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{{IPstack}}
'''IEEE 802.11'''(アイトリプルイー 802.11)は、[[IEEE]]により策定された、広く普及している[[無線LAN]]関連規格の一つである。[[無線局]][[免許状|無線局免許]]不要で使えるものも多い。
 
== 一覧 ==
公称速度とされているのは無線機器間を結ぶ瞬間的な通信速度である。実際のデータのやり取りは様々な理由でロスが生じるため、インターネット上の速度測定サイト等で計測される速度(実効速度)は公称速度の半分 - 3–3分の1程度となる<ref>[http{{Cite web|和書|url=https://itproxtech.nikkeibpnikkei.co.jpcom/it/free/ITPro/OPINION/20031005/1/ |title=悩ましい無線LANの速度表記]( |access-date=2008年2月19日 |date=2003.10.06 |website=日経クロステック(xTECH) |publisher=[[日経BP]]社、ITpro) |language=ja}}</ref>。
 
{| class="wikitable" style="font-size:90%;"
!世代!!規格!!策定時期!!二次変調方式!![[周波数]]帯!!公称最大速度!![[多元接続|空間ストリーム]]!!チャンネル幅!!備考(日本国内)
|-
|1
|style="white-space:nowrap;"|[[#IEEE 802.11|IEEE 802.11]]||1997年6月||[[スペクトラム拡散#直接拡散|DSSS]]{{\}}[[スペクトラム拡散#周波数ホッピング|FHSS]]||2.4{{Ndash}}&ndash;2.5&nbsp;GHz||2&nbsp;Mbps|| rowspan="5" |1||22&nbsp;MHz||免許不要
|-
|rowspan="2"|2
|style="white-space:nowrap;"|[[#IEEE 802.11a|IEEE 802.11a]]|| rowspan="2" |1999年10月||[[直交周波数分割多重方式|OFDM]]||{{Ubl|5.15{{Ndash}}&ndash;5.35&nbsp;GHz|5.47{{Ndash}}&ndash;5.725&nbsp;GHz}}||54&nbsp;Mbps||1||20&nbsp;MHz||{{Ubl|5.15{{Ndash}}&ndash;5.35&nbsp;GHz: 屋内の利用に限り免許不要|5.47{{Ndash}}&ndash;5.725&nbsp;GHz: 屋内外に限らず免許不要}}
|-
|style="white-space:nowrap;"|[[#IEEE 802.11b|IEEE 802.11b]]||1999年10月||DSSS{{\}}CCK|| rowspan="2" |2.4{{Ndash}}&ndash;2.5&nbsp;GHz||11&nbsp;Mbps / 22&nbsp;Mbps||1||22&nbsp;MHz|| rowspan="2" |免許不要
|-
|rowspan="2"|3
|style="white-space:nowrap;"|[[#IEEE 802.11g|IEEE 802.11g]]||2003年6月|| rowspan="4" |OFDM|| rowspan="2.4{{Ndash}}2.5&nbsp;GHz|" |54&nbsp;Mbps||1| rowspan="2" |20&nbsp;MHz||免許不要
|-
|style="white-space:nowrap;"|[[#IEEE 802.11j|IEEE 802.11j]]||2004年12月||OFDM||{{Ubl|4.9{{Ndash}}&ndash;5.0&nbsp;GHz|5.03{{Ndash}}&ndash;5.091&nbsp;GHz}}||54&nbsp;Mbps||1||20&nbsp;MHz||要免許、電力など一定制限内の端末のみ免許不要
|-
|4
|style="white-space:nowrap;"|[[#IEEE 802.11n (Wi-Fi 4)|IEEE 802.11n]]||2009年9月||OFDM||{{Ubl|2.4{{Ndash}}&ndash;2.5&nbsp;GHz|5.15{{Ndash}}&ndash;5.35&nbsp;GHz|5.47{{Ndash}}&ndash;5.725&nbsp;GHz}}||65&nbsp;Mbps{{Ndash}}&ndash;600&nbsp;Mbps||1{{Ndash}}&ndash;4||20{{\}}40&nbsp;MHz||製品によって上限の公称速度が異なり、最小では65&nbsp;Mbps、最大では600&nbsp;Mbpsである。{{Ubl|2.4&nbsp;GHz帯: 屋内外に限らず免許不要|5.15{{Ndash}}&ndash;5.35&nbsp;GHz: 屋内の利用に限り免許不要|5.47{{Ndash}}&ndash;5.725&nbsp;GHz: 屋内外に限らず免許不要}}
|-
|rowspan="2"|5
|style="white-space:nowrap;"|[[#IEEE 802.11ac (Wi-Fi 5)|IEEE 802.11ac]]||2014年1月||OFDM||{{Ubl|5.15{{Ndash}}&ndash;5.35&nbsp;GHz|5.47{{Ndash}}&ndash;5.725&nbsp;GHz}}||292.5&nbsp;Mbps{{Ndash}}&ndash;6.93&nbsp;Gbps||1{{Ndash}}&ndash;8||80{{\}}160&nbsp;MHz||{{Ubl|5.15{{Ndash}}&ndash;5.35&nbsp;GHz: 屋内の利用に限り免許不要|5.47{{Ndash}}&ndash;5.725&nbsp;GHz: 屋内外に限らず免許不要}}
|-
|style="white-space:nowrap;"|[[#IEEE 802.11ad|IEEE 802.11ad]]||2013年1月||シングルキャリア{{\}}OFDM||57{{Ndash}}&ndash;66&nbsp;GHz||4.6&nbsp;Gbps{{Ndash}}&ndash;6.8&nbsp;Gbps||{{Ndash}} ||最大9&nbsp;GHz||免許不要
|-
|6
|rowspan="2" style="white-space:nowrap;"|[[#IEEE 802.11ax (Wi-Fi 6)|IEEE 802.11ax]]
|rowspan="2"|2021年2月19日<ref name="802.11_Timelines_tgaxieee_feb2021">2021年5月19日発行(正式公開)/出典:{{Cite web |url=httphttps://wwwstandards.ieee802ieee.org/11about/Reportssasb/802.11_Timelinessba/feb2021.htm#tgaxhtml |title=OFFICIAL IEEE 802.11SA WORKINGStandards GROUPBoard PROJECTApprovals TIMELINES- 09/10 February 2021 |accessdateaccess-date=2021-06-13 |date=2021-0602-1109 |workwebsite= [[IEEE|www.ieee.org]]}}</ref><ref Stdname="802_11ax-2021">{{Cite P802web |url=https://standards.ieee.org/standard/802_11ax-2021.html |title=IEEE 802.11ax-2021 - IEEE Approved Draft Standard for Information technology... |publisheraccess-date=2021-06-13 |date=2021-05-19 |website=[[IEEE|www.ieee.org]] |language=en }}</ref>
|rowspan="3"|[[直交周波数分割多元接続|OFDMA]]
|
|{{Ubl|2.4 GHz帯|5 GHz帯}}
|
|rowspan="2"|9.6&nbsp;Gbps
|rowspan="2"|1–8
|
|rowspan="2"|20/40/80/160 MHz
|
|
|-
|6E
|{{Ubl|2.4 GHz帯|5 GHz帯|6 GHz帯}}
|rowspan="2"|{{Ubl|5.925&ndash;6.425&nbsp;GHz: 2022年9月2日より利用可能<ref>{{Cite news |title=「Wi-Fi 6E」ついに解禁――総務省が6GHz帯の無線LAN利用を認める省令を公布 即日施行 |newspaper=ITmedia Mobile |date=2022年09月02日 18時30分 |author=井上翔 |url=https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/2209/02/news169.html |access-date=2022年9月2日 |language=ja}}</ref>|6.425&ndash;7.125&nbsp;GHz: 利用不可}}
|-
|7
|[[IEEE 802.11be]]
|2024年5月予定<ref name="802.11_Timelines_tgbe">{{Cite web |url=https://www.ieee802.org/11/Reports/802.11_Timelines.htm#tgbe |title=OFFICIAL IEEE 802.11 WORKING GROUP PROJECT TIMELINES |access-date=2021-06-13 |date=2021-06-11 |work=IEEE Std P802.11be |publisher=[[IEEE]] |language=en}}</ref>
|
|
|{{Ubl|2.4 GHz帯|5 GHz帯|6 GHz帯}}
|46 Gbps
|1–16
|
|20/40/80/160/320 MHz
|
|6 GHz帯は日本では未割り当て
|}
 
