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'''おたく'''('''オタク'''または'''ヲタク''')とは、[[愛好者]]を指す呼称で、[[1980年代]]に[[日本]]の[[サブカルチャー]]から広まった言葉である。元来の「お宅」は相手の家や家庭を指す敬称の[[二人称]]代名詞であるが、ある特定の[[サブカルチャー]]の愛好者を指し示す、現在使われている言葉としての「おたく」の起源は、[[1983年]]に[[コラムニスト]]の[[中森明夫]]が「'''[[コミックマーケット]]'''」に集う[[サイエンス・フィクション|SF]]や[[漫画]]・[[アニメ (日本のアニメーション作品)|アニメ]]などの若い[[ファン]]達がお互いを「おたく」と呼び合っていた現象を揶揄して、彼らを「おたく」として分類したことにある。
 
[[1989年]]に発覚した[[東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件]]において、[[宮崎勤|犯人]]が収集していた[[アニメーション|アニメ]]や[[特撮]]等の多数の[[ビデオテープ]]や[[漫画雑誌]]を、[[マスコミ]]が事件と関連付けて盛んに報道したことで、世の中でオタクバッシングが起こり、皮肉にもその「おたく」の存在が世間一般に広く知られるようになった。そのため、当初は[[漫画]]や[[アニメ (日本のアニメーション作品)|アニメ]]、[[コンピュータゲーム]]、[[アイドル]]などの[[趣味]]を持つ人たちと、[[社会性]]が欠如している人間や[[コミュニケーション障害|対人コミュニケーションが不得意]]な人等を、十把一絡げにして指し示す否定的な意味合いを持つ言葉として使用されることが少なかった。
 
その後、[[1990年代]]後半からの[[インターネット]]の普及やアニメや漫画、コンピュータゲーム、アイドルの[[社会的地位]]の向上によりおたくへの悪い印象は薄れ、現在では単なる「[[ファン]]」や「[[マニア]]」と同義で使われることも多い。
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=== オタク以前 ===
:おたくという言葉が生まれる以前は、おたくの同義語として、主に「[[マニア]]」や[[きちがい]]を略して「○○キチ」([[釣りキチ]]等)「[[ファンダム]]」等と呼ばれていた。[[日本SF大会]]、[[全国アニメーション総会]]などのイベントも行われていた。
:基本的には目立った活動を行っていた集団として[[サイエンスフィクション|SF]]と特撮ファンが中心で挙げられ、流行した作品に『[[キング・コング]]』(1933年)や『[[原子怪獣現わる]]』(1953年)初代『'''[[ゴジラ (1954年の映画)|ゴジラ]]'''』(1954年)『[[キングコング対ゴジラ]]』(1962年)『[[大魔神]]』(1966年)『'''[[2001年宇宙の旅]]'''』(1968年)「[[猿の惑星シリーズ]]」(1968年~1973年)や、『[[鉄人28号]]』等がある。
 
=== オタク第一世代(1960年前後生まれ) ===
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:代表的な出来事として、『[[週刊少年マガジン]]』『[[週刊少年サンデー]]』『[[週刊少年ジャンプ]]』などの少年漫画誌の隆盛、『'''[[機動戦士ガンダム]]'''』や『'''[[銀河鉄道999 (アニメ)|銀河鉄道999]]'''』『'''[[うる星やつら (アニメ)|うる星やつら]]'''』に代表される[[アニメブーム]]や[[ガンプラ]]ブーム、「[[ファミリーコンピュータ]]」(1983年)の大ヒットによる[[家庭用ゲーム機]]の普及、『[[ゼビウス]]』(1983年)などの[[アーケードゲーム]]のブーム、「[[PC-9800]]」や「[[MSX]]」等の[[ホビーパソコン]]([[マイコン]])ブーム、『[[スター・ウォーズ]]』(1977年)『[[E.T.]]』(1982年)『[[ターミネーター (映画)|ターミネーター]]』(1984年)『[[ブレードランナー]]』(1982年)などの[[SF映画]]や[[サイバーパンク]]作品の世界的なブームなどが挙げられる。
:[[アニメ雑誌]]の相次ぐ創刊、「[[アニメイト]]」などの専門店の創業、[[コミックマーケット]]の大規模化、[[美少女ゲーム]]や[[アダルトゲーム]]の登場など、オタク文化や二次元文化が急速に発展する一方で、オタク第一世代と同様に、青年期に発生した[[東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件]]によってオタクバッシングが激化し、偏見・差別に晒された世代であった。
:このあたりの世代のアニメの作り手は比較的少なく、ゲーム業界に流れたことが原因ではないかと指摘されている<ref>[https://mantan-web.jp/article/20111015dog00m200019000c.html 深夜アニメ:エヴァ再放送きっかけに大人向けで新市場 元プロデューサー・東さんに聞く - MANTANWEB(まんたんウェブ)]</ref>。
 
=== オタク第三世代(1980年前後生まれ) ===
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:[[ブロードバンドインターネット接続|ブロードバンド]]が普及し、[[家庭]]でのインターネット利用が一般的な環境の中に育った。「[[Microsoft Windows XP|Windows XP]]」(2001年)世代でもある。
:この世代は[[ゆとり世代]]論により年少期からバッシングに晒され、また[[地上波テレビ]]等で[[自主規制]]が強まった後に育っている。
:一方で、インターネットの普及により「'''[[2ちゃんねる]]'''」(1999年)、2000年代前半から中盤の[[MADムービー|Flash動画]]黄金期、[[深夜アニメ]]の隆盛、「[[YouTube]]」(2005年)や「[[ニコニコ動画]]」(2006年)などの[[動画投稿サイト]]の台頭、[[実況プレイ]]などのネット動画ブーム、『[[初音ミク]]』(2007)等の[[VOCALOID]]ブーム、「'''[[ハルヒダンス]]'''」などの「踊ってみた」ブーム等、ネット発の様々な流行を体験した。
:2005年には、おたくを肯定的に描いた、2ちゃんねる発の恋愛作品『[[電車男]]』が映画化・ドラマ化され共に大ヒットしたことや、同年の[[流行語大賞]]に「[[萌え]]」及び「[[メイドカフェ]]」がノミネートされるなど、一般社会へオタク文化が急速に浸透し、10代でオタク趣味に傾倒する人が増えた。[[学校]]でアニメやゲームが話題に上がることも多く、宮崎事件の後に産まれていることもあって、オタク趣味やオタク文化に対する[[恥]]や後ろめたさがほとんどないことが特徴で、オタクの低年齢化が一気に進んだ。このため、かつての[[トレンディドラマ]]や[[J-POP]]、[[映画|洋画]]、[[スポーツ]]、[[車]]等といった、一般的な[[大衆文化]]([[メインカルチャー]])や[[アウトドア]]等と並んでオタク文化もごく普通に消費されるようになり、オタク文化が大衆文化やメインカルチャーに内包されるようになった最初の世代であるといえる。
{{seealso|Z世代}}