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Yann (会話 | 投稿記録)
辻井 (2006) を元に一部加筆
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[[果実]]は生食もできるが、酸味が強く、菓子や[[ジャム]]、[[ペミカン]]、クランベリー[[ジュース]]に加工される原料となる{{Sfn|伊藤・野口監修 誠文堂新光社編|2013|p=54}}。[[七面鳥]]の丸焼きに添える甘い[[クランベリーソース]]は、[[アメリカ合衆国]]と[[カナダ]]の[[感謝祭]]には欠かせない。
 
原産地は[[ヨーロッパ]]、[[北米]]{{Sfn|伊藤・野口監修 誠文堂新光社編|2013|p=54}}。高さ10[[センチメートル]] (cm) 程度の矮小な[[低木]](矮性灌木){{sfn|辻井達一|2006|pp=168–169}}、トゲのある枝は蔓性で細く、地面を這うように伸びて、小さな[[常緑]]の葉をつける{{Sfn|伊藤・野口監修 誠文堂新光社編|2013|p=54}}。花はダークピンクで反り返った[[花弁]]をもつ。果実は1 - 2[[センチメートル]] (cm) 大の球形で、熟すると果皮は白色から赤色になる{{Sfn|伊藤・野口監修 誠文堂新光社編|2013|p=54}}。中が4室に分かれた空洞になっており、果肉は乳白色である{{Sfn|伊藤・野口監修 誠文堂新光社編|2013|p=54}}。加工用など傷が付いてもさほど支障のない場合、クランベリー畑に木が完全に沈むほどまで水をはり、水中で木を揺すると果実が外れて水面に浮かぶので、大型機械で果実をすくい取って収穫する{{sfn|辻井達一|2006|p=170}}。なお、畑にはった水はクランベリーの木を[[冷害]]から守る効果もあるため、春まで水を抜かずにそのまま越冬させる。
 
== 種類 ==
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クランベリーはアメリカ合衆国の[[マサチューセッツ州]]、[[ニュージャージー州]]、[[オレゴン州]]、[[ワシントン州]]、[[ウィスコンシン州]]、カナダの[[ブリティッシュコロンビア州]]、[[ニューブランズウィック州]]、[[オンタリオ州]]、[[ノバスコシア州]]、[[プリンスエドワードアイランド州]]、[[ニューファンドランド・ラブラドール州]]、[[ケベック州]]において主要な商業作物となっている。ブリティッシュコロンビア州のフレイザー・ヴァレイ地区では1,150ヘクターから国内生産量の95%を占める1,700万kgのクランベリーを生産する<ref>{{cite web|url=http://www.agf.gov.bc.ca/aboutind/products/plant/cranberry.htm|title=Cranberries|publisher=BC Ministry of Agriculture|date=2014|accessdate=4 August 2014|deadurl=yes|archiveurl=https://web.archive.org/web/20140811214928/http://www.agf.gov.bc.ca/aboutind/products/plant/cranberry.htm|archivedate=11 August 2014|df=dmy-all}}</ref>。アメリカ合衆国では国内生産量の半分以上を生産するウィスコンシン州が最大の生産地となっており<ref>{{cite web|last=United States Department of Agriculture|title=Wisconsin -Cranberries|accessdate=31 July 2011|url=http://www.nass.usda.gov/Statistics_by_State/Wisconsin/Publications/Crops/cranberry.pdf|date=18 August 2010|deadurl=yes|archiveurl=https://web.archive.org/web/20111022055415/http://nass.usda.gov/Statistics_by_State/Wisconsin/Publications/Crops/cranberry.pdf|archivedate=22 October 2011|df=dmy-all}}</ref>、次にマサチューセッツ州が続く。また量は少ないが、[[アルゼンチン]]南部、[[チリ]]、[[オランダ]]でも生産されている。
 
歴史的にクランベリー畑は湿地帯にできている。近現代、クランベリー畑は高地の浅い[[地下水面]]にできている。地表面は畑の周囲に堤防土手を作るために削り取られる。砂が4インチから8インチの深さに敷かれる。排水を均等にするため表面をレーザーレベルで平面にする。タイル敷きの排水設備や側溝により頻繁に排水される。貯水もでき、堤防土手の上を重機が運行することもできる。生育や、秋から春の冷害から保護するための[[灌漑]]設備が設置されている。
 
年中水浸しとの誤解もあるが、生育期には水に浸かっていない。ただし土は常に湿った状態である。秋になると収穫しやすいように水がはられ、果実を冬季の低気温から保護する。ウィスコンシン州、[[ニューイングランド]]、カナダ東部などの寒冷地において、冬季にこの水は凍る。3年から5年ごとに氷の上からトラックで薄く砂を撒き、害虫駆除や幹の再活性化を図る。
 
