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{{複数の問題
|出典の明記=2019年4月
|独自研究=2019年4月
}}
'''フレーム形式'''(フレームけいしき)は、自動車の構造の技術である。「フレーム」は英語で「骨組み」、「枠」を意味する。日本語で'''車枠'''とも
 
'''フレーム形式'''(フレームけいしき)とは、自動車の構造の技術。
 
自動車の[[シャシ (自動車)|車台]]構造は、セパレートフレーム、アンセパレートフレーム、ユニコンストラクション([[モノコック]]、ユニボディー)に大別される。
 
== セパレートフレーム ==
ボディー・オン・フレーム ([[:en:Body-on-frame|Body-on-frame]]) とも呼ばれ、単にフレーム型、フレーム構造ともいわれる。堅牢なフレームをつくり、そこに別に製作したボディーを乗せる構造のこと。フレームは[[エンジン]]、[[トランスミッション]]、[[車軸]]、[[サスペンション]]、[[車輪]]など[[駆動列]](ドライブトレーンを支える役割があり、多くの場合これのみでの走行も可能である。これは自動車の始まりから現在まで続く基本的構造である。
 
最初のフレーム材料は[[材|木]]製で、一般には[[トネリコ]]が使われた。これは[[1900年]]頃より一般に鉄製([[鋼|スチール]]製)に置きわったその先駆は[[1900年]]の{{仮リンク|メルセデス・シンプレックス|en|Mercedes Simplex}}である)が、ごく一部の小型軽量車両ではその後も[[1930年代]]まで軽量化を主目的に木製フレームが使われていた。[[モーガン (自動車)|モーガン]]では今もトネリコを使い続けている。
 
[[アメリカ合衆国|米国]]では[[カーデザイン|自動車のデザイン]]を頻繁に変更する販売スタイル様式([[計画的陳腐化]])をとっており、ボディー設計自由度の高い[[#はしご型|はしご]]型フレーム]](ラダーフレーム)を使用する時代が長く続いた。これにより[[消費者]]に一番アピールす訴求力のあるボディースタイル様式インテリア内装が、車の基本性能に影響を与えることなく頻繁に変更できるため、[[設計]]・[[開発]]期間の短縮による[[モデルチェンジ (自動車)|モデルチェンジ]]のコスト経費と、新型車の販売価格を低減できた。またこのことは、同じ[[シャシ (自動車)|シャーシ]]から[[乗用車]]と[[貨物自動車|トラック]]・[[ライトバン|バン]]など、異なる車種を容易に製作できることになり、モデルの多様化にも貢献した。特に自動車開発が[[コンピューター]]化されていない時代にはこの点が大きな優位性をもっていた。
 
[[第二次世界大戦]]後、[[航空機|航空]][[技術者]]の[[自動車産業]]界への進出により、小型車の多くは[[1960年代]]より[[モノコック]]構造に移行しており、トラック、一部の[[バス (交通機関)|バス]]、大型乗用車のみが従来型のフレーム構造を踏襲していた。移行には数十年を要したが、今日では[[SUV]]といわ呼ばれるカテゴリ区分に属する車両でもモノコックが採用されるケース場合が増えている<ref group="注釈">{{独自研究範囲|date=2019年4月|技術的観点からはフレーム構造で生産された車両が本来的なSUVであり、モノコック構造の車両、言い換えると乗用車ベースのSUVは[[クロスオーバーSUV]](またはCUV)というサブカテゴリーに属するとされる。しかしながら、日本市場における[[マーケティング]]では細かい区分を主張するのをためらいがちな(で、一般[[消費者]]には違いが伝わにくく、かえって混乱の原因ともなると考えているため、日本メーカーは主にどちらもSUVとして扱っている}}</ref>。
 
しかしながら、重量物を積載するヘビーデューティトラックど過酷な使用に耐える車両ではいまだセパレートフレーム構造が主流となっている。
 
[[フォード・モーター|フォード]]社の[[リンカーン・タウンカー]]はラグジュアリークラス高級車最後のセパレートフレーム構造であり、[[リムジン]]車両製作では、車体架装の容易さから多くの需要がある。
 
