削除された内容 追加された内容
Tanuki Z (会話 | 投稿記録)
m {{保護}}
 
(100人を超える利用者による、間の208版が非表示)
1行目:
{{出典の明記|date=2013年8月22日 (木) 17:56 (UTC)}}
{{保護}}
{{生物分類表
|色 = lightgreen
|名称 = クリ属
|画像 = [[ファイル:Castanea sativa - Köhler–s Medizinal-Pflanzen-173.jpg|250px|''Castanea sativa'']]
|画像キャプション = [[ヨーロッパグリ]] {{Snamei|Castanea_sativa}}
|地質時代 =
|地質時代2 =
|分類体系 = [[APG III]]
|界 = [[植物界]] {{Sname||Plantae}}
|門階級なし = [[被子植物]] {{Sname||Angiosperms}}
|綱階級なし = [[真正双子葉類]] {{Sname||Eudicots}}
|亜綱階級なし = [[コア真正双子葉類]] {{Sname||Core eudicots}}
|下綱階級なし = [[バラ類]] {{Sname||Rosids}}
|上目階級なし = [[真正バラ類I]] {{Sname||Eurosids I}}
|目 = [[ブナ目]] {{Sname||Fagales}}
|科 = [[ブナ科]] {{Sname||Fagaceae}}
|属 = '''クリ属''' {{Snamei||Castanea}}
|学名 = {{Snamei||Castanea}} {{AU|Mill.}}
|タイプ種 = {{Snamei||Castanea sativa}} Mill.<ref>[http://www.tropicos.org/Name/40002423 Castanea] Tropicos</ref>
|シノニム = <!-- * {{Snamei|}} {{AU|}} -->
|和名 =
|英名 = [[:en:chestnut|chestnut]]
|下位分類名 = [[種 (分類学)|種]]<ref>{{Cite web
|author = [[米倉浩司]]
|coauthors = 梶田忠
|year = 2003-
|url = http://ylist.info
|title = 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
|work =
|publisher =
|accessdate = 2015-08-23
}}</ref>
|下位分類 =
* {{Snamei|C. alnifolia}}
* [[クリ]] {{Snamei|C. crenata}}
* [[アメリカグリ]] {{Snamei|C. dentata}}
* {{Snamei|C. fleetii}}
* {{Snamei|C. henryi}}
* [[シナグリ|チュウゴクグリ]] {{Snamei|C. mollissima}}
* {{Snamei|C. neglecta}}
* {{Snamei|C. ozarkensis}}
* [[チンカピン]] {{Snamei|C. pumila}}
* [[ヨーロッパグリ]] {{Snamei|C. sativa}}
* {{Snamei|C. seguinii}}
}}
'''クリ属'''(クリぞく、[[学名]]: {{Snamei|Castanea}})は、[[ブナ科]][[クリ亜科]]に含まれる[[属 (分類学)|属]]の一つ。[[落葉樹]]。[[種子]]は食用にされ、幹は[[材木]](チェストナット材)にされる。
 
== 形態・生態 ==
'''クリ'''(栗)とはブナ科クリ属の[[木]]。落葉樹。学名はCastanea crenata。[[種子]]を食用にする。
[[File:Edelkastanie (Castanea sativa) 1.jpg|thumb|250px|Castanea sativa[[ヨーロッパグリ]]の樹 ]]
 
ほとんどの[[種 (分類学)|種]]は樹高20-40 [[メートル|m]]にもなるが、[[チンカピン]]類は小型で[[灌木]]状になる。
原産地は広くアジア、北アメリカ、ヨーロッパなどに分布している。
世界の主な栗の種別はヨーロッパグリ(ヨーロッパ)、アメリカグリ(北米)、チンカピングリ(北米)、シナグリ(中国)、ニッポングリ(日本)などがある。
 
[[葉]]は[[単葉]]で、卵型または倒卵形、葉の長さは10-30 [[センチメートル|cm]]、幅は4-10 cm。葉の縁には間隔の広い、鋭く尖った[[鋸歯]]があり、鋸歯と鋸歯の間は浅く凹んでいる。
年間平均気温10~14度、年間最低気温20度をくだらない地方であれば、どこでも栽培が可能で、国内においてはほぼ全県でみられ、生産量は、茨城、愛媛、熊本、岡山、山口の順に多い。
5月から6月に花が咲き、9月から10月頃に実が成熟すると自然に「いが」が裂けて中から堅い実が1~3個ずつ現れる。
 
