「子宮内避妊器具」の版間の差分
削除された内容 追加された内容
交換することによって、期限なく留置可能であり、「5年まで」という表現は間違い。添付文書に定義してあるのは交換のインターバル期間のみ。 |
m Bot作業依頼#Cite webテンプレートのdeadlink、deadlinkdate引数の移行 |
||
(19人の利用者による、間の28版が非表示) | |||
1行目:
{{Infobox birth control
| name = Intrauterine device
| image = IUD with scale.jpg
| image_size =
| caption = [[Copper IUD]] ([[Paragard]] T 380A)
| bc_type = Intrauterine
| synonym = Intrauterine system
| tradename =
| date_first_use = 1800s<ref name=Cal2013>{{cite book|last1=Callahan|first1=Tamara|last2=Caughey|first2=Aaron B.|title=Blueprints Obstetrics and Gynecology|date=2013|publisher=Lippincott Williams & Wilkins|isbn=9781451117028|page=320|url=https://books.google.com/books?id=eKC1B3BhlxUC&pg=PA320|language=en}}</ref>
| rate_type = Failure
| failure_measure = first year <!--for EC, specify "per use"-->
| perfect_failure% = <1
| perfect_failure_ref = <ref name=Para2019>{{Cite web|url=https://www.drugs.com/mcp/paragard-copper-iud|title=ParaGard (copper IUD)|date=7 September 2019|website=Drugs.com|access-date=3 December 2019}}</ref>
| typical_failure% = <1
| typical_failure_ref = <ref name=Para2019/>
| reversibility =
| user_reminders = None
| STD_protection_YesNo = No
| periods = Depends on the type
| weight_gain_loss = No effect
| benefits =
| risks =
| medical_notes =
}}
<!-- [[Image:Tête de stérilet.jpg|thumb|子宮内器具]] -->
[[Image:IUDCPCopperT380A.gif|thumb|
[[Image:Mirena IntraUterine System.jpg|thumb|{{仮リンク|黄体ホルモン付加IUD|en|IUD with progestogen}}「[[ミレーナ (子宮内避妊システム)|ミレーナ]]」。IUSに分類される場合もある]]
'''子宮内避妊器具'''(しきゅうないひにんきぐ) ({{lang-en-short|intrauterine device}}; '''IUD''')は[[子宮]]の中に留置して用いられる[[避妊]]器具である。かつては他にも呼び方があったが、現在はIUDに統一された<ref>1966年にWHOがこの名称に決定した</ref>。一度留置すると5-10年継続して効果を発揮し、妊娠回避効果も高い。ホルモンを放出するタイプは[[月経困難症]]や月経過多の治療にも使用される<ref name="mina2015"/>。
== 歴史 ==
11 ⟶ 34行目:
{{仮リンク|避妊の歴史|es|Historia de la anticoncepción}}
-->
紀元前4世紀の医者[[ヒポクラテス]]は、動物([[ラクダ]]が用いられた可能性がある)の子宮に異物を入れると避妊効果があることを発見し、IUDの先駆者と考えられている。しかしながら、現代的な子宮内避妊は[[1928年]]にドイツのリヒャルト・リヒターによって始められたもので、以後効率と持続期間の改良が重ねられている<ref>[http://socamfyc.org/inicio/sites/default/files/Historia_de_la_Anticoncepcion.pdf Historia de la anticoncepción, en Portal de la Sociedad Canaria de Medicina de Familia y Comunitaria, España]</ref>。
== 分類 ==
IUDには化学的に不活性な銅タイプ(