53 ⟶ 56行目:
!規格名!!規格の種類!!制定時期!!備考(日本国内)
|-
|802.11|| rowspan="3" |伝送規格||1997年6月||MACと周波数ホッピング及び直接シーケンスの変調方式を定義。DSSS方式。
|-
|802.11a||伝送規格| rowspan="2" |1999年10月||5 GHz帯でOFDMを用いることにより、54 Mbpsを実現した規格。2番目の物理層標準だが、製品化されたのは2000年後半。
|-
|802.11b||伝送規格||1999年10月||3番目の標準だが製品として発売されたのは2番目。DSSS/CCK方式。
|-
|802.11c|| || ||異なる無線ネットワーク間をブリッジする規格。大幅な成果が得られなかったことから802.11cとしては発表されず802.1Dに吸収された。
|-
|802.11d|| || ||電波規制が異なる国間を移動する場合の手続きを策定
|-
|802.11e||QoS関連規格||2005年11月||MACのサービス品質 (QoS) の拡張を制作
|-
|802.11F|| || ||[[アクセスポイント間プロトコル]] (IAPP)
|-
|802.11g||伝送規格||2003年||ISM帯のネットワークを使用する物理層仕様。2.4 GHz帯にOFDM方式を適用。
|-
|802.11h||各国の法規|| ||802.11aと欧州の電波放出規則の互換性を維持するための標準
|-
|802.11i||セキュリティ|| ||リンク層のセキュリティを強化
|-
|802.11j||各国の法規|| ||802.11aを日本の電波法規則に適合させるための追加仕様。jはJapanの頭文字ではなく偶然
|-
|802.11k||通信の強化|| ||無線帯域の使用を効率よく管理するため、ネットワーク内で電波リソース情報を交換する規格
|-
|802.11m||メンテナンス|| ||802.11a, 802.11b, 802.11d, TGcの変更を802.11本体の仕様書に取り込むタスクグループ。mはメンテナンスの意味。
|-
|802.11n||伝送規格|| ||2.4 GHzと5 GHzに互換性を持ち、MAC層において100 Mbpsを上回る高スループットを実現。40 MHz幅・4×4MIMOをサポート。
|-
|802.11p|| rowspan="3" |応用|| ||自動車で802.11を応用するタスクグループ。[[ETC]]などで用いられる。
|-
|802.11r||応用|| ||ローミング性能を強化
|-
|[[IEEE 802.11s|802.11s]]||応用||| ||[[メッシュネットワーク]]技術として使用するための改訂
|-
|802.11T||試験・測定|| ||802.11の試験と測定の仕様書を設計するタスクグループ(規格化断念)
|-
|802.11u||他ネットワーク相互接続|| ||他のネットワーク技術との相互接続を支援する。Passpoint。
|-
|802.11aa
96 ⟶ 99行目:
|ビデオの伝送
|-
|802.11ac|| rowspan="2" |伝送規格||2014年1月||5 GHz帯を利用し、最大6.93 Gbpsを実現するための規格。160 MHz幅, 8×8MIMOをサポート。
|-
|802.11ad||伝送規格||2012年12月||60 GHz帯を利用し、7 Gbpsを超えるスループットを実現。2.1 GHz幅をサポート。
|-
|802.11af|| || ||[[ホワイトスペース (電波)|TVホワイトスペース]]
123 ⟶ 126行目:
|802.11ax
|
|2021年2月19日<ref name="802.11_Timelines_tgaxieee_feb2021" /><ref name="802_11ax-2021" />
|高密度環境における周波数利用効率の向上。OFDMAを適用。8 GHz幅、MU-MIMOサポート。
|-
152 ⟶ 155行目:
|}
 
注釈
* 「L」「O」「Q」はLが数字の1、O・Qが数字の0と間違いやすいため欠番
* 「L」「O」「Q」は、Lが数字の1、O・Qが数字の0と間違いやすいため欠番
* a → z の順番に作られ、z の次は aa となった。aa → az の順番に作られている。
* a → z の順番に作られ、z の次は aa となった。aa → az の順番に作られている。{{see|[[:en:Bijective_numeration#The_bijective_base-26_system|全単射記数法]]}}
* 802.11Fや802.11Tが大文字なのは完結した独立文書であることを示す。[[IEEE 802.1X]]と同じ考え。
* 802.11F や 802.11T が大文字なのは完結した独立文書であることを示す。 [[IEEE 802.1X]] と同じ考え。
 
=== 国ごとで利用可能なチャンネル ===
{{colCol-float|width=31em26em}}
{| class="wikitable"
|+2.4 GHz帯
250 ⟶ 254行目:
|{{partial|11bのみ}}
|}
{{colCol-float-break|width=31em29em}}
{| class="wikitable"
|+5 GHz帯
417 ⟶ 421行目:
|
|}
{{colCol-float-break|width=26em}}
{| class="wikitable"
|+6 GHz帯
!チャンネル
!中心周波数 (MHz)
!北米
!欧州
!日本
|-
|1
|5955
|{{ya}}
|{{ya}}
|{{ya}}
|-
|5
|5975
|{{ya}}
|{{ya}}
|{{ya}}
|-
| colspan="5" style="text-align: center" | 中略
|-
|89
|6395
|{{ya}}
|{{ya}}
|{{ya}}
|-
|93
|6415
|{{ya}}
|{{ya}}
|{{ya}}
|-
|97
|6435
|{{ya}}
|
|
|-
|101
|6455
|{{ya}}
|
|
|-
| colspan="5" style="text-align: center" | 中略
|-
|229
|7095
|{{ya}}
|
|
|-
|233
|7115
|{{ya}}
|
|
|}
{{Col-float-break|width=21em}}
{| class="wikitable"
|+60 GHz帯
445 ⟶ 510行目:
|{{ya}}
|}
{{colCol-float-end}}
 
== IEEE802.11のフレームとヘッダ ==
IEEE802.11のフレームは以下の構造になっている。
{| class="wikitable" style="text-align:center;" border="1"
|-
! PLCPプリアンブル !! PLCPヘッダ !! IEEE802.11ヘッダ !! データ !! FCS
|}
 
さらに、上記のIEEE802.11ヘッダの詳細は、以下のようなフィールドで構成される。
{| class="wikitable" style="text-align:center;" border="1"
|-
! フレーム制御 !! Duration/ID !! アドレス1 !! アドレス2 !! アドレス3 !! シーケンス制御 !! アドレス4
|}
 
* フレーム制御のフィールドにはフレームの種類を示す情報などが入る(フレームの種類は以下の3つ)。
** 管理フレーム(認証、関連付け要求、関連付け応答、再関連付け要求など)
** 制御フレーム(送信要求、応答確認など)
** データフレーム
* Duration/IDのフィールドにはフレーム送信完了までの予約時間などの情報が入る。
* 4つのアドレスフィールド(各アドレスフィールドに入る情報は、通信環境によって変わる)。
 
== IEEE 802.11 ==
457 ⟶ 542行目:
 
== IEEE 802.11a ==
1997年に成立したIEEE 802.11規格の無線LANは伝送速度が最大2 Mbpsであり、それを高速化するための標準化が1997年から行われた。2.4 GHz帯ではIEEE 802.11b規格、5 GHz帯ではIEEE 802.11a規格の審議が行われた。11b規格では従来の11規格との互換性が求められての標準化であったが、11a規格は互換性にとらわれることも無く当時の最新技術を用いた物理レイヤ技術の検討が行われ、パケットモード[[直交周波数分割多重方式|OFDM]] (Orthogonal Frequency Division Multiple) 方式による物理レイヤ規格(最大54 Mbps)が1999年に成立した。IEEE 802.11aを使用した実際の商品は[[2002年]]頃に登場した。登場当初、11b (Wi-Fi) と対比する名称として「Wi-Fi 5」という名称が使われることもあった<ref>[http://www.kumikomi.net/article/{{Cite news/2002/05/27_02.php |title=アジレント・テクノロジー,無線LANの相互接続性に関する認定機関を開設] - 2002.5.27_02 |newspaper=Tech Village |date=2002年5月27日 |url=http://www.kumikomi.net/article/news/2002/05/27_02.php}}</ref>。
 
米国では、当初から5 GHz帯で屋内外双方で利用できる5.150 - 5150–5.350 GHzと5.470 - 5470–5.725 GHzが割り当てられた。一方[[日本]]では、当初5.15 - 515–5.25 GHz帯の周波数が、無線LANにも利用可能とはなっていたが、移動体衛星通信システムにも利用されているため、[[電波法]]によって屋外での利用が禁止されている。なお、[[自動車]]や[[列車]]内、[[航空機]]などの乗り物内での利用はこの限りではない<ref>[{{Cite web|和書|url=https://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/others/wlan_outdoor/index.htm 総務省電波利用ホームページ|その他||title=無線LANの屋外利用について] |access- 総務省・date=2020年2月21日 |author=総合通信基盤局電波部基幹・衛星移動通信課基幹通信室 |website=www.tele.soumu.go.jp |work=電波利用ホームページ |publisher=[[総務省]]}}</ref>。その後、5.15 - 515–5.25 GHzに加えて4.9 - 59–5 GHz(屋外用ライセンスバンド)、5.25 - 525–5.35 GHz(屋内用アンライセンスバンド)が日本では追加された。今後は2.4 GHz帯が混雑するにつれてより[[帯域幅]]の広い5 GHz帯への移行が進むものと思われる。
 
