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広義の血液型とは、血液にみられる遺伝形質の個体差によって、さまざまに区別される遺伝的多型、あるいはその分類様式をいう<ref name="koto">コトバンク[https://kotobank.jp/word/%E8%A1%80%E6%B6%B2%E5%9E%8B-59520]</ref>。当初、血液型は[[赤血球]]を対象として研究されたが、近年、それ以外の各種血液成分についても多型性のあることが確認されるようになった<ref name="koto" />。(2019年時点で)ヒトの血液型として国際輸血学会が認定している型は37種類ある<ref>[https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t336/201910/562642.html?n_cid=nbpnmo_mled_html-new-arrivals 新たなヒト血液型「KANNO」を発見] 日経メディカル 記事:2019/10/15</ref>。
 
近年、血液型ごとに疾病の罹患率が異なることが明らかになってきている。
{{Main|[[#血液型と各疾患の罹患率など]]}}
 
なお血液型と性格との関連性には科学的根拠がない<ref name=jjpsy.85.13016>縄田健悟 (2014)、「[https://doi.org/10.4992/jjpsy.85.13016 【原著論文】血液型と性格の無関連性 -日本と米国の大規模社会調査を用いた実証的論拠-]」『心理学研究』 2014年 85巻 2号 p.148-156, {{doi|10.4992/jjpsy.85.13016}}, 日本心理学会。</ref>。
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[[輸血]]をする場合、[[#ABO式血液型|ABO式血液型]]など一部の分類は自然[[抗体]]が形成され、型違いの[[血液]]を混ぜると凝集や溶血が起きるため、型合わせする必要がある。また、血液型によって、凝集や溶血反応はそれぞれである。
 
また、70万人に1人程度といわれている低確率<ref>2009年4月29日放送 世界仰天ニュース</ref>で一人の人間が複数の血液型を持っている場合は、「血液型キメラ」と呼ばれる(例:A型99% AB型0.1%等)。詳しくは[[キメラ#動物#ヒトキメラ|キメラ]]の項を参照。
 
=== 赤血球の抗原を元に発見された型 ===
 
==== ABO式血液型 ====
{{Main|ABO式血液型}}
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MN式は1927年ランドシュタイナーとレヴィンによってウサギを免疫して得られた血清より抗体が発見され、抗M、抗Nとの反応で表現型はM・MN・Nの3通りに分けられ<ref group="脚注">厳密に言うとABO式のようにMN式も凝集力の違いなどからM<sub>1</sub>型とM<sub>2</sub>型、N<sub>1</sub>型とN<sub>2</sub>があり、MもNも<sub>1</sub>型が優性遺伝するなどの亜型が存在する、MN型質の年齢変化もM<sub>1</sub>やN型(両方とも)は胎児期にだんだん強まるのに対し、M<sub>2</sub>型は逆に弱まっていくという変化を示す。</ref><ref>古畑種基『血液型の話』岩波新書、1962年、36-39P</ref>、この血液型は遺伝するが、ABOの遺伝子と異なりM遺伝子とN遺伝子に優劣はなく、両方ある場合はMN型となる。一方Ss型は1947年にワルシュとモントゴメリーらによって大文字S抗体、1951年にレヴィンにより小文字s抗体が新生児溶血性疾患の子供を持つ女性や頻繁に輸血を受けて副作用を起こした患者の血清中に発見された、表現型はS・Ss・sの3通りに分けられる<ref group="脚注">なお、分泌型・非分泌型のSとsはこれとは全く関係ないので混同しないように注意。</ref>。白人190人で調べたところS因子はM因子に明確な相関性があり、S陽性の比率がM型は73.4%なのに対し、MN型は54.1%、N型は32.3%となる<ref>古畑種基『血液型の話』岩波新書、1962年、P40。</ref>。
 
後に本来は別々の血液型だが遺伝子の位置が染色体上で近く、見かけ上一緒に遺伝することがかったため、現在は一緒に扱うようになっている<ref name="血液型と輸血">北村聖、編集「血液型と輸血」『看護のための最新医学講座9 血液・造血器疾患』株式会社中山書店、2006年第2版、348-349P、ISBN 4-521-62511-8</ref>。
 
