「京王6000系電車」の版間の差分
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京王6000系は1998年に廃車が始まっていることから、内容を追加しました。 タグ: モバイル編集 モバイルウェブ編集 |
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| 製造年 = 1972年 - 1991年
| 製造数 = 304両<ref name="RP578p187"/>
| 運用開始 =
| 運用終了 =
| 廃車 = 1998年
| 投入先 = [[京王線]]([[都営地下鉄新宿線|都営新宿線]]直通)
| 編成 = 2・3・4・5・6・8両<ref name="RP734p8"/>
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| 制御装置 =
| 制動装置 = [[発電ブレーキ]]併用[[電気指令式ブレーキ|電気指令式空気ブレーキ]]<ref name="RF137p89"/><br/>[[回生ブレーキ]]併用<br />電気指令式空気ブレーキ<ref name="RP422p85"/><ref name="RP734p212"/>
| 保安装置 = [[自動列車停止装置#多変周式信号ATS(多変周式(点制御、連続照査型))|京王形ATS]]<ref name="RF137p90"/><br />[[自動列車制御装置|都営新宿線用ATC]]<ref name="RP422p85"/> |[[自動列車制御装置#D-ATC|D-ATC(JR型)]]
| 備考 =
}}
'''京王6000系電車'''(けいおう6000けいでんしゃ)は、[[京王電鉄]][[京王線]]{{refnest|group="注"|新宿 - 京王八王子間の路線を指す場合もあるが、ここでは京王電鉄の1,372 mm軌間の路線の総称<ref name="PHP2012p14"/>として用いる。}}用の[[通勤形車両 (鉄道)|通勤形電車]]<ref name="RF137p86"/>
本稿では京王線上で東側を「[[新宿駅|新宿]]寄り」、西側を「[[京王八王子駅|京王八王子]]寄り」と表現する。[[編成 (鉄道)|編成]]単位で表記する必要がある場合は新宿寄り先頭車の[[鉄道の車両番号|車両番号]]で代表し、6731編成の
== 概要 ==
[[都営地下鉄新宿線]]への乗り入れを前提に設計され、京王で初めて20 [[メートル|m]]級並びに両開[[扉]]4ドアの車体を採用した<ref name="RF137p86" />。製造当時の法令に従い、6000系は [[地下鉄等旅客車#A-A基準|A-A基準]] {{refnest|group="注"|1969年5月15日付通達の火災対策基準に定められたが、1987年に普通鉄道構造規則に置き換えられ、さらにこの規則も2001年に[[鉄道に関する技術上の基準を定める省令]]に置き換えられた。1987年以降の規則・省令ではこの基準名称は使用されていない。}}を満足するよう設計されている<ref name="飯島1986p21" />。京王で初めて[[電気指令式ブレーキ]]を採用し、[[マスター・コントローラー|主幹制御器]]がブレーキハンドルと一体化された[[ワンハンドルマスコン]]が採用された<ref name="RF137p88" />。
後述のように、最大幅2,
[[制御車|先頭車]]は全車[[東急車輛製造]](以下、東急)製、中間車は25両が東急製、7両が[[日立製作所]](以下、日立)製であるほかは[[日本車輌製造]](以下、日車)製である<ref name="RP578p212" />。
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== 京王の車両史での位置づけ ==
6000系は5000系の全長18 m<ref name="RP422p157"/>に対し、京王線の[[建築限界]]を修正した<ref name="RP422p159"/>上で、京王線用として初めて全長20 mの車体を採用した<ref name="RF137p86"/>。6000系以降の京王線の新型車両は20 m車体となった<ref name="ダイヤ情報310p14"/>が、7000系以降は[[ステンレス鋼|ステンレス]]車体となった<ref name="RF277p52"/>ため、6000系は京王線用として20 m級車体を採用した唯一の[[炭素鋼|普通鋼]]製車両である<ref name="ダイヤ情報310p14"/>。6000系で床面(台枠上面)の幅が5000系の最大2,700 mmから2,780 mmに拡げられたため、ホームの改修が行われ、5000系以前の車両は出入口の踏段を拡幅する工事が施工された<ref name="RF269p56"/>。
最初の6編成の制御方式は5000系とほぼ同一の部品を採用した[[抵抗制御]]だった<ref name="RF137p90"/>が、これ以外はすべて[[界磁チョッパ制御]]となり<ref name="RP422p159"/>、7000系にもほぼ同じ方式が継承された<ref name="RF277p54"/>。電気指令ブレーキとT形のワンハンドルマスコンは改良を加えながら6000系以降の京王線用車両に採用されている<ref name="ダイヤ情報310p27"/>。
5000系では多種多様の[[鉄道車両の台車|台車]]が使用されたが、6000系ではほぼ同一形態の2種類の台車に統一され、基本構造は7000系、最終製造車を除く8000系まで継承された<ref name="ダイヤ情報310p21"/><ref name="ダイヤ情報310p28"/>。