なおチャネル配置等に関して、日本が欧米での周波数割り当てと異なる部分について世界的に統合した規格にするため、新たに[[#IEEE 802.11j|IEEE 802.11j]]が規定された。11jのjは "Japan" の頭文字ではなく、アルファベット順で規格名が定められた時に偶然に "j" 番目になったにすぎない。
468 ⟶ 553行目:
 
=== 日本でのチャンネルの変更 ===
IEEE 802.11aに使用されているチャネルの[[中心周波数]]に関しては、従来より日本国内において使用されてきたものから、国際的に標準なものへと変更された<ref>{{PDFlinkCite web|和書|[url=http://it.jeita.or.jp/perinfo/committee/pc/JEITA_5GHzwirelessLANguideline3_100331.pdf |title=「5GHz 帯無線 LAN の周波数変更」に関するガイドライン 第三版] |access-date=2010年12月10日 |date=2010年3月31日 |publisher=一般社団法人電子情報技術産業協会AVC部会 |archive-url=https://web.archive.org/web/20110313002508/http://it.jeita.or.jp/perinfo/committee/pc/JEITA_5GHzwirelessLANguideline3_100331.pdf |archive-date=2011-03-13}}</ref>。変更に際しては、混乱を避けるため、電子機器業界が中心となって識別をしやすくするための記号が制定された。
*; J -: 旧来の日本国内規格
*; W -: 国際標準準拠規格
*; 数字 -: 中心周波数
: (例:“53”は中心周波数が5.3 GHz)
 
制度改正から[[2008年]](平成20年)[[5月]]ごろまでは、経過措置として“J52”(5.15 - 515–5.25 GHzにおけるチャネル配置)、“W52”並びに“W53”(5.15 - 515–5.35 GHzにおけるチャネル配置)の3つの規格の併存が認められ、チャネル変更に対応した無線LAN機器も順次発売され普及し始めている。しかし、規格に対応していても接続できないという事態がおこりうるので注意が必要となっている。
 
PCカードなどのクライアント側はすべての周波数 (J52, W52, W53) に対応できることになっていたが、無線ブロードバンドルータや[[アクセスポイント (無線LAN)|アクセスポイント]]など親機側では、新たにJ52対応の機器を販売することができなくなった。また、旧規格であるJ52にしか対応していない機器の一部では、ファームウェアを書きかえることで、W52に対応させる方法が取られた。ただし、メーカーによっては古い商品でのW52・W53対応のファームウェアを出さず、そのため、J52に対応していない機器とはそのようなアクセスポイントは通信できない。
479 ⟶ 565行目:
W52・W53を利用する場合、チャネルが異なっていれば干渉はない(使用チャネルは4チャネル刻みで指定する)。したがって、最大8個のチャネルが利用可能になり、設置計画の自由度が高くなった(11b/gは最大3個)。
 
使用できるチャネル増加に伴い、同フロアに複数設置できる11aは、企業用途に向いていると思われていた。しかし、増加チャネル部分 (W53) は DFS(Dynamic Frequency Selection: [[動的電波周波数選択]])により[[気象レーダー]]との干渉を避けることが義務付けられており(干渉を検出した場合に回避動作を行う)、場合によっては通信の途絶等が起こり得るため、[[Quality of Service|品質]]や連続稼動性を要求される企業用途では不向きとされている{{誰2|date=2017年1月}}(W52では同様の動作は必須になっていない)。
 
[[2007年]](平成19年)[[1月]]の[[総務省]]省令改正により、"W56" (5.47 - 547–5.725 GHz) が使用可能になった。これによりチャネル数が8から19に大幅に増加した。W56であれば、免許が無くとも屋外で使用する事が出来る。ただし、W56も気象レーダーが使う帯域である為、W53と同等の制約がある。
 
経過措置が終了した[[2008年]](平成20年)[[6月]]以降は、新たに発売されるクライアント機器も“J52”への対応が禁じられ、“W5x”の国際標準準拠規格のみの対応となった。それ以前に発売され現在も販売が継続されている商品はこの限りでない。
 
2019年7月11日に改正総務省省令が公布され、W56に144chが追加となった。これにより140 + 144chの HT40/VHT40(40 MHz 幅)、132 + 136 + 140 + 144chの VHT80(80 MHz 幅)などの利用が可能となった。
 
{| class="wikitable"
492 ⟶ 578行目:
|-
! 2005年5月まで
| J52 || 34, 38, 42, 46 || {{na}} || {{yes2|無し}}
|-
! rowspan="2" | 2005年5月以降
504 ⟶ 590行目:
| W53 || 52, 56, 60, 64 || {{na}} || {{partial|有り}}
|-
| W56 || 100, 104, 108, ... , 140 || {{ya}} || {{partial|有り}}
|-
! rowspan="3" | 2019年7月11日以降
511 ⟶ 597行目:
| W53 || 52, 56, 60, 64 || {{na}} || {{partial|有り}}
|-
| W56 || 100, 104, 108, ... , 144 || {{ya}} || {{partial|有り}}
|}
 
== IEEE 802.11b ==
正式には "IEEE 802.11 High-Rate Direct Sequence" と言う。IEEEの「802委員会」の中にある「ワーキンググループ11」の「タスクグループB」が策定した。2.4 GHzの[[ISMバンド|ISM帯]]と呼ばれる、免許不要で扱える周波数帯域を利用する。1997年 - 1999–1999年にかけて規格審議が行われ、従来のIEEE 802.11規格と[[互換性]]を持たせて伝送速度を2 Mbpsから最大11 Mbpsに拡張した規格が成立した(オプション規定として22 Mbpsのものもある)。技術としては、IEEE 802.11規格の3種類の物理レイヤ規格の中で直接拡散方式(DS方式)をベースにCCK (Complementary Code Keying) 方式を採用することにより高速度化を実現した。
 
11b規格は物理レイヤの規格であり、MACレイヤには従来のIEEE 802.11で規定されているMACレイヤ規格が採用されて製品化されている。1999年に規格が成立する直前に100ドルを切る無線LANカードが発売されたことにより、無線LAN市場が一気にブレイクする起爆剤になった規格である。[[パーソナルコンピュータ|パソコン]]関連として、もっとも初期に普及した[[無線LAN]]規格である。
 
日本国内で利用できるチャネル数は14である。すなわち[[中心周波数]]2.412 GHzの1chから同2.472 GHzの13chまで0.005 GHz (5 MHz) 刻みの1 - 13ch1–13chと、同2,484 MHzの14chの、計14chである。ただし、一つのチャネル幅の規格が22 MHzであるため、干渉なしで通信できる最大チャネル数は4個となる。そして、その場合のチャネル設計は、1ch・6ch (2.437 GHz)・11ch (2.462 GHz)・14chである。しかし、11bでの14ch利用の合法性は日本に限られ、14chに対応しない親機・子機も多い。その場合、干渉なしで通信できる最大チャネル数は、規格上は11g同様の3個になる。しかし、規格より狭いチャネル幅で通信し、1ch・5ch・9ch・13chの計4チャネル同時利用を行える機種も市販されている。
 
== IEEE 802.11g ==
525 ⟶ 611行目:
 
最大通信速度は54 Mbpsであり、IEEE 802.11bの11 Mbpsよりも高速化されている。
それを実現するために 5 GHz帯[[#IEEE 802.11a|IEEE 802.11a]]で確立された物理レイヤ規格である OFDM([[直交周波数分割多重方式]])を用いている。
 
しかし、ISMバンドを利用しているので、他の機器(特に[[電子レンジ]]やコードレスホン、2.4GHz4 GHzを使うワイヤレスマイク、Bluetoothなど)
からの干渉を受ける可能性が高く、IEEE 802.11aに比べて実効速度は落ちる。
 
533 ⟶ 619行目:
従来のIEEE 802.11b規格による通信をする機器が1台でも混在すれば、それに合わせてIEEE 802.11bモードの動作になり,通信速度が大幅に低下してしまう。
 
利用可能なチャネルは、11bの1 - 13ch1–13chと同じ帯域の合計13チャネルである。
各チャネルの中心周波数は5 MHz間隔で設定されているが、1つのチャネルの幅は規格上は20 MHzなので、5ch以上離れていないチャンネルは帯域が重なっているので干渉が発生する。
このため、同時に利用しても全く干渉なく通信が行えるチャンネルの数は3つ以下である。
ただし、規格よりも狭いチャネル幅で通信を行うことで、1ch・5ch・9ch・13chの合計4チャネルの利用ができる機種も販売されている。
 
