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2005年に、日本は[[南極海]]において「調査」との名目で本種と[[ザトウクジラ]]を50頭ずつ捕獲することを宣言したが、これにより国際的に大きな批判を浴び、[[シーシェパード]]の抗議行動の激化などの反捕鯨運動が拡大する要因の一つになったともされている<ref>[[山本太郎]], 2017年06月23日, [https://www.taro-yamamoto.jp/national-diet/7243 2017.6.13 農林水産委員会「文化じゃなくて水産庁の利権なの」]</ref>。
2024年に日本政府がナガスクジラの商業捕鯨の再開を宣言したが、[[台湾]]も含めた各国の自然保護団体からの抗議声明が出されただけでなく<ref>イルカ&クジラ アクションネットワーク, 2024年, [http://ika-net.jp/ja/home/16-japanese/activity/whaling/413-dntaddfinwhales2cmmcialwhalinig 抗議声明】ナガスクジラを商業捕鯨の対象に付け加えないでください]</ref>、シーシェパードの元船長であった[[ポール・ワトソン]]も反応した<ref name=Shiraishi />。日本国内の識者も懸念を示しており<ref>白石昌幸, 加藤裕則, 2024年5月21日, [https://digital.asahi.com/articles/ASS5P0CK3S5PTZNB011M.html 新しい国産捕鯨母船が出港 政府が後押しする中、国内外から懸念の声], [[朝日新聞]]</ref>、[[絶滅危惧種]]を捕獲対象とすることのリスクだけでなく需要の低下と商業性の脆弱さも指摘されており<ref name=Sanada>真田康弘, 2024年6月4日, [https://wedge.ismedia.jp/articles/-/34027 【商業捕鯨“復活”なるか?】ナガスクジラの対象拡大も、操業会社が抱える「時限爆弾」の実態], [[Wedge]]</ref>、2001年に[[ミンククジラ]]を「海のゴキブリ」と評して「'''[[捕鯨問題#鯨害獣論|鯨害獣論]]'''(鯨食害論)」の拡散と捕鯨論争の拡大に関与した[[小松正之]]も<ref>[http://www.economist.com/node/708925 Japan’s whale song] Jul 24th 2001 ''[[エコノミスト|The Economist]]''</ref>、捕鯨推進派としての経歴を持ちながらも今回のナガスクジラの捕獲対象種への追加の科学的正当性への疑念を呈している<ref name=Shiraishi>白石昌幸, 加藤裕則, 2024年5月22日, [https://digital.asahi.com/articles/DA3S15939714.html?_requesturl=articles%2FDA3S15939714.html 新時代の捕鯨、歓迎と批判 新母船「関鯨丸」がデビュー ナガスクジラ対象「黒字確保に期待」], [[朝日新聞]]</ref><ref name=Sanada />。また、今回の捕獲対象種への指定によって日本国内の[[ホエールウォッチング]]業に悪影響が発生する可能性も存在する<ref name=Uni2024>宇仁義和, 2024年5月7日, [https://nodaiweb.university.jp/muse/unisan/files/JCmeeting240507.pdf 網走の捕鯨100年 クジラの街で再出発するには], 98頁, 104頁, 網走青年会議所5月第1例会</ref>。
===保護とホエールウォッチング===
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[[ロシア]]や[[東アジア]]においては、かつては[[太平洋]]側・[[日本海]]側を問わない[[日本列島]]の各沿岸部<ref group="注">[[網走]]、[[知床半島]]、[[釧路]]、[[噴火湾]]、[[三陸]]、[[房総半島]]、[[能登半島]]、[[若狭湾]]、[[熊野灘]]、[[土佐湾]]、[[壱岐]]、[[山口県]]沿岸、[[対馬]]、[[北九州]]、[[長崎県]]、[[五島列島]]、[[甑島列島]]、[[日向灘]]、[[小笠原諸島]]、[[奄美諸島]]などの広範囲で捕獲されていた。</ref>や[[黄海]]・[[渤海 (海域)|渤海]]などを含め沿岸にも普遍的に見られ、上記の通り複数の特徴的な個体群も存在していた<ref name=Mizroch />。商業捕鯨時代以降は長らく記録が限定されており<ref name=MM />、目撃はおろか、[[座礁鯨|座礁]]や[[混獲]]なども非常に少なかった<ref group="注">東アジアでは、[[日本海]]・[[黄海]]・[[渤海 (海域)|渤海]]・[[東シナ海]]・[[南シナ海]]における大型鯨類とくに[[ヒゲクジラ類]]は、[[北太平洋]]や[[オホーツク海]]側や北太平洋に隣接する部分の[[東シナ海]]よりもさらに激減が顕著であった。ナガスクジラも、大多数の鯨類の回遊経路の途上に位置して[[オホーツク海]]にも隣接する[[日本列島]]で偶発的な目撃情報の殆どが記録されてきた。