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6000系は製造時から全車が冷房装置装備となり、初期の先頭車は[[集約分散式冷房装置]]を採用したが、途中から全車[[集中式冷房装置]]に統一され<ref name="RP578p215"/><ref name="RP578p216"/>、以降新5000系に至るまで京王線では集約分散式の採用はない<ref name="RP734p218"/><ref name="RP734p260"/>。
6000系304両の製造期間である1972年4月から1991年3月の19年間に7000系132両と併せて436両が製造され<ref name="RP734p246"/><ref name="RP734p247"/><ref name="RP734p248"/><ref name="RP734p249"/><ref name="RP734p250"/><ref name="RP734p251"/>、井の頭線からの転用車20両<ref name="RP578p245"/>、[[京王2600系電車|2600系]]15両<ref name="RP578p246"/>、[[京王2000系電車|2000系・2010系]]・[[京王2700系電車|2700系]]合計103両<ref name="RP578p245"/><ref name="RP578p246"/><ref name="RP578p247"/>、5000系17両<ref name="RP578p247"/><ref name="RP578p248"/>{{refnest|group="注"|廃車された5000系17両のうち、1979年11月16日に廃車されたクハ5871は1979年10月3日に発生した[[武蔵野台駅]]で起きた[[日本の鉄道事故 (1950年から1999年)#京王帝都電鉄京王線列車障害事故|踏切事故]]による廃車である<ref name="RF269p51"/>。}}、5100系24両<ref name="RP578p247"/><ref name="RP578p248"/>の179両が廃車された。京王線の車両数は257両増加したことになり、この間にいわゆる[[グリーン車 (京王)|グリーン車]]<ref name="RP578p245"/>と、[[吊り掛け駆動方式|吊り掛け式駆動]]車が全廃された<ref name="RP578p247"/>。
6000系304両の廃車は1998年1月<ref name="RP734p246"/>から2011年3月にかけての13年間行われ<ref name="年鑑2011一覧"/>、この間に8000系40両、9000系264両の合計304両が製造された<ref name="ダイヤ情報310p13"/>。6000系を代替したのはすべて[[可変電圧可変周波数制御|VVVFインバータ制御]]、ステンレス車体の車両であり<ref name="ダイヤ情報310p14"/>、6000系の全廃により京王線の営業車から普通鋼製の電車が消滅した<ref name="ダイヤ情報310p14"/>。6000系の廃車と並行して6000系とほぼ同じ制御装置を採用していた7000系のVVVF化改造工事が進められたが<ref name="ダイヤ情報310p13"/>、京王線から界磁チョッパ制御車が消滅したのは6000系全廃後の[[2012年]]となった<ref name="年鑑2013動向"/>。
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=== 内装 ===
{{Double image aside|right|Keio6000 inside.jpg|200|Seat of Keio 6000.jpg|110|車内|座席(7人掛け)}}
[[座席]]は[[鉄道車両の座席#ロングシート(縦座席)|ロングシート]]で、[[茶色|褐色]]の[[モケット]]が貼られた<ref name="RF137p87"/>。[[壁]]色は5000系に続いて[[アイボリー]]系となった<ref name="RF137p87"/>。天井の冷風[[ダクト]]の[[枕木]]方向の幅を広げることで天地を薄くでき<ref name="RF137p87"/>、[[天井]]高さは床面上2,210 mmとなった<ref name="RF137p86"/>。車内[[照度]]確保のため、[[照明|室内灯]]は[[旅客|乗客]]により近くなるよう冷風ダクトに取り付けられた他<ref name="RF137p87"/>、天井には先頭車9台、中間車10台の[[送風機|ラインデリア]]が埋め込まれた<ref name="RP578p217"/>。座席端の[[肘掛け|アームレスト]]は着座客のアームレストとしても、立客が寄りかかる場所としても両者が不快になることなく利用できるよう工夫されている<ref name="RF137p87"/>。冷暖房効果向上などを目的として全中間連結部に[[引戸]]が設けられている<ref name="RF137p87"/>。
=== 乗務員室 ===
{{Double image aside|right|Keio6000_Tc6717_Controler.jpg|220|Keio 6772 meters.JPG|220|運転台(クハ6717)|乗務員扉上に設置された計器類}}
京王の車両で初めてワンハンドル式[[マスター・コントローラー|主幹制御器]]を採用した<ref name="RF137p88"/>。押して制動か、引いて制動か、の議論が設計時にあり、先に登場していた[[東急8000系電車|東急8000系]]に倣って押して[[ブレーキ|制動]]する方式が採用された<ref group="注">日本の鉄道車両では押して制動、引いて加速が一般的だが、[[ロンドン地下鉄]]の車両など日本国外の車両はこれが逆である例も少なくない。</ref><ref name="RF137p88"/><ref name="RP278p67"/>。[[運転士]]前面に配置する[[計器]]類は[[速度計]]と[[圧力測定|圧力計]]、一部の[[開閉器|スイッチ]]類などの最低限とされ、[[電流計]]・[[電圧計]]などは添乗する係員から見やすいよう乗務員室側開戸の上に設けられた<ref name="RF137p88"/><ref name="RF137p89"/>。[[自動列車制御装置|ATC]]設置に備えて、速度計外側には車内信号が表示できるスペースが設けられた<ref name="RP893p186" />。乗務員室中央部を貫通路として使用する場合、運転室・車掌室が仕切れるような構造となっていた<ref name="RF137p88" /><ref name="RF137p89" />。[[ワイパー]]は[[乗用車]]用を流用した電動式となった<ref name="RP422p158"/>。