ABO式と異なりMN式の抗体は体温で反応しにくいため輸血時に問題を起こしにくいが、まれに抗M抗体が不適合妊娠・輸血時に問題を起こす場合があることと、一緒に持っているSs式抗体は元々新生児溶血性疾患の子供を持つ女性や頻繁に輸血を受けて副作用を起こした患者の血清中に発見されたことからもかるように、自然抗体ではないが問題を起こす{{r|血液型と輸血}}。
 
==== P式血液型 ====
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==== ルイス (Lewis) 式血液型 ====
1946年、イギリスのムーラントによって溶血性疾患にかかった新生児を産んだ母親2名から抗体が発見され<ref group="脚注">ただし、この溶血性疾患の新生児とこのルイス抗原は直接関係なく、片方の母親の血清は胎児の血球と反応しなかった。</ref>、2年後の1948年に、ムーラントとは別にデンマークの血液学者アンドレセンは新しい抗体2種類を発見し、後にムーラントの報告と同じ物とかったのでアンドレセンは2種類の抗体・抗原をLe<sup>a</sup>・Le<sup>b</sup>と命名した。ルイス抗原の大きな特徴として出生時に完成されておらず(このため新生児溶血疾患は招かない)、成長するに従い型が変化することがあり、新生児はほぼ全員Le(a−b−)だが、9割ほどは成長するに従いLe(a+b−)やLe(a−b+)に変化し6歳くらいまでに完成される、これの移行期である生後1年未満の幼児にはLe(a+b+)が見られる場合もあるが、成人には極めてまれ{{r|機能から見た変異}}で白人では成人を238人調べてLe(a+b+)が0人だった例がある<ref>古畑種基『血液型の話』岩波新書、1962年、86P</ref>。
 
これ以外にもルイス式はABO抗原同様に血液以外の体液にも検出される場合(分泌型)とされない場合(非分泌型)に分かれる特徴を持ち、Le(a+b−)は非分泌・Le(a−b+)は分泌型になる(Le(a−b−)は両方のパターンがある)他、Le(a−b−)の人のみ癌の診断に使われる消化器系腫瘍マーカーのCA19-9を作る遺伝子が欠落する副作用があるので、癌があってもマーカーが検出されないという変わった特徴を持つ血液型である。Le<sup>a</sup>・Le<sup>b</sup>抗体ともに自然抗体だが体温では反応しないものが多いため通常は輸血時に問題を生じないが、たまに体温で反応する抗体を持つケースがあり、こちらは不適合だと輸血副作用の原因となる{{r|血液型と輸血}}。
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;Ii式血液型
:1956年発見、抗原はIのみ(小文字i抗原が合成されて大文字I抗原になる)。i型は先天性白内障を伴うことがある。
;Spheran式血液型
:1959年発見、抗原は<math>\cap</math>のみで、<math>\cup</math>抗原が合成されて<math>\cap</math>抗原になる。<math>\cup</math>型は、先天性白内障を伴う可能性がある。Ii式血液型とSpheran式血液型は、本来は別々の血液型だが、生物学上ほぼ同値な血液型のため、現在はほぼ一緒に扱うようになっている<ref>https://smcb.jp/communities/9872/topics/1142375</ref>。
;GIL式血液型
:1981年発見。抗原はAQP3のみ。
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|}
 
これらの性質を利用し、緊急時の危機的出血で血液型を確定できない場合には、交差適合試験抜きでO型の[[輸血#{{仮リンク|濃厚赤血球|濃厚赤血球]]en|Packed red blood cells||redirect=1}}、AB型の[[輸血#{{仮リンク|新鮮凍結血漿|新鮮凍結血漿]]en|fresh frozen plasma|redirect=1}}[[輸血#{{仮リンク|濃厚血小板|濃厚血小板]]en|Platelet concentrate|redirect=1}}を使う。しかし輸血前には必ず患者検体を確保し、後追いで検査を進める。また、輸血経過を記録し、使用済み製剤も回収して保存する。同意書は輸血後に確保してもいい。
 
== 血液型と各疾患の罹患率など ==
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2009年のBrian M. Wolpinの研究論文<ref>{{Cite journal|author=Wolpin, Brian M. and Chan, Andrew T. and Hartge, Patricia and Chanock, Stephen J. and Kraft, Peter and Hunter, David J. and Giovannucci, Edward L. and Fuchs, Charles S. |title=ABO Blood Group and the Risk of Pancreatic Cancer} |journal=JNCI: Journal of the National Cancer Institute |volume=101 |issue=6 |pages=424-431 |date=2009-03 |ISSN=0027-8874 |doi=10.1093/jnci/djp020 |url=https://doi.org/10.1093/jnci/djp020}}</ref>によると、[[膵癌]]に関して、B型はO型に比べると1.72倍リスクが高い。
;
 
