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変種 (会話 | 投稿記録)
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{{otheruses}}
{{正確性|date=2018-08-12}}
'''品種'''(ひんしゅ)とは、[[生物]]の[[種 (分類学)|種]]以下の生物集団の[[単位]]である。
 
[[日本語]]では、次の3異なる意味を持ものが混在して「'''品種'''」と呼ばれうる。以下のものが挙げられる。
{|class="wikitable"
|-
! ラテン語 !! 英語 !! 略号 !! 区別
|-
|{{lang|la|varietas}}||{{lang|en|variety}}||{{lang|en|var.}}||変種
|-
|{{lang|la|cultivar}}||{{lang|en|cultivar}}||{{lang|en|cv.}}||栽培品種
|-
|{{lang|la|forma}}||{{lang|en|form}}||{{lang|en|f.}}||品種
|}
 
*植物の品種
=={{lang|en|variety}}、{{lang|en|cultivar}}==
**植物学における品種
{{main|変種|栽培品種}}
**栽培品種(園芸品種)
[[種 (分類学)|種]]の中で、他の[[個体]]と区別できる、人為的に選抜された形質などの特徴が安定しており、それにより他と区別できる、もしくは[[産業]]上区別する意味の認められる個体群。[[クローン]]個体群も含まれる。品種内で遺伝的に斉一か雑ぱくかは問われない。[[農業]]([[畜産]]も含む)上の[[ハイブリッド品種]]など、ある品種同士の子孫が親と同じ品種とみなされないことも多い。
**法律用語としての植物品種
 
*動物の品種(血統)(breed)
一般社会で使う場合、種と混同したりする例もある。たとえば[[シェパード]]や[[チワワ]]は種ではなく[[犬]]の品種である。[[植物]]、[[動物]]、[[菌]]([[キノコ]])で認められる。[[細菌]]、[[酵母]]、[[カビ]]などでは[[系統 (生物学)|系統]]<ref>{{lang-en-short|race}}、{{lang|en|line}}</ref>と言われ、品種({{lang|en|cultivar}}、{{lang|en|variety}})とはいわない。
 
==植物の品種==
ただし、{{lang|en|variety}} を「変種」とした場合は、動物分類学においては、種内のあらゆる変異型をさす多義的な概念。色彩多型・季節多型・栽培生物・飼養生物・亜種および非遺伝的な変異などがこれに含まれる。動物命名規約では,現在はこれを正式な階級として扱わない。
===植物学における品種===
{{main|品種 (分類学)}}
 
{{Anchors|form}}'''品種'''(ひんしゅ、{{Lang-la|forma}} フォールマ、{{Lang-en|form}} フォーム、省略形: f.{{sfn|Turland|2018|loc=ARTICLE 5}})は[[国際藻類・菌類・植物命名規約]]('''{{Lang|en|ICN}}''')によって定められた、'''[[種 (分類学)|種]]より下位の[[階級 (生物学)|分類階級]]'''の一つ、および、その階級に属する[[タクソン]]である<ref>[[国際動物命名規約]]・[[国際原核生物命名規約]]では認められていない。</ref>。専ら[[植物学]]のみで使われる。
[[国際栽培植物命名規約]](ICNCP)の規約 (1995) では、[[亜種]]と品種({{lang-la-short|forma}})の間に位置する分類階級。複数の形質において他と異なる変異型に対して用い、命名の際は「{{lang|en|var.}}」の符号を添えた変種名を種名の次に付加する。規約上は亜種より下位とされるが、研究者によっては亜種を用いず、変種を用いることもある<ref>生物学辞典 第4版</ref>。
 
自然(野生)状態で、[[形態]]などにおいてははっきりと区別できるものの、同じ地域の同種個体群とは[[生殖]]的に隔離されていない[[個体群]]を指す。多くの顕花植物に見られる白花品などはこのように扱われる。
例えばハクサイの品種「耐病60日」は次のようになる。
*{{sname|Brassica rapa}} {{lang|en|variety}} {{sname|pekinensis}} {{lang|en|cultivar}} 耐病60日
*{{sname|Brassica rapa}} {{lang|en|subspecies}} {{sname|pekinensis}} {{lang|en|cultivar}} 耐病60日
*{{sname|Brassica rapa}} {{lang|en|variety}} 耐病60日</blockquote>
*{{sname|Brassica rapa}} {{lang|en|cultivar}}<ref>この場合は品種の意味で用いているので {{lang|en|subspecies}} とはしない。</ref> 耐病60日
 
