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{{Redirect|ファイブ・アイズ|映画|ファイブ・アイズ (映画)}}
{{Expand English|UKUSA協定 Agreement|date=1946年3月5日2023-7-15}}
{{Infobox geopolitical organization
|name = {{ruby|UKUSA協定|ユークーサきょうてい}}
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== 協定締結組織==
共通点は、[[イギリス帝国]]の植民地を発祥とする[[アングロサクソン]]諸国の機関であること(アメリカ以外は現在も[[イギリス連邦|英連邦]]構成国)。
 
'''ファイブ・アイズ '''とも呼ばれる。
 
* {{flagicon|USA}} [[アメリカ合衆国|アメリカ]] - [[アメリカ国家安全保障局|国家安全保障局]] (NSA){{Sfn|バムフォード|2003|loc=10章}}
* {{flagicon|CAN}} [[カナダ]] - {{仮リンク|カナダ通信保安局|en|Communications Security Establishment}} (CSE){{Sfn|バムフォード|2003|loc=10章}}
* {{flagicon|GBR}} [[イギリス]] - [[政府通信本部]] (GCHQ){{Sfn|バムフォード|2003|loc=10章}}
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* {{flagicon|NZL}} [[ニュージーランド]] - [[政府通信保安局]] (GCSB){{Sfn|バムフォード|2003|loc=10章}}
 
さらに2018年初めからは、[[日本]][[フランス]][[ドイツ]]の3ヶ国が[[中華人民共和国|中国]]のサイバー空間における活動を念頭に会合を開き、ファイブアイズと3ヶ国の連携で情報共有の新たな枠組みが作られた<ref>{{Cite web|和書|date=2019-02-04 |url=https://mainichi.jp/articles/20190203/k00/00m/010/166000c |title=米英など5カ国「ファイブアイズ」、日独仏と連携 サイバー攻撃、中国の機密情報共有 |publisher=毎日新聞 |accessdate=2020-08-02}}</ref>。2020年には、日本、フランス、[[大韓民国|韓国]]が参加した枠組みも発足した<ref>{{Cite web|和書|date=2019-07-29 |url=https://web.archive.org/web/20201120031405/https://this.kiji.is/594137181824140385 |title=対北朝鮮、機密共有は8カ国に |publisher=共同通信社 |accessdate=2020-08-02}}</ref>。
 
*その他、連携国など
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== 歴史 ==
[[第二次世界大戦]]中、[[アメリカ陸軍]][[アメリカ海軍]]それぞれの暗号部(のち1952年に「軍保安局」ことAFSAを経てNSA)とイギリスの政府暗号学校(GC&CS、現在の[[政府通信本部]])は、共同で[[ドイツ]]の暗号機[[エニグマ (暗号機)|エニグマ]]を解読した{{Sfn|バムフォード|2003|loc=2章}}。この協力関係は1940年6月に始まった。この年、[[在アメリカ合衆国イギリス大使|駐米イギリス大使]]の[[:en:Philip Kerr, 11th Marquess of Lothian|フィリップ・ヘンリー・カー]](11代[[ロジアン侯爵]])は国務省を通じて[[アメリカ合衆国旧陸軍省|アメリカ旧陸軍省]]に対して、[[短波ラジオ]](航空機[[レーダー]]探知機)などの機密技術情報の提供を依頼した。大統領や陸軍・海軍長官はこの依頼を閣議で了承し、旧陸軍省の戦争計画部が暗号部に協力を命じた<ref>{{cite web
| url = http://www.nsa.gov/public_info/_files/ukusa/early_papers_1940-1944.pdf
| title = Early Papers Concerning US-UK Agreement – 1940–1944
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}}</ref>。1943年、アメリカ旧陸軍省とイギリスのGC&CSが「特殊な諜報に関する協定」を、アメリカ陸軍とGC&CSが「信号諜報に関する協定」をそれぞれ締結した。{{See also|ベノナ}}
 
