削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
タグ: 差し戻し済み Refタグつき記述の除去 モバイル編集 モバイルウェブ編集
編集の要約なし
 
(18人の利用者による、間の29版が非表示)
1行目:
{{表記揺れ案内|表記1=坊っちやん|表記2=坊っちゃん|表記3=坊ちやん|表記4=坊ちゃん|議論ページ=[[ノート:坊つちやん#表記について|過去の議論]]}}
{{
{{JIS2004|説明=[[ハート (シンボル)|ハートマーク]]}}
{{基礎情報 書籍
|title = 坊っちゃん
|orig_title = 坊つちやん
|image = Manuscripts of "Botchan".jpg
|image_size = 250px
|image_caption = 『坊つちやん』原稿の一部
|author = [[夏目漱石|夏目金之助(漱石)]]
|translator = <!-- 訳者 -->
|illustrator = <!-- イラスト -->
|published = [[1906年]]4月、[[1907年]][[1月1日]]ほか
|publisher = [[ホトトギス (雑誌)|ホトトギス]]、[[春陽堂]]ほか
|country = {{JPN}}
|type = <!-- 形態 -->
|pages = <!-- ページ数 -->
|preceded_by = <!--シリーズの場合に記入-->
|followed_by =
|website =
|id = <!-- コード -->
|portal1 = 文学
}}
[[File:Natsume Soseki, an English teacher at Matsuyama Middle School.jpg|thumb|180px|愛媛県尋常中学校教師の夏目漱石([[1896年]]3月)]]
『'''坊つちやん'''』(ぼっちゃん)は、[[夏目漱石]]による[[日本]]の[[中編小説]]。現代表記では『'''坊っちゃん'''』。
 
[[1906年]](明治39年)、『[[ホトトギス (雑誌)|ホトトギス]]』第九巻第七号(4月1日)の「附録」(別冊ではない)として発表。[[1907年]](明治40年)[[1月1日]]発行の『[[鶉籠]](ウズラカゴ)』([[春陽堂書店|春陽堂]]刊)に収録された。その後は単独で単行本化されているものも多い。
 
登場する人物の描写が滑稽で、わんぱく坊主のいたずらあり、悪口雑言あり、暴力沙汰あり、痴情のもつれあり、義理人情ありと、他の漱石作品と比べて大衆的であり、漱石の小説の中で最も多くの人に愛読されている作品である<ref>[http://www.shinchosha.co.jp/book/101003/ 新潮文庫のあらすじより]</ref>。
 
== あらすじ ==
8 ⟶ 35行目:
赴任先で[[蕎麦]]屋に入って、[[蕎麦#天ぷら蕎麦/天ざる蕎麦|天麩羅]]を4杯頼んだこと、[[団子]]を2皿食べたこと、温泉の浴槽で遊泳したことを生徒から冷やかされ、初めての宿直の夜に寄宿生達から手ひどい嫌がらせを受けた坊っちゃんは、寄宿生らの処分を訴えるが、赤シャツや教員の大勢は事なかれ主義から教師全体の責任としながら、坊っちゃんに生徒の責任を転嫁しようとした。この時に筋を通す処分を主張したのは、仲違い中の山嵐だった。結局生徒達は坊っちゃんへの謝罪と厳罰を受けることになるが、宿直当日に坊っちゃんも温泉街へ無断外出をしたため、外食店への出入り禁止を言い渡される。
 
やがて坊っちゃんは、赤シャツがうらなりの婚約者であるマドンナへの横恋慕からうらなりを左遷したことを知り、義憤にかられる。このことで坊っちゃんと山嵐は過去の諍いを水に流し意気投合。彼らを懲らしめるための策を練るが、赤シャツの陰謀によって山嵐が辞職に追い込まれてしまう。坊っちゃんと山嵐は、赤シャツの不祥事を暴くための監視を始め、ついに夜明けに[[芸者遊び]]帰りの赤シャツと腰巾着の野だいこを取り押さえる。当初の予定通り、山嵐と芸者遊びについて山嵐と共に詰問し、しらを切る彼らに天誅を加えた。
 
即刻辞職した坊っちゃんは、東京に帰郷。清を下女として雇い、街鉄{{efn|正式には「[[東京都電車#前史|東京市街鉄道]]」で、現在の[[東京都電車|都電]]の前身の一つとなった路面電車鉄道である。のち東京電車鉄道・東京電気鉄道と合併して東京鉄道となり、さらに[[東京市]]に買収されて東京市電と改称された。}}の技手(月給25円)となった。
 