ホルモンを用いない、非活性のIUDの大多数はポリエチレン製でT字型をしており、純粋な銅の電解ワイヤが巻き付けられているか、銅製の「襟」もしくは「袖」が取り付けられている。一例として、パラガードの水平部分(T字の上の棒)は32mm、垂直部分は36mmである。Nova T 380のような一部のIUDでは線の破損を防ぐために純粋な銅線に銀の芯を入れている<ref NAME="NOBAT380">ノバ T380 添付文書</REF><ref>{{Cite web |author=Schering |month= May 13, |year=2003 |title=Nova T380 Patient information leaflet (PIL) |url=http://emc.medicines.org.uk/emc/assets/c/html/displaydoc.asp?documentid=3641 |accessdate=27-04-2007}}</ref>。フレームの腕の部分が器具の子宮の底部近くの位置を保持する。GyneFixのように、T字型はなくさまざまな銅のチューブからなる輪となっているものもある。全ての銅付加IUDの名前には、銅を含む部分の表面積を平方ミリメートルで表した番号が付けられている。ホルモン剤を使用しない銅付加IUDは[[母乳栄養|授乳]]の際にも安全であると考えられている。
== 有効性 ==
第2世代の、銅タイプのT字型IUD全体での避妊失敗率は1年あたりで1%、10年通算では2-6%である<ref name="population">IUDs-An Update. [http://www.infoforhealth.org/pr/b6/b6chap2_3.shtml#top Chapter 2.3: Effectiveness].</ref>。[[世界保健機関]]が行った大規模調査では、T380Aの12年間通算での避妊失敗率は2.2%、1年あたりでは0.18%であり、これは10年間で1.8%の失敗率となる。フレームなしのタイプであるGyneFix
== 使用方法 ==
IUDは外来にて無麻酔で留置され、月経開始後7日以内の装着が適切な期間とされる<ref NAME="NOBAT380"/>。IUDの[[子宮]]への装着と除去は、その国や地域で定められている医療上の基準を満たしている必要があり、例えばヨーロッパにおいては[[CEマーク]]を取得しなければならない。日本では産婦人科医(母体保護法指定医又は日本産科婦人科学会認定医)が行うことになっている<ref NAME="NOBAT380"/>。IUDは妊娠
== 機序 ==
[[子宮]]内に器具が存在することで、異物への反応の一部として[[子宮内膜]]からの[[白血球]]と[[プロスタグランジン]]の放出が促進される。これらの物質は[[精子]]と[[受精卵]]の双方にとって有害である。銅の存在は[[殺精子剤|精子を殺す]]{{enlink|Spermicide}}効果を高め、また受精卵の[[着床]]を妨げる<ref>{{Cite web | title= Mechanisms of the Contraceptive Action of Hormonal Methods and Intrauterine Devices (IUDs) | work= Family Health International | year= 2006 | url = http://www.fhi.org/en/RH/Pubs/booksReports/methodaction.htm | accessdate= 05-07-2006 }}</ref><ref>{{Cite web | last= Keller | first= Sarah | title= IUDs Block Fertilization | work= Network | editor= Family Health International | year= Winter 1996, Vol. 16, No. 2 | url = http://www.fhi.org/en/RH/Pubs/Network/v16_2/nt1623.htm | accessdate= 05-07-2006 }}</ref>。
== 普及度 ==
== 有害事象・副作用 ==
主な有害事象としては、IUDが子宮から飛び出してくる滑脱、子宮穿孔、骨盤内炎症性疾患(PID)、S状結腸瘻<ref>[https://doi.org/10.5833/jjgs.37.1930 岡田禎人、鈴木勝一、中山隆ほか、子宮内避妊器具の長期装着から腹部放線菌症を発症しS状結腸瘻, 膀胱瘻, 腹壁膿瘍をきたした1例] 日本消化器外科学会雑誌 2004年 37巻 12号 p.1930-1933, {{DOI|10.5833/jjgs.37.1930}}</ref>、挿入後の子宮や卵管の感染症などがある。副作用は不正出血<ref>[https://doi.org/10.5180/jsgoe.11.113 大高究、深谷暁、三宅潔 ほか、不正性器出血症例における経腟超音波所見と子宮鏡所見の比較] 日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 1995年 11巻 1号 p.113-117, {{DOI|10.5180/jsgoe.11.113}}</ref>、下腹痛、性交時の痛みなどがあり、ある製品では総症例1,047例中602例(57.5%)に使用に関係する副作用が認められ、主な副作用としては月経異常269件(25.7%),過多月 経136件(13.0%),月経中間期出血120件(11.5%),腹痛116 件(11.1%),疼痛111件(10.6%),白帯下108件(10.3%)等<ref>ノバT®380承認時</ref>。