削除された内容 追加された内容
m Bot作業依頼#Cite conferenceのbooktitle引数の移行
(9人の利用者による、間の22版が非表示)
1行目:
{{About|地震や噴火現象によって発生する津波|その他の用法|ツナミ}}
[[File:SH-60B helicopter flies over Sendai.jpg|thumb|upright=1.4|2011年の[[東北地方太平洋沖地震]]の際に発生した津波によって水没した[[仙台港]]付近の上空からの写真。[[JX日鉱日石エネルギー仙台製油所]]より黒煙が上がっている。]]
[[file:2004-tsunami.jpg|thumb|upright=1.4|[[スマトラ島沖地震 (2004年)|2004年スマトラ島沖地震]]の際に発生した津波が到達した瞬間の[[タイ王国]][[アオナン]]の海岸。]]
[[ファイル:Tsunami_comic_book_style_jp.png|thumb|津波の発生原理を示す図]]
[[File:NOAA_Tsunami_Animation-2016.webm|thumb|upright=1.4|三次元の津波シミュレーション動画]]
7 ⟶ 8行目:
1波1波の間隔である[[波長]]が非常に長く、波高が巨大になりやすいことが特徴である。地震による津波では波長600 [[キロメートル|km]]、波高5 [[メートル|m]]超のものが生じた事がある(津波が陸上に達するとこの値は大きく変わる)<ref name="nishimura1977-123">[[#nishimura1977|西村、1977年]]、123-124頁</ref>。
 
津波という現象は、例えるならば大量の[[海水]]による[[洪水]]の様な現象<ref>伯野元彦「[https://doi.org/10.11532/proee2005.28.228 1本鉄筋のRC柱]」『地震工学研究発表会 報告集』2005年 28巻 p.228, {{DOI|10.11532/proee2005.28.228}}</ref> であり、[[気象]]など他の要因で生じる[[波浪|波]]とは性質が大きく異なる。大きな津波は浮遊物と共に[[陸]]深くに浸入し、沿岸住民の[[水死]]や市街・村落の破壊など、種々の[[災害]]を発生させる。
 
== 概要 ==
18 ⟶ 19行目:
特に[[リアス式海岸]]の湾奥では狭く細長く深い[[湾]]が津波の威力を集積させる。また海に突き出た[[岬]]の先端では周囲からの回り込みの波が重なるため、他の海岸に比べて同じ津波でも被害が大きく、より小さな津波でも被害を受けることが知られている<ref name="nishimura1977-91">[[#nishimura1977|西村、1977年]]、91頁</ref><ref name="jma1">[[#jma1|気象庁]]</ref>。
 
また海岸では、日本の[[三陸海岸]]の港町のように津波を防ぐために[[防潮堤]]、あるいは通常の波浪を防ぐなどの目的で[[堤防]]が築かれている海岸があり、これらは津波の被害を軽減する役割を果たす。一例として、2011年に発生した[[東北地方太平洋沖地震]]([[マグニチュード|M]]9.0を観測)に伴う津波は沿岸の広い範囲に甚大な被害をもたらしたが、[[岩手県]][[下閉伊郡]][[普代村]]の[[普代水門]]と[[太田名部防潮堤]](ともに高さ15.5 m)や同県[[九戸郡]][[洋野町]]の防潮堤(高さ12 m)は決壊せず、津波の影響を大幅に減衰させて集落進入を防いだ結果、軽微な被害にとどまっており、特に普代村においては被災民家および死者は発生しなかった<ref>「[https://web.archive.org/web/20110410120730/http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110403-OYT1T00599.htm?from=navr 明治の教訓、15m堤防・水門が村守る]」『[[読売新聞]]』2011年4月3日付(同月24日閲覧)</ref><ref>「[http://www.nikkei.com/tech/trend/article/g=96958A9C93819499E1E3E2E0E18DE1E3E2E1E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;p=9694E0E7E2E6E0E2E3E2E2E0E2E0 岩手県普代村は浸水被害ゼロ、水門が効果を発揮]」『[[日本経済新聞]]』2011年4月1日付(同月24日閲覧)</ref><ref>「[https://web.archive.org/web/20110924195717/http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011041201000147.html 津波で5超の防潮堤損壊 岩手県が効果検証へ]」[[共同通信]](2011年4月12日付、同月24日閲覧)</ref><ref>[http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110424_10 「普代守った巨大水門 被害を最小限に」]{{リンク切れ|date=2020年6月}}『[[岩手日報]]』(2011年4月24日閲覧)</ref>。
 
