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Claw of Slime (会話 | 投稿記録)
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<div class="noprint"><!--人が印刷されないようにしました。-->[[Image:Flame test.jpg|thumb|実験のようす様子]]</div>
'''炎色反応'''(えんしょくはんのう、'''焔色反応'''とも)とは、[[アルカリ金属]]、あるいは[[アルカリ土類金属]]、[[銅]]などの[[塩 (化学)|塩]]を[[炎]]の中に入れると各[[、揮発してできた金属原子が励起され、元素]]特有の可視光線[[<ref> 森北出版「化学辞典(第2版)「炎色反応」[https://kotobank.jp/word/%E7%82%8E%E8%89%B2%E5%8F%8D%E5%BF%9C-38177#goog_rewarded]]</ref>現象のこと。[[金属]]<!--引用元[[定性分析]]や、[[花火]]ある記述な着色で無断で改変しないで下さい。またこの定義抵触する信頼できる情報源からの定義がある場合は引元を明記のうえ両論併記するようお願いします。-->あるいは単体または化合物を炎の中に入れて熱すと炎がそれらの元素に固有の色を呈する反応のこと<ref>改訂新版世界大百科事典「炎色反応」(原口紘炁)[https://kotobank.jp/word/%E7%82%8E%E8%89%B2%E5%8F%8D%E5%BF%9C-38177#goog_rewarded]</ref>
 
全ての金属元素について可視光内で観測できるわけではないものの、炎色反応を示す金属元素の場合は、その[[定性分析]]に利用できる。また、[[花火]]の着色にも利用されている。
 
== 反応の原理 ==
[[Image:Bohr- atom-PAR model.svg|thumbthumbnail|right|熱エネルギーによって外殻へ電子が励起された結果、高エネルギーの軌道へと遷移した電子が基底状態へ戻る際に電子はエネルギーを電磁波の光として放出する場合が有る。この電子がエネルギーを放出した際に生じる発光が炎色反応である。]]
 
高温の炎中にある種の金属粉末や金属[[化合物]]を置くと、試料が[[熱エネルギー]]によって解離し[[原子]]化される。それぞれの原子は熱エネルギーによって[[電子]]が[[励起]]され、外側に存在する高エネルギーの[[電子軌道]]へと移動する。励起された電子が、安定な[[基底状態]]に戻ろうとする際に、余分なエネルギーを[[電磁波]]として放出すること。電磁波のエネルギーは、その周波数[[基底状態]]に戻り決まるわけだが、この際に元素に特徴的な[[輝線スペクト放出するエネ]]を示す。したギーって、比較的低温で熱励起され[[発光]][[波長]]がちょうどヒトの[[可視光線|可視]]領域の範囲元素場合、微[[粉|粉末]]や[[塩化物]]のような原子化さ有る。こやすい状態になっているときにのみ、炎色反応が観察されを示す原理である。
 
したがって、比較的低温で熱励起され、発光波長が可視光線の領域に存在する元素が、微粉末や[[塩 (化学)|塩]]のような原子化され易い状態になっている場合にのみ、炎色反応が観察される。
 
なお、原子の電子軌道のエネルギーは、連続した値ではなく、飛び飛びの値であるため、励起された電子が基底状態に戻る際に放出されるエネルギーも、連続した値ではない。このため、炎色反応として放出された光は、連続スペクトルではなく、[[輝線スペクトル]]を示す。また、元素によっても、電子軌道のエネルギーは、ある程度決まるため、元素によって特徴的な輝線スペクトルを示す。これが、炎色反応を示す元素の種類により、炎色反応によって放出される光の色が決まる理由である。
 
== 主な元素の炎色反応 ==
炎色反応を呈する主な元素が、炎色反応を起こした際に放出する主な輝線スペクトルの波長と、その色を示した。なお、かっこ内には、[[コバルトガラス]]を通して観察した場合の色を示した。また、数値はその元素の波長を表す
 
