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ヒトの脂質異常症患者や健康なボランティアを対象にした小規模試験においてもメバスタチンの有効性が示され、[[1979年]]に日本国内での[[臨床試験]]が開始された。しかし、長期高濃度投与実験を行っていたイヌで[[副作用]]が発生したことを受け、臨床試験は1年余りで中止となった<ref name=Endo1992/>。
一方、メバスタチンの効果に関心を寄せていた[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の大手製薬企業・[[メルク・アンド・カンパニー|メルク
その後の臨床試験で、ロバスタチンは安全性が比較的高く、メバスタチンと同程度のコレステロール低下作用を持つことが示された<ref>{{cite journal |author=The Lovastatin Study Group II |title=Therapeutic response to lovastatin (mevinolin) in nonfamilial hypercholesterolemia. A multicenter study |journal= [[ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーション|JAMA]] |volume=256 |issue=20 |pages=2829-2834 |year=1986 |id= PMID 3534333}}</ref>。[[1987年]]、[[アメリカ食品医薬品局]]
高コレステロール血症は(心血管障害・脳血管障害を導く)動脈硬化症の主要なリスク要因の一つと考えられている<ref name=Christians1998>{{cite journal | author = Christians U, Jacobsen W, Floren LC | title = Metabolism and drug interactions of 3-hydroxy-3-methylglutaryl coenzyme A reductase inhibitors in transplant patients: are the statins mechanistically similar? | journal = Pharmacol Ther | volume = 80 | issue = 1 | pages = 1-34 | year = 1998 | id= PMID 9804052}}</ref>。スタチンの発見は、高コレステロール血症と関連疾患の予防、および基礎研究に多大な進歩をもたらした。遠藤と共同研究を行い、コレステロールの代謝・作用機序を解明したアメリカの[[マイケル・ブラウン (遺伝学者)|マイケル・ブラウン]]と[[ジョーゼフ・ゴールドスタイン]]の2名に、[[1985年]]度の[[ノーベル生理学・医学賞]]が贈られている。
遠藤もまた「スタチンの発見と開発」における一連の業績により、[[2006年]]の[[日本国際賞]]、さらに[[2008年]]には「アメリカのノーベル医学生理学賞」とも言われる[[アルバート・ラスカー医学研究賞|ラスカー賞]](臨床医学研究部門)を受賞した<ref>
=== 後発品 ===
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== 有効性 ==
スタチンは冠動脈疾患のリスクを25%から40%あるいはそれ以上に低下させるが、冠動脈疾患のリスクの85%は食事が要因である<ref name="pmid21076725">{{cite journal |vauthors=Spence JD, Jenkins DJ, Davignon J |title=Dietary cholesterol and egg yolks: not for patients at risk of vascular disease |journal=Can J Cardiol |volume=26 |issue=9 |pages=e336–9 |year=2010 |pmid=21076725 |pmc=2989358 |doi= |url=}}</ref>。しかし、[[糖尿病]]患者には心疾患予防効果は認められず<ref>奥山治美、浜崎智仁、大櫛陽一 ほか、[https://doi.org/10.4010/jln.22.173 糖尿病者にスタチンは禁忌-緊急提言] 脂質栄養学 22巻 (2013) 2号 p.173-186, {{doi|10.4010/jln.22.173}}</ref>、さらに新規糖尿病患者が増加するとの報告がある<ref>内藤亮、宮内克己、「脂質異常症と動脈硬化」 medicina 52巻 1号 (2015) pp.94-97, {{doi|10.11477/mf.1402223030}}</ref>。
75歳以上ではスタチンの有効性と安全性を鑑みると一次予防では処方すべきでない<ref>Cholesterol Treatment Trialists' Collaboration. Efficacy and safety of statin therapy in older people: a meta-analysis of individual participant data from 28 randomised controlled trials. Lancet. 2019;393(10170):407-415.</ref>。
2024年のメタ解析で、スタチンを高用量や併用することで服用すると、静脈血栓塞栓症を予防する可能性があると報告された<ref>{{cite journal | vauthors = Ioannis T Farmakis, Konstantinos C Christodoulou, Lukas Hobohm, Stavros V Konstantinides, Luca Valerio | title = Lipid lowering for prevention of venous thromboembolism: a network meta-analysis | journal = Eur Heart J. | pages = ehae361. | date = June 2024 | pmid = 38874212 | doi = 10.1093/eurheartj/ehae361. }}</ref>。
== 副作用 ==
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=== 相互作用 ===
* [[脂質降下薬]]の1種である[[フィブラート系薬剤]]とスタチンを併用すると、横紋筋融解症の発生リスクが高まることが知られており、これら2剤の併用は、[[2018年]]まで[[禁忌 (医学)|禁忌]]になっていた。[[2001年]]にはセリバスタチンとゲムフィブロジル製剤を併用した症例で、高頻度に横紋筋融解症が発生することが報告され、セリバスタチン製剤の自主回収が行われた<ref>{{cite journal |author=Furberg CD, Pitt B |title=Withdrawal of cerivastatin from the world market |journal=Curr Control Trials Cardiovasc Med |volume=2 |issue=5 |pages=205-207 |year=2001 |id=PMID 11806796}}</ref>。
* スタチンは、[[ビタミンK2]]生合成に関わっている酵素 ({{仮リンク|UBIAD1|en|UBIAD1}}) を阻害するとの報告がある<ref>{{cite journal|title=Functional Characterization of the Vitamin K2 Biosynthetic Enzyme UBIAD1|year=2015|volume=10|issue=4|pmid=25874989|pmc=4398444|doi=10.1371/journal.pone.0125737}}</ref>。
* 2018年10月16日付け厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課長名で[原則禁忌]の項の「腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者に、本剤と[[HMG-CoA 還元酵素阻害薬|HMG-CoA還元酵素阻害薬]]を併用する場合には、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること。」を削除し、[重要な基本的注意]の項に「腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者に、本剤と[[HMG-CoA 還元酵素阻害薬|HMG-CoA還元酵素阻害薬]]を併用する場合には、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること。急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。やむを得ず併用する場合には、本剤を少量から投与開始するとともに、定期的に腎機能検査等を実施し、自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK ([[CPK]]) 上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。」を追記し、[[[相互作用]]]の「原則併用禁忌」の項の「[[HMG-CoA 還元酵素阻害薬|HMG-CoA還元酵素阻害薬]](プラバスタチンナトリウム、[[シンバスタチン]]、フルバスタチンナトリウム等)」が削除された
== 適応症 ==
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== 一覧 ==
{{
メバスタチン(製品化されず)の発見以降、8種類のスタチンが日本および海外の製薬会社から医薬品として販売されている。
{| class="wikitable"
|-
!
|-
|[[ロスバスタチン]]
|-
|[[ピタバスタチン]]
|-
|[[アトルバスタチン]]
|-
|[[セリバスタチン]]
|-
|[[フルバスタチン]]
|-
|[[シンバスタチン]]
|-
|プラバスタチン
|-
|[[ロバスタチン]]
|-
|[[メバスタチン]]
|}
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* [[メバロン酸経路]]
* [[脂質降下薬]]
* [[エゼチミブ]]
== 外部リンク ==
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