一部の製品では、802.11nで採用されている[[Multiple Input Multiple Output|MIMO]] (Multiple Input Multiple Output)]]の技術を先行して採用することで 108 Mbpsでの通信を可能にしているが、それは同一メーカー製のMIMO対応機器の間に限られる。
 
108 Mbpsでの通信を可能にしているが、それは同一メーカー製のMIMO対応機器の間に限られる。
== IEEE 802.11i ==
{{see also|Wi-Fi Protected Access|Temporal Key Integrity Protocol|Counter mode with Cipher-block chaining Message authentication code Protocol}}
IEEE 802.11iは、通信規格そのものではなく、無線LANにおけるセキュリティ標準を定める規格である。'''WPA''' (Wi-Fi Protected Access) や'''WPA2'''などもIEEE 802.11iに準拠した規格である。脆弱性が指摘される[[Wired Equivalent Privacy|WEP]]に代わり、標準暗号規格として、WPAでは[[Temporal Key Integrity Protocol|TKIP]](WEPの改良版)を、WPA2では[[Counter mode with Cipher-block chaining Message authentication code Protocol|CCMP]](暗号化アルゴリズムとして[[Advanced Encryption Standard|AES]]を利用)を採用している。
 
== IEEE 802.11j ==
これは[[#IEEE 802.11a|IEEE 802.11a]]を日本向けに修正した規格である。
ただし文字 j はJapanの頭文字を意味するものではなく、IEEE内のプロジェクト名として偶然割り当てられたものである。
 
日本国内でデータ通信用として割当てられた周波数のうちで、IEEE 802.11aが使用する5.2 GHz付近の[[Cバンド]]の周波数は日本では[[衛星通信]]・[[気象レーダー]]や[[地球観測衛星]]で使用しているので、屋外での使用はできず<ref>情報通信審議会{{Cite 情報通信技術分科会 5GHz帯無線アクセスシステム委員会「[web|和書|url=https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/5ghz_musen/pdf/061113_1_1.pdf |title=5GHz帯無線アクセスシステム委員会 作業班検討結果報告]」 |access-date=2021年1月24日 |author=情報通信審議会 情報通信技術分科会 5GHz帯無線アクセスシステム委員会 |date=2006年11月13日 |publisher=[[総務省]]}}</ref>、電波法の一部改正及び周波数の割当によりデータ通信用として新たに割当られた4.9∼59&ndash;5.0GHzの利用(「5GHz帯[[無線アクセス|無線アクセスシステム]]」として、屋外での利用も許可された。ただし届出制による免許を必要とする<ref>「[{{Cite web|和書|url=https://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/system/trunk/wimax/5ghz/ 5GHz|title=5GHz帯無線アクセスシステム]」『 |access-date=2021年1月24日 |author=務省合通信基盤局電波部基幹・衛星移動通信課基幹通信室 |website=www.tele.soumu.go.jp |work=電波利用ホームページ |publisher=[[総務省]]}}</ref>。)に合わせてIEEE 802.11aを修正したものがIEEE 802.11jである。
 
当初、4.4 - 54–5.0 GHzは 5 GHz帯電気通信業務用固定無線システム(テレビ中継など)との共用であったため、[[2005年]][[11月]]から[[2012年]][[11月]]までは地域限定での利用となっていたが<ref>[{{Cite web|和書|url=https://internet.watch.impress.co.jp/www/article/2002/0701/5ghz.htm |title=特集 5GHz帯無線アクセスの屋外利用開放に期待できること/できないこと]」『INTERNET Watch』|access-date=2021年1月24日 |date=2002年7月1日 |website=internet.watch.impress.co.jp |work=INTERNET Watch |publisher=株式会社インプレス}}</ref>、2012年11月までに他の周波数・光回線への移行が完了したため<ref>「[{{Cite web|和書|url=https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban12_02000021.html |title=5GHz帯無線アクセスシステムの無線局の利用拡大に係る告示等改正についての意見募集の結果]」『総務省』 |access-date=2021年1月24日 |date=2012年11月22日 |website=総務省 |work=報道資料 |publisher=[[総務省]] |language=ja}}</ref>、地域制限を撤廃して全国で利用できるようになった。
 
4.9 GHz 帯を利用している他の機器は無いので電波の干渉が少ない。
電波法の規定により、利用局の登録が必要であるが、屋内・屋外のどちらでも利用ができる。
取り付けアンテナにより、屋内での用途に留まらず、屋外の離島間通信のような10 km程度の距離の通信用バックボーンとして[[デジタル・ディバイド]]解消への活用が期待されている。
 
; 諸元
:*; 周波数帯:4900 MHz - 5000 MHz
:: 4900 MHz–5000 MHz
:* チャンネル:4920 MHz / 4940 MHz / 4960 MHz / 4980 MHz の合計4ch
:*; チャンネル間隔:20 MHz / 10 MHz / 5 MHz
:: 4920 MHz / 4940 MHz / 4960 MHz / 4980 MHz の合計4ch
:* 空中線電力:250 mW (23.98 dBm) ※参考 電力デシベル表示 1 mW = 0 dBm
:; チャンネル間隔
:: 20 MHz / 10 MHz / 5 MHz
:; 空中線電力
:: 250 mW (= 23.98 dBm)
:: ※参考 電力デシベル表示 1 mW = 0 dBm
 
広大な工事現場・農場・工場<ref>「導入事例{{Cite [web|和書|url=https://www.fujitsu.com/jp/group/fnets/about/resources/case-studies/2011/zeon.html |title=日本ゼオン株式会社 様]」『 |access-date=2021年1月24日 |website=富士通ネットワークソリューションズ |work=導入事例 |publisher=[[富士通ネットワークソリューションズ]] |language=ja}}</ref>などの構内LANや、離れた施設間を繋ぐLAN回線<ref>「ソリューション{{Cite 導入事例 [web|和書|url=https://www.den-gyo.com/solution/solution03_d_y.html |title=本社と支社間のデータ通信を無線化]」『 |access-date=2021年1月24日 |website=DENGYO 日本電業工作株式会社 |work=ソリューション 導入事例 |publisher=日本電業工作株式会社 |language=ja}}</ref><ref>「ソリューション{{Cite 導入事例 [web|和書|url=https://www.den-gyo.com/solution/solution03_d_r.html |title=放送映像・FM放送局臨時伝送路]」『 |access-date=2021年1月24日 |website=DENGYO 日本電業工作株式会社 |work=ソリューション 導入事例 |publisher=日本電業工作株式会社 |language=ja}}</ref>、自治体<ref>「導入事例{{Cite [web|和書|url=https://www.fujitsu.com/jp/group/fnets/about/resources/case-studies/2015/tadami.html |title=福島県 只見町 様]」『 |access-date=2021年1月24日 |website=富士通ネットワークソリューションズ |work=導入事例 |publisher=[[富士通ネットワークソリューションズ]] |language=ja}}</ref><ref>「[{{Cite web|和書|url=https://riuden.co.jp/case/038-2 |title=恩納村 長距離無線LAN構築]」『 |access-date=2021年1月24日 |website=株式会社リウデン |publisher=株式会社リウデン |language=ja}}</ref>・自治会<ref>「[{{Cite web|和書|url=http://www.toa-inc.jp/pdfs/200futurenetwork.pdf |title=次世代無線ネットワークシステム 5GHz帯無線アクセスシステムのご提案]」『 |access-date=2021年1月24日 |year=2013 |month=2 |website=Toa 東亜株式会社 2013年2月、|publisher=東亜株式会社 |page=13ページ}}</ref>などの自営無線IP通信、ADSL・光回線を引くことが困難な地域で提供されている無線インターネット回線「[[オーレンス#スカイネットV|スカイネットV]]」・「[[宜野座村]]ブロードバンドサービス 宜野座BB」<ref>「[{{Cite web|和書|url=http://www.vill.ginoza.okinawa.jp/lp/ginoza_bb/ |title=沖縄県宜野座村地域限定ブロードバンドサービス]」『 |access-date=2021-01-24 |website=宜野座村 |publisher=沖縄県国頭郡宜野座村 |url-status=dead|url-status-date=2022-11-24|archiveurl=https://web.archive.org/web/20210130220417/http://www.vill.ginoza.okinawa.jp/lp/ginoza_bb/|archivedate=2021-01-30}}</ref>などで使用されている。
 
== IEEE 802.11n (Wi-Fi 4) ==
{{Anchors|IEEE 802.11n|Wi-Fi 4}}
2.4 GHz/5 GHzの周波数帯域を用い、最大伝送速度600 Mbps(40 MHzチャネルボンディング、4ストリーム時)、実効速度で100 Mbps以上の実現に向け策定された規格。
 