その一方で、津波被害をカバー出来ず、人々が防潮堤があることで「楽観バイアス」がかかった結果、甚大な被害を出す事態もある。防潮堤の高さや強度が不足している場合のほか、津波を起こした地震で損壊したり[[地盤沈下]]により海面が上昇したりして、堤防の機能が弱まることがある。また防潮堤などにある[[水門]]は、人が駆けつけることができない場合や、[[停電]]の影響で閉められないことがある。こうした事例から、防潮堤による津波対策を再考する動きもある<ref name="yomiuri20110320"/>。
58 ⟶ 59行目:
#地震動や海底地形変化によって発生した、大規模な[[海底地すべり]]によって津波が高くなる。
#地殻変動によって海底下の堆積層に[[マグマ]]が貫入し、その隆起によって津波が高くなる。
などが挙げられる。1,2は長周期の津波、3,4,5は短周期の津波である。上記1.の要因により津波地震は、海溝付近のプレート境界のうち海溝軸に近い浅い部分を震源域とした地震で起こりやすい。1896年の[[明治三陸沖地震]]津波は上記1.によって津波地震になったと考えられている<ref name="bousai1896" />。また、2011年の[[東北地方太平洋沖地震]]津波は[[連動型地震]]であったため、地震発生初期にまずプレート境界浅部で上記1.の要因による津波を発生させたあと、プレート境界深部にも断層破壊が及んで強い地震動が発生したあと、再びプレート境界浅部で破壊が起こって津波が増幅したと考えられている<ref name="Ide">Satoshi Ide, Annemarie Baltay, Gregory C. Beroza, "[https://science.sciencemag.org/content/332/6036/1426 Shallow Dynamic Overshoot and Energetic Deep Rupture in the 2011 Mw 9.0 Tohoku-Oki Earthquake.]" Science 17 Jun 2011: Vol.332, Issue 6036, pp.1426-1429, {{DOI|10.1126/science.1207020}}</ref><ref>「[https://web.archive.org/web/20110911105528/http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110911/dst11091109050001-n1.htm 東日本大震災6カ月 巨大地震の謎は解明できたのか]」[[産経新聞]]/MSN産経ニュース(2011年9月11日)</ref><ref name="Ide2">[http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2011/12.html 東京大学大学院] 井出哲「東北沖地震の二面性 -浅部のすべり過ぎと深部の高周波震動-」</ref>。
{{main|津波地震}}
 
72 ⟶ 73行目:
:[[トゥールのグレゴリウス]]などの記述では西暦[[563年]]に[[レマン湖]]南西岸の[[ジュネーヴ]]がトレデュナム・イベント([[:en:Tauredunum event|Tauredunum event]])と呼ぶ津波状の[[水害]]に襲われたとあるが、その時に地震があったとの記録はない。2012年10月28日、[[ジュネーブ大学]]の地質学者<ref group="注">学者3人、カトリーナ・クレマー(Katrina Kremer)、ステファニー・ジラークロ(Stéphanie Girardclos)、ガイ・シンプソン(Guy Simpson)</ref> は東端から流入する[[ローヌ川]]によってできた厚さ5 m、湖中心・最深部まで約10 km長、幅約5 kmの湖底堆積物が崩落して津波が発生し、[[シミュレーション]]により70分後に襲われたとの研究結果を発表した。採取した堆積物は[[放射性炭素年代測定]]により381年から612年のものと判明した。地質学者は湖でも津波は起こりうるとして再発も警鐘している<ref>[http://www.jiji.com/jc/c?g=int_date2&k=2012110500040 湖でも大津波=6世紀のジュネーブ水害-堆積物崩壊で発生・スイス調査][[時事ドットコム]](2012/11/05-07:31)</ref><ref>[http://yuihaga.blog.fc2.com/blog-entry-151.html 堆積物は波を大規模な落石が引き起こしたことを示し、現代の湖畔民へのリスクを際立たせる。] Jessica Marshall 28 October 2012 自然史ニュース</ref><ref>{{cite news|title=Tsunamis on Lake Geneva: Lake monsters|url=http://www.economist.com/blogs/babbage/2012/10/tsunamis-lake-geneva|accessdate=2012-11-06|newspaper=[[エコノミスト|The Economist]]|date=28 October 2012}}</ref><ref>{{cite web|url=http://www.nature.com/news/ancient-tsunami-devastated-lake-geneva-shoreline-1.11670 |title=Ancient tsunami devastated Lake Geneva shoreline|date =2012-10-28|publisher=[[Nature (journal)]]|accessdate=2012-11-06}}</ref>。
;火山活動による津波
:[[火山]]の[[山体崩壊]]や、[[火砕流]]の流入、[[カルデラ]]形成、爆発による水柱形成、[[火山性地震]]の発生、[[空振]]<ref>{{Cite web|和書|title=日本への津波 専門家「噴火に伴う空気の振動“空振”原因か」 |url=https://web.archive.org/web/20220116040634/https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220116/k10013433451000.html |website=NHKニュース |accessdate=2022-01-16 |last=日本放送協会}}</ref>などにより津波が発生する。
:* 発生例
:** 1741年:日本の[[渡島大島]]の山体崩壊による津波。2000人以上が死亡。
123 ⟶ 124行目:
なお、リツヤ湾では1853年か1854年に120 m、1936年に147 mの大波(いずれも到達高度)が起こったことも明らかになっている。これは、湾周囲の山林に植生する古い樹木を複数伐採して[[年輪]]を調べたところ、該当年の年輪の海側に、大きな外傷を受けた痕跡が残っていたことから判明したものである。{{see|リツヤ湾大津波}}
 