=== 特徴 ===
====* 長所 ====
** 設計、製作、修正が容易。[[CAD]]が一般的に使用されるようになった今日、[[大量生産|量産]]車においてはこの項目の重要性は低いが、[[レーシングカー|競技車両]]では有効。
** 頑丈で耐久性が要求される用途に向いている。
** [[交通事故]]った際の車体修復が容易。
====* 短所 ====
 
** 一般的にモノコックよりも心が高め(はしご型フレーム)。
==== 短所 ====
** モノコックよりも一般的に[[心]]が高め(はしご型フレーム)。
** モノコックと比較し、トーション(力が加わった際の全体のねじれ)に弱く、ねじり[[剛性]]が低い([[#マルチチューブラーフレーム|マルチチューブラーフレーム]]を除く)。
* 一般的に重心が高め(はしご型フレーム)。
** モノコックに比較してトフレション(力が加わった際の全ムと車体のねじれ)に弱い(ねじり[[剛性振動]][[周波数]]が異なり級振動が出やす。ただしマルチチューブラーフレームを除く)。
* フレームと車体の[[振動]][[周波数]]が異なり低級振動が出やすい(マルチチューブラーフレームを除く)。
 
=== 種類 ===
==== はしご型 ====
[[ファイル:ToyotaTundraChassis 02.jpg|220px|thumb|right|[[2007年]]型[[トヨタ・タンドラ]]<br />後方から見たはしご型フレームのローリングシャーシ。後車軸回りがキックアップしている。<br />はしご型フレームは[[錆|さび]]止めのため「シャーシブラック」と呼ばれる厚い黒色塗装を施される例が多い。]]
'''ラダーフレーム'''、またはH形フレームともいわれ、その名の通り[[はしご]]状のフレーム。製作と[[強度]]確保が容易で、歴史も長く現在でも採用例が多いなど、セパレートフレームの代表とも言える。
 
前後に通る2本のメインフレーム(サイドメンバー)の構成には、求められる仕様によって、「コ」の字形の開断面と「ロ」の字形の閉断面、それを組み合わせた部分開(閉)断面とがある。このほかに、板厚や断面積の変化、左右をつなぐクロスメンバー(はしごの段にあたる)接合部補強するリインフォースメントでによって強度や剛性の調節をする。
ラダーフレームまたはH形フレームともいわれ、その名の通り[[はしご]]状のフレーム。製作と[[強度]]確保が容易で、歴史も長く、現在でも採用例が多いなど、セパレートフレームの代表とも言える。
 
強度に優れ車体架装が容易なことから、[[貨物自動車|トラック]]のほとんどが採用しており、それらをトラックベースとした一部の[[バス (交通機関)|バス]]や[[スポーツ・ユーティリティ・ビークル|SUV]]にも用いられている。
前後に通る2本のメインフレーム(サイドメンバー)の構成には、求められる仕様によって、「コ」の字形の開断面と「ロ」の字形の閉断面、それを組み合わせた部分開(閉)断面とがある。このほかに、板厚や断面積の変化、左右をつなぐクロスメンバー(はしごの段にあたる)や接合部を補強するリインフォースメントで強度や剛性の調節をする。
 
歴史的に見ると、その初期には前身となる木製フレームの構造を受け継ぎ、一直線状のチャンネル[[型鋼]]が使われていた。ストレート真っ直ぐなチャンネルフレームは、強度確保や加工は容易ながら、上下に動く車軸と干渉しないようにすると床が高くなる欠点があるが、トラックでは[[実用]]上の問題とならないため、現在でも広く用いられている。
強度に優れ、車体架装が容易なことから、[[貨物自動車|トラック]]のほとんどが採用しており、それらをベースとした一部の[[バス (交通機関)|バス]]や[[スポーツ・ユーティリティ・ビークル|SUV]]にも用いられている。
 