IEEE 802.11a/gに比べ、[[搬送波|サブキャリア]]の本数が増え、最大の符号化率も向上した<ref group="注">サブキャリアの本数は52→56(ただしうち4本はパイロット信号用のため、実質的には48→52)に増え、最大の符号化率は3/4→5/6に向上した。これに伴い、最大伝送速度の理論値は (52/48 )× (5/6)/(3/4) = 65/54倍になった。</ref>。またオプションでショート[[ガードインターバル|GI]] (400 ns) が利用できるようになった(IEEE 802.11a/gでは800 ns)<ref group="注">1シンボル当たりのデータ送信時間は 3200 ns のため、このオプションを利用すれば、最大伝送速度の理論値はさらに (3200 + 800) / (3200 + 400) = 20/19 倍になる。</ref>。また「[[Multiple Input Multiple Output|MIMO]] (Multiple Input Multiple Output)」を使用し(MIMOについては[[多元接続]]の項を参照)、複数のアンテナで送受信を行うこと(マルチストリーミング)や通信手順の見直し、複数のチャンネル(通信に用いられるバンド幅)を結合する[[チャネルボンディング]](チャンネル結合)などにより、高速化・安定化を実現する。[[#IEEE 802.11a|IEEE 802.11a]]や[[#IEEE 802.11b|IEEE 802.11b]]、[[#IEEE 802.11g|IEEE 802.11g]]との相互接続も可能。2006年3月にドラフト版1.0、2007年6月にドラフト版2.0が策定され、2009年9月に正式規格として認定された。
 
IEEE 802.11nの規格に適合していても、使用する周波数帯や同時に通信できるチャネル数(空間ストリーム数)、チャネルボンディングへの対応などは、個々の製品によって異なる。よってIEEE 802.11n対応の製品であっても最大通信速度は製品によって異なる上に、表記されている最大通信速度で利用できるかどうかも、製品の組み合わせに依存する。USB端子に接続する小型[[ドングル]]型の製品や、宿泊先のホテルで使用するために携帯性を重視した製品などでは、150 Mbps程度の速度までの製品が多い。
584 ⟶ 679行目:
([[変調方式]] [[直角位相振幅変調|64QAM]], 符号化率 5/6, [[ガードインターバル|GI]] 400 (800) nsの時)
 
日本国内においては電波法上の制限により当初の対応製品では20 MHzのバンド幅(1つのチャンネル)しか利用できなかったが、[[2007年]](平成19年)[[6月]]には電波法の一部改正が施行され、無線通信にて同時に使用できるバンド幅が従来の20 MHzから40 MHzに引き上げられた<ref>[http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070629/276222/{{Cite news |title=総務省、無線LANを高速化するために電波法を改正] -|newspaper=日経クロステック(xTECH) [[ITpro]](2007|date=2007年6月29日 2013年|url=https://xtech.nikkei.com/it/article/NEWS/20070629/276222/ |access-date=2022-11月15日閲覧。-24 |language=ja |website=[[ITpro]]}}</ref>。これによりチャネルボンディング(デュアルチャネル、ワイドチャネルなどの表記もある)が可能となり、最大伝送速度の理論値は従来の144 Mbpsから300 Mbpsに増えた。ただし、2.4 GHz帯でチャネルボンディングを利用すると、近隣の無線LAN機器の干渉を受けずに利用出来るチャンネルが2つだけになってしまい<ref>[http{{Cite web|和書|url=https://ascii.jp/elem/000/000/489/489564/index-3.html 今が買い時! IEEE802.11n対応無線LAN機器 ― 第1回/ |title=IEEE802.11nはどうして一気に300Mbpsの速度になったの?] |access-date=2013年11月15日 |date=2010年1月14日 |website=ASCII.jp |work=今が買い時! IEEE802.11n対応無線LAN機器: 第1回 |publisher=[[ASCII.jp]](2010年1月14日) 2013年11月15日閲覧。|page=(3/4) |language=ja}}</ref>、他者の設置した無線LANや、自らの設置する別の無線LANと電波が干渉しやすくなって却ってスループットが低下することがあるので注意を要する。
 
[[2012年]](平成24年)現在、発売済の製品でチャネルボンディングのみを使用する製品は理論値150 Mbps (MCS index 7)、チャネルボンディングとMIMOの双方を使用する製品は理論値450 Mbps (MCS index 23) である<ref>{{Cite web |url=https://www.pro.logitec.co.jp/pro/g/gLAN-WH450NGR/ |title=LAN-WH450N/GR |access-date=2012年1月5日 |website=ロジテックダイレクト |publisher=ロジテックINAソリューションズ株式会社 |archive-url=https://web.archive.org/web/20120104210740/http://www.pro.logitec.co.jp/pro/g/gLAN-WH450NGR/ |archive-date=2012-01-04}}</ref><ref>[http{{Cite web|和書|url=https://internet.watch.impress.co.jp/docs/special/20100301_350593350593.html |title=IEEE 802.11nでPCも家電もゲームもおまかせ! 高速&お手軽な最新無線LANルーターに買い換えよう] INTERNET Watch |access-date=2010年310110 |author=清水 理史 |date=2010-03-01 |website=INTERNET Watch |publisher=株式会社インプレス |language=ja}}</ref><ref group="注">[[:en:IEEE 802.11n-2009|IEEE 802.11n-2009]](英語版)を参照</ref><ref group="注">[[2011年]](平成23年)現在、最大伝送速度が300 Mbpsの無線LANルーターは「11n準拠」、150 Mbpsの無線LANルーターは「n (11n) テクノロジー対応」としてそれぞれ販売されている。</ref>。
 
IEEE 802.11n は、正式規格策定完了前に市場投入された802.11nドラフト版2.0準拠製品と同じ周波数帯で基本機能の変更なく相互接続性を確保する。ドラフト認定された機器は最終的な認定プログラムの中核となる要件を満たすため、再テストを受けることなく「802.11n認定機器」として扱える<ref>{{Cite web |url=http://www.wi-fi.org/pressroom_overview.php?newsid=835 |title=Wi-Fi Alliance® affirms core Wi-Fi CERTIFIED™ 802.11n program tests will not change for September update |access-date=2009年8月11日 |date=23 July 2009 |website=www.wi-fi.org |work=Press |publisher=Wi-Fi Alliance |archive-url=https://web.archive.org/web/20090728221352/http://www.wi-fi.org/pressroom_overview.php?newsid=835 |archive-date=2009-07-28}}</ref>。
 
2012年頃から無線LAN機器の激増により、2.4 GHz帯で電波の干渉による速度低下が特に都市部で多く発生するようになった<ref>{{citeCite news |title=これでいいのか“汚れた”無線LAN |date=2012-05-02 |author=金子寛人 |url=http://pc.nikkeibp.co.jp/article/trend/20120329/1044715/ |titleaccess-date=これでいいのか“汚れた”無線LAN2012-12-18 |publisher=[[日経BP]] PC Online|author=金子寛人|date=2012-05-02|accessdate=2012-12-18}}</ref>。まだ普及が少ない5 GHz帯では比較的安定した通信が可能である。大手通信キャリアなどによる公衆無線LANの5 GHz対応が進んでいる。
 
なお、市販の無線LAN機器が5 GHzに対応しているかどうか不明な場合、11'''a'''/b/g/n対応機器と記されていれば5 GHz対応、11b/g/nならば2.4 GHzのみ対応というように見分けることが出来る。
 
== IEEE 802.11i11p ==
2012年に車両間通信のために策定された<ref>{{Cite web |url=http://www.de-pro.co.jp/2016/11/22/8959/ |title=IEEE 802.11p |access-date=2017年5月18日 |last=depro-user |publisher=株式会社デプロ |language=ja}}</ref>。IEEE 802.11pは、IEEE 802.11aを基に、[[高度道路交通システム]] (ITS: Intelligent Transport System) の路車間 (V2I: Vehicle-to-Infrastructure)、車車間 (V2V: Vehicle-to-Vehicle) 通信に対応するように機能を強化したもので、米国のITS計画を起源としており、米国では、[[物理層]]と[[MAC層]]のIEEE 802.11pと上位層のIEEE 1609を合わせて、WAVE (Wireless Access in Vehicular Environments) と称されており、欧州でも、WAVEと同様の路車間、車車間通信を目的とした5.9 GHz帯の仕様の開発が進行中で、日本では、5.8 GHz帯のARIB STD-T75という規格を推進している<ref>{{Cite book |和書 |author=公益社団法人自動車技術会 |author-link=自動車技術会 |title=ITSの標準化 2015 |url=http://www.jsae.or.jp/01info/its/2015_bro_j.pdf |format=PDF |year=2015 |month=9 |access-date=2017年5月18日 |issn=2189-5643}}</ref><ref>{{Cite news |title=WIRELESS JAPAN 2006 – 携帯、無線LAN関係規格の開発・標準化動向 2 802.11aベースで車同士の通信を行うIEEE802.11p |newspaper=マイナビニュース |url=http://news.mynavi.jp/articles/2006/07/20/wj1/001.html |access-date=2017年5月18日}}{{リンク切れ|date=2022年11月}}</ref>。
{{see also|Wi-Fi Protected Access|Temporal Key Integrity Protocol|Counter mode with Cipher-block chaining Message authentication code Protocol}}
 
