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[[ファイル:CanonFDLensMechanism of Lens.JPG|thumb|right|200px|レンズ側の絞り制御機構の様子(キヤノンFDマウント)]]
[[ファイル:Canon_AE-1_FD_mount.jpg|thumb|right|200px|カメラ側の絞り制御機構の様子(キヤノンFDマウント)]]
'''写真レンズ'''(しゃしんレンズ)とは、[[写真]]撮影用・写真機([[カメラ]])用の[[レンズ]]で、写真用レンズ、単に「レンズ」ともいう。写真撮影[[カメラ]]の主要な構成要素のひとつであり、レンズ交換式カメラでは独立したモジュールとして、「[[レンズマウント]]」に
== 概要 ==
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* レンズの構成枚数が少ない傾向にあるので、逆光に強く、小型軽量である。
* [[色収差]]、画像のゆがみ、ひずみを補正しやすい。
* [[F値]]を小さくしやすいため、幅広い[[絞り (光学)|絞り]]の選択による豊かな表現が得られる。また、絞りを開けることで高速
といった特徴を持つ。
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==== 画角による分類 ====
; 標準レンズ
: 画角が、人間の肉眼が普通に物を見る時の画角に近い、などと言われるが、[[ライカ判]](デジタル一眼レフでは[[35mmフルサイズ]])で通常標準レンズとされる(ライカ判換算)50 mmの対角線画角46°は、少なくとも「眼に入る範囲」よりはかなり狭く望遠寄りである。これは昔[[ライカ]]が50 mmを標準としたため、という歴史的理由によるところが大きい。コンパクトカメラなどは、50 mmより広角寄りを選択しているものが多い。交換用レンズでは主力ラインナップであるため、特に固定焦点では、F値
; 広角レンズ
: 標準レンズより焦点距離が短く広い画角を持つレンズ。焦点距離が標準レンズに近く穏やかな表現になるものを「準標準レンズ」、特に焦点距離が短く広角のもの<ref group="注釈">メーカーによって違うが対角線画角95度 - 85度程度以上のもの。</ref>を「超広角レンズ」と呼ぶことも多いが明確な定義はない。光学的理由により、[[被写界深度]]が深い。広い画角のために、遠近感が強く表現される。{{main|広角レンズ}}
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==== レンズ構成による分類 ====
; トリプレット
: 単玉レンズを第一群から凸・凹・凸に置いたもの。[[ザイデル収差|ザイデルの5収差]]をともあれ一通り補正できる
: この構成を持つレンズは次項のテッサーと並び大変多い。例として[[カール・ツァイス]]のトリオター、[[シュナイダー・クロイツナッハ]]のラジオナー、日本光学工業(現[[ニコン]])のニッコールT105mmF4等のほか、[[レンズマウント#マクロ写真用|RMSマウント]]のマクロ写真用レンズにも採用例が見られる。{{main|トリプレット}}
; テッサー型
: 基本は凸・凹・凹凸の3群4枚構成で、成分としては凸凹凸でトリプレットと同等。[[
; ヘリアー型
: 凹凸・凹・凸凹または凸凹・凹・凹凸の3群5枚。トリプレットの前群と後群を色消しの貼り合わせにしたもので、[[フォクトレンダー]]のカール・アウグスト・ハンス・ハルティングによって開発された
; ダブルガウス型▼
; クセノター▼
: 凸・凸凹・凹凸・凸の4群6枚が典型的。[[カール・フリードリヒ・ガウス]]の望遠鏡レンズ(凸・凹)を絞りを挟んで対称に配置したものが原型であることからこの名であるが、単にガウスといってもダブルガウスを指していることが多い。{{main|ダブルガウス}}
: 最初の製品はビオメターであるが、[[1954年]]に[[シュナイダー・クロイツナッハ]]によって開発されたクセノターの名前で「クセノター型」とする場合が多い。絞りを挟んで前が[[ダブルガウス|ガウス]]、後が[[トポゴン]]型。後方の接合レンズを凹レンズ1枚に変えた変形[[ダブルガウス]]型と見ることもできる。{{main|ビオメター|クセノター}}▼
▲; クセノター型
▲; ダブルガウス
▲: 凸・凸凹・凹・凸の4群5枚。最初の製品は[[ハリー・ツェルナー]]によるビオメター
;
:
;