バスや乗用車、一部の小型トラックでは、ストレートフレームが主流の時代には後[[車軸]]をフレーム下ではなく、上方に取り付ける「アンダースラング構造」で低床化を図った事例もあるが、[[1930年代]]以降は、後輪周囲のみを一段持ち上げてフレーム下配置の後車軸サスペンションストローク行程を確保した「キックアップ構造」が主流に用いられるようになっている
歴史的に見ると、その初期には前身となる木製フレームの構造を受け継ぎ、一直線状のチャンネル[[型鋼]]が使われていた。ストレートなチャンネルフレームは、強度確保や加工は容易ながら、上下に動く車軸と干渉しないようにすると床が高くなる欠点があるが、トラックでは[[実用]]上の問題とならないため、現在でも広く用いられている。
 
それでもメインフレームやサイドメンバーが床下にあるため、乗用車での床高は完全な解消が難しく、また[[ゴム]][[すべり軸受#ブッシュ|ブッシュ]]を介した車体締結は低級振動が発生しやすいため、乗り心地の点で[[モノコック]]ボディーに対して不利となる。
バスや乗用車、一部の小型トラックでは、ストレートフレームが主流の時代には後[[車軸]]をフレーム下ではなく、上方に取り付ける「アンダースラング構造」で低床化を図った事例もあるが、[[1930年代]]以降は、後輪周囲のみを一段持ち上げてフレーム下配置の後車軸サスペンションストロークを確保した「キックアップ構造」が主流に用いられるようになっている。
 
それでもメインフレームやサイドメンバーが床下にあるため、乗用車での床高は完全な解消が難しく、また[[ゴム]][[ブッシュ]]を介した車体締結は低級振動が発生しやすいため、乗り心地の点で[[モノコック]]ボディーに対して不利となる。
 
日本の[[X線写真|レントゲン]]車では、大型検査機器の重量に対応するため、はしご型フレームのトラックにスケルトンフレームを追加して製作されている。
{{-}}
 
==== バックボーン型 ====
[[ファイル:ChassisT11.JPG|thumb|right|220px|[[:en:Tatra 11|タトラ・T11]]のバックボーンフレーム]]
前後軸間の車体中心線上に「背骨」を配し、動力やサスペンションをそれに取り付けるもの。1900年頃のアメデー・ボレー2世が小型試作車に採用したのが嚆矢であるが、一般に普及したのは[[1924年]]の[[{{仮リンク|タトラ]]・T11|en|Tatra 11}}での採用以後である。このT11ではたった一本の丸[[鋼管]]に[[サスペンション]]、[[エンジン]]、[[トランスミッション]]、[[差動装置|デフ]]が取り付けられており、[[プロペラシャフト]]までもが内蔵されている。
 
はしご型フレームよりも軽く簡潔ながら、ねじれに強く、[[自動車の車体形状|ボディ形状]]に左右されずにサスペンションやドライブトレーンを自由に設計できる利点があるが、自動車が低床化されてくると室内スペース空間が大きなフロアトンネルに取られるデメリット短所が顕在化したため、以降は[[レーシングカー|競技車両]]や[[スポーツカー]]に見られる程度となっていった。
 
[[第二次世界大戦]]後では[[アルピーヌ・A110]]や[[ロータス・ヨーロッパ]]が代表例である。また、[[ロータス・エラン]]や[[ジャガー・Eタイプ]]、[[トヨタ・2000GT]]が採用した、前後サスペンション部分を「二股」に開いたX型フレームもバックボーン型に分類される。X型は[[1930年代]]にバックボーン型から派生したもので、その先駆はメルセデス・ベンツの小型モデル各車であった。
{{-}}
 
==== プラットフォーム型 ====
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[[1930年代]]に自動車のフレーム構造がここまで進化すると、同時期に実用化された[[モノコック]]構造の鋼製ボディーがプラットフォームフレームと併用されるようになり、車体とフレームの組み合わせでセミ・モノコック構造を構成するに至った。これはやがて第二次世界大戦後の乗用車における主流設計となったフル・モノコック構造へと発展した(ここでの「セミ・モノコック」と「フル・モノコック」は、航空機の分野での「セミ・モノコック」とは全く異なる用語法なので注意)。
 
[[プラットフォーム (自動車)]]も参照。
<!-- ====X型====
<!--
2本のサイドメンバーをX形に組み合わせたフレーム。 -->
<!-- ====X型====
 
