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|author = <!-- 著者 -->
|translator = [[中村元 (哲学者)|中村元]]ほか
|illustrator = <!-- イラスト -->
|published = 1984-05-16
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|id = ISBN 4-00-333011-0<br />ISBN 4-00-007007-X
|portal1 = 仏典
}}{{Wikiquote|釈迦#スッタ・ニパータ|スッタニパータ}}
『'''スッタニパータ'''』({{lang-pi-short|Sutta Nipāta}})は、セイロン([[スリランカ]])に伝えられた、いわゆる[[上座部仏教|南伝仏教]]の[[パーリ語経典]](原始仏典)の[[小部 (パーリ)|小部]]に収録された[[経
「スッタ」(Sutta)はパーリ語で「[[経 (仏教)|経]]」の意
文字通り古い経を集めたものであり、その一部に対応する漢訳経典としては『[[義足経]]』([[大正蔵]]198)がある<ref name="chuo">[http://www.sakya-muni.jp/00/00-01/post-62.html 原始仏教聖典資料による釈尊伝の研究] - [[中央学術研究所]]</ref>。第4章と第5章に対する註釈として、[[サーリプッタ]]([[舎利弗]])の作と伝承される同じく小部に収録されている『[[義釈]]』がある<ref>[http://archives.bukkyo-u.ac.jp/rp-contents/BK/0020/BK00200L099.pdf 『パーリ上座部の経蔵に収載される “声聞の所説”の権威性を巡って』] - [[清水俊史]]</ref>。
==構成==
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『[[ダンマパダ]]』は初学者が学ぶ入門用テキストであるのに対し、『スッタニパータ』はかなり高度な内容を含んでいるため、必ずしも一般向けではない。
有名な「犀の角のようにただ独り歩め」というフレーズは、
南方の[[上座部仏教]]圏では、この経典のなかに含まれる「慈経」、「宝経」、「勝利の経」などが、日常的に読誦されるお経として、一般にも親しまれている。
現代の事情にそぐわない内容も含まれているが、悩み相談に応用可能な内容も多い<ref name=":0">{{Cite web|和書|title=ブッダで悩みを解決、仏教対話AI「ブッダボット」の開発 -伝統知と人工知能の融合- |url=https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2021-03-26-3 |website=京都大学 |access-date=2022-07-10 |language=ja}}</ref><ref name=":1">{{Cite web|和書|title=京都大ら、仏教を学習したAIが助言してくれる「ブッダボット」 |url=https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1314993.html |website=PC Watch |date=2021-03-29 |access-date=2022-07-10 |language=ja |last=株式会社インプレス}}</ref>。
2021年、[[京都大学]]こころの未来研究センターの熊谷誠慈准教授(仏教学)はスッタニパータを[[人工知能|AI]]に学習させた「ブッダボット」を発表した<ref name=":1" /><ref>{{Cite web|和書|title=悩みに答えるAIブッダ、幸せのヒントに…京大など開発中:地域ニュース |url=https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/news/20210804-OYO1T50021/ |website=読売新聞オンライン |date=2021-08-04 |access-date=2022-07-10 |language=ja}}</ref><ref name=":0" />。
==成立==
最初期に編纂された最古の仏典のひとつとされ、対応する漢訳は一部を除いて存在しない(第4章『八つの詩句』/[[支謙]]訳:仏説[[義足経]]([[大正蔵]]198))。現代では日本語訳として『'''[[南伝大蔵経]]'''』の中におさめられている。ただし、『スッタニパータ』の中にも、新旧の編纂のあとが見られ、[[パーリ語]]の文法に対応しないインド東部の方言と推測される[[マガダ語]]とみられる用語が含まれていることから、仏典の中でも最古層に位置づけられている。
また『スッタニパータ』の注釈書として、文献学的に『スッタニパータ』と同時代に成立したと考えられている『[[ニッデーサ]]』(義釈)が伝えられている。『スッタニパータ』の第4章と第5章のそれぞれに大義釈と小義釈が存在することから、この部分がもっとも古く、元は独立した経典だったと考えられている。▼
===第4,5章最古層説===
20世紀前半に[[トーマス・ウィリアム・リス・デイヴィッズ|リス・デイヴィッズ]]<ref>Rhys Davids "[http://www.ahandfulofleaves.org/documents/Buddhist%20India_TWRDavids.pdf Buddhist India]" G.P. Putnam's Sons, New York 1903 (中村了昭訳『仏教時代のインド』大東出版社 1984) </ref>や、Bimala Churn Law<ref>B.C.Law "[http://www.ahandfulofleaves.org/documents/a%20history%20of%20pali%20literature_law.pdf A History of Pali Literature]" Trubner, London 1933 </ref> は、スッタニパータの中でも4,5章は特に古いと考えた。以下の理由による。
*[[小部 (パーリ)|小部]]内の注釈書[[義釈]](ニッデーサ)はほぼ4,5章のみの注釈である。1-3章はその後にまとめられた可能性がある。
*紀元前のパーリ語仏典中に、4章「アッタカヴァッガ」、5章「パーラーヤナ」などという書名の引用はあるが、「スッタニパータ」という書名の引用はない{{Refnest|group="注"|パーリ語経典の中で「スッタニパータ」という書名の初出は『[[ミリンダ王の問い]]』になる。ただしその漢訳である『那先比丘経』には対応する書名はない。つまりパーリ語版内の書名は紀元後に追記されたものと推定される<ref name="並川">[[並川孝儀]] 『スッタニパータ 仏教最古の世界』 岩波書店 2008</ref>。}}。
[[前田惠學]]は4,5章について、
*古代ヴェーダ語の語形が現れることが多い。
*使われているヴァッタという韻律は古い。
の点からも4,5章はスッタニパータの中でも最古層であると主張した<ref>前田惠學 『原始仏教聖典の成立史研究』 山喜房仏書林 1964 </ref>。