2011年12月5日[[アメリカ航空宇宙局]]は、[[人工衛星]]「[[ジェイソン1]]」の観測により、東北地方太平洋沖地震に伴って発生した津波が太平洋の[[海底山脈]]などによって方向を変え、震源地から何千kmも離れた海上で2つの波が融合した結果、より威力を持った津波となったことを初めて確認したと発表した<ref>「[https://web.archive.org/web/20111206225527/http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111206/dst11120613120005-n1.htm 津波融合し威力倍増か 海底地形が影響とNASA]」『産経新聞』2011年12月6日、および『読売新聞』2011年12月6日夕刊3版2面「[https://web.archive.org/web/20120206064300/http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866918/news/20111206-OYT1T00652.htm 津波巨大化の場面、米仏の衛星が初観測]{{リンク切れ|date=2015年5月}}」</ref>。
 
==== 津波の高さ、組成と被害の関係 ====
287 ⟶ 288行目:
河口から[[河川]]に侵入した津波が数十km上流まで遡上することがある(地理的な要因次第だが、高さ1 mの津波でも5 kmは遡上すると言われる)。河川を遡上する津波は、伝播速度が速くなり、遡上距離が長くなる傾向にある。先端部の形態は[[砕波段波]]と[[波状段波]]の2種類がある。
 
1960年5月24日の[[1960年チリ地震|チリ地震津波]]では、[[沖縄県]][[石川市]]の石川川を遡上した津波が家屋の浸水などの被害をもたらした。2003年9月26日の[[十勝沖地震]]では、津波が[[波状段波]]を形成しながら北海道の[[十勝川]]を遡上する様子が[[自衛隊]]により撮影された。この時の津波は、河口から少なくとも11 km上流まで遡上したことが確認されている。2011年東北地方太平洋沖地震による津波は、[[関東地方]]でも[[利根川]]の40 kmを筆頭に、[[江戸川]]3 km、[[多摩川]]13 km、[[荒川 (関東)|荒川]]28 kmなど<ref>[http://mainichi.jp/area/chiba/news/20110929ddlk12040117000c.html 大震災・安心の行方:東京湾内津波、最大1〜2メートル 首都圏も被災の危険 /千葉]{{リンク切れ|date=2015年5月}}『毎日新聞』</ref>、河口から遠い内陸部まで到達した。このことから、海に面していない埼玉県でも地震後、津波の被害に対応する地域防災計画の検討を始めるなどしている<ref>[https://web.archive.org/web/20120106195009/http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120104-OYT1T00987.htm 「海のない埼玉県が津波対策、荒川遡上を想定」]{{リンク切れ|date=2015年5月}}『読売新聞』ニュースサイト(2012年1月5日03時00分配信)</ref>。
 
また、遡上する津波が高い場合は河川の堤防を決壊させて洪水を引き起こすことがある。2011年東北地方太平洋沖地震の津波では、[[青森県]]、岩手県、宮城県の計22河川が津波により同時に決壊するという未曽有の被害を生じた<ref>[https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/kasentsunamitaisaku/dai01kai/index.html 国土交通省河川津波対策検討会資料] リンク先資料にあるとおり、津波を間接的原因として高潮や河川自身の流水によるものも含めれば、55河川での洪水を引き起こしている。</ref>。[[北上川]]では、河口から49 km離れた旧[[中田町 (宮城県)|中田町]]にまで津波が到達し、農地の大規模浸水が起こっているほか<ref>[http://www.thr.mlit.go.jp/bumon/b00037/k00290/river-hp/kasen/shinsaikanren/data/01kasenkaigansisetunohigaijyoukyou/2tunaminokasensojyoujyoukyou.pdf 国土交通省東北地方整備局資料]{{リンク切れ|date=2015年5月}}</ref>、[[名取川]]では仙台市[[太白区]]・[[若林区]]の、旧北上川や新北上川(追波川)では[[石巻市]]の市街地を濁流に呑み込み、甚大な被害を出した。特に[[石巻市立大川小学校]]では新北上川の堤防が高台であると考えて避難しようとしていたところ、川を遡上してきた津波が小学校を襲い、児童・教師らが多数死亡するという悲惨な出来事も起きている。津波の河川遡上という現象自体が一般にあまり知られていなかったため、津波の際に人々が海岸から離れることはあっても、河口付近以外で河川から遠ざかろうとすることは当時まれであった。
362 ⟶ 363行目:
日本では、[[気象業務法]]により気象庁が津波の監視と警報の発表を行うことが規定されている。気象庁は、津波の原因となる地震活動を24時間体制で監視しており、地震が発生すると最速2分以内に津波に関する予報・警報([[津波予報]]・[[津波注意報]]・[[津波警報]]・[[津波警報|大津波警報]])を発表し<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.jma.go.jp/jp/tsunami/|title=防災情報(津波)|publisher=気象庁ホームページ|accessdate=2017-6-10}}</ref>、テレビ・ラジオやインターネットなどで速報される。震源が遠くても規模の大きな地震など、震度が小さい地震の場合でも津波警報等が発表される場合もある。津波警報等の発表までの時間を短縮するために、[[地震計]]をより高性能のものに置き換える作業やケーブル式海底地震計の整備等が行われている。
 