[[花]]は白っぽい尾状[[花序]]を成し、[[精液]]の臭いとも評される特有の臭いがある。[[蜜源植物]]でもあり、独特の味があり好みが分かれるが、[[ミネラル]]分の多い[[蜂蜜]]が採れる。
[[画像:Kuri01.jpg|thumb|200px|auto|栗のいが(撮影日:2004年9月9日)]]
 
[[果実]]は直径5-11 cmで[[いが]]に覆われ、1個から7個の[[種子]]が入っている。
==品種==
<gallery>
日本にある品種だけでも約200種類以上あるといわれている。
Japanese Chestnut02.jpg|[[雄花]]([[クリ]])
大きくは早生栗、中生栗、晩生栗に分けられる。
Japanese Chestnut01.jpg|[[雌花]](クリ)
Japanese Chestnut04.jpg|幼果(クリ)
Chestnut03.jpg|[[果実]]([[ヨーロッパグリ]])
Kuri 20081013b.JPG|クリの実
Kuri 20081013a.JPG|クリの実(拡大)
</gallery>
 
*早生栗: 森早生、玉造、丹沢、出雲、大峰、国見
*中生栗: 筑波、銀寄、利平
*晩生栗: 石鎚、岸根
 
[[花崗岩]]質や[[結晶片岩]]質の酸性[[土壌]]を好み、[[石灰岩]]質などのアルカリ性土壌には生えない。
==栗を使った料理==
*栗きんとん
*栗ご飯
*栗饅頭
*マロングラッセ
*栗羊羹
 
== 分布 ==
'''材木としての用途'''
[[北半球]]の温暖で湿潤な地域に広く分布している。
 
== 人間との関わり ==
堅くて腐りにくいので、建物の柱や土台、鉄道線路の枕木、家具、等の指物に使われたが近年資源量の不足から入手しずらくなった。
=== 木材 ===
クリ属の樹は硬く耐久性が高く、[[木材]]としては比較的高級品の部類に入る。無塗装の状態では[[ナラ|楢]]のやや材質の黒っぽい感じであるが、クリア塗装すると力強い[[年輪]]が明瞭に現れるのが特徴である。
 
耐久性の高さから、かつては風雨にさらされる鉄道の[[枕木]]、[[電柱]]、同時に薄く引き剥がしやすい特性を生かし、屋根葺き用の薄板に使われた。また、かつては[[銃床]]の材料として広く用いられた。
[[de:Esskastanie]]
[[en:Chestnut]]
[[eo:Kaŝtanujo]]
[[fr:Châtaignier]]
[[nl:Kastanje]]
 
現在では産出量が激減した。日本では[[テーブル (家具)|テーブル]]や無垢フロア材として使用されることが多い。また日本では漢字が「西」と「木」の組み合わせであることから[[西方浄土]]になぞらえて[[位牌]]などの[[仏具]]に使用されることも多い。
[[Category:果物|くり]]
 
{{Gallery|width = 250px
|ファイル:Kuri-table.jpg|栗の無垢一枚板のテーブル(クリア塗装済み)
|ファイル:Castanea crenata - Japanese Chestnut floor.jpg|栗の無垢フロア(無塗装状態)
}}
 