=== 繁殖 ===
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| vitA_ug=3 | vitA_IU=623 | betacarotene_ug=36 | lutein_ug=91 | vitC_mg=13.3 | pantothenic_mg=0.295 | vitB6_mg=0.057 | folate_ug=1 | thiamin_mg=0.012 | riboflavin_mg=0.02 | niacin_mg=0.101 | vitE_mg=1.2 | vitK_ug=5.1
| source_usda=1 | note=[http://ndb.nal.usda.gov/ndb/search/list?qlookup=09078&format=Full Link to USDA Database entry]}}
生のクランベリーには[[ミネラル]]、[[マンガン]]のほか、[[ビタミンC]]、[[食物繊維]]が含まれている。特にビタミンCに富む{{sfn|辻井達一|2006|p=170}}。これらは100gにつき1日の摂取基準の1割以上を占め、微量ながらほかの栄養素も存在する<ref>{{cite web |url=http://nutritiondata.self.com/facts/fruits-and-fruit-juices/1875/2 |title=Nutrition facts for raw cranberries |author=<!--Staff writer(s); no by-line.--> |date=2013 |website=Nutritiondata.com |publisher=Conde Nast |accessdate=19 January 2014}}</ref>。
 
=== 食用方法 ===
[[果実]]は堅く非常に酸味が強く、95%がクランベリー[[ジュース]]や[[クランベリーソース]]の原料となる。またドライにしたり、甘味料を加えたりして販売される<ref name="zeldes">{{cite web | last = Zeldes | first = Leah A. | title = Eat this! Cranberries more than a thanksgiving condiment| work = Dining Chicago | publisher = Chicago's Restaurant & Entertainment Guide, Inc. | date = 25 November 2009| url = http://blog.diningchicago.com/2009/11/25/eat-this-cranberries-more-than-a-thanksgiving-condiment/ | doi = | accessdate = 25 November 2009}}</ref><ref name=uw/>。生果実だけではなく、加工品はソース仕立てにして、瓶詰や缶詰にして売られている{{sfn|辻井達一|2006|p=170}}
 
通常、クランベリージュースは酸味を減らすため甘味料を加えたり、ほかの果汁を混ぜたりする。[[コスモポリタン (カクテル)|コスモポリタン]]など多くのカクテルがクランベリージュースから作られる。1oz(30ml)につき小さじ1杯の砂糖が加えられており、クランベリージュースを使用したカクテルは、肥満に繋がる炭酸飲料よりはるかに甘い<ref>Calvan, Bobby Caina. [http://bostonglobe.com/news/nation/2012/06/24/under-siege-war-against-sugary-drinks-cranberry-industry-hopes-battle-back/4Ki1sEpAMI4cms9ZdgS9CK/story.html "Cranberry industry seeks to avoid school ban."] ''Boston Globe'', 25 June 2012.</ref>。
 
クランベリーの果実はクランベリーソースとして知られる[[コンポート]]や[[ゼリー]]として調理される。クリスマスや[[アメリカ合衆国]]および[[カナダ]]の感謝祭では[[七面鳥]]の丸焼きにクランベリーソースが伝統的な定番となっている{{sfn|辻井達一|2006|p=170}}。[[マフィン]]、[[スコーン]]、[[ケーキ]]、[[パン]]など小麦粉製品でも使用される。この場合、[[オレンジ]]や[[ゼスト (食材)|ゼスト]]などと併せることもある。まれにスープやシチューなどの酸味付けに使用されることもある<ref name="zeldes" />。
 
生のクランベリーは家庭で冷凍して約9ヶ月保存することができ、解凍せずに調理できる<ref name="uw">{{cite web|url=http://researchguides.library.wisc.edu/content.php?pid=87646&sid=652165 |title=The American Cranberry-Basic Information on Cranberries |publisher=Library.wisc.edu |accessdate=4 October 2010}}</ref>。
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== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書|author =伊藤進吾、シャンカール・野口監修 誠文堂新光社編|title =世界で使われる256種 ハーブ&スパイス辞典|date=2013-12-23|publisher =[[誠文堂新光社]]|isbn=978-4-416-61364-1|pages=54 |ref={{SfnRef|伊藤・野口監修 誠文堂新光社編|2013}} }}
* {{Cite book|和書|author =[[辻井達一]]|title =続・日本の樹木|date =2006-02-25|publisher =[[中央公論新社]]|series =中公新書|isbn =4-12-101834-6|pages =167 - 171|ref=harv}}
 
== 関連項目 ==