1962年にA2型インフルエンザにおいて、O型の人がA型の人と比べて1.2倍ほど多く罹患し、死亡率も他の血液型の人と比べて高いという報告がMcDonaldとZuckermann(1962)<ref>{{cite journal|author=McDonald JC, Zuckerman AJ. |title=ABO Blood Groups and Acute Respiratory Virus Disease |journal=Br Med J. |date==1962-07-14 |volume=2 |issue=5297 |pages=89-90 |doi= 10.1136/bmj.2.5297.89}}, {{|PMID=20789459 |20789459PMC=1925283}}, PMCID PMC1925283.</ref>によりなされた<ref>{{Cite journal|和書|author=渡辺真言 |title=A2型インフルエンザ・ウイルスに含まれるABO式血液型物質の研究:とくに血液型凝集素による感染予防機序について |journal=日本衛生学雑誌 |ISSN=0021-5082 |publisher=日本衛生学会 |year=1971 |volume=25 |issue=6 |pages=512-525 |naid=130000992907 |doi=10.1265/jjh.25.512 |url=https://doi.org/10.1265/jjh.25.512}}</ref>。
;血液型別罹患率の研究史
:古畑種基は、知人にツベルクリン検査が(BCGを)何度やっても陽性にならないという人がいたが、その人はABO式のB型で、後日結核菌がB型抗原の一部(人間のB抗原のうちB<sub>I</sub>がなく、B<sub>II</sub>・B<sub>III</sub>のみ。)を持つことが分かったところ、古畑は、「結核菌にB<sub>II</sub>・B<sub>III</sub>の抗原があるならば、B型の人は元々それがあるので、それに対する抗体ができない(結核菌独自のX抗原ならB型でも抗体ができる)のでツベルクリンの反応が悪いのだろう」と考えた<ref>古畑種基『血液型の話』岩波新書、1962年、116-117P</ref>が、これは古畑の個人的な当て推量の域を超えなかった。
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*1900年、[[オーストリア]]の医学者[[カール・ラントシュタイナー]](Karl Landsteiner, 1868 - 1943)によって初めて血液型が発見され、翌年の1901年に論文発表された<ref>Dr. Karl Landsteiner, ''Ueber Agglutinationserscheinungen normalen menschlichen Blutes'', Wiener klinische Wochenschrift, 14 Jg., Nr.46 (14. November 1901), S.1132-1134.</ref>。型名は「A型、B型、C型」とされ、自身の血液型をA型と名付けた。(ABO式の発見)
*1902年、アルフレッド・フォン・デカステロとアドリアノ・シュテュルリによって第4の型が追加発表された<ref>Dr. Alfred v. Decastello und Dr. Adriano Sturli, ''Ueber die Isoagglutinine im Serum gesunder und kranker Menschen'', Munchener medicinische Wochenschrift, 49 Jg., No.26 (1. Juli 1902), S.1090-1095.</ref>。
*1910年、エミール・フライヘル・フォン・デュンゲルンとルードビッヒ・ヒルシュフェルドにより、第4の型にAB型という名称が与えられ、「C型」とされていた型の名称はO型に変更された<ref>Prof.{{Cite E. v.journal |author=Dungern, undE Dr.von L.|year=1910 Hirschfeld, ''|title=Ueber Vererbung gruppenspezifischer Strukturen des Blutes, II'', Zeitschrift|journal=Z. fur Immunitatsforschung und experimentelle Therapie, BdImmun.6, HExp.1 (22Ther. Juni|volume=1 1910), S.|pages=284-292.|CRID=1570572700795322880}}</ref>。
*1927年、ラントシュタイナーとレヴィンにより、ウサギを免疫させて作った血清より抗M・抗N抗体を発見し、人間の血球がそれを使って3通りに分けられることを発表しMN式血液型を提唱。(MN式の発見)
*1927年、ラントシュタイナーとレヴィンにより、ウマ血清からP抗体を発見。(P式の発見)
*1932年、シッフと佐々木により、唾液などに血液型物質が検出される人とそうでない人がいることを発見。(分泌型と非分泌型の発見)
*1937年、ラントシュタイナーおよびアレクサンダー・ヴィナーが、[[アカゲザル]]を用いた実験によってD抗原を発見、それを1940年に論文発表した<ref>Landsteiner{{Cite journal|author=K., WienerLandsteiner; AS,A. S. Wiener ''|title=An agglutinableAgglutinable factorFactor in humanHuman bloodBlood recognizedRecognized by immuneImmune seraSera for rhesusRhesus blood.'',Blood Proc|journal=Experimental SocBiology Expand BiolMedicine Med|ISSN=1535-3702 |publisher=SAGE Publications |date=1940;-01 |volume=43: |issue=1 |pages=223-224 |url=https://doi.org/10.3181/00379727-43-11151 |doi=10.3181/00379727-43-11151}}</ref>。アカゲザルは英語での通称がRhesus Monkeyであるため「[[Rh因子]]」と呼ばれるようになった。(Rh式の発見)
*1941年 - 1946年、Rh型の抗体・抗原が複数あることが判明し、1946年までに主要な6つの型(現在のCとc・Dとd・Eとe型)が発見される。
*1945年、オーウェンによってウシで血液キメラが初めて発見される。
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== 人間以外の血液型 ==
{{main|en:Blood type (non-human)}}
;人間の血液型と同じ抗原があるという意味の「血液型」
:初期は血液型は人にだけあって他の動物界にはない(=この抗体・抗原は人間に特有なもの)と考えられたが、1911年、フォン・デュンゲルンとヒルシュフェルトが抗B抗原 (β) について「ウサギ・イヌ・ウシの血球がβを吸収し、ネコ、イヌの血球がβの一部を吸収する<ref group="脚注">この文だとイヌの血球がβの一部と全部どっちの吸収をするのかよくわからないが、『血液型の話』の原文ママ</ref>。」と報告し、動物にも人のように血液型があると考えられて様々な抗体抗原反応が調べられた<ref>[[#古畑1962|古畑 (1962) p.92-93]]</ref>。同年にスウェーデンのフォルスマンがモルモットの腎臓の食塩水エキスをウサギに注射して作った[[フォルスマン抗原]](ホルスマン抗原とも)でモルモットと無関係の羊の血球を溶かす性質(これを異性溶血素という)がありモルモットの臓器と羊の血球に共通抗原があるとして報告し、その後1924年のドイツのシッフとアーデルスベルゲルが人間のA型血球をウサギに注射して作った抗原が人以外にヒツジの血球を溶かすと報告したが、後の調査で両者は同一のものとされ<ref>[[#古畑1962|古畑 (1962) p.110-111]]</ref>、これらを元に植物を含む様々な生物に抗体抗原反応が起きることが確かめられたが、通常の血清などの抗体(ポリクロナール抗体)では強弱の違いがあっても類似する抗原に反応してしまうことがあるため、現在はより正確性を期すためABO式血液型検査にも使用されるモノクローナル抗体(特定の抗原のみ反応する抗体)で調査するようになっており<ref>[[#山本2015|山本 (2015) p.148-152]]</ref>、こうして調べられたところ、前述のフォン・デュンゲルン達による抗B抗体と反応する抗原は「アルファ1-3ガラクトエピトープ」という多くの哺乳類に見られる物質であること、またA抗原の一種とされたフォルスマン抗原も多くの脊椎動物に見られるもので、人間のB抗原やA抗原とは違う物質どころか、そもそも人間を含む霊長類の大半に存在しない(新世界ザルは例外的に保有)物質であることがかっている<ref>[[#山本2015|山本 (2015) p.148-154]]</ref>。