=== 食用 ===
[[File:Closeup of marrons glacés in Palermo (5200071943).jpg|thumb|200px|[[マロングラッセ]]]]
[[File:Fried Chestnuts.jpg|thumb|200px|[[焼き栗]]([[香港]]にて)。高温の小石により[[蒸し焼き]]にして調理する。手作業で調理する。]]
[[ファイル:Roasted chestnut.jpg|thumb|right|200px|日本の[[夜店]]の電動化された[[甘栗]]調理装置。[[攪拌]]するための回転羽が電動で動く。]]
[[File:Kuri-kinton 001.jpg|thumb|200px|[[栗きんとん]](左)。[[おせち料理]]の定番にもなっている。]]
[[File:KurimushiYoukan.jpg|thumb|200px|栗[[羊羹]]]]
==== 世界各地 ====
; 欧州
: [[フランス]]では[[マロングラッセ]]にして食べられたり、あるいはクレーム・ド・マロン([[:fr:Crème de marrons]])もある。マロン・ジャムをパンに塗り毎朝のように食べたり、おやつにそれを食べる家庭もある(赤いチェック柄の蓋の瓶が目印の「ボヌ・ママン(良いお母さん)」ブランドのものが有名で、日本でも販売されている。)
: ケーキ屋(パティシエール)にはたいていクリを使ったケーキも置いてある。
: [[モンブラン (ケーキ)|モンブラン]]の上に載せるというのも一般的である。
: イタリアなどでは、「栗の[[ポレンタ]]」という[[デザート]]もある。
: [[フランス]]や[[イギリス]]でも焼き栗のようなものが街頭で売られていることがある。
; 中国
: 中国で料理に使うものとしては次のような例を挙げられる。
:* 栗と[[鶏肉]]の炒め煮(鶏肉炆栗子) - [[広東料理]]。
:* 栗と[[豚足]]の[[煮込み]](栗子燉猪蹄) - 広東料理。[[シイタケ]]を加えることもあり、[[ヤギ肉]]などに変えることもある。
:* 栗と[[ハクサイ|白菜]]の揚げ煮(栗子焼白菜) - 河南料理。
:
:ほかにも[[焼き栗]]も一般的。[[中華人民共和国|中国]]では「糖炒栗子」、「糖炒板栗」の名で、小石とともに人手で焼いて売られている。日本にも中国の焼き栗がもたらされ広まり、「[[シナグリ|天津甘栗]]」が知名度が高い。また[[大韓民国|韓国]]では(日本の[[焼き芋]]のように)[[屋台]]で売られる冬の[[風物詩]]である。
 
==== 日本での食用 ====
[[縄文時代]]、[[狩猟採集社会|採集・狩猟生活]]を送っていた[[縄文人]](日本列島に住んでいた[[先住民族]]たち)にとっては[[ドングリ]]・[[クルミ]]など[[果実#果実の分類|堅果]]類が主要な食物資源であったわけであり、クリも食されていたと考えられている。縄文人の円形の集落の周囲には、意図的・計画的にドングリ・クルミ・クリなどが植えられ[[栽培]]されていた痕跡が残っている。(果実については[[果皮]]が薄いため、[[考古遺跡]]の遺物として出土することはまず無いが、クリの木を栽培していれば自然に実がなるわけで、それを食べない理由が無いので、当然食べていたと考えられている。)
 
[[戦国時代 (日本)|戦国期]]から[[近世]]には蒸した栗果を扁平に加工した菓子である[[勝栗]](打栗)が[[縁起物]]として重宝され、近世には地方名物として献上品にも用いられた。茹でたり焼いたりするのが一般的な食べ方。[[南ヨーロッパ]]の[[森林|森林地帯]]では、栗の実を乾燥して粉にしたものを[[小麦粉]]の代用品にしていた。
 
[[日本]]では、栗を干した後に搗(つ)いて殻と渋皮を除去したカチグリ(搗栗)が利用されていた。カチグリは名前が「勝ち」につながるため[[武家]]の[[縁起物]]とされた。日本在来種の栗は渋皮が取れにくくカチグリにするための手間がかかるため、近年では渋皮の取れやすい海外産の栗が安価なカチグリの原料とされている。
* [[栗金団]]
** [[栗かの子]] - 芋餡でなく栗餡を用いる栗金団。[[長野県]][[小布施町]]の名物として知られる。
* [[栗きんとん]] - [[岐阜県]][[東濃|東濃地方]]名産の和菓子で、「栗金団」とは異なる。
* [[栗饅頭]]
* [[羊羹|栗羊羹]]
* [[落雁#変種|栗落雁]] - 長野県などの郷土菓子。
* [[甘露煮]]
* [[栗飯|栗御飯]]
* [[茶碗蒸し]] - [[北海道]]、[[青森県]]などでは[[銀杏]]に代わって栗の甘露煮が具として加えられる。
* [[ちらし寿司]] - [[愛媛県]][[南予地方]]で定番の郷土料理。
 
近年では[[百均]]の[[大創産業|ダイソー]]で「むき甘栗」(「有機栽培栗100% こだわりのむき甘栗」、中国産のもの)が100円で販売されており、手軽に安く手に入るのでリピート買いするという人も多い<ref>[https://www.o-uccino.jp/article/posts/65474 ]</ref>。
 