2本のサイドメンバーをX形に組み合わせたフレーム。 -->
<!-- ====トラス型==== -->
{{-}}
-->
 
==== ペリメーター型 ====
[[File:Autobus amedee-bollee.jpg|thumb|250px|right|ボレー「ロベイサント」(1875年)。フレームを車体外縁部に巡らせた、原始的なペリメーターフレームを採用した]]
[[ペリメーター]]とは、周囲、周辺の意。ボディーフロアの周囲にフレームをつけたもので、中間にメンバーを通さないため、フロアを低くすることができる。しかし、そのままではねじり剛性や曲げ剛性が低くなるため、ボディーと一体化し、応力の一部をボディーに負担させることでそれを補っている。
 
他のフレーム構造のものくら軽量でコスト的にも安く、衝突時のエネルギー吸収では、フレームレス構造よりボディー変形を少なくすることができるというメリット利点がある。
 
歴史は極めて古く、[[1875年]]にフランスのアメデー・ボレーが開発した大型[[蒸気自動車]]「ロベイサント」(L'Obéissante) に早くも採用されていたが、盛んに用いられるようになったのは、[[1950年代]]以降の[[アメリカ車]]が、このフレームと[[モノコック]]ボディーとを組み合わせたセミ・モノコック構造を採るようになってからである。
 
===== 代表的車種 =====
* GM [[シボレー・コルベット]]:2 - 2本の鋼管から形成されたペリメーターフレームを採用。GMが独自に開発した高圧[[流体]][[プレス加工]](雄型を用いず水などで代用する)によって成型している。車体剛性の向上と軽量化などのメリット利点がある。また、ドライブトレーンもフラット平坦に配置できるのでため、広い居住空間とラゲッジスペース荷室空間を実現した。(GM社の説明[<ref>{{cite web|url=http://www.gm-corvette.jp/history/c5/index.html])|archiveurl=https://web.archive.org/web/20090227061815/http://www.gm-corvette.jp/history/c5/index.html|archivedate=2009-02-27| title=CORVETTE C5 1997-2004|accessdate=2022-06-17}}</ref>
* GM [[キャデラック・XLR]]
* [[トヨタ・クラウン]] - 3代目(S50型)から[[トヨタ・クラウンマジェスタ|マジェスタ]]を除く9代目(S140型)(1967年 - 1995年)まで
* [[マツダ・オートザムAZ-1]]
* [[シトロエン・CX]]
* [[ダイハツ・コペン]]2代目(LA400K)
 
== アンセパレートフレーム ==
非分解型のフレーム構造。
 
[[File:Maserati T61 engine bay Donington.jpg|220 px|thumb|right|[[マセラティ・ティーポ61]]<br />マルチチューブラーフレーム
の例<br />バードケージの別名を持ち、<br />[[コックピット]]内にも一部が露出している。]]
[[ファイル:Maserati Birdcage.jpg|220px|thumb|right|マセラティ・ティーポ61外観]]
[[ファイル:Lancia Delta S4 011.JPG|220px|thumb|right|[[ランチア・デルタS4]]<br />マルチチューブラーフレーム
の例<br />ボディーは単なる覆いに過ぎず、主要な機能部品は、全て細い鋼管組みのフレームに取り付けられている。]]
[[ファイル:Praha, DOD 2006 Hostivař,Škoda RTO MEX.JPG|220px|thumb|right|[[シュコダ]] 706 RTO MEX<br />マルチチューブラーフレームの車体構造]]
[[ファイル:Mercedes O 321 HL Steib vr.jpg|220px|thumb|right|[[メルセデス・ベンツ]]・O 321 HL<br />[[1954年|1954]] - [[1964年|1964]]<br />バスボディーの場合、大きな窓と細いピラー、リベットのない外板など、モノコック構造とは対照的な外観となる]]
 