== 登場人物 ==
 
;坊っちゃん
:東京の[[東京物理学校|物理学校]](現在の[[東京理科大学]]の前身<ref>{{Cite web|url=https://www.u-presscenter.jp/article/post-35706.html|title=東京理科大学近代科学資料館が6月23日~8月10日まで企画展「『坊っちゃん』とその時代」を開催 -- 明治期の科学者と夏目漱石の交友を探る|publisher=大学プレスセンター|date=2016-06-18|accessdate=2021-02-16}}</ref>)を卒業したばかりの[[江戸っ子]]気質で血気盛んで無鉄砲な新任教師。[[新聞]]報道に「近頃[[東京市|東京]]([[江戸]])から赴任した生意気なる某」とあるのに立腹して「れっきとした[[姓]]もあり名もある」と言いながら本名、実名は明らかにされない{{efn|[[1977年]]の[[中村雅俊]]出演映画での名は近藤大介となっている。また[[大和田秀樹]]のコミカライズ『坊っちゃん♥』では、少なくとも姓は「多田野」である事が示唆されている。}}。「坊っちゃん」とは、清が主人公を呼ぶ呼び名であり、また第11章では野だいこから「勇み肌の坊っちゃん」と馬鹿にされる。無鉄砲な[[江戸っ子]]気質の持ち主。[[悪戯|いたずら]]好きで喧嘩っ早い性格ゆえに両親からは冷たく扱われ、兄と不仲である。本人の弁によれば無鉄砲なのは親譲り。そのせいで子供の頃から損ばかりしているとのこと。家庭内で自分に対する愛情を表してくれたのは下女の清だけであった。[[東京物理学校|物理学校]]の卒業生で、卒業後は校長の勧めを受け四国の中学校で数学教師になる。[[旗本]]の家の出で、[[源満仲|多田満仲]]([[ルビ]]は「ただのまんじゅう」)の子孫と称している{{efn|夏目漱石は、満仲の弟、[[源満快|満快]]の子孫。}}。[[敷島 (たばこ)|敷島]]を吸う愛煙家(第五章、第七章)。酒については「飲む奴は馬鹿だ」という(第九章)。蕎麦が大好き(第三章)で、[[マグロ|鮪]]の[[刺身|さし身]]、[[蒲鉾]]のつけ焼も好き(第七章)。喧嘩は好きな方(第十章)。よく夢を見る(第二章、第四章)。髪形は五分刈(第七、十章)。小学校の時分、同級生の挑発に乗って学校の二階から飛び降り、1週間ほど腰を抜かす。親類に貰った[[ナイフ]]を見せた友人に「切れるナイフというなら指を切って見ろ」と注文され、右手親指の甲に切りつけて見せる。この傷跡は一生消えなかった(第一章)。嘘を吐くことや不正が嫌いで、理由を問わず他人がそれをすることも決して許さない。
:本編の[[主人公]]。語り手で、[[一人称]]は地文では「おれ」。会話では目上の人物に対して「わたし」「ぼく」も使う。
:東京の[[東京物理学校|物理学校]](現在の[[東京理科大学]]の前身<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.u-presscenter.jp/article/post-35706.html|title=東京理科大学近代科学資料館が6月23日~8月10日まで企画展「『坊っちゃん』とその時代」を開催 -- 明治期の科学者と夏目漱石の交友を探る|publisher=大学プレスセンター|date=2016-06-18|accessdate=2021-02-16}}</ref>)を卒業したばかりの[[江戸っ子]]気質で血気盛んで無鉄砲な新任教師。[[新聞]]報道に「近頃[[東京市|東京]]([[江戸]])から赴任した生意気なる某」とあるのに立腹して「れっきとした[[姓]]もあり名もある」と言いながら本名、実名は明らかにされない{{efn|[[1977年]]の[[中村雅俊]]出演映画での名は近藤大介となっている。また[[大和田秀樹]]のコミカライズ『坊っちゃん♥』では、少なくとも姓は「多田野」である事が示唆されている。}}。「坊っちゃん」とは、清が主人公を呼ぶ呼び名であり、また第11章では野だいこから「勇み肌の坊っちゃん」と馬鹿にされる。無鉄砲な[[江戸っ子]]気質の持ち主。[[悪戯|いたずら]]好きで喧嘩っ早い性格ゆえに両親からは冷たく扱われ、兄と不仲である。本人の弁によれば無鉄砲なのは親譲り。そのせいで子供の頃から損ばかりしているとのこと。家庭内で自分に対する愛情を表してくれたのは下女の清だけであった。[[東京物理学校|物理学校]]の卒業生で、卒業後は校長の勧めを受け四国の中学校で数学教師になる。[[旗本]]の家の出で、[[源満仲|多田満仲]]([[ルビ]]は「ただのまんじゅう」)の子孫と称している{{efn|夏目漱石は、満仲の弟、[[源満快|満快]]の子孫。}}。[[敷島 (たばこ)|敷島]]を吸う愛煙家(第五章、第七章)。酒については「飲む奴は馬鹿だ」という(第九章)。蕎麦が大好き(第三章)で、[[マグロ|鮪]]の[[刺身|さし身]]、[[蒲鉾]]のつけ焼も好き(第七章)。喧嘩は好きな方(第十章)。よく夢を見る(第二章、第四章)。髪形は五分刈(第七、十章)。小学校の時分、同級生の挑発に乗って学校の二階から飛び降り、1週間ほど腰を抜かす。親類に貰った[[ナイフ]]を見せた友人に「切れるナイフというなら指を切って見ろ」と注文され、右手親指の甲に切りつけて見せる。この傷跡は一生消えなかった(第一章)。嘘を吐くことや不正が嫌いで、理由を問わず他人がそれをすることも決して許さない。