=== 渋皮 ===
渋皮は[[タンニン]]が含まれており、[[石鹸]]などに用いられる(渋皮石鹸)。
 
== 下位分類 ==
; ''C. alnifolia''
: [[北米]]に分布、英名Bush Cinkapin。
; [[クリ]] ''C. crenata''
: 日本および[[朝鮮半島]]南部に分布し樹高は20&nbsp;mほどに達する。葉の形など全体的に[[クヌギ]](''Quercus acutissima'')に似るが、葉はクヌギよりも細長く樹皮はより平滑(特に若い木ではその差が著しい、クリも老木では垂直方向に深い亀裂が多数入る)。種小名crenataは「鋭い鋸歯のある」の意味<ref name="原色樹木大図鑑">林弥栄・古里和夫・中村恒夫(1985)原色木材大図鑑, 北隆館, 東京.</ref>。果実は食用として縄文時代から利用されていた記録が残る他、硬く腐りにくい材は建築や鉄道の[[枕木]]に利用された。
; [[アメリカグリ]] ''C. dentata''
: アメリカ合衆国東部原産。幹の直径3 m、樹高は30 mに達する巨大種だが種子はやや小ぶり。食用の他にタンニン採取用としてもきわめて有用であったが、[[クリ胴枯病]](chestnut blight)に感受性が強く元々の分布地では数が激減した。
; ''C. henryi''
: 中国に分布するチンカピンの仲間で樹高253 mになる大型種。他のチンカピン同様イガの中で実が分割せず、1つのイガには丸い実が1つだけ入っている。中国名は錐栗。
; [[シナグリ]] ''C. mollissima''
: 中国原産。種小名mollissimaは「非常に柔らかい」ことを示す<ref name="原色樹木大図鑑"/>。樹高は20&nbsp;mに達する。種子は大きいうえに、表面の渋皮を剥きやすく味も良いという優良食用種。一般に[[天津甘栗]]は本種を使用する。中国名は板栗。
; ''C ozarkensis''
: アメリカに分布するチンカピンの仲間
; [[チンカピングリ]] ''C. pumila''
: アメリカ合衆国原産。種小名のpumilaは「小さい」ことを示し、実際に樹高は103 mに満たない。チンカピンの仲間共通で1つのイガの中には1つの丸い実が入っているだけで、他のクリの様に複数は入っていない。
; [[ヨーロッパグリ]] ''C. sativa''
: ヨーロッパ南部を中心に分布し、樹高は30&nbsp;mに達する大型種。種小名sativaは「人が栽培する」の意味<ref name="原色樹木大図鑑"/> で実際に古くから栽培されていた。樹皮は成長するにつれて亀裂が入るが、日本のクリが垂直方向に亀裂が入るのに対して本種はやや斜めに入る。アメリカ産のクリ程ではないがクリ胴枯病には弱い。
; モーパングリ ''C seguinii''
: 中国原産、現地名は芽栗
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}
 
== 参考文献 ==
* {{Cite book|和書
|author = 茂木透写真
|others = [[高橋秀男]]・[[勝山輝男]]監修
|title = 樹に咲く花 離弁花1
|year = 2000
|publisher = [[山と溪谷社]]
|series = 山溪ハンディ図鑑
|isbn = 4-635-07003-4
|pages = 278-281
|chapter = クリ属
|ref = woodyplants
}}
 
== 関連項目 ==
* [[マロン (植物)]]
* [[殻斗果]]
 
== 外部リンク ==
{{Wiktionary|くり}}
{{Wikispecies|Castanea}}
{{Commonscat|Castanea}}
* {{ITIS
|ID = 19451
|taxon = ''Castanea'' Mill.
|accessdate = 2013-08-22
}} {{En icon}}
* {{NCBI|21019|''Castanea''}} {{En icon}}
* {{EOL|107742|''Castanea''}} {{En icon}}
* {{Cite web
|author = [[波田善夫]]
|date =
|url = http://had0.big.ous.ac.jp/plantsdic/angiospermae/dicotyledoneae/choripetalae/fagaceae/fagaceae.htm#クリ属
|title = クリ属
|work = 植物雑学事典
|publisher = [[岡山理科大学]]生物地球学部
|accessdate = 2013-08-22
}}
 
{{Plant-stub}}
{{Normdaten}}
 
{{DEFAULTSORT:くり}}
[[Category:ブナ科]]
[[Category:種実類]]
[[Category:ヨーロッパの食文化]]
[[Category:木]]
[[Category:木材]]
[[Category:花粉症]]
[[Category:栗|*]]