=== マルチチューブラーフレーム ===
スペースフレーム(空間骨格 = 3次元の骨組み。建築におけるスペースフレーム〈[[:en:Space frame|英語版]]〉も参照)、[[スケルトン]](骸骨)、バードケージ(鳥かご)などの別称もあり、単にチューブラーフレームとも呼ばれるほか、[[ジャングルジム]]とたとえられることもある。多数の小径[[鋼管]]を応力の発生に沿った配置に組み合わせ溶接する方法で、[[CAD]]の[[ワイヤーフレーム]](線図、[[透視図]])を実体化したような見た目となる。古くは丸鋼管を用いていたが、規格品の種類が増えた現在では、角鋼管が使われることが多い。
 
「鋼管フレーム」「パイプフレーム」「スペースフレーム(空間骨格 = 3次元の骨組み。建築における{{仮リンク|スペースフレーム (建築)|en|Space frame|label=スペースフレーム}}も参照)」、「[[スケルトン]](骨格)」、英語で[[鳥かご]]を意味する「バードケージ (bird cage)」<!--(バード'''ゲ'''ージの表記は誤り)-->などの別称もあり、単にチューブラーフレームとも呼ばれるほか、[[ジャングルジム]]とたとえられることもある。
なお、日本ではバード'''ケ'''ージをバード'''ゲ'''ージと表記する例が散見されるが、ケージ = Cageは「かご」、ゲージ = Gaugeは「規格、基準、計量器」等の意味であり、[[誤用]]である。
 
大規模な生産設備が不要でありながら、[[モノコック]]構造に勝る強度衝突安全性と剛性が簡単に低コストで得られ、軽量でスペースを取らない点や、改造や修復も容易なことなど、利点は非常に多い。その特徴から、[[レーシングカー]]やバックヤードビルダーを含む少量生産の[[スポーツカー]]に採用例が多く、個人レベルでの制作も可能である。短所とし伝統的に市販車を用いきた競技のトップカテゴリ近年構造上高剛性を確保しようとすると開口部が狭くなり横開き式市販車ドア骨格設置が困難差異こと<ref>一例と有利不利を無くして初期メーカー参入障壁を下げるため、[[NASCAR]]や[[ダカーセデスベンツ・300SLラリー]]、[[WRC]]など幅広いメジャーカテゴリはガルウィング式競技専用設計ドアチューブラーフレームなって市販車の外観を被せるとう規定が主流となりつつある。</ref>や、また[[ロボットSUPER GT]]組み立てなどGTA-GT300規定や[[ライン生産|大量生産BTCC]]のNGTC規定のよう向かな、キャビンにつては市販車のモノコックを用いることを義務付けつつ、その前後をチューブラーフレーム化することを認めているようなケースもある。
 
短所としては、構造上高剛性を確保しようとすると開口部が狭くなり横開き式ドアの設置が困難になること<ref group="注釈">一例として初期の[[メルセデス・ベンツ・300SL]]ではガルウィング式のドアになっている。</ref>や、[[産業用ロボット|ロボット]]組み立てなどの[[ライン生産|大量生産]]に向かないことがある。
[[フェラーリ]]は[[スーパーカー|エキゾチックカー]]の中では生産台数が多い部類に入るため、コストと生産性のバランスから、キャビン部分のみがモノコック構造で、前後をマルチチューブラーフレームとした構成を長年にわたり踏襲している。
 
[[フェラーリ]]は[[スーパーカー|エキゾチックカー]]の中では生産台数が多い部類に入るため、コスト経費と生産性のバランス釣り合いから、キャビン(乗員室)部分のみがモノコック構造で、前後をマルチチューブラーフレームとした構成を長年にわたり踏襲している。
[[ヨーロッパ|欧州]]では[[バス (車両)|バス]]にも古くからこの工法を用いており、モノコックのように車体形状や開口部が強度や剛性に影響を与えることが無いため、エンジンやドアの位置、窓の形と大きさなどの自由度が大きく、[[2階建て車両|二階建て]]や[[連接バス|連接型]]をはじめ、多彩なバリエーションを生んできた。日本では[[1977年]](昭和52年)に[[日野車体工業]]によって初めて製品化され、「[[スケルトン]]ボディ」の名が広まった。
 
