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'''前世療法'''(ぜんせいりょうほう {{lang-en-short|''Past Life Therapy''}} )とは、[[催眠療法]]の一種であり、退行催眠により患者の記憶を本人の出産以前まで誘導(= 過去生退行<ref>{{lang-en-short|''Past Life Regression''}}</ref>)し、[[心的外傷]]等を取り除くと主張されている。▼
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▲'''前世療法'''(ぜんせ
== 支持者の報告 ==
[[トロント大学]]医学部教授ジョエル・L・ホイットンは1986年の著書の中で、深い催眠状態に入った被験者がみな催眠中の指示に従って、誕生前の前世記憶を想起することを発見したと主張した。彼はまた、患者たちが抱える症状が過去の人生に原因があり、その記憶を意識することで回復がみられたと主張した。ホイットンの推測によると、前世へ退行するほど深い催眠状態に入れるのは、人口の4~10%程度とされている<ref>{{Cite book |title=Life Between Life: Scientific Explorations into the Void Separating One Incarnation from the Next |author=Joel L. Whitton |author2=Joe Fisher |publisher=Doubleday |location=Garden City, N.Y |year=1986 |isbn=0-385-23274-8 }}</ref><ref>{{Cite book|和書|title=輪廻転生:驚くべき現代の神話 |author=ジョエル・L・ホイットン |author2=ジョー・フィッシャー |translator=片桐すみ子 |publisher=人文書院 |date=1989-7-25|isbn=4-409-33036-5 |page=17 }}</ref>。
[[アメリカ合衆国]]の[[催眠療法]]家ギャレット・オッペンハイムは、1987年の記事の中で、1979年に自ら実際に前世への退行催眠を体験して以来、クライアントに対して前世療法を行っていると述べた。オッペンハイムは、前世療法はそれ以外の療法で改善が見られなかった症状に対し、特に効果がみられたと主張した<ref>{{Cite book |title=Who Were You Before You Were You? |author=Garrett Oppenheim |publisher=[[w:en:Association for Research and Enlightenment|A.R.E. Association]] |series=Venture Inward |volume=vol.3, no.3 |year=1987 }}</ref><ref>片桐すみ子 編訳 『輪廻体験:過去世を見た人々の証言』人文書院、1991年11月20日、第1章『前世療法の実際』、ギャレット・オッペンハイム。ISBN 4-409-42011-9。</ref>。
[[マウントサイナイ病院]]の[[精神科医]][[ブライアン・L・ワイス]]は、1988年の著書の中で、1980年に治療した患者が年齢退行[[催眠]]の途中で偶然に前世への退行に至ったと主張した。前世への退行催眠の回数を重ねるたびに患者の症状は快方に向かい、最終的に完治したとされている<ref>{{Cite book |title=Many Lives, Many Masters: The True Story of a Prominent Psychiatrist, His Young Patient, and the Past-Life Therapy That Changed Both Their Lives |author=Brian L. Weiss |publisher=Fireside |year=1988 |isbn=0-671-65786-0 }}</ref><ref>{{Cite book|和書|title=前世療法:米国精神科医が体験した輪廻転世の神秘 |author=ブライアン・L・ワイス |translator=山川紘矢・山川亜希子 |publisher=PHP研究所 |date=1991 |isbn=4-569-53301-9 }}</ref>。ワイスはまた、一般に[[催眠療法]]として行われている年齢退行催眠の中でも、意図せず自然に患者が前世回帰に至るケースが3~5%程度あるのではないかと推定している<ref>{{Cite interview |subject=Brian Weiss |interviewer=A. Robert Smith |work= Venture Inward|publisher=[[w:en:Association for Research and Enlightenment|A.R.E. Association]] |volume=July/August 1990 |issue= |page= }}</ref><ref>{{Cite news |url=https://ameblo.jp/hypno2015/entry-12452190867.html |title=ブライアン・ワイス博士にまつわる大きな誤解 |work=村井啓一の「ひぷのがたり」 |date=2019-04-05 }}</ref>。
==クライアント==
日本での典型的な前世療法のクライアントは、1980年代から始まった、自分には前世の記憶や超能力、前世の記憶を共有する仲間たちがあると信じ、[[最終戦争]](ハルマゲドン)を機に世界を救うために仲間たちと連帯しようという空想や信念が流行した「前世ブーム」(前世の仲間探し、[[戦士症候群]]の流行)の際に、思春期の少女だった女性たちである<ref>{{Cite journal |和書
