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[[ファイル:Ozaki Hosai 1.jpg|thumb|尾崎放哉]]
[[ファイル:Ozaki Hosai Stone Monument 02.JPG|200px|right|thumb|放哉の碑「こんなよい月をひとりで見て寝る」（神戸市・[[須磨寺]]大師堂）]]
'''尾崎 放哉'''（おざき ほうさい、本名：尾崎 秀雄〈おざき ひでお〉、[[1885年]]〈[[明治]]18年〉[[1月20日]] - [[1926年]]〈[[大正]]15年〉[[4月7日]]）は、[[日本]]の[[俳人]]。『[[層雲 (雑誌)|層雲]]』の[[荻原井泉水]]に師事。[[種田山頭火]]らと並び、[[自由律俳句]]のもっとも著名な俳人の一人である。[[鳥取県]][[鳥取市]]出身。[[大正]]15年、[[4月7日]]（大学時代の恩師・[[穂積陳重]]と同日<ref name=":0">青木亮人『近代俳句の諸相』所収「放哉と宇和島の穂積橋」、196-203頁。初出は「愛媛新聞」2014年1月11日。</ref>）に南郷庵で死去。[[死因]]は[[胸膜炎|癒着性肋膜炎合併症]]、[[カタル|湿性咽喉カタル]]<ref>{{Cite web|和書|url=https://archives.bukkyo-u.ac.jp/rp-contents/KK/0001/KK00010L035.pdf#12 |title=放哉の小豆島の俳句とその宗教的宇宙 |publisher=[[佛教大学]] 岡屋昭雄 著 |accessdate=2023-06-05}}</ref>。
== 概略 ==▼
種田山頭火と並ぶ自由律俳句の雄。活動の場を荻原井泉水の主宰する
[[第一高等学校 (旧制)|一高]]俳句会に属し、東京帝国大学法科大学（現・[[東京大学大学院法学政治学研究科・法学部|東京大学法学部]]）在学中も『[[ホトトギス (雑誌)|ホトトギス]]』や『[[國民新聞]]』に投句していたが、いずれも定型律で、ほどなく句作からも離れた。東京帝大卒業後、東洋生命保険（現・[[朝日生命保険]]）に就職し、大阪支店次長を務めるなど出世コースを歩んだ。しかし、同僚からは「石頭の我利ガリ亡者」と陰口を叩かれる（あるいは、そういう被害妄想に苛まれる）など社内では孤立<ref name="murakami">{{Cite book|和書|author=村上護|title=放哉評伝|publisher=春陽堂|series=俳句文庫|date=1991-06|page=98}}</ref>。そんな頃、一高時代の俳句仲間・荻原井泉水が『層雲』誌上で自由律俳句を提唱。放哉は「水を渇望して与えられたときのように、井泉水の主張をむさぼり読んだ」<ref name="murakami" />。1915年12月、最初の句が『層雲』に掲載され、翌年からは層雲社例会にも参加。一方、私生活は跛行を極め、同年、東洋生命保険を退職し、鳥取に帰郷。1922年、一高以来の親友である難波誠四郎の紹介で新創設の朝鮮火災海上保険株式会社の支配人として[[京城]]に赴任。しかし、飲酒が原因で翌年には免職となり、2か月間の入院生活も経験。帰国後、無所有を信条とする[[一燈園]]に住まい、[[俳句]]三昧の生活に入る。その後、寺男となって糊口をしのぎながら、最後は[[小豆島]]の庵寺で極貧のなか、ただひたすら自然と一体となる安住の日を待ちながら俳句を作る人生を送った。癖のある性格から周囲とのトラブルも多く、気ままな暮らしぶりから「今[[一休宗純|一休]]」と称された。
代表的な句に「咳をしても一人」があり<ref>[{{NDLDC|1123402/111}} 松波治郎 『歴史と人生』 彰文館、1942年。]</ref><ref>[{{NDLDC|1269897/72}} 山崎白雲 『教育随想・教育論叢』 久米書店、1939年。]</ref>、「人間の絶対孤独を詠った」（[[伊丹三樹彦]]）<ref>{{Cite book|和書|author=伊丹三樹彦|title=尾崎放哉句集（二）|publisher=春陽堂|series=俳句文庫|date=1990-10|chapter=放哉追跡の夏|page=172}}</ref>「粉飾をこそぎおとして骨ばかりになった俳句」（[[秋山清]]）<ref>{{Cite book|和書|author=秋山清|title=ニヒルとテロル|publisher=川島書店|series=ヒューマン選書|date=1968-06|page=71}}</ref>などの評がある。