IEEE 802.11iは、通信規格そのものではなく、無線LANにおけるセキュリティ標準を定める規格である。'''WPA''' (Wi-Fi Protected Access) や'''WPA2'''などもIEEE 802.11iに準拠した規格である。脆弱性が指摘される[[Wired Equivalent Privacy|WEP]]に代わり、標準暗号規格として、WPAでは[[Temporal Key Integrity Protocol|TKIP]](WEPの改良版)を、WPA2では[[Counter mode with Cipher-block chaining Message authentication code Protocol|CCMP]](暗号化アルゴリズムとして[[Advanced Encryption Standard|AES]]を利用)を採用している。
== IEEE 802.11ac (Wi-Fi 5) ==
{{Anchors|Wi-Fi 5}}
 
=== 802.11vht ===
通称802.11vht (802.11 very high throughput)、ギガビットWi-Fiとも呼ばれる第5世代の無線LAN規格も研究・開発が行われている。マルチリンク技術を実装し、デュアルリンク接続で1 Gbps以上を実現、シングルリンク接続でも実効速度500 Mbps以上の達成を目標にしている<ref>[http{{Cite web|和書|url=https://www.atmarkit.itmedia.co.jp/ait/articles/1303/06/news008.html 解剖! ギガビット無線LAN(1):11n|title=11nの10倍以上! 次世代無線LANの802.11acとは?] |access- [[@IT]](2013date=201303月11月15 |date=2013年11031511閲覧。 |website=@IT |work=解剖! ギガビット無線LAN(1) |publisher=アイティメディア株式会社 |language=ja}}</ref>。世界各国で研究が本格化しており、日本の[[情報通信研究機構|NICT]](情報通信研究機構)では、2008年には60 GHz帯を使って3 Gbpsもの高速な無線LANシステムの開発に成功している<ref>[http{{Cite web|和書|url=https://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/11/04/21409.html |title=60GHz帯を使って最大3Gbps、NICTらが超高速無線LANシステム] |access- [[INTERNET Watch]](2008date=2013年11月415 2013|author=永沢 茂 |date=2008年11月154閲覧。 |website=[[INTERNET Watch]] |publisher=[[インプレス]]}}</ref>。
 
既に標準規格として制定されたものではIEEE 802.11acとIEEE 802.11adがある。
 
=== IEEE 802.11ac (Wi-Fi 5) ===
IEEE 802.11acはギガビットスループットをIEEE 802.11aやIEEE 802.11nと同じ5 GHz帯で提供することが規定されている。2.4 GHzは利用しない。
 
80 MHzチャネルボンディング(必須)<ref group="注">40 MHzチャンネルボンディング時の802.11nに比べ、データ信号用サブキャリアが108→234本に増えるため、最大伝送速度は234/108 = 13/6倍になる。</ref>、160 MHzチャネルボンディング、80 MHz + 80 MHzチャネルボンディング、256QAM<ref group="注">64QAMに比べ、1シンボル当たりのビット数が6bit→8bitに増えるため、最大伝送速度は8/6 = 4/3倍になる。</ref>, MU-MIMO(以上オプション)を採用することで伝送速度をさらに高速化させている。
 
周波数に5 GHz帯を使うため、11a同様、電子レンジの影響を受けにくい利点があるが、信号強度の空間伝搬損失は通信に使用する周波数の2乗に比例するため、2.4 GHz帯の信号ほど遠くまで伝搬しない。
 
また、IEEE 802.11nに比べ仕様が簡素化された。全てのフレームはA-MPDU形式となった。MCS setはストリーム数の情報を分離することで0-76から0-9に削減された。[[ビームフォーミング]]方式も簡素化された。Greenfield形式フレームは廃止された。
 
最大伝送速度は、Wave1(第1世代)で1.3 Gbps、Wave2(第2世代)で6.9 Gbps(160 MHzチャネルボンディング、8ストリーム時)となる。これまでのIEEE 802.11a/nと同じ周波数帯を使用し、[[後方互換性]]があるため既存の無線LANからも移行(アップグレード)しやすい。またMIMOを発展させた[[MIMO#マルチユーザーMIMO|MU-MIMO]]の技術を用いて、複数のクライアントが存在する{{仮リンク|サービスセット|en|Service set (802.11 network)}}においても、各クライアントのスループットが低下しにくくなった。ただし、端末側にも2本以上のアンテナを搭載する必要があり端末数スペースが必要となるため、市場に占める対応機器は2015年現在、一部の高機能機種に限られている。
627 ⟶ 724行目:
! 3x3 MIMO
! 4x4 MIMO
! 8x8 MIMO (MU-MIMO<ref group="注">1ユーザーに対しては最大4ストリームのため、1つの端末に対する最大速度は4x4 MIMOと同等。下記数値は親機側の通信速度合計の理論値。</ref>)
|-
! 80&nbsp;MHz<br />(必須)
| 433.3 || 866.7 || 1300 || style="color:#00F;" | 1733 || style="color:#00F;" | 3467
|-
! 160&nbsp;MHz<br />(オプション)
| style="color:#00F;" | 866.7 || style="color:#00F;" | 1733 || style="color:#00F;" | 2600 || style="color:#00F;" | 3467 || style="color:#00F;" | 6933
|}
 
{| class="wikitable"
|-
|+MCSインデックスとデータレート
! rowspan="3" |MCS
 
インデックス
! rowspan="3" |変調方式
! rowspan="3" |誤り
 
訂正率
! colspan="8" |データレート (Mbps)
|-
! colspan="2" |20&nbsp;MHz幅
! rowspan="3" | MCSインデックス
! rowspancolspan="32" | 変調方式40&nbsp;MHz幅
! rowspancolspan="32" | 誤り訂正率80&nbsp;MHz幅
! colspan="82" | データレート (Mbps)160&nbsp;MHz幅
|-
!800&nbsp;ns {{abbr|GI|ガードインターバル}}
! colspan="2" | 20&nbsp;MHz幅
! colspan="2" | 40400&nbsp;MHz幅ns GI
! colspan="2" | 80800&nbsp;MHz幅ns GI
! colspan="2" | 160400&nbsp;MHz幅ns GI
!800&nbsp;ns GI
!400&nbsp;ns GI
!800&nbsp;ns GI
!400&nbsp;ns GI
|-
|0
! 800&nbsp;ns {{abbr|GI|ガードインターバル}}!! 400&nbsp;ns GI
|BPSK
! 800&nbsp;ns GI !! 400&nbsp;ns GI
| rowspan="2" |1/2
! 800&nbsp;ns GI !! 400&nbsp;ns GI
|6.5
! 800&nbsp;ns GI !! 400&nbsp;ns GI
|7.2
|13.5
|15
|29.3
|32.5
|58.5
|65
|-
|1
|0 ||BPSK ||1/2 ||6.5 ||7.2 ||13.5 ||15 ||29.3 ||32.5 ||58.5 ||65
| rowspan="2" |QPSK
|13
|14.4
|27
|30
|58.5
|65
|117
|130
|-
|2
|1 ||QPSK ||1/2 ||13 ||14.4 ||27 ||30 ||58.5 ||65 ||117 ||130
|3/4
|19.5
|21.7
|40.5
|45
|87.8
|97.5
|175.5
|195
|-
|3
|2 ||QPSK ||3/4 ||19.5 ||21.7 ||40.5 ||45 ||87.8 ||97.5 ||175.5 ||195
| rowspan="2" |16-QAM
|1/2
|26
|28.9
|54
|60
|117
|130
|234
|260
|-
|4
|3 ||16-QAM ||1/2 ||26 ||28.9 ||54 ||60 ||117 ||130 ||234 ||260
|3/4
|39
|43.3
|81
|90
|175.5
|195
|351
|390
|-
|5
|4 ||16-QAM ||3/4 ||39 ||43.3 ||81 ||90 ||175.5 ||195 ||351 ||390
| rowspan="3" |64-QAM
|2/3
|52
|57.8
|108
|120
|234
|260
|468
|520
|-
|6
|5 ||64-QAM ||2/3 ||52 ||57.8 ||108 ||120 ||234 ||260 ||468 ||520
|3/4
|58.5
|65
|121.5
|135
|263.3
|292.5
|526.5
|585
|-
|7
|6 ||64-QAM ||3/4 ||58.5 ||65 ||121.5 ||135 ||263.3 ||292.5 ||526.5 ||585
|5/6
|65
|72.2
|135
|150
|292.5
|325
|585
|650
|-
|8
|7 ||64-QAM ||5/6 ||65 ||72.2 ||135 ||150 ||292.5 ||325 ||585 ||650
| rowspan="2" |256-QAM
|3/4
|78
|86.7
|162
|180
|351
|390
|702
|780
|-
|9
|8 ||256-QAM ||3/4 ||78 ||86.7 ||162 ||180 ||351 ||390 ||702 ||780
|-5/6
| colspan="2" |N/A
|9 ||256-QAM ||5/6 ||{{n/a}} ||{{n/a}} ||180 ||200 ||390 ||433.3 ||780 ||866.7
|180
|200
|390
|433.3
|780
|866.7
|}
 