* [[第1族元素]]の全て元素のアルカリ金属
** [[リチウム]] - 深紅色、670 nm(赤紫色)
** [[リチウム]] - 深紅<ref>小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)「炎色反応」成澤芳男[https://kotobank.jp/word/%E7%82%8E%E8%89%B2%E5%8F%8D%E5%BF%9C-38177#goog_rewarded]表より。</ref>、670.8 nm<ref name="名前なし-20240629114520">森北出版「化学辞典(第2版)「炎色反応」</ref>(紫紅<ref name="名前なし_2-20240629114520">ニッポニカ「炎色反応」表</ref>あるいは赤紫<ref>平凡社 改訂新版 世界大百科事典「炎色反応」原口 紘炁[https://kotobank.jp/word/%E7%82%8E%E8%89%B2%E5%8F%8D%E5%BF%9C-38177#goog_rewarded]表より。</ref>)
** [[ナトリウム]] - 黄色、589 nm(無色)
** [[ナトリウム]] - 黄、589.3<ref>森北出版「化学辞典(第2版)「炎色反応」[https://kotobank.jp/word/%E7%82%8E%E8%89%B2%E5%8F%8D%E5%BF%9C-38177#goog_rewarded]</ref> nm(無色<ref group="注釈">コバルトガラスの光の吸収帯の中央付近の波長のため、色が消える。</ref><ref name="名前なし_2-20240629114520"/>)
** [[カリウム]] - 淡紫色、760 nm(紫色)、特にナトリウムに邪魔されやすいためコバルトガラスが役立つ
** [[カリウム]] - 淡紫、すみれ<ref name="名前なし_2-20240629114520"/>、あるいは紫<ref name="名前なし_3-20240629114520">平凡社 改訂新版 世界大百科事典「炎色反応」表</ref>、404.4 nm<ref name="名前なし-20240629114520"/>(赤紫<ref name="名前なし_2-20240629114520"/>)、特にナトリウムに邪魔され易いためコバルトガラスが役立つ。
** [[ルビジウム]] - 暗赤色、780 nm(赤紫色)
** [[ルビジウム]] - 暗赤、深赤<ref name="名前なし_2-20240629114520"/>、795.0、781.1 nm<ref name="名前なし-20240629114520"/>(紫<ref name="名前なし_2-20240629114520"/>)
** [[セシウム]] - 青紫色(青紫色)、励起に必要な高温を得るため酸水素炎で観察する必要がある
** [[セシウム]] - 青紫<ref name="名前なし_2-20240629114520"/>。(紫青<ref name="名前なし_2-20240629114520"/>あるいは紫<ref name="名前なし_3-20240629114520"/>)励起に必要な高温を得るため、酸水素炎で観察する。
* [[第2族元素]](の一部の元素である[[アルカリ土類金属]]。
** [[カルシウム]] - 橙赤色(橙緑色)
** [[カルシウム]] - 橙赤<ref name="名前なし_2-20240629114520"/>(橙緑<ref name="名前なし_2-20240629114520"/>)
** [[ストロンチウム]] - 深赤色、460 nm(紫色)
** [[ストロンチウム]] - 深紅<ref name="名前なし_2-20240629114520"/>、460 nm(紫<ref name="名前なし_2-20240629114520"/>)
** [[バリウム]] - 黄緑色(青緑色)
** [[バリウム]] - 黄緑<ref name="名前なし_2-20240629114520"/>(青緑<ref name="名前なし_2-20240629114520"/>)
** [[ラジウム]] - 洋紅色
** [[第6族元素ラジウム]] - 洋紅
* [[第116族元素]]の一部
** [[モリブデン]] - 黄緑色(青緑色)
** [[モリブデン]] - 黄緑<ref name="名前なし_3-20240629114520"/>(青緑<ref name="名前なし_3-20240629114520"/>)
* [[第11族元素]]
* [[第11族元素]]の一部
** [[銅]] - 青緑色、510 nm(淡青色)
** [[銅]] - 青緑<ref name="名前なし_2-20240629114520"/>あるいは緑<ref name="名前なし_3-20240629114520"/>、510 nm(青紫<ref name="名前なし_2-20240629114520"/>あるいは淡青<ref name="名前なし_3-20240629114520"/>)
** [[金]] − 緑
* [[第13族元素]](土類金属)
** [[ホウ素]] - 黄緑<ref name="名前なし_3-20240629114520"/>(青紫<ref name="名前なし_3-20240629114520"/>)、エタノール炎外縁の呈色で観察する。
** [[ガリウム]] - 青<ref name="名前なし_3-20240629114520"/>(青紫<ref name="名前なし_3-20240629114520"/>)
** [[インジウム]] - 深青<ref name="名前なし_2-20240629114520"/>あるいは藍<ref name="名前なし_3-20240629114520"/>、410 nm(紫青<ref name="名前なし_2-20240629114520"/>あるいは紫<ref name="名前なし_3-20240629114520"/>)
** [[インジウム]] - 藍色、410 nm
** [[タリウム]] - 淡緑
* [[第14族元素]]の中で、金属元素のみ。
** [[スズ]] - 淡青<ref name="名前なし_3-20240629114520"/>(淡紫<ref name="名前なし_3-20240629114520"/>
** [[鉛]] - 淡青(淡紫<ref name="名前なし_3-20240629114520"/>
* [[第15族元素]]の一部。
** [[リン]] - 淡青<ref name="名前なし_3-20240629114520"/>(淡紫<ref name="名前なし_3-20240629114520"/>)[[リン酸|リン酸イオン]]による反応
** [[ヒ素]] - 淡青<ref name="名前なし_3-20240629114520"/>(淡紫<ref name="名前なし_3-20240629114520"/>
** [[アンチモン]] - 淡青<ref name="名前なし_3-20240629114520"/>(淡紫<ref name="名前なし_3-20240629114520"/>
 