マルチチューブラフレームでは車体外皮は応力を負担しない場合が多く、[[アルミニウム合金|アルミ合金]]や[[鉄]]の薄板、[[繊維強化プラスチック|FRP]](FRP)で済ませるものが多いが、デューンバギー([[スーパーセブン:en:Dune buggy|ロータス・7とケイターハム・スーパーセブンDune buggy]])で軽量化とコストダウンのため管径を抑えており、一部の外板を応力部材として利用しての無ものも見られる。
同じ理由で、米国製の自走式[[キャンピングカー]]([[RV]]やモーターホームと呼ばれるもの)もほとんどがこの工法で製作されている。
バスでは、大きな薄板が[[振動]]することで発生する[[騒音]](ドラミング)を防ぐ設計が必要となる。[[スーパーセブン|ロータス・7とケイターハム・スーパーセブン]]は軽量化とコストダウンのため管径を抑えており、一部の外板をチューブにリベットで接合し、応力部材として利用している。
 
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車体外皮は応力を負担しない場合が多く、[[アルミニウム合金|アルミ合金]]や[[鉄]]の薄板、[[繊維強化プラスチック|FRP]]で済ませるものが多い。[[スーパーセブン|ロータス・7とケイターハム・スーパーセブン]]は軽量化とコストダウンのため管径を抑えており、一部の外板を応力部材として利用している。
[[File:Maserati T61 engine bay Donington.jpg|220 px|thumb|right|[[マセラティ・ティーポ61]]<br />マルチチューブラーフレーム
の例<br />バードケージの別名を持ち、<br />[[コックピット]]内にも一部が露出している。]]
[[ファイル:Maserati Birdcage.jpg|220px|thumb|right|マセラティ・ティーポ61外観]]
Lancia Delta S4 011.JPG|[[ランチア・デルタS4]]<br />マルチチューブラーフレームの例<br />ボディーは単なる覆いに過ぎず、主要な機能部品は全て細い鋼管組みのフレームに取り付けられている。]]
IRIA dune bugys parading in front of highest-ranking officers of Iran.jpg|外板のない例。[[イラン陸軍]]のデューンバギー。
[[ファイル:Praha, DOD 2006 Hostivař,Škoda RTO MEX.JPG|220px|thumb|right|[[シュコダ]] 706 RTO MEX<br />大型バスにおけるマルチチューブラーフレームの車体構造]]
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[[ヨーロッパ|欧州]]では'''[[バス (車両交通機関)|バス]]'''では、[[ヨーロッパ|欧州]]において古くからこの工法用いられており、モノコックのように[[自動車の車体形状|車体形状]]や開口部が強度や剛性に影響を与えることがいため、[[駆動列#動力列(パワートレイ)|パワートレイ]]やドアの置、窓の形と大きさなどの自由度が大きく、[[2階建て車両|2階建バス]]や[[連バス|連接型]]をはじめ多彩なバリエーションを生んできた。日本同じ理由、米国製をじめとする自走式[[1977年キャンピングカー]](昭和52年)に[[日野車体工業]]によって初めて製品化され、「[[スケレクリエーショナトン・ビークル|RV]]ボディ」やモーターホームと呼ばれるも)もほとんど広まったこの工法で製作されている
 
[[日本のバス車両]]では、[[1977年]]([[昭和]]52年)に[[日野自動車]]と[[日野車体工業]]が大型[[観光バス|観光]]・[[高速バス]]「[[日野・セレガ#スケルトン RS|スケルトン RS]]」を初めて製品化。その商品名から「'''スケルトンボディ'''」の名が広まった。日野自動車はさらに、[[1980年]](昭和55年)には[[路線バス]]として初めてマルチチューブラーフレームを採用した中型車「[[日野・レインボー#レインボーRJ・レインボーRR_(路線系)|レインボーRJ]]」を発売、日本のバスの脱モノコック化に先鞭をつけた。[[三菱自動車工業]](現:[[三菱ふそうトラック・バス]])もこれに続き、[[1982年]](昭和57年)にマルチチューブラーフレーム構造の[[三菱ふそう・エアロエース#初代エアロバス/エアロクィーン|初代エアロバス]]を発売。その後は他社も同様のバス車体を製造するようになり、日本のバスでもマルチチューブラーフレームの車体が主流となった。
{{節スタブ|date=2021年3月|1=バスにおけるスケルトンボディ}}
 