{{Lang|en|ICN}}による品種分類群の[[学名]]の例
学名記載時は「{{lang|en|variety}}」は「{{lang|en|var.}}」と、また「{{lang|en|cultivar}}」は「{{lang|en|cv.}}」と省略して表記する。また「{{lang|en|subspecies}}」は「{{lang|en|subsp.}}」「{{lang|en|sub.}}」「{{lang|en|ssp.}}」などと表記されることもあるが、通常は省略する。先の例は次のようになる。
*{{snamei|Rosa roxburghii}} f. {{snamei|normalis}} (種より下位の階級のため、二名法による種名が必要。接続語"f."が品種階級を表し、その直後が品種の形容語{{sfn|Turland|2018|loc=ARTICLE 24}})
 
===栽培品種===
{{main|栽培品種}}
'''栽培品種'''({{Lang-en|cultivar||links=no}}、園芸品種とも。また、単に品種と表記されることも多い)は、人にとって有用な植物に価値を付けて利用する際に用いる分類体系で、他のものと識別できる[[形質|特性]]を安定して有し、かつ、その特性を保持したまま[[繁殖|増殖]]可能な植物の集合のことで、'''植物学における分類階級の品種やタクソン'''とは全く異なる分類体系である。[[クローン|遺伝的に均一]]か否かは問わない。
 
栽培品種の命名法は{{仮リンク|国際栽培植物命名規約|en|International Code of Nomenclature for Cultivated Plants}}('''{{Lang|en|ICNCP}}''')で定められている。
特定の種にとどまらず、[[雑種]]や[[接木キメラ]]にも栽培品種名を付けることができる{{sfn|Brickell|2016|loc=Art. 1.4}}{{sfn|Brickell|2016|loc=Art. 2.11}}。
 
{{Lang|en|ICNCP}}による栽培品種名の例<ref group="注釈">すべて同じ栽培品種を表すが、利用者に伝わる情報量が異なる。あくまで一例で、その他の表記も可能である。</ref>{{sfn|Brickell|2016|loc=Recommendation 21A.1}}
*{{snamei|Cyclamen}} ‘{{lang|en|Artemis}}’ (最小限の表記:{{Lang|en|ICN}}による[[属 (分類学)|属]]名と{{Lang|en|ICNCP}}による栽培品種小名<ref group="注釈">栽培品種を形容する語句</ref>の組み合わせ、栽培品種小名は ‘ ’ で囲む)
*{{snamei|Cyclamen hederifolium}} ‘{{lang|en|Artemis}}’ ({{Lang|en|ICN}}による種名と{{Lang|en|ICNCP}}による栽培品種小名の組み合わせ)
*{{snamei|Cyclamen hederifolium}} [[変種|var.]] {{snamei|hederifolium}} f. {{snamei|albiflorum}} ({{lang|en|Bowles’s Apollo Group}}) ‘{{lang|en|Artemis}}’ (詳しい表記:{{Lang|en|ICN}}による種より下位の分類群名と{{Lang|en|ICNCP}}による{{仮リンク|栽培品種群|en|Cultivar group}}名を記載)
 
===法律用語としての植物品種===
[[植物の新品種の保護に関する国際条約]](UPOV条約)における'''植物品種'''({{Lang-en|[[:en:Plant variety (law)|Plant variety]]|links=no}})は分類学上の品種や変種<ref group="注釈">{{Lang-en|variety|links=no}}のため紛らわしい。</ref>ではなく、栽培品種を法的に定義した語である{{sfn|Brickell|2016|loc=Art. 2 Nt. 4}}。植物品種は次のように定義される。{{Quotation|「品種」とは,既に知られている最下位の植物学上の 1 の分類群に属する植物の集合であって,育成者権の付与のための条件をすべて満たしているか否かを問わず,遺伝子型又はその組合せによって生ずる特性の表現によって特定することができ,これらの特性のうち 1 以上の特性の表現により他のすべての植物の集合と区別することができ,かつ変化なく増殖させることが可能であるという点で 1 の単位とみなすことができるものをいう。
|[http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/fips/pdf/treaty/upov/new_varieties_of_plants.pdf 植物の新品種の保護に関する国際条約(UPOV条約 1991年法)・日本語訳(特許庁)]}}
 
==動物の品種==
{{main|品種 (家畜)}}
 
=={{lang|en|variety}}の訳として==
{{main|変種}}
[[種 (分類学)|種]]の中で、他の[[個体]]と区別できる、人為的に選抜された形質などの特徴が安定しており、それにより他と区別できる、もしくは[[産業]]上区別する意味の認められる個体群。[[クローン]]個体群も含まれる。品種内で遺伝的に斉一か雑ぱくかは問われない。[[農業]]([[畜産]]も含む)上の[[ハイブリッド品種]]など、ある品種同士の子孫が親と同じ品種とみなされないことも多い。
 