:一説には漱石自身とほぼ同時期に愛媛県尋常中学校の数学教師であった[[弘中又一]]{{efn|1873年-1938年、山口県湯野村(現[[周南市]])出身。1893年12月柳井小学校高等科英語代用教員、1894年同志社普通学校(現[[同志社大学]])卒業、1895年愛媛県尋常中学校、以後各地の中学校に勤務。}}がモデルとされている<ref name="asahi">朝日新聞 1971年10月2日</ref>。
;清(きよ)
:坊っちゃんの家の下女。[[明治維新]]で落ちぶれた身分のある家の出身。
:家族に疎まれる坊っちゃんを庇い、可愛がっている。何かにつけて「あなたは真っ直ぐで、よいご気性だ」と褒め、坊っちゃん自身は「よい気性なら清以外のものも、もう少し善くしてくれるだろう」と思い、「おれは、お世辞は嫌(きらい)だ」と答えるが、「それだから好いご気性です」と笑顔で褒める。そんな清に対して坊っちゃんは、地文では「自分の力でおれを製造して誇っている様に見える。少々気味がわるかった。」としており、それ以降も清の言葉に「今から考えると馬鹿馬鹿しい」「教育のない婆さんだから仕方がない」などと辛辣に語っている<ref>「新潮文庫」『坊っちゃん』8~10頁より。 </ref>が、松山に発つ際の別れ際には、涙を浮かべる清に対して、泣かなかったが「もう少しで泣くところであった」と記述があり、坊っちゃんが清を慕う気持ちもうかがえる。坊っちゃんは、その清から三円借りている(このくだりで、「今となっては十倍にして返してやりたくても返せない」との記述があり、清が既に亡くなっていることが示唆されている)が、それを「帰さない」{{efn|この三円は、清の分身だから「返す」のではなく「帰す」なのだというのが坊っちゃんの理屈である。このあたりについて詳しくは、参考文献の [http://www008.upp.so-net.ne.jp/hybiblio/index.html 山下浩] を参照。}}まま任地へ行ってしまった。
:長年仕えた坊っちゃんの家が人手に渡ってしまった後は、裁判所に勤める甥の家に世話になっていた。坊っちゃんが松山に赴任してからも気にかけており、他人にあだ名を付けたり、癇癪を起こさないよう手紙を通じて諫言している。また後述の通り、坊っちゃんの兄から坊っちゃんを通して五十円を受け取り、それを「坊っちゃんが家を持つ時の足しに」と郵便局に[[貯金]]していたが、坊っちゃんが小遣いが無くて困っているだろうとその中から[[為替]]で十円を送っている(第七章)。松山に来て人間の様々な汚い面を知った坊っちゃんは、清がいかに「善人」で、「気立ての良い女」であったかを知ることになり、「一刻もはやく東京(江戸)へ帰って、清と一緒になるに限る」とまで思うようになる。坊っちゃんが教師を辞職して帰郷した際は涙を流して喜び<ref>坊っちゃん自身も早く清に会いたくて下宿にも行かずに真っ直ぐ清の元に向かっており、「余り嬉しかったから、『もう田舎へは行かず、東京で清とうち(家)を持つんだ』と宣言している。(「新潮文庫」『坊っちゃん』131頁)</ref>、再び坊っちゃんと暮らすが、[[肺炎]]で他界し、[[小日向]]の[[養源寺 (文京区)|養源寺]]に墓があることが語られて物語は終わる。
:なお漱石の妻[[夏目鏡子]]の本名はキヨであるが、漱石の他の作品では、『門』の宗助のところ、『彼岸過迄』の松本のところなどでも、下女の名はキヨである。
;[[兄]]
:坊っちゃんの兄。
:坊っちゃん曰く「いやに色が白い」顔立ちが特徴。[[実業家]]志望で英語を勉強していた。性格は坊っちゃん曰く「元来女の様な{{efn|教科書等では「さっぱりしない」}}性分で、ずるい」ため坊っちゃんとは仲が良くないが、両親からは可愛がられていた。[[東京高等商業学校|商業学校]]卒業<ref>[https://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000206808 夏目漱石「坊っちゃん」(明治39年発表)の文中に「…六月に兄は商業学校を卒業した。…」とある。「坊ちゃ... | レファレンス協同データベース]</ref>後、家財のほとんどを叩き売って金に替え、坊っちゃんに六百円、清に五十円を渡して{{efn|これについて坊っちゃんは内心で「兄にしては感心なやり方だ」と評価して、礼を言ってもらっておいた。}}[[九州]]に赴いた後、坊っちゃんとは会っていない。
37 ⟶ 67行目:
;赤シャツ
:[[教頭]]。坊っちゃんの学校で唯一の[[東京帝国大学|帝大]]卒の[[学士|文学士]]。
:表向きは物腰柔らかく穏やかな口調だが陰湿な性格で、坊っちゃんと山嵐から毛嫌いされる。「赤はからだに薬になる」という理由で、通年[[フランネル]]の赤いシャツを着用する<ref>上田正昭、津田秀夫、永原慶二、藤井松一、藤原彰、『コンサイス日本人名辞典 第5版』、株式会社三省堂、2009年 11頁。</ref>(第二章)。[[琥珀]]製の[[パイプ (たばこ)|パイプ]]を絹の[[ハンカチ]]で磨く。[[奏任官]][[待遇官吏|待遇]](第四章)。金側の懐中時計(=[[金時計]])を用いる。マドンナを手なずけて婚約者のうらなりから横取りする(第七章)。独身、弟と一戸建て(家賃九円五十銭)に住む(第八章)。坊っちゃんが宿直した際の騒動後に[[飲食店]]の立ち入りを禁止された坊っちゃんに注意を加えたにもかかわらず、[[芸者]]と[[旅館]]で密会していたため、帰り道で野だいこと共に山嵐と坊っちゃんに懲らしめられる(第十一章)。
