に当たっている光量を測定するので、光に透けた紅葉、夕焼け、テレビ画面
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=== 反射光式 ===
[[ファイル:
被写体に当たって反射した光量を測定する形式。カメラに内蔵されている
通常反射光式露出計は測定対象物の反射率が
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== 形状による分類 ==
=== 単体露出計 ===
[[ファイル:Digital ambient light meter.jpg|150px|thumb|right|ミノルタオートメーターIVF]]
露出計が単独の製品となっているもの。入射光式露出計はこのタイプが多いが、反射光式、さらにどちらにも対応可能なものもある。
代表的な製品はウェストンのウェストンマスター、[[ゴッセン (カメラ)|ゴッセン]]のルナシックス、[[セコニック]]のスタジオデラックスがある。反射光式の代表的製品は[[ペンタックス]]スポットメーターなど、両用の代表的製品は[[ミノルタ]]オートメーターなどが有名である。
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=== 着脱式露出計 ===
[[ファイル:P-Meter.jpg|150px|thumb|right|キヤノンメーターIIを装着したキヤノンP]]
クリップオンメーターとも呼ばれる、カメラに着脱できる露出計である。単体露出計と同様の一切連動機構がないものもあるが、多くはカメラに装着するとシャッター速度ダイヤルなどと機械的に連結し、あらかじめ設定しておいたフィルム感度と測光結果から現在のシャッター速度で適正露出になる絞り値を表示する。基本的に着脱式露出計はカメラの機種ごとに専用のものが用意されている。代表的なものに{{仮リンク|ライカM3|en|Leica M3}}・{{仮リンク|ライカM2|en|Leica M3|label=M2}}用の'''ライカMCメーター'''、キヤノンVIT・VIL・{{仮リンク|キヤノンP|en|Canon P|label=P}}用'''キヤノンメーター'''、[[ニコンF]]用'''ニコンメーター
カメラの内蔵露出計が一般化すると廃れていったが、現在でも旧式カメラ向けの着脱式露出計がわずかながら販売されている。
{{-}}
=== カメラ内蔵露出計 ===
カメラに内蔵されている露出計。カメラ側のシャッター速度や絞りと完全に連動させることが可能で、特に[[AEカメラ]]には必須となる。[[レンズ付きフィルム]]をのぞく現代の一般撮影用カメラにはほとんど必ず露出計が内蔵されている。最初に露出計を内蔵したカメラは[[ツァイス・イコン]]が[[1935年]]に発売した[[コンタフレックス]]である。受光部の位置、測定結果の表示方式などでさらに細かく分類できる。
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カメラに受光窓を設け、撮影レンズに関係なく決まった測定角度で測光する方式。
;TTL式
{{main|TTL露出計}}撮影レンズを実際に透過した光を測光する露出計。画角を考える必要がなく、フィルターの補正が不要であるなど多くの利点がある。最初にTTL露出計を装備したカメラは東京光学(現[[トプコン]])が[[1963年]]に発売した'''トプコンREスーパー'''である。
==== カメラとの連動方式による分類 ====
;非連動式
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;追針連動式
[[ファイル:SRT101finder.jpg|thumb|right|150px|追針連動露出計 - ミノルタSR-T101のファインダー内に装備されているもの
:ライトバリュー式の発展型で、ライトバリューを数字の代わりに追針と呼ばれる指針で表示する。追針は
{{-}}
;定点合致連動式
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===== 測定結果表示方式による分類 =====
;針式
:指針が測光結果を指し示す方式。暗所では見づらくなるが、[[
:電磁メーターを使用しているため、強い磁気を帯びたものに近づけると故障する可能性がある。
;LED(または[[液晶]])式
:[[
:オートフォーカス一眼レフカメラなど基本的にAE撮影が前提のカメラでは、マニュアル露出モード時に表示される露出計は2点または3点表示型のものがほとんどで、針式や多点表示型などに比べると操作性は劣る。
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== 主な露出計メーカー ==
* [[セコニック]]
* [[ミノルタ]]→コニカミノルタフォトイメージング(2006年3月まで)→
* [[ペンタックス]](スポットメーターのみ)
* [[ゴッセン (カメラ)|ゴッセン]](ドイツ)
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*[http://westonmeter.org.uk/ Weston Exposure Meters From 1930's To Today]
*[http://www.westonaero.com/ Weston Aerospace: An Esterline Technologies Company]
== 脚注 ==▼
<references />▼
== 参考文献 ==
*『クラシックカメラ専科No.2、名機105の使い方』朝日ソノラマ
*『クラシックカメラ専科No.3、戦後国産カメラの歩み』朝日ソノラマ
▲== 脚注 ==
▲<references />
{{写真}}
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[[Category:写真用品]]
[[Category:計測機器]]
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