<gallery>
Imageファイル:Flametest--.swn.jpg|試料を加えない場合のガスバーナーの炎の色
Imageファイル:FlammenfärbungLi.png|リチウム
Imageファイル:Flametest--Na.swn.jpg|ナトリウム
Imageファイル:Flametest-Co-Na.swn.jpg|ナトリウム(コバルトガラスを通した場合)
Imageファイル:FlammenfärbungK.png|カリウム
Imageファイル:Die_Flammenfärbung_des_RubidiumDie Flammenfärbung des Rubidium.jpg|ルビジウム
Imageファイル:FlammenfärbungCa.png|カルシウム
Imageファイル:FlammenfärbungSr.png|ストロンチウム
Imageファイル:Flametest--Cu.swn.jpg|銅
Imageファイル:Boratflamme.jpg|ホウ素
Imageファイル:FlammenfärbungPb.png|鉛
Image:FlammenfärbungSb.png|スズ
Imageファイル:FlammenfärbungAs.jpg|ヒ素
Image:FlammenfärbungPb.png|鉛
Imageファイル:FlammenfärbungSb.png|スズアンチモン
Image:FlammenfärbungAs.jpg|ヒ素
Image:FlammenfärbungSb.png|アンチモン
</gallery>
 
== その他 ==
炎色反応による発光は輝線スペクトルであるから、特定の[[波長]]範囲を吸収する[[レンズフィルター|フィルター]]を通すことで方法により、不要な波長をカット遮断して観察することができる。例えば、ナトリウムは炎色反応が起こりやすく、微量であっても波長 589nm589 nm の強い黄色を呈する。そこで、500-700nm nmから700 nm の範囲の波長の光を吸収する[[コバルトガラス]]を通すと、ナトリウムの輝線は吸収されて見えなくなる<ref>http[https://web.archive.org/web/20090511165542/http://www.gaaj-zenhokyo.co.jp/researchroom/kanbetu/2007/2007_12-02.html “Super Diffusion Tanusorn”コバルト着色された鉛ガラスの含浸処理]</ref>を持つ[[。このため、コバルトガラス]]を通すとした場合少々のナトリウムの輝線は吸収されが混入し見えなくなりいても、他の元素からの発光が観察しやすくなる場合が有る。ただし、その他の元素でもこの波長域の発光がカットされるため、元素によっては色調が変化して観察される。
 
また、塩化ナトリウムもナトリウム同様、黄色く反応する。
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Reflist}}
<references group="注釈"/>
=== 出典 ===
<references/>
 
== 関連項目 ==
{{Commons|Category:Flame test|{{SUBJECTPAGENAME}}}}
* [[誘導結合プラズマ|ICP発光分光法]] (ICP-AES)
* [[フレーム発光分光法]]
* [[化学発光#炭素を主体とする燃焼における火炎]]
* [[花火]]
 
{{DEFAULTSORT:えんしよくはんのう}}
 
[[Category:分析化学]]
[[Category:化学反応]]