こうした警報の支えとして、[[防災科学技術研究所]]が日本列島の太平洋側海底に観測機器ネットワークを設置している。東日本では[[日本海溝海底地震津波観測網]](S-net)、[[東南海地震]]の想定震源域には[[DONET|DONET1]]、[[南海地震]]の想定震源域では[[DONET2]]である。また[[統計数理研究所]]や[[東京大学地震研究所]]、[[高知工科大学]]は津波に伴う海面隆起などを遠方から補足できる微気圧振動(インフラサウンド)を観測しており、[[日本気象協会]]が2017年夏に開設する専用ホームページデータを公開する予定である<ref>「微気圧振動研究を加速/統計数理研など 観測データ夏にも公開 南海トラフ 地震津波観測に活用」『日刊工業新聞』2017年4月20日</ref>。
 
気象庁は、1952年に津波警報業務を開始し、1982年には気象資料自動編集中継装置 (ADESS) の地震処理業務開始を利用した警報業務が行われた<ref>{{PDFlink|[https://www.jma.go.jp/jma/kishou/minkan/koushu120518/shiryou4.pdf 津波警報の改善について] 気象庁 地震火山部 地震津波 監視課 2012.5.18}}</ref>。その後システムは改良され、2006年には[[緊急地震速報]]と連携したシステムとなり、予め計算していた予測情報と観測した地震の震源位置や規模などの情報を合わせ警報が出されている。なお、平成25年3月には東北地方太平洋沖地震の経験を踏まえ、発表方法や表現を変更したシステムが運用されている<ref name="JMA.tsunami.kaizen">[https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/tsunami/kaizen/ 津波警報の改善について] 気象庁 2013年2月21日</ref>。
605 ⟶ 606行目:
== 津波被害の歴史 ==
{{Main|歴史的な津波の一覧}}
{{seealso|地震の年表|日本の地震年表 (日本)}}
 
巨大な津波は、海底の[[砂利]]([[海砂]])、大きな石や貝殻などを陸地に運び上げ[[沿岸]]低地にそれらを堆積させる。これらは[[津波堆積物]]と言われる。過去の地層に残された津波堆積物から、有史以前の[[巨大津波]]の存在が多くの研究によって明らかにされている<ref>
629 ⟶ 630行目:
|author=Bondevik, S; Lovholt, F; Harbitz, C; Stormo, S; Skjerdal, G
|title=The Storegga Slide Tsunami - Deposits, Run-up Heights and Radiocarbon Dating of the 8000-Year-Old Tsunami in the North Atlantic
|booktitlebook-title=American Geophysical Union meeting
|year=2006
|pages=}}</ref>。例えば日本では、[[北海道大学]]の[[平川一臣]]ら、および政府の地震調査委員会によって行われた宮城県気仙沼市[[大谷海岸駅|大谷海岸]]の調査によると、過去6000年間に紀元前4-3世紀頃、4-5世紀頃、869年の[[貞観地震]]、15世紀頃、2011年の東北地方太平洋沖地震の5回、三陸から房総にかけて約600年周期で海溝型地震と津波が起こったとされる<ref>読売新聞2011年8月22日13S版2面 [https://web.archive.org/web/20110912040649/http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110821-OYT1T00511.htm 巨大津波、三陸で6千年に6回か…地層に痕跡]</ref><ref>産経新聞2011年8月22日 [https://web.archive.org/web/20110822235351/http://sankei.jp.msn.com/region/news/110822/myg11082213000000-n1.htm 気仙沼 6千年で6回の巨大津波 北大教授ら痕跡発見]、[[河北新報]]2011年8月22日 [http://www.kahoku.co.jp/news/2011/08/20110822t75007.htm 気仙沼、6000年に6回大津波 「貞観」石巻以北も到達か]、毎日新聞2011年8月22日東京朝刊 [http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110822ddm001040057000c.html 巨大津波:6000年で6回 周期性解明手がかり、宮城・気仙沼の地層に痕跡]</ref><ref>読売新聞2011年11月24日夕刊3版1面・2面・[https://web.archive.org/web/20111127014105/http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866918/news/20111124-OYT1T00681.htm 東日本巨大地震600年周期…千年に一度見直し]</ref>。
 