680 ⟶ 875行目:
2012年12月にIEEE 802.11ad-2012として仕様が確定された。また2013年に、WiGig規格に準拠した相互認証プログラムをWi-Fi Allianceが実施することが発表され、2016年提供開始された。
 
60 GHzという高い周波数帯を使うため、壁や障害物のない、10 m程度の近距離でのギガビット通信を想定している<ref>[http://pc.nikkeibp.co.jp/article/basic/20120517/1049766/{{Cite <<図解で分かる無線通信>>web|和書|title=【IEEE 802.11ad/WiGig】60GHz帯を使い近距離の機器間で高速通信] -|author=松元 英樹 PC|url=https://xtech.nikkei.com/it/pc/article/basic/20120517/1049766/ |work=図解で分かる無線通信 |website=日経クロステック(xTECH) Online(2012|date=2012年8月6日 |access-date=2013年11月15日閲覧。 |language=ja }}</ref>。
 
また、60 GHz帯は空気中の酸素と共振するため、伝搬減衰が大きい。
 
PHY層はシングルキャリアは必須 (4620 Mbps)、OFDMはオプション (6.7566756.75 Mbps) である。最大伝送速度は6.8 Gbps。
 
チャネル幅は2.16 GHz幅。57 GHz - 66GHz–66 GHzを利用。利用可能チャネルと中心周波数は以下の通り。
* CH1: 58.32 GHz
* CH2: 60.48 GHz
* CH3: 62.64 GHz
* CH4: 64.8 GHz
 
{| class="wikitable"
!MCS
699 ⟶ 895行目:
|-
|1
| rowspan="12" |シングルキャリア
| rowspan="5" |π/2-BPSK
| rowspan="2" |1/2
|385
|-
|2
|シングルキャリア
|1/2
|770
|-
|3
|シングルキャリア
|5/8
|962.5
|-
|4
|シングルキャリア
|3/4
|1155
|-
|5
|シングルキャリア
|13/16
|1251.25
|-
|6
|シングルキャリア
| rowspan="4" |π/2-QPSK
|1/2
731 ⟶ 921行目:
|-
|7
|シングルキャリア
|5/8
|1925
|-
|8
|シングルキャリア
|3/4
|2310
|-
|9
|シングルキャリア
|13/16
|2502.5
|-
|10
|シングルキャリア
| rowspan="3" |π/2-16QAM
|1/2
752 ⟶ 938行目:
|-
|11
|シングルキャリア
|5/8
|3850
|-
|12
|シングルキャリア
|3/4
|4620
781 ⟶ 965行目:
PHYはIEEE 802.11acと同様にOFDMを使用。VHF/UHF帯では建物の壁面等による伝搬損失が、Wi-Fiに使われる2.4 GHz/5 GHz帯よりも小さいため、電波の有効到達範囲は拡がる事になる。
 
802.11afの規格仕様は以下の通りである<ref>http://iwparchives.jp/files/pdf/iwp2014/iwp2014{{Cite book |和書| |title=インターネット白書2013-ch04-03-p201.pdf</ref>2014 |author=人見 高史
|chapter=4-3 ネットワーク Wi-Fi の最新技術動向 |chapter-url=http://iwparchives.jp/files/pdf/iwp2014/iwp2014-ch04-03-p201.pdf |accessdate=2016年10月2日}}</ref>:
* OFDM チャネル帯域幅6/7/8 MHz
; OFDM
* 伝送速度 約20 - 30 Mbps
; チャネル帯域幅 : 6/7/8 MHz
* 伝送距離 約100 - 500 m
; 伝送速度 : 約20–30 Mbps
日本では、VHFについてはアナログテレビの停波のあとテレビ局と国との旧アナログテレビ用帯域返還の交渉が決裂してその多くが再利用の目処が立たないままとなっているため、テレビのほぼ1チャンネル分やそれ以上の帯域が全国的に無線LAN専用に割り当てられる可能性も一応ありうる一方、UHFについては、各物理チャンネルの境界付近にある約1セグメント(つまりテレビ1チャンネルの14分の一)相当の帯域のガードバンドの全部もしくは一部が利用可能になる可能性は期待できるものの、それ以外の周波数については、米国など大陸国と比較して、山地の入り組んだ狭い地域にテレビ放送塔や中継局が密集しているため、特に都市部でTVホワイトスペースの空きチャンネルは少なく<ref>なお「[[スピルオーバー]]潰し」として知られる電波割り当ての非明示的な方針が何らかの理由により変更されたり、4Kや8K画質の地上波放送が全国レベルで実施されると、地方部でも同様に空きチャネルが極めて少なくなる可能性もある</ref>、より困難な条件になることが想定されている。
; 伝送距離 : 約100–500 m
 
== IEEE 802.11ax (Wi-Fi 6)11ah ==
{{See also|en:IEEE 802.11ah}}
サブギガヘルツWiFi。対応製品の呼称は '''Wi-Fi HaLow'''(ヘイロー)。
 
920 MHz 帯を利用。帯域幅は 1 MHz 幅と 2 MHz 幅が必須。
 
占有帯幅 1 MHz MCS10 で、データレート 150 Kbps。想定伝送距離 1 km まで。
 
{| class="wikitable"
!
!860
!870
!890
!900
!910
!920
!930
|-
!日本
|
|
|
|
| colspan="3" |916.5–927.5 MHz
|-
!米国
|
|
|
| colspan="4" |902–928 MHz
|-
!韓国
|
|
|
|
| colspan="2" |917–923.5 MHz
|
|-
!欧州
| colspan="2" |868–868.6 MHz
|
|
|
|
|
|}
 
== IEEE 802.11ax (Wi-Fi 6 / Wi-Fi 6E) ==
{{Anchors|IEEE 802.11ax|Wi-Fi 6|Wi-Fi 6E}}
{{See also|en:IEEE 802.11ax}}
IEEE 802.11ax<ref>[{{Cite web |url=https://www.wi-fi.org/news-events/newsroom/wi-fi-alliance-introduces-wi-fi-6 |title=Wi-Fi Alliance® introduces Wi-Fi 6] |access-date=2020年2月19日 |website=www.wi-fi.org |publisher=Wi-Fi Alliance}}</ref><ref>[{{Cite web |url=https://www.cnet.com/newstech/mobile/wi-fi-alliance-simplifying-802-11-wireless-network-tech-names/ |title=Here come Wi-Fi 4, 5 and 6 in plan to simplify 802.11 networking names |access-date=2020年2月19日 |last=Shankland |first=Stephen |website=CNET |publisher=[[CNET]] |language=en}}</ref>とは高効率ワイヤレスを目指した、Wi-Fi仕様標準の1つであり <ref>{{Cite web |url=https://www.zdnet.com/article/next-generation-802-11ax-wi-fi-dense-fast-delayed/ |title=Next-generation 802.11ax wi-fi: Dense, fast, delayed |access-date=2019-02-20 |author=Goodwins |first=Rupert |website=ZDNet |language=en|accessdate=2019-02-20}}</ref> <ref>{{Cite news|url=https://www.networkworld.com/article/3048196/mobile-wireless/faq-802-11ax-wi-fi.html |title=FAQ: What you need to know about 802.11ax, the next big Wi-Fi standard |newspaper=Network World |last=Gold |first=Jon |newspaperurl=Networkhttps://www.networkworld.com/article/3048196/mobile-wireless/faq-802-11ax-wi-fi.html World|accessdateaccess-date=2017-08-22 |language=en}}</ref>、[[Wi-Fi Alliance]]により'''Wi-Fi 6'''として認定されている。
 
周波数に5 GHzまたは6 GHz帯を使う場合、11a同様、電子レンジの影響を受けにくい利点があるが、信号強度の空間伝搬損失は通信に使用する周波数の2乗に比例するため、2.4 GHz帯の信号ほど遠くまで伝搬しない。
 