: 凸・凸凸凹・凹凸の3群5枚が基本で、エルノスターの2枚目と3枚目の間を空気からレンズに置き換え(屈折率の低いガラス材が使われる)4枚目も貼り合わせとしたもの。貼り合わせ面が多い分設計の制約が多く高価だが、空気との境界が少ないためコーティングがない時代は有利な構成だった。[[カール・ツァイス]]の[[ルートヴィッヒ・ベルテレ]]が[[1931年]]に設計した。{{main|ゾナー}}
: 望遠域のレンズに使われる設計で、前群に凸レンズを、後群に凹レンズを配置したもの。第2主点が全レンズ系の前方にあるように構成したレンズの総称。これによりレンズの全長を焦点距離よりも1割~2割短縮することができる。その反面糸巻き型の[[歪曲収差]]が発生しやすく、ボケの形も崩れやすいという欠点をもつ。▼
;
▲: 凸成分の主光学系の後ろに凹成分のレンズ群を配置して焦点距離を伸ばしたもの。望遠域のレンズに使われる設計で、
; 逆望遠型(レトロフォーカス)
: 望遠型と逆に、凸成分の主光学系の前に凹成分のレンズ群を配置して焦点距離を縮めたもの。バックフォーカスを確保したまま焦点距離を短くできるため、主に広角レンズで用いられる方式。{{main|逆望遠}}
[[ファイル:Phoenix 500mm f8 mirror.jpg|thumb|right|ミラーレンズ]]
; 反射望遠レンズ
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=== ズームレンズ ===
[[ファイル:Zoom prinzip.gif|thumb|ズームレンズの原理]]
画角(焦点距離)を一定の範囲で連続的に変化させられるもの。かつては、画角の変化にともなってフォーカスの移動が生じないものを特に[[ズームレンズ]]、生じるものも含めてバリフォーカルレンズ([[可変焦点レンズ]])と分類することもあったが、近年は
ズームにともなうフォーカスの移動の補正に
▲ズームレンズは、単焦点レンズに比べ、
* F値が大きく、暗いレンズが多い。
* レンズの構成枚数が多くなるため、大きく重くなりがち。
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といった難点があったが、光学設計技術の進歩により欠点は縮小傾向にある。
工業用レンズではコンピュータ制御によって正確に倍率制御ができるものがあり、拡大計測においてズーミングごとの寸法補正が必要なくなるなど利便性が向上している。
ズームレンズはその機構上、4群ズームを除いて同じ[[絞り]]の大きさでも焦点距離によってF値が変わる。そのため本来は焦点距離ごとに絞りの大きさとF値を換算しなければならないが、カメラ側でこの計算を行い絞りを設定したF値に合わせて自動的に調整する機構が採用されるようになってユーザーはこれを考慮する必要がなくなった。
かつて絞りを手動調整していたころは「F○通し」という呼びは開放F値が全ズーム領域で等しい、すなわち焦点距離ごとのF値の変動のない高級な4群ズームレンズを指したが、絞りが電子制御化されてからは2群や3群ズームでもズーミングによるF値の変動はなくなり、「F○通し」という呼びは単に開放F値が全ズーム領域で等しいレンズを指すものになった。その中でもF2.8通しの14-24/24-70/70-200の3本を「大三元」、F4通しの同レンズ群は「小三元」の通称で呼ばれることがある。
日本においては、ズームレンズは、その普及し始めの時期には安易な道具と捉えられ、単焦点レンズに比べて画質で大きく劣るとされたが(これを名付けて'''ズームレンズ[[文化包丁]]論'''と呼ぶ場合もある)、その後の技術の進歩により、遅くとも2007年頃までには、28-300mm(約10.7倍)のような高倍率ズームレンズであっても、単焦点レンズとの優劣差は一般的にイメージされるよりは小さくなり、プロの仕事道具としての使用にも耐えると評価されるようになっていた<ref>{{cite book|和書|pages=158-160|title=撮るライカI|author=神立尚紀|publisher=[[光人社]]|year=2007|edition=新装版|isbn=978-4-7698-1342-2|ref=harv}}</ref>。
==== 画角による分類 ====
==== レンズ構成による分類 ====
レンズ構成的には機械補正式の「2群ズーム」「3群ズーム」「4群ズーム」と光学補正式の4種類に大別できる。しかし近年の高倍率化のため2群ズームや3群ズームは最後部の凸成分をさらに2群や3群に分離してフローティング化することが普通で「多群ズーム」と呼ばれるなど、上述のように単純に分類できない光学系も増えてきた。