人間が文字による記録を残すようになって以来、大きな被害を出した津波が多数記録されている。古代ギリシアの歴史家[[トゥキディデス]]は、著書『[[戦史 (トゥキディデス)|戦史]]』で、紀元前426年に起きた地震についての記録を残している。その中でトゥキディデスは地震が津波を引き起こしていると推測しており、これは記録に残る限りでは最古の津波と地震の関係を述べた説だとされる<ref name="Thucydides 3.89.1-4">トゥキディデス: [http://www.perseus.tufts.edu/cgi-bin/ptext?lookup=Thuc.+3.89.1 “A History of the Peloponnesian War”, 3.89.1–4]</ref><ref name="Smid, T. C. 103f.">{{cite book|last=Smid|first=T. C.|title='Tsunamis' in Greek Literature|edition=2nd|volume=17|date=Apr., 1970|pages=100–104|work=Greece & Rome|issue=1}}</ref>。
645 ⟶ 646行目:
*2022年1月16日[[トンガ]]にある [[フンガ・トンガ]]の[[噴火]]により、津波が発生。日本でも津波のような海面の変動が観測され、津波警報が発表された鹿児島県奄美市小湊で1.2m、岩手県久慈で1.1m、その他日本の太平洋沿岸を中心に各地で海面の変動が観測された。高知県・徳島県・三重県では複数の漁船が転覆した<ref>{{Cite web|和書|url=https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/000241652.html |title=テレビ朝日の翌日の報道 |accessdate=2022-01-16}}</ref>。また、日本国外では、トンガで最大15m<ref>{{Cite web|和書|title=トンガ“最大15m”津波で死者3人…噴火直後に謎の「破裂音」(テレビ朝日系(ANN)) |url=https://news.yahoo.co.jp/articles/ab8a7b217d023ed0d54f529d1c9974b15293f5d1 |website=Yahoo!ニュース |accessdate=2022-01-19 |language=ja}}</ref>、バヌアツで1m41cm、ニューカレドニアで1m10cm、ポートサンルイス(アメリカ・カリフォルニア州)で1m31cmの津波を観測したほか、チリ沿岸部では、1m22cmから1m74cmの津波を観測した<ref>[https://www.nikkei.com/telling/DGXZTS00000720W2A110C2000000/「100年に1度」大噴火 衝撃波が太平洋揺らす] - 日本経済新聞電子版</ref>。なお、ニュージーランドでも船が破損したり、転覆するなどの被害が出た<ref>[https://www.sankei.com/article/20220116-F4YOM6WBQNOZNJ5H3UOMLLL6OY/ トンガ停電、通信遮断も NZでは船転覆] - 産経フォトニュース・2022年1月16日11時57分配信</ref>ほか、ペルーでは、噴火による海面変動が原因と見られる高波により、タンカーから原油が流出する事故が発生している<ref>[https://www.yomiuri.co.jp/world/20220119-OYT1T50076/amp/ トンガ噴火による高波でタンカーから原油流出、ペルーの海岸1万8000平方メートル汚染] - 読売新聞ONLINE・2022年1月19日10時11分配信</ref>。
* [[2024年]](令和6年)1月1日 [[令和6年能登半島地震]] M7.6<ref>{{Cite web |url=https://www.data.jma.go.jp/multi/quake/quake_detail.html?eventID=20240101162429&lang=jp |website=www.data.jma.go.jp |access-date=2024-01-01 |title=気象庁:地震情報 |publisher=気象庁}}</ref>。石川県能登で大津波警報が発令された<ref>{{Cite web |url=https://web.archive.org/web/20240101073027/https://www.data.jma.go.jp/multi/tsunami/index.html?lang=jp |website=web.archive.org |access-date=2024-01-01 |title=気象庁 津波警報・注意報 |publisher=webarchive/気象庁}}</ref>。
2024年1月1日19:56現在、[[石川県]][[輪島市]]で1m20cm<ref>その後の2月8日に、気象庁は「輪島で観測した1.2m以上の観測データ」について、『隆起で観測に不備があった可能性がある』などとして、輪島の津波観測データを欠測扱いにする事を決定している。参考資料:[https://www.asahi.com/sp/articles/ASS286HD4S28UTIL02Y.html 「輪島で津波1.2m以上」を削除 隆起で観測に不備か 気象庁](朝日新聞デジタル・2024年2月8日19時40分配信)</ref>、石川県の[[金沢港]]で90cm、[[山形県]]の[[酒田港]]と、[[富山県]][[富山市]]で80cm、[[北海道]]の[[瀬棚港]]で60cm、北海道の[[奥尻島]]の[[奥尻港]]で50cm、[[新潟県]]の[[柏崎市]]と、山形県の[[飛島]]で40cm、新潟県の[[新潟港]]と、新潟県[[佐渡市]]鷲崎、[[島根県]]の[[隠岐島]]西郷、[[青森県]][[深浦町]]、[[福井県]]の[[敦賀港]]、[[兵庫県]][[豊岡市]]、[[京都府]]の[[舞鶴港]]で30cm、北海道[[岩内町]](日本海側)と、北海道[[江差町]](日本海側)、島根県の[[浜田港]]、北海道[[利尻島]]、[[秋田県]]の[[秋田港]]で20cm、[[鳥取県]][[境港市]]の[[境港 (港湾)]]、鳥取県[[岩美町]]で10cmを観測している。
 