米英両国間の協力関係は戦後も続き、1946年には[[ソビエト連邦|ソ連]]との[[冷戦]]に備えて協定を結んだ<ref name="BRUSA"/>。1956年の[[第二次中東戦争|スエズ動乱]]で米英両国は対立したが{{Sfn|バムフォード|2003|loc=2章}}、協力関係は途絶えずにカナダやオーストラリア、ニュージーランドなどの[[アングロ・サクソン人|アングロサクソン]]諸国を加えて<ref name="BRUSA"/>、世界中に通信傍受施設のネットワークを張り巡らせた。NSAは[[北極圏]]から[[リビア]]の砂漠まで2000箇所に6000人を配置し、日本にも[[上瀬谷通信施設]]や[[三沢飛行場|三沢暗号業務センター]]を設けた{{Sfn|バムフォード|2003|loc=6章}}。この時代の通信傍受施設では三角測量を行なって、ソ連の艦船や潜水艦の位置、戦略ミサイルや防空ミサイルの配置を割り出していたと言う。またNSAは戦時中から1970年代まで[[ウエスタンユニオン]]などの三大電報会社が海外に送信する全ての電信を毎日提出させて、外交公電や暗号電報を探し出し、解読していたと言う{{Sfn|バムフォード|2003|loc=2章}}。[[鹵獲]]したドイツの[[ゲハイムシュライバー暗号機]]によって、[[1945年]]の[[国際連合|国連]]設立から数年はソ連の最高レベルのものを含め世界30ヶ国以上の暗号を解読することが出来たため、[[国際連合本部ビル|国連本部ビル]]を[[ニューヨーク]]に置かせたという説もある{{Sfn|バムフォード|2003|loc=2章}}。
 
1970年代になると「国際シギント規則」が整備され、協定グループ間で用語や用紙の規格の共通化が行われた{{Sfn|バムフォード|2003|loc=10章}}。またコンピュータネットワークが整備されて、単一の「[[プラットフォーム]]」が作られた。これは協定各国の52個のコンピュータシステムをメリーランド州{{仮リンク|フォート・ジョージ・G・ミード|en|Fort George G. Meade}}にあるNSAの[[メインフレーム|ホストコンピューター]]に接続してネットワーク化したものである{{Sfn|バムフォード|2003|loc=10章}}。使用するソフトウェアは共通であり、エシュロンと呼ばれることもある{{Sfn|バムフォード|2003|loc=10章}}。各国の傍受局はエシュロンと繋がっており、データをネットワーク上で共有化することで各国の傍受施設を共同利用・相互利用でき{{Sfn|バムフォード|2003|loc=10章}}、あたかも1つの巨大な傍受網のようになっている。イギリスのGCHQが傍受した情報は北アメリカのNSAやCSECなどが回覧でき{{Sfn|バムフォード|2003|loc=11章}}、1982年の[[フォークランド紛争]]ではアルゼンチン軍の暗号の殆どをNSAが解読してイギリスに教えた{{Sfn|バムフォード|2003|loc=10章}}。シギント衛星の共同利用も行なわれており、資金難で独自衛星を断念したイギリスは、NSAの[[偵察衛星]]「マグナム」({{仮リンク|Magnum|en|Magnum (satellite)}})に分担金を支払って相乗りした{{Sfn|バムフォード|2003|loc=10章}}。この仕組みは[[ファックス]]や商業通信衛星「[[インテルサット]]」が普及した1980年代に入ると効果を増した。以前は封書で運ばれていた私信や外国で発信された企業の契約・業務交渉、外国の軍事外交文書が衛星の傍受で手に入るようになったのである。地球を取り囲むように配置されたインテルサットに向けて、各国は「ミラーサイト」を作って、{{convert2|90|ft|m}}のパラボラアンテナ群を向けた{{Sfn|バムフォード|2003|loc=11章}}。例えば日本の三沢暗号業務センターでは、合衆国空軍第301情報編隊がインテルサット8や中国の国内衛星を傍受していると言う{{Sfn|バムフォード|2003|loc=11章}}。NSAの場合、傍受した情報はその場で分析したり、リモコン傍受基地からエシュロンで本部やハワイ・オアフ島のキャンプ・クニアにある[[クニア地域シギント工作センター]] (RSOCs) {{Sfn|バムフォード|2003|loc=11章}}などに送って共有化することで、各国は世界中で傍受した様々な情報や報告書を入手できるようになった{{Sfn|バムフォード|2003|loc=10章}}。
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1990年代に冷戦が終わると、国家間の戦争より麻薬やテロ、密入国、ロシアの犯罪組織などが問題になった{{Sfn|バムフォード|2003|loc=11章}}。2000年頃には武器拡散を防ぐために、GCHQが傍受した[[中華人民共和国|中国]]と[[イラン]]の[[YJ-82 (ミサイル)|対艦ミサイル]]の取引を妨害するNSAの作戦が行なわれたと言う{{Sfn|バムフォード|2003|loc=11章}}。一方でUKUSA協定グループ以外の国々は同盟国・敵対国ともに盗聴されて、情報はデータベースに半永久的に保管されるので{{Sfn|バムフォード|2003|loc=11章}}、個人の[[プライバシー]]の侵害や産業[[スパイ]]を心配した。[[欧州議会]]はNSAがエシュロンを使って、[[エアバス]]の技術を盗むのではないかと疑い調査した{{Sfn|バムフォード|2003|loc=11章}}。1995年にジュネーブで行われた[[日米貿易摩擦|日米自動車交渉]]では、NSAが自動車会社の幹部の電話を盗聴したと言う{{Sfn|バムフォード|2003|loc=11章}}。協定各国のどこかで作られた曖昧な情報によって、知らない間にブラックリストにのせられて拘禁された外国人が何人もいて、政府の監視技術の広域化による個人の権利侵害の危険性を心配する意見もあった{{Sfn|バムフォード|2003|loc=11章}}。
 
