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{{OtherusesOtheruseslist|メキシコの薄焼きパン|スペインの卵料理|トルティージャ|飲食チェーン|トルティーヤ (飲食チェーン)}}
{{出典の明記|date=2015年4月29日 (水) 02:10 (UTC)}}
[[File:TortillaMakingSalvador.jpg|thumb|200px|トルティーヤを作る母娘、[[エルサルバドル]]、[[1900年代]]。母親が磨石(マノ)と石皿(メタテ)で[[ニシュタマリゼーション|ニシュタマル]]をすりつぶして[[マサ]]を作り、上の娘がトルティーヤを成形している。]]
 
'''トルティーヤ'''({{lang-es|tortilla}}、[[国際音声記号|IPA]] 英語:{{IPAc-en|t|ɔr|ˈ|t|iː|ə}}、{{IPA-es|toɾˈtiʎa|lang}})は、すり潰した[[トウモロコシ]]の粉や[[小麦粉]]から作る[[メキシコ]]、[[アメリカ合衆国南西部]]および[[中央アメリカ]]の伝統的な薄焼き[[パン]]である。現代メキシコでは[[小麦粉主食]]から作らとして食さた同様のもている{{R|予}}。日本語カタカナ表記としては'''トルティージャ'''ある{{R|W07|サ}}。本記事では以降、「トルティーヤ呼ばれている。[[タコス]]を作るのにも使われ表記する。
 
== 名称概要 ==
中米[[スペインディオ人が入植する以前、[[アステカ]]の伝統料理あるも食べられていたが、これをスペイン人が見た[[ときにスペイン人]]は本国オムレツ風の[[鶏]]伝統的な[[卵料理]][[トルティージャ|トルティーリャ]]に外見が似ていたことから、このスペイン語の名前同じ呼称で呼ばれるようになった{{R|予|パン}}ただし実際にはなお丸く薄黄色いという外見以外スペイン語の{{lang|es|ll}}の発音共通点が国・地域により「ヤ」から「ジャ」と異る([[ジェイスモ]]を参照)
 
単に「トルティーヤ」と呼ぶ場合はトウモロコシの粉から作ったものを指すが、区別する場合には、トウロモコシの粉から作ったトルティーヤを{{仮リンク|コーントルティーヤ|en|Corn tortilla}}、[[小麦粉]]から作ったトルティーヤを{{仮リンク|フラワートルティーヤ|en|Flour tortilla}}と呼ぶ{{R|予|サ}}。比べると、フラワートルティーヤのほうがやや大きいサイズであることが多い、フラワートルティーヤのほうが柔らかいといった違いがある{{R|予}}。
スペイン語の {{lang|es|ll}} の発音は地域や話者により異なり、[[ジェイスモ|スペインでは「リャ」行子音に近い発音を、メキシコでは「ヤ」行子音に近い発音をする人が多い]]。故に本稿ではメキシコの {{lang|es|tortilla}} を「トルティーヤ」とする。
 
[[タコス]]のように食材をトルティーヤで包んで食べる料理もあるほか、冷めたトルティーヤを食べるための料理も多数ある{{R|予}}。
== 概要 ==
[[メソアメリカ]]の先住民たちは、この文化圏で栽培化された原産のトウモロコシを[[アルカリ]]処理し、メタテ {{lang|es|(metate)}} などという[[石皿]]とマノ {{lang|es|(mano)}} という[[磨石|すり棒]](写真右を参照)ですり潰した生地を薄く延ばして[[テラコッタ]]製の[[コマル]]で焼いたものを、[[スペイン]]人に征服される以前から主食としていた。[[アステカ]]では、この薄焼きパンを、[[ナワトル語]]でトラシュカリ {{lang|nah|(tlaxcalli)}} などと呼んだ。
 