== 津波被害の予想 ==
* [[東海地震]]・[[東南海地震]]・[[南海地震]]([[東海・東南海・南海連動型地震]]、[[南海トラフ巨大地震]]) - 21世紀前半の活動が予想されている<ref name="kaikou">[https://www.jishin.go.jp/main/choukihyoka/kaikou.htm 2.海溝型地震の長期評価の概要(算定基準日 平成23年(2011年)1月1日)]、地震調査研究推進本部。</ref>。3つの地震は、単独・連動の発生により過去に大きな地震・津波災害を起こしている。1854年の[[安政南海地震]]の時に紀伊国広村(現在の和歌山県広川町)で起きた出来事をもとにしたフィクション「[[稲むらの火]]」([[小泉八雲]]作)は有名<ref>日本全国の6割を占める[[光村図書]]の国語教科書が取り上げている。</ref>。
**上記の地震との関連は不明だが、海岸から400 m内陸に位置する高知県[[土佐市]]蟹ヶ池では、2011年以前に当時の約2000年前の地層から津波による厚さ50 cmの堆積物が見つかっており、これは[[宝永地震]](1707年、Mw8.4 - 8.7)の津波堆積物の約3倍に当たる<ref>[https://web.archive.org/web/20110427074433/http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110425-OYT1T00737.htm 読売新聞2011年4月25日夕刊3版2面「M9級・超巨大地震!2000年前、巨大津波か」]、2011年5月1日付読売新聞 高知大学・岡村眞(地震地質学)が発見した。東京大学・古村孝志はM9クラスの超巨大地震による津波の可能性を指摘している。同池における[[宝永地震]]での堆積物は厚さ15 cm程度、近傍の[[青龍寺 (土佐市)|寺]]での津波高さは25 mとなっている。また、日本観測史上最大の東北地方太平洋沖地震の堆積物厚さは5 - 7 cm程度で、津波高さは10 m超となっている。</ref>。
**2011年12月27日、[[中央防災会議]]の「南海トラフの巨大地震モデル検討会」
* 十勝沖・根室沖・色丹島沖・択捉島沖 - 21世紀前半の活動が予想されている。連動の可能性も指摘されている<ref name="kaikou"/>。
663 ⟶ 665行目:
 
==== 津波の襲来確率予測 ====
2011年5月12日、地震調査委員会の[[島崎邦彦]]は[[日本記者クラブ]]の講演会で日本の沿岸各地に100年以内に襲来する津波の高さ、浸水域や発生確率を予測し発表すると述べた。従来からの大学や研究機関の予測成果に[[東日本大震災]]で分かった被害の知見を加え3年後から公表を始めるとしている。これにより沿岸自治体の防災計画や住民の防災意識向上につなげる<ref>「30年以内の地震発生確率に比べ発生頻度は低く100年以内とする方針。」読売新聞2011年5月13日13S版2面、および「[https://web.archive.org/web/20110514004811/http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110512-OYT1T00947.htm 津波の襲来確率、初の公表へ…地震調査委員会]」読売新聞ニュース{{リンク切れ|date=2015年5月}}</ref>。
 
=== 組織的な災害対策 ===
[[ファイル:High Seawalls in Tarō, Iwate -2.JPG|サムネイル|右|田老町の「万里の長城」]]
物理的な対策として、平坦な場所では上記のような緊急避難場所となる3階以上の頑丈な建造物を設けたり、安全な高台における開けた避難場所の整備、避難場所への誘導標識を充実させることが挙げられる。「津波避難ビル等に係るガイドライン検討会」によって、津波避難ビル等を指定するための「津波避難ビル等に係るガイドライン」が公布されている。津波を工学的に防御する手段として、沿岸の集落では長大な[[防潮堤]]が築かれる場合がある。設計範囲内の津波では被害を大幅に抑えることが可能だが<ref>[https://web.archive.org/web/20110410120730/http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110403-OYT1T00599.htm?from=navr 明治の教訓、15m堤防・水門が村守る] 読売新聞 2011年4月3日 2011年4月24日閲覧</ref><ref>[http://www.nikkei.com/tech/trend/article/g=96958A9C93819499E1E3E2E0E18DE1E3E2E1E0E2E3E3E2E2E2E2E2E2;p=9694E0E7E2E6E0E2E3E2E2E0E2E0 岩手県普代村は浸水被害ゼロ、水門が効果を発揮] 日本経済新聞 2011年4月1日 2011年4月24日閲覧</ref><ref>[https://web.archive.org/web/20110924195717/http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011041201000147.html 『津波で5割超の防潮堤損壊 岩手県が効果検証へ』] 共同通信 2011年4月12日 2011年4月24日閲覧</ref>、2011年の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)では岩手県釜石市や宮古市田老で設計高さ以上の津波により防潮堤が破壊され津波が侵入した例があり、防潮堤が津波の到達を遅らせた一方、防潮堤への過信から避難が遅れたとの見方がある<ref name="yomiuri20110320">{{Cite news
|author=金子靖志
|date=2011-03-20
|url=https://web.archive.org/web/20110322035952/http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110320-OYT1T00777.htm
|title=ジャンボ機250機分の波、世界一の防波堤破壊
|newspaper=[[読売新聞]]
683 ⟶ 685行目:
}}</ref><ref>{{Cite news
|date=2011-03-27
|url=https://web.archive.org/web/20110818085644/http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110327/dst11032700080001-n1.htm
|title=日本一の防潮堤を過信 岩手・宮古市田老地区「逃げなくても大丈夫」
|work=[[産経新聞|msn産経ニュース]]
702 ⟶ 704行目:
都市部では河川敷や河川沿いの低地に[[収容避難場所|避難場所]]を設定している場合が多いが、避難場所を津波が襲うこともあり得る。大都市は大河川が作った平野にあるので、避難途中の人々が通る道を河川をさかのぼった津波が襲う可能性も指摘されている<ref>読売新聞 2011年8月18日「河川敷に避難」に不安も 首都防災 暮らし再考(2)</ref>。
 