:(一般的に異種生物の血液型として知られているデータは山本茂の『血液型』(化学同人1986年)という本からの引用だが、これの原文は「ABO血液型抗原または類似抗原」であり、人間のものと違う抗原も含む<ref>[[#山本2015|山本 (2015) p.151]]</ref>。)
:ただし細菌のABO血液型抗原は人間のものとほぼ同じ抗原で<ref>[[#山本2015|山本 (2015) p.153-155]]</ref>、これは遺伝子の水平伝播があった可能性(細菌同士の水平伝播は確認済み、脊椎動物との伝播があるのかは未確認。)が指摘されている<ref>[[#山本2015|山本 (2015) p.170-173]]</ref>。
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* WU Kunher, LINDSTED Kristian D., LEE Jerry W. (2005). [http://cat.inist.fr/?aModele=afficheN&cpsidt=16459254 Blood type and the five factors of personality in Asia]. - 台湾の論文。この調査では、血液型と外向性の関連性を否定する結果が出た。
* 山崎賢治・坂元章 (1992) 「血液型ステレオタイプによる自己成就現象~全国調査の時系列分析~」『日本社会心理学会第33回大会発表論文集』 - 血液型性格関連説が社会的に広まり始めた数年後の1978年を起点に1988年まで、日本人延べ32,347人の自己評価による性格の経年変化を調べた。血液型性格分類を信じ、自分の性格をそれに合わせて振る舞っている人が有意に多いことを示した。
* {{Cite journal|author=Sakamoto, A., &Akira; Yamazaki, K. (Kenji|year=2004). |title=Blood-typical personality stereotypes and self-fulfilling prophecy: A natural experiment with time-series data of 1978–19881978-1988|url=https://www.researchgate. ''net/publication/228381093_Blood-typical_Personality_Stereotypes_and_Self-fulfilling_Prophecy_A_Natural_Experiment_with_Time-series_Data_of_1978-1988|journal=Progress in Asian Social Psychology, |volume=4'', 239–262.|pages=239-262|publisher=Citeseer}} - 上記の山崎賢治・坂元章 (1992) と同様の内容。
* 武藤浩二・長島雅浩他 (2012)「[https://kaken.nii.ac.jp/pdfja/2011grant/seika/CKAKENHI-19/17301/22650191seika.pdfPROJECT-22650191 教員養成課程における科学リテラシー構築に向けた疑似科学の実証的批判的研究]」『2011年度科研費研究成果報告書』 - 山崎賢治・坂元章 (1992) は1978年から1988年までの11年間に毎年約3,000人(延べ32,347人)を解析したものであるが、このデータを2000年代にまで拡張して解析しても、同様の結果がでることが判明した(詳細な人数・年数は報告書には未掲載)。
* 山岡重行, 大村政男, 浮谷秀一「[[doi:10.24534/amjspp.18.0_11|会議情報 血液型性格判断の差別性と虚妄性(自主企画(2))]]」『日本パーソナリティ心理学会大会発表論文集』 {{doi|10.24534/amjspp.18.0_11}} - 1999年から2009年までの6600人を調べたところ、血液型性格分類に対するステレオタイプを持つ被験者に限り多くの項目で有意差が出た。</ref>。だが1970年代から2000年代前半にかけて、多くのテレビや書籍が根拠なく分類を広めたため、いまだに血液型と性格の関連性を信じている人もいる<ref>{{Cite web |author=MARI YAMAGUCHI |date=2005-05-06 |url=http://aol.mediresource.com/channel_health_news_details.asp?news_id=6661&news_channel_id=11&channel_id=11 |title=Myth about Japan blood types under attack |work= |publisher=The Canadian Press |accessdate=2014-04-05|archiveurl=https://archive.is/SiAbU |archivedate=2013-02-15}}</ref>。血液型性格分類が広まっているのは、日本とその影響を受けた[[大韓民国|韓国]]、[[台湾]]といった一部地域だけである。そもそもB型とAB型が多い地域はアジア地域だけであり、欧米など世界の多くの地域では主にA型とO型だけで構成されており、それらの地域では性格と血液型を関係づける習慣がなく、日本の血液型性格分類は奇妙に思われている<ref>海外記事を紹介するnewSphereの記事([http://newsphere.jp/national/20140723-2/ 血液型に対する海外メディアの反応])では「海外では血液型と性格を結びつけることはないためか、日本のこうした慣習は新鮮なようだ」としている。しばしば海外メディアは日本の奇妙な習慣として血液型性格診断を紹介している([http://www.nytimes.com/2006/12/14/sports/baseball/14blood.html?_r=1&ref=sports&oref=slogin 米NYタイムズ記事]、[http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-pacific-14024206 英BBC記事])</ref>。そもそも血液型への関心自体が薄く、自分の血液型を覚えていない人も多い([[輸血]]が必要な時などは、その場で血液型検査が行われる)<ref>BBC NEWS [http://www.bbc.com/news/magazine-20170787 Japan and blood types: Does it determine personality?]<br/>日刊サイゾー「[http://news.livedoor.com/article/detail/4949964/ 【のり・たまみのへんな社会学 第5回】世界でも日本だけ!? 血液型にこだわる日本人の国民性]」</ref>。一方で、人種差別を正当化するために血液型性格診断を利用していた[[ナチス・ドイツ]]の例も存在する<ref name="zukai">松尾友香(2009)『図解入門 よくわかる最新血液型の基本としくみ:血液型のメカニズムを図解で学ぶ』p.12</ref>。
 