銅(Cu)もしくは[[ニッケル]](Ni)に過敏な女性の場合にはIUDの副作用が現れる懸念がある。IUDに使用される金属は99.99%が銅であるが、研究によれば最大で0.001%のニッケルが含まれる。ニッケルは[[アレルギー]]性が高いため、これほどの少量であっても問題を引き起こす可能性があると一部の研究者は示唆している。銅とニッケルを含むIUDを装着している患者のグループに、全身的吸収による{{仮リンク|湿疹性皮膚炎|en|Eczema|label=湿疹}}性[[皮膚炎]]や[[蕁麻疹]]が見られる場合があることをいくつかの研究が示している。しかしながら、IUDから1日に体内に吸収される金属の量は食事による摂取量よりも遥かに少ないため、多くの[[皮膚科学|皮膚科医]]たちはこうした症例での症状が金属の過敏症であるかは疑わしいとしている<ref name="jouppila 1979">{{Cite journal|author=Jouppila P, Niinimäki A, Mikkonen M |year=1979 |title=Copper allergy and copper IUD |journal=Contraception |volume=19 |issue=6 |pages=631-7 |id=PMID 487812}}</ref> <ref name="frentz 1980">{{Cite journal|author=Frentz G, Teilum D |year=1980 |title=Cutaneous eruptions and intrauterine contraceptive copper device |journal=Acta Derm Venereol |volume=60 |issue=1 |pages=69-71 |id=PMID 6153839}}</ref><ref name="wohrl 2001">{{Cite journal|author=Wohrl S, Hemmer W, Focke M, Gotz M, Jarisch R |year=2001 |title=Copper allergy revisited |journal=J Am Acad Dermatol |volume=45 |issue=6 |pages=863-70 |id=PMID 11712031}}</ref>。{{要出典範囲|出産を経験したことのない女性(未産婦)は副作用のリスクが高くなる|date=2015年7月}}が、このことはIUDの使用を忌避する理由とはならない<ref>未経産婦は添付文書上、禁忌として挙げられていない</ref>。一部の医療専門家<!-- profesionales de la salud: 医師と訳してしまっては駄目か? -->は挿入時に妊娠していないことを確認するために[[月経]]中にIUDを挿入することを好む。しかしながら、妊娠中もしくは受精の可能性がある時期を除けばIUDは
▲銅もしくは[[ニッケル]]に過敏な女性の場合にはIUDの副作用が現れる懸念がある。IUDに使用される金属は99.99%が銅であるが、研究によれば最大で0.001%のニッケルが含まれる。ニッケルは[[アレルギー]]性が高いため、これほどの少量であっても問題を引き起こす可能性があると一部の研究者は示唆している。銅とニッケルを含むIUDを装着している患者のグループに、全身的吸収による{{仮リンク|湿疹性皮膚炎|en|Eczema|label=湿疹}}性[[皮膚炎]]や[[蕁麻疹]]が見られる場合があることをいくつかの研究が示している。しかしながら、IUDから1日に体内に吸収される金属の量は食事による摂取量よりも遥かに少ないため、多くの[[皮膚科学|皮膚科医]]たちはこうした症例での症状が金属の過敏症であるかは疑わしいとしている<ref name="jouppila 1979">{{Cite journal|author=Jouppila P, Niinimäki A, Mikkonen M |year=1979 |title=Copper allergy and copper IUD |journal=Contraception |volume=19 |issue=6 |pages=631-7 |id=PMID 487812}}</ref> <ref name="frentz 1980">{{Cite journal|author=Frentz G, Teilum D |year=1980 |title=Cutaneous eruptions and intrauterine contraceptive copper device |journal=Acta Derm Venereol |volume=60 |issue=1 |pages=69-71 |id=PMID 6153839}}</ref><ref name="wohrl 2001">{{Cite journal|author=Wohrl S, Hemmer W, Focke M, Gotz M, Jarisch R |year=2001 |title=Copper allergy revisited |journal=J Am Acad Dermatol |volume=45 |issue=6 |pages=863-70 |id=PMID 11712031}}</ref>。