▲また『スッタニパータ』の注釈書として『[[ニッデーサ]]』(義釈)が伝えられている。『スッタニパータ』の第4章と第5章のそれぞれに大義釈と小義釈が存在することから、この部分がもっとも古く、元は独立した経典だったと考えられている。
この説はその後、1-3章と4,5章に使われる述語の違いなどからも確認され、現在定説となっている<ref name="並川" />。なお4章と5章のどちらが古いかについては定説はない。
==日本への伝来==
スッタニパータ全体の漢訳は存在しないため、日本に伝来することもなかった。近代に
* {{
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== 刊行書誌
===日本語訳===
*{{Cite book|和書|author=正田大観|authorlink=正田大観|year=2000|month=2|title=ブッダその真実のおしえ スッタニパータ第四章 和訳と注解|publisher=シーアンドシー出版|isbn=4-434-00065-9|ref=正田2000}}
*{{Cite book|和書|author
*{{Cite book|和書|author
*{{Cite book|和書|others=[[中村元 (哲学者)|中村元]] 訳|year=1984|month=5|title=ブッダのことば スッタニパータ|
**{{Cite book|和書|others=
**{{Cite book|和書|others=
*{{Cite book|和書|others=[[宮坂宥勝]] <ref>再編訳著に『今日を生きるブッダのことば 『スッタニパータ』篇』[[春秋社]]、2008年。ISBN 4-393-13365-X。</ref>訳著|year=2002|month=10|title=ブッダの教え スッタニパータ|publisher=[[法蔵館]]|isbn=4-8318-7235-0|ref=宮坂2002}}
**元版{{Cite book|和書|
**新編{{Cite book|和書|others=[[荒牧典俊]]・[[本庄良文]]・[[榎本文雄]] 訳|year=2015|month=4|title=スッタニパータ 釈尊のことば 全現代語訳|publisher=[[講談社学術文庫]]|isbn=4-0629-2289-4|url=https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000211769|ref={{Harvid|荒牧|本庄|榎本|2015}}}}
*{{Cite book|和書|others=[[今枝由郎]] 訳|year=2022|month=03|title=スッタニパータ ブッダの言葉|publisher=[[光文社]]|series=[[光文社古典新訳文庫|古典新訳文庫]]|isbn=4-334-75459-7|url=|ref=今枝2022}}
=== 関連文献 ===
*{{Cite book|和書|author=アルボムッレ・スマナサーラ|authorlink=アルボムッレ・スマナサーラ
*{{Cite book|和書|author=石川佾男|authorlink=石川佾男|year=1975|title=釈尊の問いかけ スッタ・ニパータ随想|series=レグルス文庫 50|publisher=第三文明社|ref=石川1975}}
*{{Cite book|和書|author=小池龍之介|authorlink=小池龍之介|year=2011|month=2|title=超訳 ブッダの言葉|publisher=ディスカヴァー・トゥエンティワン|isbn=978-4-88759-958-1|url=http://www.d21.co.jp/products/isbn9784887599581|ref=小池2011}}
*{{Cite book|和書|author=辻本鉄夫|authorlink=辻本鉄夫|year=1931|title=経集概説(スッタニパータがいせつ)|publisher=顕真学苑出版部|ref=辻本1931}}
*{{Cite book|和書|author=中村元|authorlink=中村元 (哲学者)|date=2011-03|title=原始仏典|series=[[ちくま学芸文庫]]
*{{Cite book|和書|author=毎田周一|authorlink=毎田周一|year=1964|title=澄む月のひかりに スッタ・ニパータ|publisher=中山書房|ref=毎田1964}}
*{{Cite book|和書|author=毎田周一|authorlink=毎田周一|year=1969|title=毎田周一全集
*{{Cite book|和書|author=由木義文|authorlink=由木義文|year=1984|month=9|title=釈尊の生き方に学ぶ スッタニパータ法談|publisher=大法輪閣|isbn=4-8046-1073-1|ref=由木1984}}
*{{Cite book|和書|
*[[羽矢辰夫]]『ゴータマ・ブッダのメッセージ 「スッタニパータ」私抄』大蔵出版、2011年
*[[今枝由郎]]『新編 スッタニパータ
=== 英訳 ===
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*{{Cite book|editor=Dines Andersen, Helmer Smith|origyear=1913|year=1990|title=Suttanipāta|publisher=Pali Text Society|isbn=0-86013-177-7|url=http://www.palitext.com/palitext/ptext.htm#ot33|ref=Andersen&Smith1990}}
==脚注
===注釈===
{{Reflist|group="注"}}
===出典===
{{Reflist}}
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{{wikisource|スッタニパータ|3=日本語訳}}
*[[上座部仏教]]
*[[
*[[パーリ仏典]]
*
*[[パーリ語]]
*[[マーガディー]] - マガダ語
*[[パイシャーチー]]
== 外部リンク ==
*{{Cite web|和書|author=[[正田大観]]|date=2007-03-17|url=http://www7.ocn.ne.jp/~jkgyk/sho20070317.html|title=スッタニパータ|publisher=クリシュナムルティ学友会|language=日本語|archiveurl=
*{{Cite web|others={{仮リンク|ヴィゴー・ファウスベル|en|Viggo Fausböll}}|url=http://www.sacred-texts.com/bud/sbe10/index.htm|title=Sacred Books of the East, Vol. 10: The Dhammapada and Sutta Nipata Index|publisher=Internet Sacred Text Archive|language=英語|accessdate=2012-02-04}}
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