:漱石の愛媛県尋常中学校教師赴任時代の教頭だった[[横地石太郎]]がモデルとする説もあるが<ref name="asahi"/>、横地本人はこれを否定し<ref name=kanazawa>[https://www.kanazawa-museum.jp/ijin/project/past_pro/past-160910.html 企画展「『坊つちやん』に登場する赤シャツのモデル? 横地石太郎」] - 金沢ふるさと偉人館、2019年12月2日閲覧。</ref>、困惑・閉口した反応を示している<ref name=sarai>[https://serai.jp/hobby/141876 漱石と明治人のことば54「(漱石は)誰とでも交際する人ではないが友情に厚い人だった] - [[サライ (雑誌)|サライ.jp]]、2019年12月2日閲覧。</ref>。実際の横地と漱石は、愛媛時代には互いの家を訪問するなど親しく付き合い<ref name=sarai/>、漱石が熊本の[[第五高等学校 (旧制)|第五高等学校]]に異動した後も交際した<ref name=kanazawa/>。また、当時の横地の渾名は「天神さん」であった<ref name=sarai/>。そもそも東京大学理学部を卒業した横地の学位は理学士で、文学士という設定の赤シャツとは異なり、漱石自身も講演録『私の個人主義』において「当時其中学に文学士と云ったら私一人なのだから、赤シャツは私の事にならなければならん」と断っている<ref name=sarai/>。これは赤シャツが漱石自身というよりも、若い教師たちから文学士である自分が煙たがられていないかといった不安の反映であると同時に、東京帝大出を鼻にかけて権力を振りまわすような傾向が教育界にあってはならないことを同窓に警告しているとする説がある<ref>『坊っちゃん』 [[偕成社文庫]] 解説 [[村松定孝]] 1988年</ref>。
;赤シャツの[[弟]]
46 ⟶ 76行目:
:[[美術 (教科)|画学]]教師。東京出身。赤シャツの腰巾着。名字は吉川。江戸っ子を自称しており、[[芸人]]ふうに「…でげす」(…です、の意)と言う。
:気に入らないものに陰口を叩いたり、赤シャツなど上司におべっかを使うため、坊っちゃんからは初対面の時に「こんなのが江戸っ子なら、江戸には生まれたくないものだ」と苦々しく思われ、第五章では「[[漬け物石|たくあん石]]をつけて、海の底へでも沈めちまうのが日本のため」と断言されるなど赤シャツ以上に良く思われていない。坊っちゃんがいか銀の下宿を飛び出した翌日、ちゃっかり坊っちゃんのいた部屋に住み着く(第七章)。赤シャツと様々な悪巧みをするが、芸者と密会した帰り道で山嵐と坊っちゃんに懲らしめられる(第十一章)。
:{{要出典範囲|一説には漱石の愛媛県尋常中学校教師赴任時代の画学教師だった高瀬半哉がモデルとされている|date=2023年6月}}
;うらなり
:[[英語 (教科)|英語]]教師。名字は古賀。
52 ⟶ 82行目:
:マドンナの婚約者であったが、1年前のうらなりの父の急死で結婚が延びていた間に赤シャツがマドンナと交際をはじめてしまい、赤シャツの陰謀(表向きは家庭の事情)で再三拒否したにもかかわらず言い含められて[[延岡市|延岡]]に転属になる(第九章)。山嵐と並んで坊っちゃんの理解者の一人であり、いか銀を退去した坊っちゃんに萩野夫婦の下宿人になることを勧める(第七章)。
:一説には漱石の愛媛県尋常中学校教師赴任時代の英語教師だった梅木忠朴がモデルとされている<ref>安倍能成『我が生ひ立ち』</ref>。
;[[マドンナ]]
:うらなりの婚約者だった令嬢。名字は遠山。マドンナは教師たちの間でのあだ名。
:赤シャツと交際している。坊っちゃん曰く、「色の白い、ハイカラ頭の、背の高い美人」、「[[水晶]]の珠を[[香水]]で暖ためて、掌へ握ってみたような心持ち」の美人。作中のキーパーソンだが、発言はなく出番もわずかな[[マクガフィン]]的な存在。坊っちゃんとの関係は、作中では坊っちゃんが一方的に注目しているだけで、彼女自身は坊っちゃんのことを全く知らない。うらなりの人柄を買っている坊ちゃんはマドンナを「こんな結構な男を捨てて赤シャツになびくなんて、よっぼど気の知れないおきゃん」と評した。
:一説には松山市の軍人の娘であった遠田ステがモデルの一人とされている<ref name="asahi" />。
;マドンナの母親
60 ⟶ 90行目:
;狸
:坊っちゃんの学校の[[校長]]。事なかれ主義の優柔不断な人物。奏任官待遇(第四章)。
:{{要出典範囲|一説には漱石の愛媛県尋常中学校教師赴任時代の校長だった住田昇がモデルの一人とされている|date=2023年6月}}
;生徒たち
:坊っちゃんの学校の教え子。
76 ⟶ 106行目:
漱石自身が[[高等師範学校]](後の[[東京高等師範学校]]、旧[[東京教育大学]]、現在の[[筑波大学]]の前身)英語嘱託となって赴任を命ぜられ、愛媛県尋常中学校([[愛媛県立松山東高等学校|松山東高校]]の前身)で[[1895年]](明治28年)4月から教鞭をとり、[[1896年]](明治29年)4月に熊本の[[第五高等学校 (旧制)|第五高等学校]]へ赴任するまでの体験を下敷きにして、後年書いた小説である。
 