=== 主要機器 ===
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==== 冷房装置 ====
1972年製造の制御車には[[集約分散式冷房装置|集約分散式]]能力9.3 kW (8,000 kcal/h) の[[東芝]]製[[エア・コンディショナー|冷房装置]]が4台搭載された<ref name="RP578p216"/>。1973年から1976年製造の制御車は同じ冷房装置5台を搭載することが可能な構造となったが4台のみが搭載され、中央の1台分には[[筐体|カバー]]だけが載せられた<ref name="RP578p216"/>。1973年から1976年製造の制御車には[[1986年]]、5台目の冷房装置が搭載されている<ref name="RP578p216"/>。1972年製の中間車と、これを8両編成化するために製造されたデハ6450形には日立製[[集中式冷房装置|集中式]]34.9 kW (30,000 kcal/h) の冷房装置1台が搭載された<ref name="RF137p89"/><ref name="RP578p216"/>{{refnest|group="注"|6000系が登場した1972年当時、[[国鉄103系電車|国鉄103系]]や[[国鉄113系電車|国鉄113系]]の[[プロトタイプ|試作]]冷房車、京王5000系の一部、[[京急1000形電車 (初代)|京急1000形]]、[[相鉄6000系電車|相鉄新6000系]]などでパンタグラフのない車両に集中式冷房装置を搭載した事例はすでにあった<ref name="RF137p39"/>が、[[#鉄道ファン137グラフ|6000系登場時の紹介記事]]にはパンタグラフのないサハ6550形にも集中式冷房装置が採用されたことが「苦笑させられる」<ref name="RF137p92"/>と表現されており、通勤冷房車黎明期、集中式冷房装置をパンタグラフが搭載されない車両に採用することは一般的ではなかったことが
== 形式構成 ==
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|-
!車両番号
|'''6713'''||'''6013'''|| '''
|-
!搭載機器<ref name="RP422p149"/><ref name="RP734p216"/>
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|-
|style="border-bottom:solid 3px #7B766A; background-color:#ccc;"|
|style="border-bottom:solid 3px #7B766A;" colspan="2"|{{TrainDirection|新宿・[[本八幡駅|本八幡]]| }}<br />{{TrainDirection| |京王八王子・[[南大沢駅|南大沢]]}}
|style="border-bottom:solid 3px #B04740;" rowspan="3"|竣工時期<ref name="RP578p249"/><ref name="RP578p250"/>
|-
685 ⟶ 684行目:
|-
|style="border-bottom:solid 3px #7B766A; background-color:#ccc;"|
|style="border-bottom:solid 3px #7B766A;" colspan="2"|{{TrainDirection|新宿|京王八王子}}<br />{{TrainDirection| |府中競馬正門前}}
|style="border-bottom:solid 3px #B04740;" rowspan="3"|竣工時期<ref name="RP578p249"/><ref name="RP578p250"/>
|-
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|-
!車両番号
|'''6710'''<br/> <br/>'''6711'''<br/> <br/>'''6712'''<br/> ||'''6010'''<br/> <br/>'''6011'''<br/> <br/>'''6012'''<br/> ||'''6060'''<br/> <br/>'''6061'''<br/> <br/>'''6062'''<br/> ||'''6110''' (II)<br/>'''<small>(6210)</small>'''<br/>'''6111''' (II)<br/>'''<small>(6211)</small>'''<br/>'''6112''' (II)<br/>'''<small>(6212)</small>'''|| '''6560'''<br/> <br/>'''6561'''<br/> <br/>'''6562'''<br/> ||'''6210''' (II)<br/>'''<small>(6110)</small>'''<br/>'''6211''' (II)<br/>'''<small>(6111)</small>'''<br/>'''6212''' (II)<br/>'''<small>(6112)</small>'''||'''6260'''<br/> <br/>'''6261'''<br/> <br/>'''6262'''<br/> ||'''6760'''<br/> <br/>'''6761'''<br/> <br/>'''6762'''<br/> ||1981年7月<br/><br/>1981年7月<br/><br/>1982年1月<br/><br/>