== 概要歴史 ==
16世紀に宣教のため[[アメリカ大陸]]に渡った[[ベルナルディーノ・デ・サアグン]] {{interlang|es|Bernardino de Sahagún|(Bernardino de Sahagún)}} が、著書の『[[ヌエバ・エスパーニャ]]綜覧』 {{lang|es|(''Historia general de las cosas de Nueva España'')}} 内で、当時の[[アステカ料理|アステカ人の食生活]]を詳しく供述しており、大きさ、厚さ、食感、色などの違いからそれぞれ別名で呼ばれていた多種多様な「トルティーヤ」が存在していたことが窺える<ref>Benitez, Ana M. de. ''Pre-hispanic cooking/Cocina Prehispanica''. Mexico City, Ediciones Euroamerica Klaus Thiele, 1976, p.p. 37-39.</ref>。
[[File:Tortilleras aztecas.jpg|thumb|16世紀のメンドーサ文書より、母が娘にトルティーヤの作り方を教える様子]]
[[メソアメリカ]]の先住民たちは、この文化圏で栽培化された原産のトウモロコシに[[ニシュタマリゼーション]]と呼ばれる[[アルカリ]]処理を行い、メタテ {{lang|Lang-es|(metate)|links=no}} などという[[石皿]]とマノ {{lang|Lang-es|(mano)|links=no}} という[[磨石|すり棒]](写真右を参照)ですり潰した生地を薄く延ばして[[テラコッタ]]製の[[コマル]]で焼いたものを、[[スペイン]]人に征服される以前から主食としていた。[[アステカ]]では、この薄焼きパンを、[[ナワトル語]]でトラシュカリ {{lang|Lang-nah|(tlaxcalli)}} などと呼んだ。
 
16世紀に宣教のため[[アメリカ大陸]]に渡った[[ベルナルディーノ・デ・サアグン]] {{interlang|es|Bernardino de Sahagún|(Bernardino de Sahagún)}} が、著書の『[[ヌエバ・エスパーニャ]]綜覧』 {{lang|es|(''Historia general de las cosas de Nueva España'')}} 内で、当時の[[アステカ料理|アステカ人の食生活]]を詳しく供述しており、大きさ、厚さ、食感、色などの違いからそれぞれ別名で呼ばれていた多種多様な「トルティーヤ」が存在していたことが窺える<ref>Benitez, Ana M. de. ''Pre-hispanic cooking/Cocina Prehispanica''. Mexico City, Ediciones Euroamerica Klaus Thiele, 1976, p.p. 37-39.</ref>。
[[ラテンアメリカ|中南米]]では、[[キューバ]]などの独立が遅れた地域を除き、トルティーヤといえばメキシコと同じものを指す事が多いが、[[パナマ]]のトルティーヤは厚焼きでぼってりしており、むしろ[[コロンビア]]や[[ベネズエラ]]の[[アレパ]]に似ている。中南米ではスペインのトルティージャはスペイン風トルティージャ {{lang|es|(tortilla española)}} や、トルタ {{lang|es|(torta)}} という。なお、[[トルタ]]は厚焼きのもの全般を指す事があり、ケーキなどもトルタと呼ぶことがある。なお、メキシコでは、やや[[フランスパン]]に似ていなくもないずんぐりした[[パン]]を横半分に切って肉、[[アボカド]]の薄切り、[[フリホレス]]のペーストなどをはさんだ[[サンドイッチ]]をトルタと呼んでいる。
 
[[ラテンアメリカ|中南米]]では、[[キューバ]]などの独立が遅れた地域を除き、トルティーヤといえばメキシコと同じものを指す事が多いが、[[パナマ]]のトルティーヤは厚焼きでぼってりしており、むしろ[[コロンビア]]や[[ベネズエラ]]の[[アレパ]]に似ている。中南米ではスペインのトルティージャはスペイン風トルティージャ {{lang|Lang-es|(tortilla española)|links=no}} や、トルタ {{lang|Lang-es|(torta)|links=no}} という。なお、[[トルタ]]は厚焼きのもの全般を指す事があり、ケーキなどもトルタと呼ぶことがある。なお、メキシコでは、やや[[フランスパン]]に似ていなくもないずんぐりした[[パン]]を横半分に切って肉、[[アボカド]]の薄切り、[[フリホレス]]のペーストなどをはさんだ[[サンドイッチ]]をトルタと呼んでいる。
 
== 製法 ==
{{複数の問題|section=1
|出典の明記=2022年11月25日 (金) 21:37 (UTC)
|独自研究=2022年11月25日 (金) 21:37 (UTC)
}}
[[File:Balboa 20 bg 120603.jpg|thumb|200px|トルティーヤを焼く [[サンディエゴ]]]]
[[File:NCI flour tortillas.jpg|thumb|200px|小麦粉のトルティーヤ]]
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本来はトウモロコシの粒をアルカリ水溶液処理([[ニシュタマリゼーション]])したものをすり潰して生地([[マサ]])を作る。アルカリ水には[[消石灰]]の水溶液が使用されることが多いが、地域によっては木灰の水溶液上澄みが使用されることもある。これによって果皮を穀粒から取り除き、小麦などよりはるかに硬質で粉にしがたいトウモロコシの粒が柔らかくなるだけでなく、含有タンパク質の利用度の向上と、薄く延ばして焼くのに適した粘り気のある質感が得られる。
 