漱石は本作を10日足らずで書き上げた<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.hiroshiyamashita.com/2_10.htm|website=www.hiroshiyamashita.com|accessdate=2021-07-31|title=漱石の自筆原稿『坊っちやん』における虚子の手入れ箇所の推定、ならびに考察|quote=漱石が『坊っちやん』を書き始めたのは明治三十九年三月十五日、あるいは十七日頃で、「ホトヽギス」編集者の虚子が原稿を受け取ったのは三月二十五日頃と推定されている。つまり漱石は『坊っちやん』を十日足らずで書き上げたことになり}}</ref><ref name="watanabe">渡部江里子「[http://www008.upp.so-net.ne.jp/hybiblio/2_10.htm 漱石の自筆原稿『坊っちやん』における虚子の手入れ箇所の推定、ならびに考察]」『漱石雑誌小説復刻全集』三巻所収(リンク先は書誌学者山下浩のウェブサイト)</ref>。
 
現在読まれている本文は、『ホトトギス』編集者である[[高浜虚子]]による手が加わっている<ref name="watanabe" />。漱石は虚子宛て書簡において松山方言の添削を依頼しているが<ref name="watanabe" />、漱石直筆原稿を検討した[[渡部江里子]]は、虚子の「手入れ」が「方言の手直しを越えた改変」にも及んでいることを指摘している<ref name="watanabe" />。渡部は漱石の依頼を越えた「虚子の越権行為」と判断しており、現行のテキストをそのまま受容してよいか議論の必要を提起している<ref name="watanabe" />。
113 ⟶ 143行目:
*『坊っちゃん -人生損ばかりのあなたに捧ぐ-』(1994年、NHK、坊っちゃん:[[本木雅弘]]、マドンナ:[[千堂あきほ]]、清:[[加藤治子]]、山嵐:[[所ジョージ]]、赤シャツ:[[江守徹]]、野だいこ:[[渡辺いっけい]]、うらなり:[[宮川一朗太]]、狸:[[フランキー堺]]、ぎん:[[由紀さおり]]、森田:[[中条静夫]]、モナリザ:[[高岡早紀]])脚本:[[内舘牧子]]
*『坊っちゃんちゃん』(1996年、[[TBSテレビ|TBS]]、坊っちゃん:[[郷ひろみ]]、マドンナ:[[清水美沙|清水美砂]]、清・クロ(二役):[[樹木希林]]、いか銀:[[名古屋章]]、山嵐:[[金田明夫]]、赤シャツ:[[井上順]]、野だいこ:[[嶋大輔]]、うらなり:[[平田満]]、狸:[[ケーシー高峰]]、坊っちゃんの教え子:[[仲間由紀恵]])
*『坊っちゃん』(2016年、フジテレビ、坊っちゃん:[[二宮和也]]、マドンナ:[[松下奈緒]]<ref>{{citeCite web|和書|url=https://www.oricon.co.jp/news/2063153/full/|title=松下奈緒、二宮主演ドラマ『坊っちゃん』マドンナ役|publisher=ORICON STYLE|date=2015-12-01|accessdate=2015-12-02}}</ref>、<!--清:[[]]、-->山嵐:[[古田新太]]、赤シャツ:[[及川光博]]、野だいこ:[[八嶋智人]]、うらなり:[[山本耕史]]、狸:[[岸部一徳]]、清:[[宮本信子]]、物理学校校長:[[佐藤浩市]]、マドンナの父:[[小林薫]]、マドンナの母:[[浅野ゆう子]]、[[夏目漱石]]:[[又吉直樹]])<ref>{{Cite web|和書|url= https://www.sanspo.com/article/20150804-F2OFHC45CJKKTCRKWMBHSODBPU/ |title= 二宮和也で“坊っちゃん”!多くの名優演じたヤンチャ教師が蘇る |publisher= SANSPO.COM |date= 2015-08-04 |accessdate= 2015-08-04 }}</ref><ref>{{Cite news|url= https://www.sanspo.com/article/20151104-66Q2CCJDIVNKXEVM3ZZ5UMKHTI/ |title= 正月じゃないとできない顔ぶれ!フジ系新春SPドラマ「坊っちゃん」 |newspaper= SANSPO.COM |publisher= 株式会社 産経デジタル |date= 2015-11-04 |accessdate= 2015-11-04 }}</ref><ref>{{Cite news|url= https://www.oricon.co.jp/news/2064305/full/ |title= 又吉直樹が夏目漱石役で出演 嵐・二宮主演ドラマ『坊っちゃん』 |newspaper= ORICON STYLE |publisher= 株式会社oricon ME |date= 2015-12-23 |accessdate= 2015-12-23 }}</ref>
*『"くたばれ" 坊っちゃん』([[2016年]]、[[NHK BSプレミアム]]、矢崎純平:[[勝地涼]]、老人:[[山﨑努]]、高砂ゆかり:[[瀧本美織]])<ref>[https://web.archive.org/web/20160308122758/http://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=04179 愛媛発地域ドラマ制作開始!題材はあの名作“くたばれ”坊っちゃん] - [[NHKオンライン]]</ref>
 