; 2群ズーム
:
: 逆望遠型の2群ズームは3群、4群よりも周辺光量が落ちにくく、なおかつバックフォーカスを維持して焦点距離を小さくできるため広角レンズに向いている。また像側テレセントリック性に優れる(像側レンズから受像部に投射される光の平行度が高い)ためデジタルカメラに向く。
: 望遠型の2群ズームはより受像部までの距離を縮められるためカメラ全体としてコンパクトに仕上がるが、像側テレセントリック性が悪くなるためコンパクトデジタルカメラには用いられない。
: 群数が少ないため純粋な2群ズームでは2倍ズーム程度が限界である。
; 3群ズーム
: 高倍率ズームレンズに多用される。レンズ群の成分は前から凸凹凸の順に配置されており、原理的には第2群を第1群に近づけると全体として逆望遠型の構成になり焦点距離が短く、第3群に近づけると望遠型の構成になり焦点距離が長くなり、ズームレンズとなる。実際には焦点も移動するため、補正のために3つの群が全てカムによって移動するようになっているものも多い。広角端では全長が短くなるため携行性に優れたレンズになる。
: かつて精密機械加工技術が未熟だった時代、大量生産されるスチールカメラ用レンズでは、複雑なカム加工を避けて第1群と第3群を固定し第2群のみを直線移動としたもの(ただしこの場合ズームに伴って焦点がズレるため厳密にはズームレンズではなくなる)や、逆に第2群を固定した上で屈折率をほぼ等しくした第1, 3群を連動して直線移動するようにしたものが製作された。前者は焦点移動を補正するレンズ群を追加し4群ズームレンズへ、後者は光学補正式ズームレンズへ発展した。また第1, 3群の屈折率をほぼ等しくした上で第1群は直線移動、第3群は若干の曲線移動として焦点補正をかけたものといった光学補正式と機械補正式の合いの子や、第2群の後ろに焦点補正レンズ群を配置した「3群ズーム発展型4群ズーム」とも言うべきものも製作された(第1群がズームで動く上に第4群がズーム動作に組み込まれており、ズーム方式の分類としては4群ズームには含めない)。
; 4群ズーム
: 高級低倍率ズームレンズで主用される。レンズ群の成分は前から凸凹凸凸あるいは凸凹凹凸で、第1群はフォーカスのみ、第2群はズーム(変倍)のみ、第3群は焦点補正のみ、第4群は結像のみと群ごとの役割が完全に分離されているのが特徴。前述のとおり3群ズームレンズから発展したもので、第2群が第1群に接近すると広角、第3群に接近すると望遠となり、第3群がズームに伴う焦点の移動を補正する。第4群はズーム動作には関与しない。第1, 2, 3群からなる光学系が焦点を結ばない無焦点系であるため、アフォーカルズームレンズとも呼ばれる。
: 各レンズ群の機能が独立していることとズーム系を構成するレンズ群が多いことから収差補正がやりやすく、また絞りがズームに関与しない第4群にあるため機械式の絞りではズームしてもF値が変わらないメリットがある。ただし第1群がズームでは移動しないため広角側でも鏡筒が長く、周辺光量が落ちる、携行性が悪いといったデメリットがある。
; 光学補正式ズーム
: かつては3群ズームの応用例として固定された凹群の前後を直線運動する凸群ではさむことで変倍する光学補正式もあったが小型化、大口径化に不利で画質的にも制約が大きく今日では消滅している。
===デジタルズームとの決定的な違い===
デジタルズームは光学ズームの補助的な機能とされているが、銘柄によっては光学ズームがなくデジタルズームのみしか搭載されていないものも存在する。デジタルズームは、画像を引き延ばしたうえで切り抜いた「トリミング」と呼ばれるものであり、それ単体で特に遠距離を望遠撮影する際にぼやけが発生する。一方の光学ズームは望遠鏡をのぞいているものと同じであり、望遠撮影をしたときの画像の劣化は起きにくい。<ref>[https://allabout.co.jp/gm/gc/19757/ 光学ズームとデジタルズームの違いとは? デジカメの基本](ALL ABOUTデジタル・デジタルカメラ ガイド 清水 博之)</ref>
=== 特殊レンズ/用途・形状別による分類 ===
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[[ファイル:Canon TS-E24mm F3.5L.jpg|thumb|right|キヤノンTS-Eレンズ]]
[[ファイル:Tokyo_City_Kilometre-zero.jpg|thumb|right|シフトレンズでライズ操作を行って撮影した例]]