|}
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|-
|style="border-bottom:solid 3px #7B766A; background-color:#ccc;"|
|style="border-bottom:solid 3px #7B766A;" colspan="2"|{{TrainDirection|新宿・本八幡|}}<br />{{TrainDirection||京王八王子・橋本}}
|style="border-bottom:solid 3px #B04740;" rowspan="3"|竣工時期<ref name="RP734p249"/>
|-
998 ⟶ 997行目:
== 運用 ==
=== 1970年代 ===
6000系は急行用として6両編成で製造され<ref name="RF137p86"/>たため、当初は5000系が7両編成で特急、6000系は6両編成で急行に運用された<ref name="RP422p159"/>。1975年に6000系の8両編成が登場、平日の特急にも運用されるようになった<ref name="RP422p159"/>が、一部駅ではホーム延伸が間に合わず、ラッシュに通勤急行などで6000系8両編成が運用される際は[[ドアカット|一部車両のドアを閉め切る措置]]が取られた<ref name="RP734p115"/>。
オフシーズン休日の特急は[[高幡不動駅|高幡不動]]で京王八王子方面と[[高尾山口駅|高尾山口]]方面で分割される運転形態だったため、5000系が引き続き充当されていたが、一部の6000系の5両+3両編成化により6000系がオフシーズン休日の特急にも運用されるようになり<ref name="RP422p159"/>、オンシーズン時には8両編成で「高尾」「陣馬」などのヘッドマーク付き列車などにも運用された<ref name="ダイヤ情報310p28"/>。5両編成は平日日中にグリーン車とともに [[各駅停車]]にも運用された<ref name="飯島1986p37"/>。
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== 保存車 ==
[[File:Keio
[[File:Keio 6000 6772 at Keio Rail-Land.jpg|thumb|220px|京王れーるランドに保存されたクハ6772のカットボディ]]
デハ6438が廃車後[[若葉台検車区]]で保管された<ref name="railf20130208_2"/>後、[[2013年]]4月に[[多摩動物公園駅]]付近に移動<ref name="railf20130404"/>、2013年10月から[[京王れーるランド]]で静態保存されているほか、クハ6722とクハ6772の運転台部分が同所に展示されている<ref name="RP893p191"/>。
{{Clear}}
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<ref name="年鑑2016p138">[[#年鑑2016|『鉄道車両年鑑2016年版』p138]]</ref>
<ref name="RF676App">[[#鉄道ファン676付録|『鉄道ファン』通巻676号付録]]</ref>
<ref name="railf20090613">{{
<ref name="railf20100823">{{
<!--
<ref name="railf20110202">{{cite web|url=http://railf.jp/news/2011/02/02/093700.html|title=京王7000系、競馬場線で運用開始 |publisher=railf.jp(交友社)|date=2011-02-02|accessdate=2013-05-25}}</ref>
-->
<ref name="railf20130208">{{
<!--
<ref name="railf20110401">{{cite web|url = http://railf.jp/news/2011/04/01/204600.html|publisher=railf.jp(交友社)|title = 京王7000系7801編成が「TAMA ZOO TRAIN」に|date=2011-04-01|accessdate=2011-04-01}}</ref>
-->
<ref name="railf20130208_2">{{
<ref name="railf20130404">{{
<ref name="100周年年表">[https://www.keio.co.jp/100th/historytimeline.html 京王の電車・バス開業100周年年表] 京王電鉄、2011年、2021年10月11日閲覧。</ref>
<ref name="HB2021-P110">[https://www.keio.co.jp/company/corporate/summary/corporate_manual/pdf/2021/2021_p106_p124.pdf データ集 - 年表] 2021年京王ハンドブック、京王電鉄、p.110、2021年8月発行。</ref>
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