119 ⟶ 149行目:
 
=== アニメ ===
; 『坊っちゃん』([[1980年]]6月13日・[[フジテレビジョン|フジテレビ]]版)<ref>{{Cite web|和書|title=坊っちゃん {{!}} 1980年代 {{!}} TMS作品一覧 |url=https://www.tms-e.co.jp/alltitles/1980s/034201.html |website=アニメーションの総合プロデュース会社 トムス・エンタテインメント |access-date=2023-05-16}}</ref>
:* スタッフ
:** 監修:[[出崎統]]、キャラクター原画:[[モンキー・パンチ]]、アニメーション制作:東京ムービー新社
:* キャスト
:** 坊っちゃん:[[西城秀樹]]、山嵐:[[納谷悟朗]]、赤シャツ:[[八奈見乗児]]、野だいこ:[[田の中勇]]、狸:[[永井一郎]]、うらなり:[[山田康雄]]、清:[[麻生美代子]]、チビ:[[野沢雅子]]、[[北村弘一]]、[[鈴木れい子]]、[[嶋俊介]]、ナレーター:[[久米明]]
:* 音楽
:** オープニング「酔歌」
::*** 作詞 - 島崎藤村 / 作曲 - 渡辺岳夫 / 歌 - デューク・エイセス
:** エンディング「東西南北」
::*** 作詞 - 島崎藤村 / 作曲 - 渡辺岳夫 / 歌 - デューク・エイセス
:** 挿入歌「荒城の月」
::*** 作詞 - 土井晩翠 / 作曲 - 滝廉太郎 / 歌 - 西城秀樹
: 当時フジテレビで放送されていた『[[日生ファミリースペシャル]]』の中の一作品として放送された。マドンナは登場するが、セリフが一切ない。
:
 
; 『坊っちゃん』([[1986年]][[日本テレビ放送網|日本テレビ]]版)<ref>{{Cite web|和書|title=青春アニメ全集 - メディア芸術データベース |url=https://mediaarts-db.artmuseums.go.jp/id/C8349 |website=mediaarts-db.bunka.go.jp |access-date=2023-05-16}}</ref>
:* キャラクターデザイン:[[本宮ひろ志]]
:* 声の出演
:** 坊っちゃん:[[安原義人]]、山嵐:[[飯塚昭三]]、赤シャツ:[[中村正 (声優)|中村正]]、野だいこ:[[はせさん治]]、狸:[[神山卓三]]、うらなり:[[林一夫]]、清:[[京田尚子]]、マドンナ:[[滝沢久美子]]、語り手:[[木内みどり]]
: 日本テレビで放送された「[[青春アニメ全集]]」の中の一作品として放送された。
 
142 ⟶ 172行目:
*夏休み特別企画「坊っちゃん」 ([[1987年]]8月、大阪・[[新歌舞伎座 (大阪)|新歌舞伎座]]、坊っちゃん役:[[近藤真彦]]、マドンナ役:[[宮崎萬純]])
*[[アイ・ラブ・坊っちゃん]]([[1992年]]初演、[[音楽座]]公演)
:**漱石の日常と「坊っちゃん」の世界が二重構造で展開されるミュージカル。[[1993年]]、[[1995年]]、[[2000年]]、[[2007年]]に再演。2000年公演時の坊っちゃん役は[[中村繁之]]
*『赤シャツ』([[2001年]]初演、劇団[[青年座]]公演、脚本:[[マキノノゾミ]]、演出:[[宮田慶子]])
:**赤シャツの視点から展開されるストーリー。坊っちゃんからは見えていなかった裏の事情を描く。
*ミュージカル『坊っちゃん!』([[2006年]]、劇団[[わらび座]]公演、脚本・演出:[[ジェームス三木]]、音楽:[[飯島優]]、振付:[[室町あかね]])
*明治芸能祭『坊っちゃん』(2018年、明治150周年記念事業、明治村・呉服座、脚本・演出:尾平晃一 制作 Entertainment Project Beat)
:**「坊っちゃん」が幼い頃から松山へ行くまでを描いた、笑いあり感動ありのオリジナルストーリー。
 