血液型によって人の性格を判断し、相手を不快や不安な状態にさせる言動は[[ブラッドタイプ・ハラスメント]](通称'''ブラハラ''')と呼ばれ、近年になり社会問題として取り上げられるようになった<ref name=BPO>{{Cite web |和書|url=http://www.bpo.gr.jp/?p=5125|title=「血液型を扱う番組」に対する要望 |publisher=BPO(放送倫理・番組向上機構)青少年委員会 |accessdate=2014-04-05}}</ref>。採用試験の応募用紙に血液型の記入欄があったため、改善するよう労働局から指導された企業もある{{r|jjpsy.85.13016}}<ref>{{cite news|url=https://web.archive.org/web/20140819090031/http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20140722-OYT8T50051.html|title=科学 血液型と性格「関連なし」…日米1万人超を調査|work=読売新聞 (YOMIURI ONLINE)|accessdate=2014-8-17}}<br>{{cite news|url=http://www.yomiuri.co.jp/kodomo/newspaper/compare/20140723-OYT8T50076.html?from=yartcl_popin|title=B型はマイペース?…研究者「関係ありません」|work=YOMIURI ONLINE KODOMO|accessdate=2014-8-17}}</ref>。[[厚生労働省]]は「血液型は職務能力や適性とは全く関係ない」と呼びかけている{{r|jjpsy.85.13016}}<ref>厚生労働省の「血液型は職務能力や適性とは全く関係ない」という発表内容は[http://kumamoto-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/riyousha_mokuteki_menu/zigyounusi/kose-saiyou.html 熊本労働局]のサイトで確認できる。2015年10月12日閲覧<br>ただし、全国の労働局を総括する[http://www2.mhlw.go.jp/topics/topics/saiyo/saiyo1.htm 厚生労働省本省]のサイトでは同様の発表内容は確認できない。2015年10月19日閲覧</ref>。
 