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[[ファイル:Mercedes O 321 HL Steib vr.jpg|220px|thumb|right|[[メルセデス・ベンツ]]・O 321 HL<br />[[1954年|1954]] - [[1964年|1964]]<br />バスボディーの場合、大きな窓と細いピラー、リベットのない外板など、モノコック構造とは対照的な外観となる]]
RS120P-40009F.jpg|日野・スケルトン RS120P<br />日本のバスで最初にマルチチューブラフレーム構造を採用した。<br />カタログカラーに近い[[自家用バス]]。
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=== スーペルレッジェーラ ===
英語圏ではスーパーレジェーラとも呼ばれる。レッジェーラ(leggera)とは[[イタリア語]]で「軽量」を意味する語で、一部英語風に「スーパーレジェーラ」とも呼ばれる。[[ミラノ]]の老舗[[コーチビルダー|カロッツェリア]]である[[カロッツェリア・トゥーリング|トゥーリング]]が得意とし、[[特許]]を持っていた車体工法
 
鋼板溶接組み立てのプラットフォームの上に、ボディ形状をかたどった小径鋼管のマルチチューブラーフレームを建て、それに板金加工した[[アルミニウム|アルミ]]薄板の外板を被せ、アルミ[[リベット]]で固定する構造。車体表面のリベットや継ぎ目は[[パテ]]で埋められる。
 
[[鉄]]とアルミの[[イオン化傾向]]の違いにより発生する[[電位|電位差]]による[[異種金属接触腐食|電食]]を防ぐため、フレームと外板の間には[[絶縁 (電気)|絶縁]]紙をはさみんでいた。
{{-}}
 
== ユニコンストラクション ==
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{{see also|モノコック}}
[[ファイル:Proton-MPV-Chassis.jpg|thumb|right|220px|[[プロトン・イグゾラ]]のモノコック]]
[[ファイル:Lamborghini_Aventador_LP_700-4_chassis_-_Flickr_-_J.Smith831.jpg|thumb|right|220px|[[ランボルギーニ・アヴェンタドール]]のリアフェンダーが無いセミモノコックシャシー]]
[[モノコック]]:[[フランス語]]のmonocoqueから。モノ(mono)=ひとつの~、コック(coque)=[[二枚貝]]の[[貝殻|殻]]・[[船体]]の意。
 
フレームレスボディーの総称で、北などではユニボディー「モノコック」は技術用語も呼ばして使わる。一般の自動車では、フロアパン、インナーフェンダー、バルクヘッド、ピラー、ルーフで応力を受け持つ。[[オープンカー報道|ジャプンナリズム]]など一般には「ユニボディー]] (unibody) 」場合は別途補強必要とな使用される。
 
捻れや撓みに強く、補助構造材を必要としないため軽量化が図れる。一方、局部的に過大な応力を受けると破断しやすく、その部分だけでなくモノコック全体が変形してしまう。自動車の場合、ミリ単位で車体全体を修正する必要があり、歪んだままだと走行性能に悪影響が出る恐れがある。[[中古車]]情報誌や中古車情報サイトにおいて「修復歴」または「事故歴」(下の関連項目の「ボディー修正装置」でボディーを修正した経歴)の有無の項目があるのはこのためである。
 
[[1922年]]発表の[[ランチア・ラムダ]]が最初のモノコック[[乗用車]]である。現在ではスポーツカーから低価格車まで、[[乗用車]]のほとんどがモノコック構造である。車内に大きな空間が必要とされるものに適しているため、[[1940年代]]には[[バス (交通機関)|バス]]にも普及したが、前述のとおりマルチチューブラーフレーム(スケルトンボディ)に取って代わられた。
[[暴走族#共同危険型暴走族|暴走族]]車両の改造例として、[[セダン]]のルーフをぶった切っただけの「[[オープンカー]]」があるが、すぐに使い物にならなくなり不法投棄されることがある。これはルーフが無くなることにより設計時に想定されていない応力が発生し、モノコック全体が変形して悪影響が出てしまうためである。先述のとおり、市販されているオープンカーや祝賀[[パレード]]用などのセダン改造オープンカーは応力を計算した補強改造がされている(この補強のためクローズドボディとオープンボディが併設されている車種では、ルーフがない分軽いというイメージに反して基本的にオープンボディのほうが車重は重くなる)。
 