=== 漫画 ===
*『坊ちやん繪物語』(1917年、作画:[[岡本一平]])
*『漫画坊つちやん』(1918年、作画:[[近藤浩一路]])<ref>{{Cite book2book ja|author=近藤浩一路 |year=1918 |title=漫画坊つちやん |publisher=新潮社 |id={{NDLJP|1087976}} |ref=harv }}</ref>
* 『坊っちゃん』(作画:[[水島新司]]) - 若干アレンジしてある。1965年、日の丸文庫<ref>{{Cite web|和書|title=東京・日の丸文庫(光伸書房)/水島新司/原作=夏目漱石「坊っちゃん」 |url=https://ekizo.mandarake.co.jp/auction/item/itemInfoJa.html?index=544225 |website=ekizo.mandarake.co.jp |access-date=2023-05-16}}</ref>。
* 『坊っちゃん』(作画:[[モンキー・パンチ]])<ref>{{Cite web|和書|title=坊ちゃん - メディア芸術データベース |url=https://mediaarts-db.artmuseums.go.jp/id/C273136 |website=mediaarts-db.bunka.go.jp |access-date=2023-05-16}}</ref> - 『[[マンガ少年]]』1980年6・7月号に掲載。先述のスペシャルアニメ版放送に先駆け、キャラクター原案担当のモンキー・パンチによって漫画化。
*『BOCCHAN 坊っちゃん』(作画:[[江川達也]]) - 『[[コミック・ガンボ]]』連載、「坊っちゃんは、明治のサムライである」という観点の元、『坊っちゃん』を江川流の解釈で[[コミカライズ]]した作品。
* 『坊っちゃん』(作画:[[一峰大二]]、構成:[[辻真先]])1987年、[[暁教育図書]]、『コミグラフィック. 日本の文学』<ref>{{Cite book |title=坊っちゃん |url=https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001884573-00 |publisher=暁教育図書 |date=1987 |location=東京 |first=夏目 |last=漱石}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=一峰大二●坊ちゃん―夏目漱石/日本の文学●コミグラフィック/990円/古本通販/夢の屋 |url=http://yumenoyabook.web.fc2.com/gazo/Y47-07.html |website=yumenoyabook.web.fc2.com |access-date=2023-07-24}}</ref>
*『坊っちゃん』(作画:[[水島新司]]) - 若干アレンジしてある。
*『BOCCHAN 坊っちゃん』(作画:[[江川達也]]) - 『[[コミック・ガンボ]]』連載、「坊っちゃんは、明治のサムライである」という観点の元、『坊っちゃん』を江川流の解釈で[[コミカライズ]]した作品。2007年、ガンボコミックス、ISBN 9784903955018<ref>{{Cite book |title=坊っちゃん |url=https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000009139280-00 |publisher=デジマ |date=2007 |location=東京 |first=江川 |last=達也, 1961-}}</ref>
*『坊っちゃん♥』(作画:[[大和田秀樹]])- 『[[別冊漫画ゴラク]]』、『漫画ゴラクスペシャル』で連載されたギャグマンガ。坊っちゃんを男勝りのために'''坊っちゃん'''とあだ名を付けられた女性にする、うらなりが延岡への転勤が決まった後もまだ松山に留まっており、赤シャツ達の陰謀を免職後の坊っちゃんと山嵐に伝えるなどの大胆な改編がされているが物語は基本的に原作に準じて展開する。
*『マンガ 坊っちゃん : 英語圏版』([[増山和恵]] (著), マンガ:[[月館蛍人]] (著)) - 2011年、ゆまに書房、ISBN 978-4843335260<ref>{{Cite web |title=マンガ『坊っちゃん』 : 英語圏版 (Learning language through literature ; 1) {{!}} NDLサーチ {{!}} 国立国会図書館 |url=https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I000011283569 |website=国立国会図書館サーチ(NDLサーチ) |access-date=2024-04-27 |language=ja}}</ref><ref>{{Cite book |edition=英語圏版 |title=英語圏版 マンガ 坊っちゃん |url=https://www.amazon.co.jp/%E8%8B%B1%E8%AA%9E%E5%9C%8F%E7%89%88-%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%AC-%E5%9D%8A%E3%81%A3%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93-Learning-Language-Through-Literature/dp/4843335266 |publisher=ゆまに書房 |date=2011-09-30 |isbn=978-4-8433-3526-0 |first=恵 |last=増山和 |first2=人 |last2=マンガ:月館蛍 |first3=石 |last3=原作:夏目漱 |last4=ジョーン・E・エリクソン}}</ref>
*『坊っちゃん{{ハート}}』(作画:[[大和田秀樹]])- 『[[別冊漫画ゴラク]]』、『漫画ゴラクスペシャル』で連載されたギャグマンガ<ref>{{Cite web|和書|title=坊っちゃん(最新刊) |無料試し読みなら漫画(マンガ)・電子書籍のコミックシーモア |url=https://www.cmoa.jp/title/113417/ |website=www.cmoa.jp |access-date=2023-05-16}}</ref>。坊っちゃんを男勝りのために'''坊っちゃん'''とあだ名を付けられた女性にする、うらなりが延岡への転勤が決まった後もまだ松山に留まっており、赤シャツ達の陰謀を免職後の坊っちゃんと山嵐に伝えるなどの大胆な改編がされているが物語は基本的に原作に準じて展開する。2016年、ISBN 9784537134186<ref>{{Cite book ja |title=坊っちゃん{{ハート}} |url=https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I027219864-00 |publisher=日本文芸社 |date=2016 |location=東京 |first=秀樹 |last=大和田}}</ref>
 