血液型性格分類に科学的根拠がないとされるにもかかわらず当たっているように感じる理由として、以下の心理現象が挙げられている。
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* [[予言#自己成就予言|予言の自己成就]]。根拠のない記述であっても、それを信じて行動するとその記述通りの結果が生じてしまうという現象<ref name="JAW">{{cite news|url=http://www.jaw.or.jp/anzen/letter/no_25.htm|title=予言の自己成就|work=JAW 安全衛生ホームページ|accessdate=2014-7-25}}</ref>。
 
その一方、2020年以後には、AIを使って血液型の推測を行った研究が開始された。2020年に250人のインドネシア人を対象に<ref>{{Cite |author=Akbar, A. T., Husaini, R., Akbar, B. M., Saifullah, S. |date=2020 |title=A proposed method for handling an imbalance data in classification of blood type based on Myers-Briggs type indicator |url=https://doi.org/10.14710/jtsiskom.2020.13625 |accessdate=2021-07-23 }} - インドネシア人250人のMTBIのデータセットを使用し、k-NN法によって推測。</ref>、翌2021年には日本人5,609人<ref>{{Cite |author=Masayuki Kanazawa |date=2021 |title=A Pilot Study Using AI for Psychology: ABO Blood Type and Personality Traits |url=http://article.sapub.org/10.5923.j.ajis.20211101.01.html |accessdate=2021-07-23 }} - 日本人5,609人の血液型アンケートのデータセットを使用し、多項ロジスティック回帰法によって推測。また、「血液型と性格の知識が全くない」「血液型と性格は全く関係ない」という回答者も含め、明確に血液型による差が出たと述べている。</ref>、2023年には日本人2,887人を対象にして実験したところ<ref name="kanazawa2023">{{Cite |author=Masayuki Kanazawa |date=2023 |title=Pilot Analysis of Genetic Effects on Personality Test Scores with AI: ABO Blood Type in Japan | url=https://www.walshmedicalmedia.com/open-access/pilot-analysis-of-genetic-effects-on-personality-test-scores-with-ai-abo-blood-type-in-japan-118044.html |accessdate=2023-03-11 }} - 日本人2,887人の血液型アンケートのデータセットを使用し、Microsoft Azureのデフォルトで推測。血液型の特徴をAIの学習データにすると、性格検査より血液型の正解率が高かった。</ref>、いずれも正解率は偶然より有意に高かった。
 
