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{{出典の明記|date=2015年4月18日 (土) 20:00 (UTC)}}
[[File:800px-Map-Tundra.png|thumb|400px|ツンドラの分布図({{Color|#F2B062|■}})]]
'''ツンドラ'''([[ロシア語]]:{{lang-ru|тундра}} {{IPA-ru|ˈtundrə||Ru-тундра.ogg}}, [[英語]]:{{lang-en|tundra}} {{IPA-en|ˈtʌndɹə||en-us-tundra.ogg}})は、地下に[[永久凍土]]が広がる降水量の少ない地域のことである。'''凍原'''(とうげん)、'''寒地荒原'''(かんちこうげん)と訳す。
 
== 解説 ==
主に[[シベリア]]北部など[[北極海]]沿岸の[[寒帯]]地域に見られる。永久凍土といっても1年中凍結しているのは地下の[[凍土]]だけである。しかし地下が凍結していても短い夏には表面付近の[[土壌]]が融け、[[コケ植物]]、[[地衣類]]や草本類、灌木などが生育するところもある。
 
近年、[[地球温暖化]]の影響により、面積が縮小傾向にあるという調査報告も出ている。[[寒帯]]で唯一、人間が居住できる地域であり、[[トナカイ]]の遊牧([[チェコト族]]など)・狩猟・海洋漁業・鉱業が営まれている。
 
[[自然地理学]]上、ツンドラは、低温で植物の生長可能期間が短いため樹木が生長できない地域を指す。ツンドラという言葉は、木のない平原を意味する[[サーミ語]](およびそこから[[ロシア語]]に取り入れられた単語)に由来する。ツンドラには、南極ツンドラ、北極ツンドラ、高山ツンドラの3種類があり、いずれにおいても主たる植生は草本類、[[蘚類]]、地衣類である。
 
ツンドラには木が生えているところもあり、ツンドラと森林地帯との間の移行帯(生態上の境界地帯)は樹木限界線と呼ばれる。
 
ツンドラ地帯は夏になると[[最暖月平均気温]]が0℃以上になる{{Sfn|小泉|2017|p=344}}。
 
== 各地のツンドラ ==
=== 北極ツンドラ ===
[[File:Greenland scoresby-sydkapp2 hg.jpg|thumb|[[グリーンランド]]のツンドラ]]
北極ツンドラは、北半球極北の[[タイガ]]地帯の北に位置する。通常、ツンドラという用語は、地下土壌が融けることのない氷を含む永久凍土である地域だけを指す(北部ラップランドを含め、木が生えない地域を一般的にツンドラと言う場合もある)。永久凍土ツンドラ地帯は、[[ロシア]]および[[カナダ]]北部の広大な地域を含んでいる。北極ツンドラには、凍土地帯の[[ガナサン人]]、[[ネネツ人]](およびラップランドの[[サーミ人]])など、トナカイの放牧を営む遊牧民族が居住している。
 
ツンドラの生物多様性は低い。生物の種類は少ないが、それぞれの種毎の個体数は多い。北極ツンドラ地帯の主な陸生哺乳類は[[トナカイ|トナカイ(カリブー)]]、[[ヘラジカ]]、[[ドールシープ]]、[[ジャコウウシ]]、[[レミング]]、[[ホッキョクグマ]]、[[ホッキョクギツネ]]、[[クズリ]]、[[オオカミ]]、[[オオヤマネコ]]、[[ハイイログマ]]などである。
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=== 南極ツンドラ ===
南極ツンドラは、[[南極大陸]]、[[南ジョージア島]]・[[南サンドイッチ諸島]]、[[ケルゲレン諸島]]など、南極圏・[[亜南極|亜南極圏]]の島々に位置する。南極大陸は、寒く乾燥しすぎているため植物の育成がほとんど不可能であり、大陸の大部分が氷原におおわれている。しかし、一部の地域、特に[[南極半島]]には岩石質の土壌が存在し、ツンドラを成立させている。この地域には、約250種の[[地衣類]]、100種の[[蘚類]]、25 - 30種の[[苔類]]、約700種の陸生・水生藻類が存在し、大陸の海岸周辺の凍っていない岩や土の部分に生育している。南極大陸で花をつける2種類の植物、[[ナンキョクコメススキ]] (''Deschampsia antarctica'') と[[ナンキョクミドリナデシコ]] (''Colobanthus quitensis'') は、南極半島の北部および西部に生息する。
 
北極ツンドラと違い、他の大陸から隔絶している南極ツンドラには、大型の陸生動物がいない。[[アザラシ]]、[[ペンギン]]等の海鳥や海洋動物が海岸周辺に生息している。また、亜南極の島には、ネコ、ウサギなど、数種類の小動物が人間によって持ち込まれている。
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高山ツンドラに生息する主要な動物は、[[ミヤマオウム]]、[[マーモット]]、[[ロッキーヤギ]]、[[ナキウサギ]]([[日本]]でも[[北海道]]の[[大雪山]]周辺に生息)などである。
 
== 脚注 ==
{{Reflist}}
 
== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書|author=小泉武栄|author-link=小泉武栄|year=2017|chapter=亜寒帯林,ツンドラ,氷雪帯|pages=344-345|editors=小池一之・山下脩二・[[岩田修二]]・[[漆原和子]]・[[小泉武栄]]・田瀬則雄・[[松倉公憲]]・松本淳・山川修治|title=自然地理学事典|publisher=朝倉書店|isbn=978-4-254-16353-7|ref={{SfnRef|小泉|2017}}}}
 
== 関連項目 ==
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{{雪氷学}}
 
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:つんとら}}
[[Category:草原]]