2011年には「津波防災地域づくりに関する法律」が制定された<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/point/tsunamibousai.html|title=津波防災地域づくりに関する法律について|publisher=国土交通省ホームページ|accessdate=2017-6-10}}</ref> が、イメージ悪化や[[都市計画]]への支障を懸念する自治体が多いため、「津波災害特別警戒区域」の指定は全国的にほとんど進んでいない<ref>{{Cite news|url=https://web.archive.org/web/20150320043917/http://www.yomiuri.co.jp/feature/TO000305/20150312-OYT1T50172.html/|title=「津波警戒域」の指定進まず…地価下落など懸念|work=|publisher=[[読売新聞]]サイト|date=2017年3月13日}}</ref>。
 
また平地が少ない三陸地方では、東日本大震災後も津波浸水想定区域や耐震性に問題がある多くの施設が避難先に指定されている<ref>{{Cite news|url=https://web.archive.org/web/20170624223735/http://www.yomiuri.co.jp/feature/TO000305/20170523-OYT1T50019.html|title=津波浸水区域内や耐震不足でも…避難施設に指定|work=|publisher=『[[読売新聞]]』朝刊|date=2017年5月23日}}</ref>。
 
== 津波の表現 ==
719 ⟶ 721行目:
現代の中国語圏では、津波のことを一般的に「海嘯」([[簡体字]]: {{Lang|zh-hans|[[:zh:海啸|海啸]]}}; {{ピン音|hǎixiào}})と呼ぶ(現代では銭塘江の逆流は「大潮」といった語を用いている)。ほかに「海溢」(古語)、「海漲」([[台湾語]])という表現もある。
 
[[朝鮮語]](韓国語)では「海溢」({{ko|[[:ko:해일|해일]]}})という表現が用いられるが、この語は津波の他に tidal bore や[[高潮]]などを含んでいる。特に津波について区別する際には「地震海溢」({{ko|[[:ko:지진해일|지진해일]]}})が用いられる。日本語の「つなを[[ハングル]]に転写した「{{ko|쓰나미}}」が使われる場合もある。
 
=== 「Tsunami」の国際語化 ===
[[英語]]文献において、{{en|tsunami}} という語が使われた例は、現在のところ『[[ナショナルジオグラフィック (雑誌)|ナショナルジオグラフィックマガジン]]』[[1896年]]9月号に掲載された[[明治三陸地震]]津波を報じる[[エリザ・シドモア]]執筆の記事 {{lang|en|"The Recent Earthquake Wave on the Coast of Japan"}}<ref>[http://ngm.nationalgeographic.com/1896/09/japan-tsunami/scidmore-text "The Recent Earthquake Wave on the Coast of Japan"本文]</ref> が最古とされている<ref>[http://www.npr.org/2011/03/18/134600508/history-of-tsunami-the-word-and-the-wave History Of Tsunami: The Word And The Wave][[ナショナル・パブリック・ラジオ]]、2011年3月18日。</ref>。しかし、一般的に初引用として知られているのは、[[小泉八雲]](ラフカディオ・ハーン)が[[1897年]](明治30年)に出版した著作集『仏の畠の落ち穂』({{en|Gleaming in Budda-Fields}})の中に収録された「生神様({{en|A Living God}})」である。[[濱口梧陵]]をモデルにした同作では、地震後に沿岸の村を飲み込んだ巨大な波を「{{en|tsunami}}」と、日本語の転写で表現した
 