▲== 概略 ==
終焉の地・[[小豆島]]には[[小豆島尾崎放哉記念館|尾崎放哉記念館]]があり、隣接する[[西光寺]]奥の院に放哉の墓がある。
== 年譜 ==
[[ファイル:Ozaki Hosai 2.jpg|thumb|尾崎放哉]]
* [[1885年]] - 1月20日、[[鳥取県]][[邑美郡]]吉方町（現・[[鳥取市]]吉方町）に、鳥取県の[[士族]]で鳥取地方[[裁判所]]の書記官・尾崎信三の次男として生まれる<ref name="ts">河出書房新社編 『尾崎放哉 つぶやきが詩になるとき』 [[河出書房新社]]、2016年12月、205頁。</ref>。翌年、一家は[[法美郡]]立川町（現・鳥取市立川町）へ転居。
* [[1897年]] - 鳥取県[[旧制中学校|尋常中学校]]（現・[[鳥取県立鳥取西高等学校]]）入学<ref name="ts" />。
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* [[1900年]] - 鳥取県第一中学校の校友会雑誌『鳥城』に俳句・[[随筆|随想]]・短歌を発表<ref name="ts" />。
* [[1901年]] - 友人らと『白薔薇』を発行<ref name="ts" />。
* [[1902年]] - 3月、鳥取県第一中学校卒業。9月、[[第一高等学校 (旧制)|第一高等学校]]（一高）法科に入学<ref name="ts" />
* [[1903年]] - 一高俳句会に参加し[[荻原井泉水]]を知る<ref name="ts" />。
* [[1905年]] - 7月、第一高等学校を卒業。9月、[[東京大学大学院法学政治学研究科・法学部|東京帝国大学
* [[1907年]] - [[根津
* [[1909年]] - 東京帝国大学法科大学政治学科を卒業<ref name="ts" />。通信社に入社。
* [[1910年]] - [[朝日生命保険|東洋生命保険]]に就職<ref name="ts" />。契約課に所属。
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* [[1913年]] - 契約係長となる。
* [[1914年]] - 東洋生命保険大阪支店次長として赴任<ref name="ts" />。
* [[1915年]] - 東京本社に帰任する。『層雲』12月号に初めて句が掲載される<ref name="ts" />
* [[1916年]] - 東洋生命を退社<ref name="ts" />。
* [[1922年]] - 新創設の朝鮮火災海上保険株式会社の支配人として[[京城府|京城]]に赴任<ref name="ts" />。
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[[ファイル:Shodoshima Hosai Ozaki Memorial Museum02s3.jpg|thumb|200px|終焉の地「南郷庵」<br />（現[[小豆島尾崎放哉記念館]]）]]
* [[1924年]] - 3月、[[知恩院]]（[[京都市]][[東山区]]）塔頭常称院の寺男となる。1か月ほどで同寺を追われ、6月、[[須磨寺]]（[[神戸市]][[須磨区]]）大師堂の堂守となる<ref name="ts" />。この頃から自由律俳句に磨きがかかる。
* [[1925年]] - 3月、須磨寺を去る。5月、[[常高寺]]（[[福井県]][[小浜市]]）の寺男となる。7月、[[常高寺]]を去り京都の荻原井泉水の仮寓に身を寄せる。8月、
* [[1926年]] - 『層雲』1月号より『入庵雑記』連載開始。4月7日、南郷庵に死す（大学時代の恩師・穂積陳重と同同日<ref name=":0" />）。享年41。死因は癒着性肋膜炎の合併症、湿性咽喉カタル。[[戒名]]は大空放哉居士<ref name="ts" />。
== 人物・エピソード ==