アルカリ処理は、トウモロコシに含まれている[[必須アミノ酸]]・[[ナイアシン]]の吸収を容易にするための伝統的な措置で、7000年の歴史を持つこの摂取方法を知らずにトウモロコシを母国に持ち帰ったスペイン人等は、[[ペラグラ]]に罹患した。これは、トウモロコシのみを食事とした場合に発生する現象であって、副食経由で、ナイアシンを補う場合には起こり得なかった。
 
[[蛋白質|タンパク質]]の利用度の向上は[[必須アミノ酸]]の[[リシン]]、[[トリプトファン]]と[[ナイアシン]]の吸収性が上がることにより、トウモロコシを主食とする<!--「アメリカ州の先住民」は民族名ではありません-->先住民族は[[ペラグラ]]の予防につながっていた。質感の変化は[[カルシウム]][[イオン (化学)|イオン]]が[[デンプン]]分子に吸着することによるとされる。質感に関する同様の効果はカルシウムイオンと同様に2価の[[マグネシウム]]イオンでも確認されているが、1価の[[ナトリウム]]イオンや[[カリウム]]イオンでは生じない。
 
本場のメキシコなどの中米以外では、単純にトウモロコシ穀粒を機械粉砕して得られた[[穀粉|粉]]を水でこねて薄く伸ばし、鉄板や[[フライパン]]で焼いて作ることが多い。しかし、これでは生地としての粘り気のある質感が得られないので、[[グルテン]]によってこの質感を得ることができる[[小麦粉]]を混入して、生地を作る。日本でもトルティーヤ用の粉として市販されているものは、たいてい、こうした機械粉砕のトウモロコシ粉(アリナ・デ・マイス、{{lang|es|harina de maíz}})と、小麦粉(アリナ・デ・トリゴ、{{lang|es|harina de trigo}})を配合したものである。
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かつては上の写真のように手でマサを延ばしてトルティーヤを成形していたが、現在では丸めたマサを2枚の金属板の間にはさんで押しつぶし、平たく延ばすトルティェロ {{lang|es|(tortillero)}} という器具が普及している(写真右)。
 
焼き上がったトルティーヤは温かいうちに食べるのがおいしいため、食べる都度[[コマル]] {{lang|es|(comal)}} などで焼くのが普通である。冷めるのと乾くのを防ぐため、焼き上がったものを[[布巾]]にくるんで皿や籠に入れ食卓に出すことが多い<ref>長尾精一 著、財団法人[[振興会]] 集・発行 『小麦粉とパン・めん・菓子・料理」p. : 話題のバスケット』 2007年3月20日、53頁。{{全国書誌番号|21208618}}</ref>。
 
生地の準備に手間と時間が掛かることもあり、メキシコの都市部では、自分の家でトルティーヤの生地を作らずに店で買ってきたものをコマルなどで焼いて食べることが多い。[[メキシコシティ]]を中心として[[グルーポ・ビンボ {{interlang|es|Grupo_Bimbo|(BIMBO)}} というメーカー]]のトルティーヤがトップシェアを誇っている。アルカリ水溶液処理したトウモロコシを乾燥させて粉にした乾燥マサも市販されており、水を加えてこねるだけでトルティーヤの生地ができる。
 
トウモロコシと小麦粉のトルティーヤの世界的需要は年々増加しており、世界のトルティーヤ製品の製造・流通でトップシェアを誇るメキシコの製粉会社[[グルマ]] {{interlang|en|Gruma|(Gruma)}}<!--スペイン語記事なし--> は2006年に[[中華人民共和国|中国]]の[[上海]]にトルティーヤ製造工場を新設した<ref>"[http://home.businesswire.com/portal/site/topix/index.jsp?ndmViewId=news_view&newsId=20060930005021&newsLang=en GRUMA Opens First Tortilla Plant in China]" businesswire.com.(Gruma社のプレス・リリース原文の転載)</ref>。
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最も伝統的、かつ基本的な食べ方は、[[インゲンマメ]]を煮た[[フリホレス|フリホレス・デ・オヤ]]や、フリホレス・デ・オヤを油で炒めながらつぶした[[フリホレス|フリホレス・レフリトス]]をつけて食べる。
 