一般社会で使う場合、種と混同したりする例もある。たとえば[[シェパード]]や[[チワワ]]は種ではなく[[犬]]の品種である。[[植物]]、[[動物]]、[[菌]]([[キノコ]])で認められる。[[細菌]]、[[酵母]]、[[カビ]]などでは[[系統 (生物学)|系統]]<ref group="注釈">{{lang-en-short|race}}、{{lang|en|line}}</ref>と言われ、品種とはいわない。
*{{sname|Brassica rapa}} {{lang|en|var.}} {{sname|pekinensis}} {{lang|en|cv.}} 耐病60日
*{{sname|Brassica rapa}} {{lang|en|subsp.}} {{sname|pekinensis}} {{lang|en|cv.}} 耐病60日
*{{sname|Brassica rapa}} {{lang|en|sub.}} {{sname|pekinensis}} {{lang|en|cv.}} 耐病60日
*{{sname|Brassica rapa}} {{lang|en|ssp.}} {{sname|pekinensis}} {{lang|en|cv.}} 耐病60日
*{{sname|Brassica rapa}} {{lang|en|var.}} {{lang|en|cv.}} 耐病60日
*{{sname|Brassica rapa}} {{lang|en|subsp.}} {{lang|en|cv.}} 耐病60日
*{{sname|Brassica rapa}} {{lang|en|sub.}} {{lang|en|cv.}} 耐病60日
*{{sname|Brassica rapa}} {{lang|en|ssp.}} {{lang|en|cv.}} 耐病60日
 
ただし「{{lang|en|variety}}」を「変種」とした場合は、動物分類学においては、種内のあらゆる変異型をさす多義的な概念。色彩多型・季節多型・栽培生物・飼養生物・亜種および非遺伝的な変異などがこれに含まれる。
ただし、園芸上の品種([[栽培品種]])は {{lang|en|cv.}} とはせずに「‘」と「’」で括るのが正式であり、{{lang|en|varaiety}} も曖昧であることが多いため表記しないことが多く、先の例は次のようになる。
*{{sname|Brassica rapa}} ‘耐病60日’
 
==脚注==
=={{lang|en|form}}==
{{脚注ヘルプ}}
自然(野生)状態で、[[形態]]などにおいてははっきりと区別できるものの、同じ地域の同種個体群とは[[生殖]]的に隔離されていない個体群を指す。[[植物]]のみで使われる。多くの顕花植物に見られる白花品などはこのように扱われる。
=== 注釈 ===
{{Notelist}}
=== 出典 ===
{{reflist}}
 
==参考文献==
*{{cite book
<references/>
|ref=harv
|last=Turland|first=N. J.
|last2=Wiersema |first2=J. H.|last3=Barrie |first3=F. R.|last4=Greuter |first4=W.|last5=Hawksworth |first5=D. L.|last6=Herendeen |first6=P. S.
|last7=Knapp |first7=S.|last8=Kusber |first8=W.-H.|last9=Li |first9=D.-Z.|last10=Marhold |first10=K.|last11=May |first11=T. W.
|last12=McNeill |first12=J.|last13=Monro |first13=A. M.|last14=Prado |first14=J.|last15=Price |first15=M. J.|last16=Smith |first16=G. F.
|title=International Code of Nomenclature for algae, fungi, and plants (Shenzhen Code) adopted by the Nineteenth International Botanical Congress Shenzhen, China, July 2017
|year=2018
|publisher=Glashütten: Koeltz Botanical Books
|series=Regnum Vegetabile
|volume=159
|url=https://www.iapt-taxon.org/nomen/main.php
|doi=10.12705/Code.2018
|isbn=9783946583165
|oclc=1043224136
|language=En}}
* {{Cite journal
|ref=harv
|editor-last=Brickell |editor-first=C.D.
|editor2-last=Alexander |editor2-first=C.
|editor3-last=Cubey |editor3-first=J.J.
|editor4-last=David |editor4-first=J.C.
|editor5-last=Hoffman |editor5-first=M.H.A.
|editor6-last=Leslie |editor6-first=A.C.
|editor7-last=Malécot |editor7-first=V.
|editor8-last=Jin |editor8-first=Xiaobai
|title=International Code of Nomenclature for Cultivated Plants
|edition=9th
|date=2016-6
|publisher=International Society of Horticultural Science
|journal=Scripta Horticulturae
|issn=1813-9205
|volume=18
|isbn=978-94-6261-116-0
|url=https://www.ishs.org/sites/default/files/static/ScriptaHorticulturae_18.pdf
|format=PDF
|language=En}}
 
==関連項目==
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{{Biosci-stub}}
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:ひんしゆ}}
[[Category:品種|*]]