「記念樹事件」の版間の差分

'''記念樹事件'''（きねんじゅじけん）は、歌曲『[[どこまでも行こう]]』の作曲者である[[小林亜星]]とその[[著作権]]者（編曲権者）である有限会社金井音楽出版が、楽曲『[[記念樹 (あっぱれ学園生徒一同の曲)|記念樹]]』の作曲者である[[服部克久]]に対して『記念樹』が『どこまでも行こう』を無断で[[編曲]]したものであることを理由とした[[著作者人格権]]（[[同一性保持権]]、氏名表示権）侵害および編曲権侵害に基づく[[損害賠償]]を求めて[[1998年]]（平成10年）に提訴した事件の俗称である。

小林は服部が作曲した『記念樹』（[[1992年]]発表。[[フジテレビジョン|フジテレビ]]で放送されていた[[明石家さんま]]司会のトークバラエティ番組『[[あっぱれさんま大先生]]』のエンディング・テーマ）が、小林の作曲した『どこまでも行こう』（[[1966年]]発表。[[ブリヂストン|ブリヂストンタイヤ、現ブリヂストン]]の[[コマーシャルソング|CMソング]]・愛唱歌）の[[盗作]]であり、[[著作権]]を侵害していると抗議した。

両曲には「メロディーのはじ始めと終わりの何音かが同じ」「メロディーの音の約72パーセントが同じ高さの音」といった「表現上の本質的な特徴の同一性」があり、この顕著な類似性が偶然の一致によって生じたものと考えることは不自然・不合理であるとし、服部が『どこまでも行こう』に依拠して『記念樹』を作曲したものであると認定した。

結果として、小林の氏名表示権・同一性保持権侵害と音楽会出版社の編曲権侵害を肯定し、小林と音楽出版社に対する合わせて約940万円の損害賠償を服部に命じた。

株式会社フジテレビジョン<ref group="注">旧法人。現在の株式会社[[フジ・メディア・ホールディングス]]。</ref>、株式会社フジパシフィック音楽出版<ref group="注">現在の株式会社[[フジパシフィックミュージック]]。</ref>、株式会社[[ポニーキャニオン]]に対して、計2338万9710円の損害賠償が命じられた。なお、金井音楽出版によるJASRACへの損害賠償請求（2003年4月提訴、同年12月一審で一部認容）は、2005年2月に棄却された<ref>JASRAC プレスリリース</ref>。

フジテレビは、控訴審判決後の[[2002年]]（平成14年）9月8日放送分から『記念樹』の使用を中止することとし<ref group="注">この放送から最終回まで「未来のドア」が流されている。</ref>、JASRACも上記最高裁決定を受けて『記念樹』の利用許諾を中止した。また、小林が小学校など同曲を使用する可能性がある団体に利用の中止を求めたため、『記念樹』の公の場での歌唱・演奏は事実上不可能となった。

「『記念樹」』を作詞した[[天野滋]]は2005年に、作曲した服部克久は2020年に、「『どこまでも行こう」』を作詞・作曲した小林亜星は2021年にそれぞれ死去したことにより、著作権法上は「『どこまでも行こう」』と「『記念樹」』は2092年に[[パブリックドメイン]]になる見通しである。

* {{Cite web|和書

| accessdate = 2018-12-101

| archivedate = 2017-101-21

| deadlinkdate url-status=dead|url-status-date= 2020年-10月-16日 }}

*{{PDFlink|[https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/331/013331_hanrei.pdf 一審判決]}} 東京地裁平成10(ワ)17119、平成10(ワ)21184、平成10(ワ)21285 - 裁判所ホームページ

*{{PDFlink|[https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/656/011656_hanrei.pdf 控訴審判決]}} 東京高裁平成12(ネ)1516 - 裁判所ホームページ