様々な具をのせて二つに折ったものは'''[[タコス|タコ]]'''(複数形タコス)、小麦粉のトルティーヤで具を巻いたものは'''[[ブリート]]'''([[ブリート|ブリトー]])という。具の種類は非常に多彩で、[[トマト豚肉]][[レタス鶏肉]]、[[牛肉]]、[[チョリソ]]などのサラダ、[[挽肉]]を炒めたものタコミート、[[フリホレス]]、[[チリコンカーン|チリ・コン・カルネ]]、[[メキシカンライス]]、[[チーズ]]、[[アボカド]]で作った「[[ワカモレ]]」、[[チョサワークーム]]、[[トマト]]や[[レタス]]などの生野菜などがある。
 
焼いてから時間がたって乾いてしまったトルティーヤを無駄にせずに美味しく食べるために、メキシコでは様々なトルティーヤ料理が工夫されてきた。トルティーヤを揚げ、野菜や肉を載せたものは'''[[w:en:Tostada (tortilla)|トスターダ]]'''(スペイン語での原義は「[[トースト]]した」)という。小さく切って揚げたトルティーヤはメキシコでは[[トトポス]] {{lang|es|(totopos)}}、アメリカ合衆国では'''[[トルティーヤ・チップス]]''' {{lang|en|(tortilla chips)}} といい、トトポスをサルサで煮込むと'''[[チラキレス]]'''となる。また、細く切って揚げたトルティーヤは、[[クルトン]]のようにスープの浮きとされる。その他、フィリング(具材)を詰め、唐辛子のソースをかけた'''[[エンチラーダ]]''' {{lang|es|(Enchilada)}}、'''[[ブディン・アステカ]]'''({{interlang|es|Budín azteca}}、トルティーヤを使った[[キャセロール]]風の料理)等、多くのトルティーヤ料理が存在する。
 
[[テクス・メクス料理]]では、トルティーヤ・チップスに溶けたチーズをかけ、[[チリコンカーン|チリ]]、[[フリホレス]]・レフリトス、[[ワカモレ]]、[[サルサ_(料理)|サルサ]]などをのせると'''[[ナチョス]]'''となる。トルティーヤをちぎって溶き[[鶏卵|卵]]と刻んだ[[タマネギ|玉葱]]、[[トマト]]、[[トウガラシ]]、[[チーズ]]と炒め、[[スクランブルエッグ]]にしたものは、'''[[ミガス]]'''と呼ばれる。
 
== 脚注出典 ==
{{脚注ヘルプ}}
<references/>
{{Reflist|refs=
<ref name="予">{{Cite book|和書|page=8|title=予約の取れない人気店が教えるはじめてのメキシコ料理|year=2014|publisher=[[PHP研究所]]|isbn=978-4569820118}}</ref>
<ref name="W07">{{Cite book|和書|page=154|title=W07 世界のグルメ図鑑 116の国と地域の名物料理を食の雑学とともに解説|year=2021|publisher=[[地球の歩き方]]|isbn=978-4059196228}}</ref>
<ref name="パン">{{Cite book|和書|page=39|title=パンシェルジュ検定 3級公式テキスト|edition=改訂新版|year=2021|publisher=[[実業之日本社]]|isbn=978-4408421124}}</ref>
<ref name="サ">{{Cite book|和書|page=16|title=サンドイッチの発想と組み立て: 世界の定番サンドイッチとその応用|author=ナガタユイ|year=2012|publisher=[[誠文堂新光社]]|isbn=978-4416812723}}</ref>
}}
 
== 関連項目 ==
{{Commons|Tortilla (México)}}
* [[メキシコ料理]]
* [[アステカ料理]]
* [[タコス]]
* [[トルティージャ]]
 
* [[アレパ]]
== 外部リンク ==
* [[湖池屋]]- トルティーヤチップスを「[[ドンタコス]]」の名前で販売している、日本の[[スナック菓子]]メーカー。
{{Commons&cat}}
* [[ジャパンフリトレー]] - トルティーヤチップスを「ドリトス」の名前で販売している、日本のスナック菓子メーカー。
 
{{DEFAULTSORT:とるていいや}}
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[[Category:北米の食文化]]
[[Category:アメリカ先住民の文化]]
[[Category:トウモロコシ料理]]
[[Category:アステカ]]
[[Category:主食]]
[[Category:パンケーキ類]]