その後、[[1904年]]の[[地震学]]の学会報告にはじまり、地震・気象の学術論文等に限られていた。元々英語圏では {{en|"tidal wave"}} <ref group="注">NHKでも、かつて緊急警報放送開始時の画面で、津波警報 は「{{en|"tidal wave warning"}} を用いていた。</ref> という語が使われてきたが、この語は本来[[潮汐 (]]({{en|tide}}) による波を指し、地震による波にこの語を使うのは学問的にふさわしくないとされ、現在では {{en|'''[[:en:Tsunami|tsunami]]'''}} が用いられる。研究者の間では {{en|"seismic sea wave"}}(地震性海洋波)という語が使われることもあったが、あまり一般的ではなかった。1946年、[[アリューシャン地震]]でハワイ諸島に津波の大被害があった際、日系移民が {{en|"tsunami"}} という語を用いたことから、ハワイでこの語が使われるようになり、被害を受けて設置された[[太平洋津波警報センター]]の名称も1949年には {{lang|en|[[:en:Pacific Tsunami Warning Center|Pacific Tsunami Warning Center]]}} とされたことから、アメリカ合衆国ではこの語が広く用いられるようになり、その後、1968年にアメリカの[[海洋学者]]ウィリアム・G・ヴァン・ドーン {{en|(William G. Van Dorn)}} が学術用語として使うことを提案し<ref>『地震・津波と火山の事典』東京大学地震研究所監修</ref>、国際語化した。
しかし、一般的に {{en|tsunami}} の初出作品として知られているのは、ラフカディオ・ハーン([[小泉八雲]])が[[1897年]](明治30年)に出版した著作集『仏の畠の落ち穂』({{en|Gleaming in Budda-Fields}}) の中に収録された「生神様」({{en|A Living God}}) である。[[濱口梧陵]]をモデルにした「生神様」では、地震後に沿岸の村を飲み込んだ巨大な波を {{en|"tsunami"}} と現地語の日本語で表現した。
[[Image:Tsunami large.jpg|thumb|upright=1.4|1946年アリューシャン地震で発生した津波から逃避する[[ヒロ (ハワイ州)|ヒロ]]の住民。]]
[[1946年]]、[[アリューシャン地震 (1946年)|アリューシャン地震]]で[[ハワイ諸島]]に津波の大被害があった際、現地の[[日系アメリカ人|日系人]]が「{{en|tsunami}}」という語を用いたことから、同地でこの語が使われるようになり、被害を受けて設置された[[太平洋津波警報センター]]の名称も[[1949年]]には {{lang|en|[[:en:Pacific Tsunami Warning Center|Pacific Tsunami Warning Center]]}} とされたことから、[[アメリカ合衆国]]ではこの語が広く用いられるようになり、その後、[[1968年]]にアメリカの[[海洋学者]]{{仮リンク|ウィリアム・G・ヴァン・ドーン|en|William G. Van Dorn}} が学術用語として使うことを提案し<ref>『地震・津波と火山の事典』東京大学地震研究所監修</ref>、国際語化した。
 
上記以降、ツナミ{{en|tsunami}}」は学術用語として広く国際なっ広く用いられていたが、[[2004年]]の[[スマトラ島沖地震 (2004年)|スマトラ沖地震]]による津波が激甚な被害をもたらしたことが世界中に報道されたことを契機に、一気に世界各国の言語で一般語になったとされる
その後、1904年の[[地震学]]の学会報告にはじまり、地震・気象の学術論文等に限られていた。元々英語圏では {{en|"tidal wave"}} <ref group="注">NHKでも、かつて「緊急警報放送」開始時の画面で、津波警報 {{en|"tidal wave warning"}} を用いていた。</ref> という語が使われてきたが、この語は本来潮汐 ({{en|tide}}) による波を指し、地震による波にこの語を使うのは学問的にふさわしくないとされ、現在では {{en|'''[[:en:Tsunami|tsunami]]'''}} が用いられる。研究者の間では {{en|"seismic sea wave"}}(「地震性海洋波」)という語が使われることもあったが、あまり一般的ではなかった。1946年、[[アリューシャン地震]]でハワイ諸島に津波の大被害があった際、日系移民が {{en|"tsunami"}} という語を用いたことから、ハワイでこの語が使われるようになり、被害を受けて設置された[[太平洋津波警報センター]]の名称も1949年には {{lang|en|[[:en:Pacific Tsunami Warning Center|Pacific Tsunami Warning Center]]}} とされたことから、アメリカ合衆国ではこの語が広く用いられるようになり、その後、1968年にアメリカの[[海洋学者]]ウィリアム・G・ヴァン・ドーン {{en|(William G. Van Dorn)}} が学術用語として使うことを提案し<ref>『地震・津波と火山の事典』東京大学地震研究所監修</ref>、国際語化した。
 
「ツナミ」は学術用語として広く国際語になっていたが、[[スマトラ島沖地震 (2004年)|スマトラ沖地震]]による津波が激甚な被害をもたらしたことが世界中に報道されたことを契機に、一気に各国の言語で一般語になった。
 
==人間以外の生物への影響==
津波は浅い海底や陸地の沿岸部、川の河口近くを激しく掻き乱すため、[[生態系]]に大きな影響を与える。東日本大震災では沿岸の生物やその幼生、卵、[[胞子]]などが漂流物に付着して流され、本来は生息しない[[北アメリカ大陸]]などに辿り着いて繁殖し、問題になっている<ref>{{Cite news|url=https://web.archive.org/web/20171013164330/http://www.yomiuri.co.jp/feature/TO000305/20170510-OYT1T50018.html|title=海洋生物300種、北米に漂着…大震災の津波で|work=|publisher=[[読売新聞]]オンライン|date=2017年5月10日}}</ref>。
 
== 文化的影響 ==