; PCレンズ{{Anchors|PCレンズ}}
: PCはパースペクティブ・コントロールの意。シフトレンズとも称する。PCレンズはレンズ系の平行移動ができるシフト機構を内蔵している。たとえば高さのある建物全体を撮影する場合、一般のレンズで撮影すると見上げる形になり、上すぼまりに写る。これをカメラごと上に向けるのではなく、カメラを水平に保ったまま、シフト機構によりレンズ系だけを上に平行移動させて建物の上部までが入るように撮影すると、見上げて撮影した場合と同じような構図で、かつ垂直方向がすべて平行の画像が得られる。シフト機構に加えてティルト機構を持つレンズもあり、メーカによりTS-E、PC-Eレンズなどと呼ばれる。これはレンズ系を斜めに動かす機構で、ピント面をフィルム面と非平行にするものである。[[シャインプルーフの原理|シャインフリュークの法則]]により手前から奥までパンフォーカスにする、また逆に不自然にピントの合う範囲を狭める等の効果が得られる。
; パンケーキレンズ
: レンズの全長が[[ホットケーキ|パンケーキ]]のように薄く軽いレンズをいう。ボディに装着しても通常のレンズのようにかさばらないので、バッグへの収納が容易になり、スナップショット用として使われる。光学系は主にテッサー型を使用していることが多いがダブルガウス型を採用する製品もある。
; マクロレンズ
[[File:Smc PENTAX-A MACRO 100mm F2.8.jpg|thumb|right|マクロレンズの例(smc PENTAX-A MACRO 1:2.8 100mm)<br>フォーカスリング先端に撮影倍率が記されている]]
: 一般より高い撮影倍率で[[接写]]撮影ができるよう設計されたレンズ。通常のマクロレンズでは最大撮影倍率が1/2倍<ref group="注釈">すなわち被写体がフィルム/撮影素子に実際の大きさの半分の大きさで写る倍率。</ref>、もしくは等倍<ref group="注釈">すなわち被写体がフィルム/撮影素子に被写体の大きさそのままに写る倍率。</ref>のものが多い。動物などに接近せず大きく撮影する目的で被写体までの距離を長くとることができる「望遠マクロ」と呼ばれるタイプのレンズもある。文献の複写、生物や工芸品等の細かいパーツ等を写す場合などに用いられるが、接写だけでなく無限遠からピントが合い通常の撮影にも対応できるものも多い。また、被写界深度が浅く、ボケやすいためポートレートなどにも用いられる。マクロ写真専用の特殊なレンズでは
; 軟焦点レンズ
: ソフトフォーカスレンズとも。ハイライト部分から光がにじみだすような描写が可能なレンズ。意図的に[[球面収差]]を発生させて柔らかな描写を発生させるものが多い。またソフト効果をオフにして通常撮影もできるレンズもある。{{main|軟焦点レンズ}}
== レンズのテクノロジー ==
この節ではだいたい戦後使われるようになった新しめの技術について述べる。
=== 非球面レンズ ===
通常のレンズではレンズ表面の曲率が一定な球面レンズを使用するが、球面レンズには平行光線を完全な形で一点に収束させられないという欠点がある。この欠点を解消するため曲率を連続的に変化させてレンズ形状を非球面状態にしたレンズが非球面レンズで、これを用いることで大口径レンズの[[球面収差]]補正、広角レンズの[[歪曲収差]]補正、ズームレンズの小型化が可能になる。{{main|非球面レンズ}}
=== 蛍石レンズ/異常低分散(特殊低分散)レンズ ===
=== 高分散レンズ ===
低分散レンズとは逆に青色の屈折率が他の色よりも高い、高分散なレンズを用いて従来補正が難しかった青色の補正を行うことができる。この高分散レンズをキヤノンではBR(Blue Spectrum Refractive)レンズ、ニコンではSR(Short-wavelength Refractive)レンズと呼んでいる。<ref name="cnn-lnstec"/><ref name="nkn-lnstec"/>
=== 高屈折レンズ ===
=== 回折光学素子(回折レンズ) ===
光
=== 超音波モーター ===
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*: 超音波モーター採用のパイオニアであり、高級レンズ(リングUSM)から普及レンズ(マイクロUSM)に至るまで多くの製品に採用。略号USM (Ultrasonic Motor)。
* ニコン
*: 以前は主に高級レンズ群に採用されていたが、近年発売のレンズは高級