無敵かと思われたUKUSA協定グループだったが、2001年の[[アメリカ同時多発テロ事件]]を防止することは出来なかった(ただし911テロ事件の犯行計画を事前にアメリカ[[米政府]]が察知していたが何らかの理由により公表しなかった、又はそもそも当テロ事件がアメリカ政府による自作自演だったという可能性を疑う主張は多方面から根強く存在している)。{{main|アメリカ同時多発テロ事件陰謀説}}2000年代は従来の衛星通信やマイクロ波通信の他に、[[インターネット]]やデジタル[[携帯電話]]が普及し、[[光ファイバー]]や[[光波長多重通信]] (WDM) を用いた[[海底ケーブル]]の利用や暗号化が進み、盗聴の難易度が上がった{{Sfn|バムフォード|2003|loc=11章}}。しかし世界の[[インターネットエクスチェンジ]] (IXP)<ref>{{citeCite web|和書
| author = Ryan Singel
| url = http://wired.jp/2007/10/15/%E4%B8%96%E7%95%8C%E4%B8%AD%E3%81%AE%E9%80%9A%E4%BF%A1%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E3%81%8C%E7%B1%B3%E5%9B%BD%E7%B5%8C%E7%94%B1%EF%BC%9A%E7%9B%97%E8%81%B4%E3%82%82%E8%87%AA/
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| date = 2007-10-15
| accessdate = 2013-06-28
}}</ref>やトランジット・トラフィック{{Sfn|ライゼン|2006|loc=2章}}、盗聴や逆探知の鍵となる[[ルーター]]の技術{{Sfn|バムフォード|2003|loc=11章}}や莫大な数の個人情報を持つ有力なネットサービスを握っている<ref>{{citeCite web|和書
| author = KIM ZETTER, MINORI YAGURA, HIROKO GOHARA/GALILEO
| url = http://wired.jp/2013/06/11/prism-faq/
72行目:
| date = 2013-06-11
| accessdate = 2013-06-28
}}</ref>のは協定各国であり、その気になれば幾らでも通信傍受は可能である。[[ウォーターゲート事件]]を受けて制定された[[外国情報活動監視法]] (FISA) による国内盗聴には規制があり<ref>[[土屋大洋]] [http://diamond.jp/articles/-/37496 「プリズム問題で露呈した、オバマ政権下で拡大する通信傍受とクラウドサービスの危うさ」] ダイヤモンド・オンライン、2013年6月17日</ref>、NSAは偶然に傍受した合衆国市民の氏名を報告書から消すために多大な努力を払っているが{{Sfn|バムフォード|2003|loc=11章}}、同時多発テロ事件以降はFISAにより盗聴活動の是非審査を行なう「外国情報活動監視裁判所」の許可を得ずに数千件の国内盗聴を行なったという{{Sfn|ライゼン|2006|loc=2章}}。GCHQも新技術に対応した通信傍受を行っているようである<ref name="tempora"/>。またNSAは[[アメリカサイバー軍]]を傘下に収めて[[クラッキング (コンピュータ)|クラッキング]]を行ない、冷戦時代に中国とソ連に侵入した[[U-2 (航空機)|U-2偵察機]]や北朝鮮近海に侵入した[[情報収集艦]]のように情報を盗みに行くことも考えており{{Sfn|バムフォード|2003|loc=2章}}、既に世界中で6万1000件のクラッキングを実行しているという[[内部告発]]もある<ref>{{citeCite web|和書
| author = KIM ZETTER, MAYUMI HIRAI/GALILEO
| url = http://wired.jp/2013/06/13/snowden-says-nsa-hacked-china/
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==沿革==
* ([[1939年]][[9月1日]] - [[ナチス・ドイツ]]の[[ポーランド侵攻]]に対して[[フランス]]と[[イギリス]]が宣戦、[[第二次世界大戦]]勃発)
* [[1940年]] - イギリスが[[アメリカ合衆国旧陸軍省|アメリカ旧陸軍省]]に対して技術交換を依頼。ドイツ軍が西欧・北欧に侵攻した。
* [[1941年]][[6月]] - ナチス・ドイツが[[ソビエト連邦|ソ連]]に侵攻、[[独ソ戦]]勃発
* [[1941年]][[12月]] - [[真珠湾攻撃]]、[[マレー作戦]]。大日本帝国、対米英開戦。[[アメリカ合衆国|アメリカ]]が[[連合国 (第二次世界大戦)|連合国]]の一員として対独伊[[西部戦線 (第二次世界大戦)|西部戦線]]参加。
* [[1943年]] - アメリカ旧陸軍省、陸軍とイギリスの政府暗号学校が{{仮リンク|1943年BRUSA協定|en|1943 BRUSA Agreement}}を締結。[[イタリア王国]]降伏。
* [[1945年]] - [[大日本帝国]]及び[[ナチス・ドイツ]]の全[[枢軸国]]降伏、第二次世界大戦終結
* [[1946年]] - アメリカ陸海軍通信諜報局とイギリスの政府暗号学校がBRUSA協定を締結<ref name="BRUSA">{{cite web
| author = NATIONAL SECURITY AGENCY, CENTRAL SECURITY SERVICE
| url = http://www.nsa.gov/public_info/press_room/2010/ukusa.shtml
126行目:
}}</ref>。[[ウィンストン・チャーチル]]が演説で西欧と東欧の分断を「[[鉄のカーテン]]」と表現。
* [[1948年]] - [[カナダ]]が参加<ref name="BRUSA"/>。[[ベルリン封鎖]]や[[38度線|朝鮮半島の南北分断]]が行なわれ、米ソ両国の間で緊張が高まる。
* [[1956年]] - [[オーストラリア]]と[[ニュージーランド]]が参加<ref name="BRUSA"/>{{efn|「すべては傍受されている」10章では、ニュージーランドの参加は[[1977年]]としている{{Sfn|バムフォード|2003|loc=10章}}}}。[[第二次中東戦争]]が起きた勃発
* [[1995年]]
**[[スイス]]の[[ジュネーブ]]で行われた日米自動車交渉がNSAに盗聴された{{Sfn|バムフォード|2003|loc=11章}}。情報は[[日米貿易摩擦]]に際してアメリカが有利になるよう使用されたと見られている。
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* [[2001年]] - [[欧州議会]]の「エシュロン通信傍受システムに関する特別委員会」が報告書を提出
* [[2010年]] - 米英両国政府が機密指定を解除<ref name="kaijo" />
* [[2013年]] - NSAの[[インターネット]]盗聴システム「[[PRISM (監視プログラム)]]」や、NSAとGCHQの[[光ファイバ]]ケーブル盗聴作戦「Tempora」が内部告発された<ref name="tempora">{{citeCite web|和書
| author = CYRUS FARIVAR, MINORI YAGURA/GALILEO
| url = http://wired.jp/2013/06/24/new-leaks-british-intels-direct-from-fiber-taps-worse-than-the-us/
140行目:
| accessdate = 2013-06-28
}}</ref>
*[[2015年]] - NSAが日本やドイツなど、米英イギリス以外は同盟国もライバルとみなし、要人や政府機関の国際通信を盗聴していたことが、[[ウィキリークス]]の暴露により明らかになる
 