2022年には、中国人100万人の妊娠データの分析を行い、血液型と結婚が関係していることを示した論文も発表されている<ref>{{Cite |author=Yao Hou et al. |date=2022 |title=Assortative mating on blood type: Evidence from one million Chinese pregnancies | url=https://doi.org/10.1073/pnas.2209643119 }}</ref>。
 
同じ2022年には、科学雑誌『[[ネイチャー|Nature]]』に、ABO型血液型と腸内細菌叢に関する論文が3報発表され<ref>{{Cite |author=Yang H et al. |date=2022 |title=ABO genotype alters the gut microbiota by regulating GalNAc levels in pigs | url=https://www.nature.com/articles/s41586-022-04769-z }}</ref><ref>{{Cite |author=Qin Y et al. |date=2022 |title=Combined effects of host genetics and diet on human gut microbiota and incident disease in a single population cohort | url=https://twitter.com/takatoh_life/status/1519485334484295681 }}</ref><ref>{{Cite |author=Lopera-Maya EA et al. |date=2022 |title=Effect of host genetics on the gut microbiome in 7,738 participants of the Dutch Microbiome Project | url=https://www.nature.com/articles/s41588-021-00992-y }}</ref>、うつ病、精神との因果関係が示されている細菌の存在量の違いが示されている。
 
;関連作品
{{preview warning|{{Notice|提示する作品は、Wikipediaのガイドライン[[Wikipedia:関連作品]]に準拠した作品であることを確認の上、その理由も書いてください。}}}}
* [[B型の彼氏]] - 2005年に韓国で公開された映画。
* [[血液型別 オンナが結婚する方法♪]] - 2009年にフジテレビ系で放送されたテレビドラマ。
* [[血液型くん!]] - Real Crazy Manによるウェブコミック。及び、それをもとにした漫画、テレビアニメ。
 
== 脚注 ==
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== 出典 ==
{{Reflist|30em|refs=
<ref name="jrc">{{Cite web|和書
| url = http://www.jrc.or.jp/blood/knowledge/tipe/index.html
| archiveurl = https://archive.fo/Cidl
| title = 血液型
| publisher = [[日本赤十字社]]
| accessdate = 2009-10-404
| archivedate = 2012-808-404
| deadlinkdate url-status=dead|url-status-date= 2018年7月 -07}}</ref>
<ref name="rbccomp">{{citeCite web
| url = http://chapters.redcross.org/br/northernohio/INFO/bloodtype.html
| archiveurl = https://web.archive.org/web/20061220132057/chapters.redcross.org/br/northernohio/INFO/bloodtype.html
419 ⟶ 435行目:
| accessdate = 2006-12-24
| archivedate = 2006-12-20
| deadlinkdate url-status=dead|url-status-date= 2021年4月-04-30 }}</ref>
}}
 
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== 関連項目 ==
* [[ABO式血液型]]
* [[血液型性格分類]]
* [[血液型ダイエット]]
* [[血液型占い]]
* [[献血]]・[[輸血]]・[[手術]]
* [[亜型検査]]
* [[不規則抗体]]
* [[クームス試験]]
* [[Rh因子]]
* [[医療識別票]] - 意識不明時などに、稀な血液型等の医療上伝えるべき情報を表示するタグ。
;文化
* [[ブラッドタイプ・ハラスメント]] - ブラハラ、血液型ハラスメント等とも言われる社会問題のひとつ。
* [[血液型ダイエット]]
* [[B型の彼氏]] - 2005年に韓国で公開された映画。
* [[血液型性格分類占い]]
* [[血液型別 オンナが結婚する方法♪]] - 2009年にフジテレビ系で放送されたテレビドラマ。
* [[血液型くん!]] - Real Crazy Manによるウェブコミック。及び、それをもとにした漫画、テレビアニメ。
 
== 外部リンク ==
454 ⟶ 465行目:
{{Wiktionary|血液型}}
* {{Kotobank}}
{{輸血}}
 
{{Normdaten}}
{{DEFAULTSORT:けつえきかた}}