|author = 堀江宗正
|authorlink = 堀江宗正
|title = [https://ci.nii.ac.jp/naid/110007098042 現代の輪廻転生観 : 輪廻する<私>の物語]
|date = 2009-03-30
|publisher = 日本宗教学会
|journal = 宗教研究
|volume = 82
|pages = 1312-1313}}</ref>。
== 退行催眠への批判と応答 ==▼
前世の記憶は[[過誤記憶]]、[[虚偽記憶]]の一種であるという批判があり、かつて催眠によりありもしない記憶が作られた例が多くあった<ref>Stevenson, I. (1994). A case of the psychotherapist's fallacy: Hypnotic regression to "previous lives." American Journal of Clinical Hypnosis, 36, 188-93.</ref>。多くの前世療法家は「過去世の記憶」と実際の歴史との符号を調査していない<ref>{{Cite web|url=https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcam/8/1/8_1_43/_pdf |title=哲学でスピリチュアルを考える |format=PDF |publisher =三井康利(聖隷沼津病院) |date=2011-03-01 |accessdate=2024-08-08}}</ref>。
また「前世」とされるエピソードを想起することで、被験者の現在の心理的疾患が治癒されるケースがあり、それを前世の根拠とする主張がある<ref>{{Cite book|和書|author=ブライアン・L・ワイス / 山川紘矢 / 山川亜希子 |title=前世療法2 米国精神科医が挑んだ、時を越えたいやし |publisher=PHP研究所 |date=19970401 |page=19 |isbn=4569540589}}</ref>。しかし心理的原因の疾患では、原因そのものに触れなくても症状が消えることは多いので、疾患の治癒だけで前世の記憶が正しいと考えるには不十分であるという主張もある<ref>{{Cite journal|和書|journal=日本トランスパーソナル心理学/精神医学会誌「トランスパーソナル/精神医学」 |title=前世療法」の臨床心理学的検証——その問題点と可能性 |volume=1 |issue=5}}</ref>。▼
前世の記憶を呼び覚ますための催眠
== フィクション ==
▲==退行催眠への批判と応答==
* [[滝清流]] 著、大和真紀 原案 『チャネリング体験記(全3巻)』1992-1993年、[[朝日ソノラマ]]:現在の悩みは前世が原因であり、前世を[[チャネリング]]で思い出し悩みを解決するという連作。
== 脚注 ==▼
▲また「前世」を想起することで、被験者の現在の心理的疾患が治癒されるケースがあり、それを前世の根拠とする主張がある。しかし心理的原因の疾患では、原因そのものに触れなくても症状が消えることは多いので、疾患の治癒だけで前世の記憶が正しいと考えるには不十分であるという主張もある。
{{Reflist}}
▲催眠状態がもたらす「記憶の歪み」はしばしば批判の対象となってきた。この現象についてブライアン・ワイスは以下の見解を示している。「ゆがみについては、例えば、ある人を子供時代まで退行させて、幼稚園のことを思い出すよう指示すれば、当時の先生の名前や自分の服装や壁に貼ってあった地図、友達のこと、教室のみどり色の壁紙などを思い出すかもしれない。そして、そのあとでいろいろ調べてみると、幼稚園の壁紙は本当は黄色だったこと、緑色の壁紙は小学校一年生の時のことだとわかった。」「しかし、だからといって、その記憶は間違ったソースから来ている記憶とは言えない。同じように、過去世の記憶は一種の歴史小説といった性格をもっており、お話はファンタジーや創作、ゆがみ等が一杯あるかもしれないが、その核心はしっかりした正確な記憶であり、それらの記憶はみんな役に立つもの」であるとしている<ref>「前世療法2」邦訳、山川絋矢、亜希子、PHP出版の69ページを参照</ref>
▲==脚注==
▲== 参考文献 ==
* 『前世療法―米国精神科医が体験した輪廻転生の神秘』ブライアン・L. ワイス, PHP研究所, 1996年, ISBN 978-4569569321
* 『前世療法―米国精神科医が挑んだ、時を越えたいやし〈2〉』ブライアン・L. ワイス, PHP研究所, 1997年, ISBN 978-4569570013
* 『魂の伴侶―ソウルメイト 傷ついた人生をいやす生まれ変わりの旅』ブライアン・L. ワイス, PHP研究所, 1999年 ISBN 978-4569573090
== 関連項目 ==
* [[催眠]] / [[催眠療法]] / [[前世]] / [[転生]] / [[心霊主義]] / [[スピリティズム]] / [[神智学]] / [[ブライアン・L・ワイス]]
*[[輪廻転生]]▼
== 外部リンク ==
* [http://www.brianweiss.com/ ブライアン・L
* [http://www.sagami-wu.ac.jp/ishikawa/PLTexamination.pdf 『「前世療法」の臨床心理学的検証』石川勇一(PDF)]
* [http://jhpa.info/material/column/pastlifetherapy.html 前世療法における危険性] 日本催眠心理学会
* [http://www.
{{
[[Category:催眠]]
[[Category:
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▲[[Category:転生]]
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