*: D3000/5000シリーズではボディモータータイプのレンズを作動させるカップリングを廃止しているため、レンズ内モーター搭載レンズ以外はAFを駆動させることが出来ない。
*: 2016年より一部のレンズで静寂性重視でパルスステッピングモーターが導入されている。
* コニカミノルタ(旧ミノルタ)/ソニー(α)
*: 一部のレンズに搭載している。略号SSM (Super Sonic Motor)。
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=== インナー(インターナル)フォーカス/リアフォーカス ===
大きく重いレンズのピント合わせで全群を動かすと、ピントリングの操作が重いものになり撮影者の負担となる。これを解消するため、レンズの最後部・もしくは中間部のみを動かすだけでピント合わせができるよう設計することで、軽く操作できるようになる。他にも、「レンズ全長が常時一定に保たれる」「レンズ系全体のコンパクト化が可能で、特にズームレンズでは一層の高倍率化が可能となる」「レンズ前玉部が動かないため[[レンズフィルター]]操作(とくに偏向フィルターやクロスフィルター使用時)に影響が出ない」などの利点がある。[[オートフォーカス]]以前からあった技術ではあるが、オートフォーカスレンズではフォーカシング速度の向上に大きく寄与するため、さらに広く使われるようになった。<!--なお
=== フローティング ===
フォーカシングに伴って変動する収差を、フォーカシングに用いるレンズ群を複数の群に分割してそれぞれ別の動きをさせることで補正する方式。キヤノンやソニーは単にフローティングと呼んでいるが、ニコンは全体繰り出し方式のレンズの一部を浮動させるものを近距離補正方式(CC:Close-Range Correction)、それ以外のものをマルチフォーカス方式(Multi-FS)と呼んで区別している。<ref name="cnn-lnstec">[https://cweb.canon.jp/eos/lineup/technology/lens/index.html キヤノン:レンズ交換式カメラ/交換レンズ|レンズテクノロジー]</ref><ref name="nkn-lnstec">[https://www.nikon-image.com/products/nikkor/about/technology.html ニッコールレンズテクノロジー | NIKKORレンズ | ニコンイメージング]</ref><ref name="sny-lnstec">[https://www.sony.jp/ichigan/lens/technology.html αレンズのテクノロジー & レンズに関する基礎知識 | デジタル一眼カメラα(アルファ) | ソニー]</ref>
=== コーティング ===
光がレンズを通るとレンズ表面で反射することによって光量のロスやレンズ内部での反射による[[レンズフレア|フレア
やがて光学性能 以降はカラーバランスを保つにも有利な'''重層膜コーティング'''が また、光学性能の向上以外に、[[撥水]]・撥油効果やキズへの耐性等のメンテナンス性の向上を狙ったコーティングも合わせて使用されることもある。代表的なものとしてペンタックスの「SP (Super Protect) コーティング」がある。 === 手ぶれ補正機構 ===
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=== デジタル対応/デジタル専用レンズ ===
通常の写真用フィルムに比べて、[[デジタルカメラ]]の[[イメージセンサー]]は斜めから入ってくる光を捉える性能が低いといわれている。このため、特に広角レンズなどでフィルムカメラ用に設計されたレンズでは、周辺部が暗くなる([[周辺光量]]の低下が目立つ)ケースが多い。他にも、斜めに入射する光がデジタルカメラ特有の画質劣化の原因となるといわれている。このため、デジタルカメラ対応を謳う設計の新しいレンズにおいては、できるだけイメージセンサーに対する入射角が垂直に近くなるような設計(このようなレンズを[[テレセントリック光学系]]とよぶ)が行われる。<!--フィルムの場合よりも[[収差]]が目立ちやすいために垂直に光が入射することが求められる。通常のレンズでは入射光が垂直に入らない場合があり、特に広角レンズの周辺部に顕著に見られる。-->また、イメージセンサーの表面や[[ローパスフィルター]]などが光を全反射するため、レンズとイメージセンサーとの間で発生する光の反射が写りに悪影響をもたらす場合がある。これらを改善するためにレンズのコーティングや光学系を見直し、よりデジタルカメラに適した設計を行ったレンズを'''デジタル対応レンズ'''と呼ぶことが