</ref><ref group="注">[[日本]]以外の東アジアや[[ベトナム]]や[[フィリピン]]や[[マリアナ諸島]]など近隣におけるヒゲクジラ類の現在の生息は非常に限られており、2015年または2018年に[[中華人民共和国]]・[[広西チワン族自治区]]の潿洲島([[:en:Weizhou Island|英語版]])周辺における世界初の採餌形態を取る[[カツオクジラ]]の生息が確認されたのが、日本以外の東アジアにおけるヒゲクジラ類の安定した生息が判明した初の事例だった。</ref><ref>{{Cite journal|和書|author=宇仁義和 |year=2006 |url=https://doi.org/10.24484/sitereports.125201-87186 |title=知床周辺海域の鯨類 |journal=知床博物館研究報告 |volume=27 |pages=37-46 |publisher=斜里町立知床博物館 |doi=10.24484/sitereports.125201-87186}}</ref><ref>{{cite web|url=https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/mms.12974 |title=Cooperative feeding and foraging lateralization by Eden's whales off southern China|author=Bingyao Chen, Caiwen Wu, Lisa T Ballance, Dagmar Fertl, Huiping Jiang, Ying Qiao, Zhuoxuan Du, Yu Zhang, Feng Yang, Guang Yang, Robert L. Pitman |date=2022-09-12 |work=Marine Mammal Science([[:en:Marine Mammal Science|英語版]]), Volume39, Issue3|pages=200-219 |website=[[ジョン・ワイリー・アンド・サンズ]]|access-date=2023-10-31}}</ref>。
しかし、2000年代以降は主に[[オホーツク海]]での目撃が増加
また、将来的に生息数が回復すれば、たとえば[[日本列島]]の[[北太平洋]]側や[[日本海]]側の各沿岸部や[[瀬戸内海]]など、分布が破壊されたり激減した海域にも他の海域から流入して分布が復活する可能性がある<ref name=Yamaguchi>{{Cite web|和書|author=石川創, 渡邉俊輝|date=2014|url=https://web.archive.org/web/20150109080006/http://whalelab.org/ishikawa2014.pdf |title=山口県鯨類目録 |work=下関鯨類研究室報告 No.2|pages=1-14|website=|access-date=2023-12-07}}</ref>。近年では、北海道の南東部([[釧路市]]や[[十勝総合振興局|十勝]])や[[三陸]]や[[房総半島]]の沖合が、どの程度の個体数が利用しているのかは不明であるが、本種の[[回遊]]経路になっていると判明している<ref>{{Cite journal|和書|author=岩瀬良一 |date=2015 |url=https://nied-repo.bosai.go.jp/records/6023 |title=東日本の海底地震観測網データからのナガスクジラ鳴音の発掘 |volume=2015 |pages=71-72 |quote=海洋音響学会2010年度研究発表会(2010年5月27日~28日東京工業大学) ; 発表番号: 15-22}}</ref>。
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しかし、とくに[[対馬]]や[[壱岐]]の周辺の[[対馬海峡]]では、[[韓国]]と[[日本]]を結ぶ高速船の航路と本種の[[回遊]]経路が混在しているため、絶滅危惧の個体群が船舶との衝突の危険性に直面している<ref name=Tsuji>{{Cite journal|和書|author=辻紀海香, 加賀美りさ, 社方健太郎, 加藤秀弘 |date=2014 |url=https://doi.org/10.9749/jin.130.105 |title=日本沿岸域における超高速船航路上の鯨類出現状況分析 |journal=日本航海学会論文集 |ISSN=0388-7405 |publisher=日本航海学会 |volume=130 |pages=105-113 |doi=10.9749/jin.130.105 |CRID=1390001205480962048}}</ref>。
また、2024年にナガスクジラを商業捕鯨の対象に指定したことによる国内の[[ホエールウォッチング]]業への悪影響を憂慮する声もある<ref name=Uni2024 />。
== 脚注 ==
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