一部の医療専門家<!-- profesionales de la salud: 医師と訳してしまっては駄目か? -->は挿入時に妊娠していないことを確認するために[[月経]]中にIUDを挿入することを好む。しかしながら、妊娠中もしくは受精の可能性がある時を除けばIUDは{{仮リンク|月経周期|en|Menstrual cycle}}のどの時点でも挿入可能である<ref>IUDs-An Update. [http://www.infoforhealth.org/pr/b6/b6chap3.shtml#top Chapter 3: Insertion].</ref>。[[子宮頸部]]が自然に広がる月経中期に挿入を行えばより楽である<ref name="pp">{{Cite web | title= Understanding IUDs | work= Planned Parenthood Federation of America | date= July 2005 | url = http://www.plannedparenthood.org/pp2/portal/files/portal/medicalinfo/birthcontrol/pub-contraception-iud.xml#1103415754536::8998200633989168060 | accessdate= 22-07-2006 }}</ref>。ただし、妊娠初期における装着を防止するため月経開始後4~5日以内に装着することが望ましい。
== 禁忌 ==
49 ⟶ 65行目:
また、心疾患や[[心臓弁膜症]]の患者には慎重な使用が求められる。
[[世界保健機関]]とその<!-- capítulo: 下部組織 … criteriosは組織ではない…criterios制定のための部会か? -->「避妊薬使用のための医療的適格性基準」<!-- Medical Eligibility Criteria for Contraceptive Use -->および<!-- Faculty of Family Planning & Reproductive Health Care of the Royal College of Obstetricians and Gynaecologists -->英国産婦人科医師会・家族計画とリプロダクティブヘルス部会はIUDの挿入が推奨されない条件(カテゴリ3)と忌避される条件(カテゴリ4)を定義した以下のリストを作成している<ref name="who mec">{{Cite book |author=[[世界保健機関]] |year=2004 |chapter=Intrauterine devices (IUDs) |title=Medical Eligibility Criteria for Contraceptive Use |edition=3rd ed. |place=Geneva |
=== カテゴリ3 ===
理論上、もしくは立証済のリスクがIUDによる恩恵よりも大きいと考えられる条件――
70 ⟶ 86行目:
== 批判 ==
IUDの有効性は、受精卵の着床の妨害作用も大きく寄与していると考えている。このため、受精を生命の開始と定義している人々や、[[妊娠中絶]]に反対する人々の一部は、IUDの使用を妊娠中絶の一種であるとして非難している<ref>{{Cite journal| author= Stanford J, Mikolajczyk R | title= Mechanisms of action of intrauterine devices: update and estimation of postfertilization effects | journal= Am J Obstet Gynecol | volume= 187 | issue= 6 | pages= 1699-708 | year= 2002 | id = PMID 12501086}}, which cites: :{{Cite journal| author= Smart Y, Fraser I, Clancy R, Roberts T, Cripps A | title= Early pregnancy factor as a monitor for fertilization in women wearing intrauterine devices | journal= Fertil Steril | volume= 37 | issue= 2 | pages= 201-4 | year= 1982 | id = PMID 6174375}}</ref><ref>{{Cite book |
== 脚注 ==
92 ⟶ 108行目:
* [http://www.familiayvida.com.ar/diu.htm Familia y Vida]
-->
{{剤形}}{{DEFAULTSORT:しきゆうないひにんきく}}▼
▲{{DEFAULTSORT:しきゆうないひにんきく}}
[[Category:産科学]]
[[Category:医療機器]]
[[Category:避妊]]
[[Category:子宮]]
|