さらに、小型イメージセンサーを持つ機種は、従来のフィルムカメラよりも小さな[[イメージサークル]]で対応できるので、イメージサークルを小さく設計し<!--出典を発見できない部分をコメントアウト:性能の割に小型で低価格になるようにし-->たレンズも作られている。このようなレンズは'''APS-Cサイズ用レンズ'''、'''デジタル専用レンズ'''と呼ばれる{{efn|デジタル'''専用'''と'''対応'''の違いは、フィルム(多くは35mm判を想定)撮影時にケラレが発生するか否かである<ref name="kotobank-digital-compatible"/>。}}<ref>{{cite kotobank|word=デジタル専用レンズ|encyclopedia=カメラマン写真用語辞典|accessdate=2022-03-29}}</ref>。
フィルム写真が主であった時代には多くの消費者は小判のプリントで鑑賞するだけであったが、デジタル時代になりディスプレイ上でのピクセル等倍での観賞が容易に行われるようになり、一般消費者による写真レンズの評価基準も等倍観賞を前提とする厳しいものとなった。このため、デジタル対応レンズでは精度向上や各収差の低減がより志向されるようになった<ref>{{Cite interview |和書|subject=[[シグマ (カメラ)|山木和人]] |date=2004/09/29 |interviewer= 本田雅一 |title=シグマがデジタル対応レンズで先行した理由 |url=https://dc.watch.impress.co.jp/cda/other/2004/09/29/161.html |work= |publisher=デジカメWatch |accessdate=2022-03-29}}</ref>。
== レンズのブランド ==
カメラメーカーでは、長い間レンズに[[ブランド]]が付けられていたが、[[1990年代]]以後ニコン・フジなど一部を除いて
* [[ソニー]] (SONY) - Gレンズ(G Lens)、カール・ツァイスレンズ (Carl Zeiss)、Gマスター(G Master)
* [[オリンパス]](旧・高千穂光学) - ズイコー (ZUIKO)、[[ズイコーデジタルレンズ|ズイコーデジタル]] (ZUIKO DIGITAL)、Mズイコー(M.ZUIKO)、Mズイコープロ(M.ZUIKO PRO)
* [[キヤノン]](旧・精機光学) - セレナー (SERENAR)
* [[興和|興和(コーワ)]] - プロミナー (PROMINAR)
* [[コシナ]] - コシナー (COSINA)、コシノン (COSINON)
* [[木下光学研究所]] - キスター (KISTAR)
* [[清原光学]] - キヨハラソフト (KIYOHARA SOFT)
* [[コニカ]](旧・小西六 / 現・[[コニカミノルタ]]) - コニター (KONITAR)、ヘキサー (HEXAR)、ヘキサノン (HEXANON)
* [[小堀製作所]] - テフノン (TEFNON)
174 ⟶ 207行目:
* [[富士フイルム]]・フジノン(旧・富士写真光機) - フジナー (FUJINAR)、フジノン (FUJINON※)
* [[ペトリカメラ|ペトリ]](旧・栗林写真工業) - オリコン (ORIKON)、オリコール (ORIKKOR)
* [[
* [[マミヤ]] - セコール (SEKOR)
* [[ミノルタ]](旧・千代田光学精工 / 現・コニカミノルタ) - ロッコール (ROKKOR)、プロマー (PROMAR)
182 ⟶ 215行目:
※ - レンズブランドが社名になった例である。
いち早くレンズへのブランド使用を止めたのはキヤノンで、
== 脚注 ==
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* [[レンズマウント]]
* [[コンバージョンレンズ]]
* [[撒き餌レンズ]]
== 外部リンク ==
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{{写真}}
{{camera-stub}}
{{Normdaten}}
{{デフォルトソート:しやしんれんす}}
[[Category:写真レンズ|*]]
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