== 関連作品・パロディ ==
=== 小説 ===
*[[三四郎]]『坊ちゃんのその後』191?年。『坊つちゃん』の続編<ref>{{Cite thesis|和書|author=関恵実 |url=https://doi.org/10.34360/00002335 |title=続・漱石 : 漱石作品の続編 |volume=専修大学 |series=博士(文学) 甲第114号 |year=2009 |doi=10.34360/00002335 |id={{naid|500000476121}} |access-date=2023-05-06}}</ref>。
*{{Cite book|和書|author=石原豪人|authorlink=石原豪人|year=2004|month=7|title=謎とき・坊っちゃん 夏目漱石が本当に伝えたかったこと|publisher=飛鳥新社|isbn=4-87031-626-9}} - 作品の疑問点は、登場人物が全員ゲイなら説明がつくという著作。
*{{Cite book|和書|author=内田康夫|authorlink=内田康夫|year=2003|month=5|title=坊っちゃん殺人事件|publisher=角川書店|series=角川文庫|isbn=4-04-160758-2}}
178 ⟶ 211行目:
 
== 「坊っちゃん」を付けた施設・商品など ==
[[ファイル:坊っちゃんとマドンナ像.jpeg|thumb|right|250px|[[松山城ロープウェイ]]東雲口駅前に設置された「坊っちゃんとマドンナ像」]]
中では舞台は「四国」としか表現されていないが、漱石の体験や方言(生徒達の発言経歴および作中描写(語尾「ぞな、もし」が度々付く)特徴的な[[伊予弁|方言]]、県庁と温泉があるなどの描写から推測することにより[[愛媛県]][[松山市]]が舞台となっていであると考えら推測される{{efn|[[師範学校]]との乱闘を報じた新聞を「四国新聞」としているが、これは架空の新聞である。実際に[[香川県]]で発行されている[[四国新聞]]がこの名称になったのは、本作の発表から40年後の1946年のことあった。、当時は存在しない}}。
 
このことから、作中での扱いは「野蛮な所」「気の利かぬ田舎もの」「猫の額ほどな町内」などと非常に悪いものの、松山市内及びその周辺部には本作にちなんで「坊っちゃん」(「坊ちゃん」と誤表記しているものも散見される)や「マドンナ」を冠した物件や商品などが多数存在する。代表的なものは下記に示すとおりである。
 
* [[坊っちゃん湯]]([[道後温泉本館]]のこと)
* [[坊っちゃん列車]]
* [[坊っちゃんスタジアム]](サブグラウンドは「[[マドンナ]]スタジアム」)
* [[坊っちゃんエクスプレス]]([[松山市|松山]]-[[高松市|高松]]間の[[高速バス]]。なお[[岡山市|岡山]]方面は「[[マドンナエクスプレス]]」)
* [[坊っちゃん団子]]
* [[坊っちゃん文学賞]]
* [[坊っちゃん劇場]]
* ぼっちゃりん([[松山競輪場|松山けいりん]]公式マスコット)
[[観光大使]]が* 「松山マドンナ大使」([[観光大使]])
 
また、坊っちゃんが進学した設定である東京物理学校の後身、[[東京理科大学]]では創立125周年を記念してイメージキャラクター「坊っちゃん」「マドンナちゃん」が制定されている。この他同大学の出版物に「坊っちゃん」を冠するなどの活動を行っている。
 
その他、商品名、店舗名に「坊っちゃん」と冠したものがある。なお、「坊ちゃん」と「っ」抜きで誤って表記されているものも散見される。
 
一方で作中の扱いは「野蛮な所」「気の利かぬ田舎もの」「猫の額ほどな町内」などと非常に悪い。
 
== 脚注 ==
204 ⟶ 233行目:
{{notelist}}
=== 出典 ===
{{reflist|30em}}
 
== 参考文献 ==
232 ⟶ 261行目:
[[Category:夏目漱石の小説]]
[[Category:1906年の小説]]
[[Category:松山市を舞台とした作品小説]]
[[Category:明治時代を舞台とした小説]]
[[Category:愛媛県を舞台とした小説]]
[[Category:教師を主人公とした小説]]
[[Category:日本の旧制教育機関を舞台とした小説]]
255 ⟶ 283行目:
[[Category:小説を原作とするミュージカル]]
[[Category:日本の旧制教育機関を舞台とした作品]]
[[Category:愛媛県19世紀を舞台とした小説作品]]