捻れや撓みに強く、補助構造材を必要としないため軽量化が図れる。また[[NVH]]上でも有利なため、燃費と乗り心地の双に優れている点から一般的な乗用車全般に向いた構造である。一方で局部的に過大な応力を受けると破断しやすく、その部分だけでなくモノコック全体が変形してしまう。モノコックボディの自動車の場合、ミリ単位で車体全体を修正する必要があり、歪んだままだと走行性能に悪影響が出る恐れがある。[[中古車]]情報誌や中古車情報売買サイトにおいて「修復歴」または「事故歴」(下関連有無の項目があるはこのためである。「修復歴」とは「ボディー修正装置」でボディーを修正した経歴有無の項目がことである。自動車構造を修復する機械を、従来「フレーム修正機」と呼んでいたが、現在の乗用車ではモノコックボディー構造が主流のためである「ボディー修正装置」と呼ぶようになった
高い運動エネルギーを発生する車種や、静粛性が重要な車種では、前後[[サスペンション]]は'''エンジンメンバー'''や'''アクスルキャリア'''といったサブフレームを介してモノコックに取り付けられることが一般的となりつつある(車両組立行程の都合もある)。
 
[[1922年]]発表の[[ランチア・ラムダ]]が最初のモノコック[[同じ乗用車]]ある。車内に大きな空間が必要とされるのに適しているため、[[1940年代]]には[[バス (交通機関)|バス]]にも普及した。現在ではスポーツカーから低価格車までの乗用車のほとんどがモノコック構造であるが、未だに[[オフロード|クロスカントリー車]]ではフレームレスボディーではなくラダーフレームを採用しているのは、悪路でボディーをヒットすると上記のした際に歪みにより走行不能に陥らないようにす恐れため軽量化の影響で、重さゆえに渡河中に流されづらくすことを防ぐためである。ラダーフレームはボディと足回り(シャシ独立しているため、ボディだけならいくらダメージを受けても走行性能影響を受けないのである
 
一般の自動車では、フロアパン、リアフェンダー、バルクヘッド、ピラー、ルーフで応力を受け持ち、フロントフェンダー等は別部品となる。[[オープンカー|オープンボディー]]の場合は別途補強が必要となる。[[暴走族#共同危険型暴走族|暴走族]]によく見られる車両の改造例として、[[セダン]]のルーフをぶったり取っただけの「[[オープンカー]]」があるが、すぐに使い物にならなくなり不法投棄されることがある。これはルーフが無くなることにより設計時に想定されていない応力が発生し、モノコック全体が変形して悪影響が出てしまうためである。先述のとおり、市販されているオープンカーや祝賀[[パレード]]用などのセダン改造オープンカーは応力を計算した補強改造がされているこの補強のためクローズドボディとオープンボディが併されている車種では、ルーフがない分軽いというイメージ印象に反して基本的にオープンボディのほうが車重は重くなる
米国ではモノコックは技術用語として使われ、自動車[[報道|ジャーナリズム]]など、一般にはユニボディー(unibody)が使用される。
 
高い運動エネルギーを発生する車種や、静粛性が重要な車種では、前後[[サスペンション]]は'''エンジンメンバー''''''アクスルキャリア'''といったサブフレームを介してモノコックに取り付けられることが一般的となりつつある。ただしサスペンションの取り付け方法は、車両組立程の都合もあによって左右され
== 関連事項 ==
従来、車の構造を修復する機械を'''フレーム修正機'''と呼んでいたが、現在ではモノコックボディー構造が主流のため、'''ボディー修正装置'''と呼ぶようになった。
 
== 脚注 ==
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<references />
=== 注釈 ===
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=== 出典 ===
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== 外部リンク ==
* [http://www.webcg.net/WEBCG/qa/body/000018038.html WebCG「ラダーフレームのメリットは?] - WebCG
 
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[[Category:自動車工学]]
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