[[コンシューマー・エレクトロニクス・ショー|CES]] 2018で[[コンシューマー・エレクトロニクス・ショー|発表]]されたIEEE 802.11ax対応デバイスは、合計11 Gbit/sの理論データレートをサポートしている<ref name="Dignan 2018">{{Cite news |title=D-Link, Asus tout 802.11ax Wi-Fi routers, but you'll have to wait until later in 2018 |date=January 8, 2018 <!---- 14:49 GMT--> |last=Dignan |first=Larry |url=https://www.zdnet.com/article/d-link-asus-tout-802-11ax-wi-fi-routers-but-youll-have-to-wait-until-later-in-2018/ |access-date=14 April 2018 |publisher=zdnet}}</ref>。高密度利用環境下の場合、従来規格[[IEEE 802.11ac]]に対して、平均スループットは4倍、遅延は75%低下することが報告されている<ref name="Goodwins">{{Cite web |url=https://www.zdnet.com/article/next-generation-802-11ax-wi-fi-dense-fast-delayed/ |title=Next-generation 802.11ax wi-fi: Dense, fast, delayed |access-date=2019-02-20 |author=Goodwins |first=Rupert |website=ZDNet |language=en}}</ref>。
 
周波数のより効率的な利用のため、IEEE 802.11axでは、[[コンシューマー・エレクトロニ直交周波数分割多元接続|直交周波数分割多重ア・ショー|CES]] 2018で(OFDMA)、[[コンシューマー・エレクトロニクス・ショー直角位相振幅変調|発表1024-QAM]]変調、干渉を回避するため電力制御方式が導入されたIEEE 802.11ax対応デバイ。また、[[MIMO]]および[[MU-MIMO]]により、は、合計11 Gbit/sの理論データレートをサポプッが従来規格よりも向上ている<ref name="Dignan 2018">{{Cite news|last=Dignan|first=Larry|title=D-Link, Asus tout[[IEEE 802.11ax Wi-Fi routers, but you'll have to wait until later in 201811ah|url=https://www.zdnet.com/article/d-link-asus-tout-802-11ax-wi-fi-routers-but-youll-have-to-wait-until-later-in-2018/|accessdate=14Target AprilWake 2018|publisher=zdnet|date=January 8, 2018 <!---- 14:49 GMT-->}}</ref>。高密度利用環境下Time]]場合導入による消費電力性能の向上や従来規格[[IEEEWi-Fi 802.11acProtected Access|IEEE 802.11acWPA3]]の採用対して、平均スループットは4倍、遅延は75%低下すことセキュリティの向上報告さ図られている<ref name="GoodwinsGoodwins2">{{Cite web |url=https://www.zdnet.com/article/next-generation-802-11ax-wi-fi-dense-fast-delayed/ |title=Next-generation 802.11ax wi-fi: Dense, fast, delayed |access-date=2019-02-20 |author=Goodwins |first=Rupert |website=ZDNet |language=en|accessdate=2019-02-20}}</ref>。
 
2020年には2.4GHz帯・5GHz帯に加え6GHz帯も利用する'''Wi-Fi 6E'''が発表された<ref>{{Cite web |url=https://www.wi-fi.org/news-events/newsroom/wi-fi-alliance-brings-wi-fi-6-into-6-ghz |title=Wi-Fi Alliance® brings Wi-Fi 6 into 6 GHz |access-date=2022-08-09 |website=www.wi-fi.org |publisher=Wi-Fi Alliance}}</ref>。
周波数のより効率的な利用のため、IEEE 802.11axでは、[[直交周波数分割多元接続|直交周波数分割多重アクセス]] (OFDMA)、[[直角位相振幅変調|1024-QAM]]変調、干渉を回避するため電力制御方式が導入された。また、[[MIMO]]および[[MU-MIMO]]により、スループットが従来規格よりも向上し、 [[IEEE 802.11ah|Target Wake Time]]の導入による消費電力性能の向上や、[[Wi-Fi Protected Access|WPA3]]の採用によるセキュリティの向上が図られている<ref name="Goodwins2">{{Cite web|url=https://www.zdnet.com/article/next-generation-802-11ax-wi-fi-dense-fast-delayed/|title=Next-generation 802.11ax wi-fi: Dense, fast, delayed|author=Goodwins|first=Rupert|website=ZDNet|language=en|accessdate=2019-02-20}}</ref>。
 
{| class="wikitable"
817 ⟶ 1,055行目:
|0
|BPSK
| rowspan="2" |1/2
|8
|8.6
828 ⟶ 1,066行目:
|-
|1
| rowspan="2" |QPSK
|1/2
|16
|17.2
840 ⟶ 1,077行目:
|-
|2
|QPSK
|3/4
|24
852 ⟶ 1,088行目:
|-
|3
| rowspan="2" |16-QAM
|1/2
|33
864 ⟶ 1,100行目:
|-
|4
|16-QAM
|3/4
|49
876 ⟶ 1,111行目:
|-
|5
| rowspan="3" |64-QAM
|2/3
|65
888 ⟶ 1,123行目:
|-
|6
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900 ⟶ 1,134行目:
|-
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|-
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|3/4
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|-
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936 ⟶ 1,168行目:
|-
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|3/4
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948 ⟶ 1,180行目:
|-
|11
|1024-QAM
|5/6
|135
961 ⟶ 1,192行目:
 
=== 802.11acとの違い ===
IEEE 802.11acとの比較点は<ref>{{Cite web |url=https://www.ni.com/en-us/innovations/white-papers/16/introduction-to-802-11ax-high-efficiency-wireless.html |title=Introduction to 802.11ax High-Efficiency Wireless |access-date=2016年10月1日 |date=10 Nov 2022 |website=NI |work=ホワイトペーパー |publisher=[[ナショナルインスツルメンツ]] |language=en}}</ref>
IEEE 802.11acとの比較点は<ref>http://www.ni.com/white-paper/53150/ja/</ref>
 
* サブキャリア間隔は11acの4分の1
968 ⟶ 1,199行目:
{| class="wikitable"
!特徴
![[802.11ac]]
!802.11ax
|-
1,009 ⟶ 1,240行目:
|}
 
== IEEE 802.11ah11be (Wi-Fi 7) ==
{{Anchors|IEEE 802.11be|Wi-Fi 7}}
サブギガヘルツWiFi。対応製品の呼称は'''Wi-Fi HaLow'''(ヘイロー)。
{{See|IEEE 802.11be}}
 
== IEEE 802.11bn (Wi-Fi 8) ==
920 MHz帯を利用。帯域幅は1 MHz幅と2 MHz幅が必須。
{{Anchors|IEEE 802.11be|Wi-Fi 8}}
{{See|IEEE 802.11bn}}
 
== 脚注 ==
占有帯幅1 MHz MCS10で、データレート150 Kbps。想定伝送距離1 kmまで。
{{脚注ヘルプ}}
 
=== 注釈 ===
{| class="wikitable"
{{Notelist2}}
!
!860
!870
!890
!900
!910
!920
!930
|-
!日本
|
|
|
|
| colspan="3" |916.5 - 927.5 MHz
|-
!米国
|
|
|
| colspan="4" |902 - 928 MHz
|-
!韓国
|
|
|
|
| colspan="2" |917 - 923.5 MHz
|
|-
!欧州
| colspan="2" |868 - 868.6 MHz
|
|
|
|
|
|}
 
=== IEEE 802.11be出典 ===
{{See|IEEE_802.11be}}
 
== IEEE 802.11p ==
2012年に車両間通信のために策定された<ref>{{citation|title=IEEE 802.11p |url=http://www.de-pro.co.jp/2016/11/22/8959/ |format=}}</ref>。IEEE 802.11pは、IEEE 802.11aを基に、[[高度道路交通システム]] (ITS: Intelligent Transport System) の路車間 (V2I: Vehicle-to-Infrastructure)、車車間 (V2V: Vehicle-to-Vehicle) 通信に対応するように機能を強化したもので、米国のITS計画を起源としており、米国では、[[物理層]]と[[MAC層]]のIEEE 802.11pと上位層のIEEE 1609を合わせて、WAVE (Wireless Access in Vehicular Environments) と称されており、欧州でも、WAVEと同様の路車間、車車間通信を目的とした5.9 GHz帯の仕様の開発が進行中で、日本では、5.8 GHz帯のARIB STD-T75という規格を推進している<ref>{{citation|title=ITSの標準化 2015 |url=http://www.jsae.or.jp/01info/its/2015_bro_j.pdf |format=PDF}}</ref><ref>{{citation|title=WIRELESS JAPAN 2006 – 携帯、無線LAN関係規格の開発・標準化動向 2 802.11aベースで車同士の通信を行うIEEE802.11p |url=http://news.mynavi.jp/articles/2006/07/20/wj1/001.html |format=}}</ref>。
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}
 
1,078 ⟶ 1,269行目:
 
{{IEEE standards}}
{{Internet access}}
{{Telecommunications}}
 
{{Normdaten}}