[[季語]]を含まず、五・七・五の定型に縛られない[[自由律俳句]]の代表的俳人として、[[種田山頭火]]と並び称される。旅を続けて句を詠んだ'''動'''の山頭火に対し、放哉の作風は'''静'''の中に無常観と諧謔性、そして洒脱味に裏打ちされた俳句を作った。性格は偏向的であり、自身が[[東京大学大学院法学政治学研究科・法学部|東京帝国大学
放哉の伝記的小説を書いた[[吉村昭]]によると<ref name=nhk>｢NHK文化講演会（小豆島と尾崎放哉）」（1994年5月22日放送）。</ref>、性格に甘えたところがあり、酒がやめられず、勤務態度も気ままなため、会社を退職に追い込まれたという<ref name="nhk" />。妻に「一緒に死んでくれ」と頼んだこともあり、呆れた妻は放哉のもとを去り、保険会社の寮母として生涯を送った<ref name="nhk" />。放哉は[[寺男]]などを転々とし、小さな庵と海のある場所に住みたいという理由から、晩年の八か月を[[小豆島]]の[[西光寺 (香川県土庄町)|西光寺]]奥の院で寺男として暮らしたが、島での評判は極めて悪かった<ref name="nhk" />。吉村が[[1976年]]に取材のため島を訪ねたとき、地元の人たちから「なぜあんな人間を小説にするのか」と言われたほどで、「金の無心はする、酒癖は悪い、東大出を鼻にかける、といった迷惑な人物で、もし今彼が生きていたら、自分なら絶対に付き合わない」と、吉村自身が語っている<ref name="nhk" />。それでも、島の素封家で[[俳人]]の井上一二（いのうえいちじ）と寺の住職らが支援し、近所の主婦が下の世話までして臨終まで看取った<ref name="nhk" />。吉村の小説『海も暮れきる』は、海が好きだった放哉にちなんで、放哉の句「障子
== 代表句 ==
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** 『海も暮れきる〜小豆島の放哉〜』として1985年にテレビドラマ化（[[NHK松山放送局]]制作）。[[橋爪功]]が放哉を演じた<ref>[http://www.tvdrama-db.com/drama_info/p/id-22460 海も暮れきる～小豆島の放哉～] - テレビドラマデータベース</ref>。
* [[清家雪子]]『[[月に吠えらんねえ]]』 講談社 小豆ちゃん
* DMM GAMES『文豪とアルケミスト』
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{reflist}}
== 著作新版 ==
*『尾崎放哉随筆集』講談社文芸文庫、2004年。村上護解説
*『尾崎放哉句集』岩波文庫、2007年。[[池内紀]]編
*『尾崎放哉全句集』ちくま文庫、2008年。村上護編
== 参考文献 ==
{{参照方法|date=2018年8月1日 (水) 04:32 (UTC)|section=1}}
* [[村上護]] 『放哉評伝』 [[春陽堂]]
* 大瀬東二『尾崎放哉の詩とその生涯』講談社、1974年
*『尾崎放哉 つぶやきが詩になるとき』河出書房新社、2016年
*青木亮人『近代俳句の諸相 ―正岡子規、高浜虚子、山口誓子など―』（創風社出版、2018）所収「放哉と宇和島の穂積橋」 ISBN 978-4860372637
== 関連項目 ==
{{Commonscat|Ozaki Hosai}}▼
{{Wikiquote|尾崎放哉}}▼
* [[小豆島尾崎放哉記念館]]
* [[俳人の一覧]]
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== 外部リンク ==
* [http://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=73373 鳥取ゆかりの漂泊の俳人「尾崎放哉」（鳥取県公式サイト）]
* [http://www.library.pref.tottori.jp/kyodo/osaki_hosai.html 鳥取県立図書館 尾崎放哉]
* {{青空文庫著作者|195}}
* {{国立国会図書館のデジタル化資料|978142|大空 (春秋社, 1926) 尾崎放哉俳句集}}
{{Normdaten}}
{{デフォルトソート:おさき ほうさい}}
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