== 締結国首脳(2023(2024年現在) ==
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Fileファイル:Joe Biden presidential portrait.jpg|{{flagicon|USA}} '''[[アメリカ合衆国|アメリカ]]''' <br />[[ジョー・バイデン]] ([[アメリカ合衆国大統領|大統領]])
ファイル:Justin Trudeau visitat WhiteEurasia HouseGroup for2023 USMCAUS-Canada Summit (52807415495) (cropped) (cropped).jpg| {{flagicon|Canada}} '''[[カナダ]]''' <br />[[ジャスティン・トルドー]]([[カナダ首相|首相]])
File:RishiPrime SunakMinister OfficialSir CabinetKeir Portrait,Starmer SeptemberOfficial 2021Portrait (cropped).jpg| {{flagicon|United KingdomUK}} '''[[イギリス]]''' <br />[[リシキア・スナクターマー]]([[イギリスの首相|首相]])
Fileファイル:Anthony Albanese portrait (cropped).jpg|{{flagicon|Australia}} '''[[オーストラリア]]''' <br />[[アンソニー・アルバニージ]]([[オーストラリアの首相|首相]])
Fileファイル:ChrisLUXON, HipkinsChristopher NZ- LabourBotany (2cropped).jpgpng|{{flagicon|New Zealand}} '''[[ニュージーランド]]''' <br />[[クリストファーヒプキラクソ]]([[ニュージーランドの首相|首相]])
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