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{{参照方法|date=2021年5月}}
<table border="1" align="right">
[[ファイル:正長石.jpg|thumb|250px|[[正長石]]]]
<tr><th colspan="2" bgcolor="#ccccff">長石(鉱物グループ)</th></tr>
'''長石'''(ちょうせき、feldspar)は、複数の[[鉱物]]種を総称する鉱物グループであり、[[アルカリ金属]]および[[アルカリ土類金属]]などの[[アルミノケイ酸塩]]を主成分とする三次元構造のテクトケイ酸塩の一種である。
<tr><td colspan="2">[[画像:正長石.jpg||200px]]</td></tr>
<tr><td align="center">分類</td><td>ケイ酸塩鉱物</td></tr>
<tr><td align="center">色</td><td>白</td></tr>
<tr><td align="center">組成</td><td>(Ca,Na,K)AlSi<sub>3</sub>O<sub>8</sub></td></tr>
<tr><td align="center">[[モース硬度|硬度]]</td><td>6~6.5</td></tr>
<tr><td align="center">比重</td><td>3.52</td></tr>
<tr><td align="center">[[結晶格子|晶系]]</td><td>単斜晶系、三斜晶系<br>斜方晶系</td></tr>
<tr><td align="center">光沢</td><td>ガラス</td></tr>
<tr><td align="center">条痕</td><td>白</td></tr>
<tr><td align="center">劈開</td><td>完全</td></tr>
<tr><td align="center">蛍光</td><td> </td></tr>
<tr><td align="center">断口</td><td> </td></tr>
<tr><td align="center">宝石名</td><td>
* [[ムーンストーン]]
* [[サンストーン]]
* [[ラブラドライト]]
</td></tr>
</table>
 
[[地殻]]中に普遍的に存在する鉱物で、もっとも存在量が多く、ほとんどの[[岩石]]([[火成岩]]、[[変成岩]]、[[堆積岩]])に含まれる[[造岩鉱物]]であり、特に[[花崗岩]]には60%前後含まれ、[[玄武岩]]にも50%前後含まれる。逆に、長石を含まない岩石はほとんどなく、そのような岩石は非常に特異な生成過程を経ている場合が多い。
'''長石'''(ちょうせき、feldspar)は、複数の[[鉱物]]種を総称する鉱物グループ。
 
色のついているものもあるが、通常は[[白色]]である。[[モース硬度]]は 6 - 6.5、[[比重]] 2.5 - 2.7 である。[[化学組成]]によりいくつかに分類されるが、多くの種類の長石が互いに[[固溶体]]を形成するため、それぞれの[[端成分]]の間には化学組成が連続的に変化した一連の長石が存在する。
[[地殻]]中に普遍的に存在する鉱物で、もっとも存在量が多く、ほとんどの[[岩石]]([[火成岩]]、[[変成岩]]、[[堆積岩]])に含まれる[[造岩鉱物]]。逆に、長石を含まない岩石はほとんどなく、そのような岩石は非常に特異な生成過程を経ている場合が多い。
 
正長石は[[モース硬度]] 6 の指標鉱物である。固溶体では硬度が若干異なるため、厳密には端成分の[[正長石]]が基準となっている。ただし、実用上のモース硬度 6 は[[カリ長石]]であるとして問題ない。
色のついているものもあるが通常は白色である。[[モース硬度]]は 6~6.5、[[比重]] 2.5~2.7 である。[[化学組成]]によりいくつかに分類されるが、多くの種類の長石が互いに[[固溶体]]を形成するため、それぞれの端成分の間には化学組成が連続的に変化した一連の長石が存在する。
 
正長石は[[モース硬度]]6の指標鉱物である。固溶体では硬度が若干異なるため、厳密には端成分の正長石が基準となっている。ただし、実用上のモース硬度6はカリ長石であるとして問題ない。
 
== 成分・種類 ==
長石の一般式は (Na,K,Ca,Ba)(Si,Al)<sub>4</sub>O<sub>8</sub>、あるいは (Na,K,Ca,Ba)Al(Al,Si)Si<sub>2</sub>O<sub>8</sub> と表される。普通に産する長石は、KAlSi<sub>3</sub>O<sub>8</sub>([[カリ長石]]、Or) - NaAlSi<sub>3</sub>O<sub>8</sub>([[曹長石]]、Ab) - CaAl<sub>2</sub>Si<sub>2</sub>O<sub>8</sub>([[灰長石]]、An)の3成分系のものであり、Or-Ab 系列を'''アルカリ長石'''とよび主に花崗岩に含まれ、Ab-An 系列を'''斜長石'''といい主に玄武岩に含まれる
<!--
長石は、正長石(KAlSi<sub>3</sub>O<sub>8</sub>) - スローソン石(SrAl<sub>2</sub>Si<sub>2</sub>O<sub>8</sub>)を端点とする系列と、灰長石(CaAl<sub>2</sub>Si<sub>2</sub>O<sub>8</sub>) - バナルサイト(BaNa<sub>2</sub>Al<sub>4</sub>Si<sub>4</sub>O<sub>16</sub>)を端点とする系列の2つに分けられる。正長石を含む系列ではカリウムを含む鉱物が比較的一般的に産出し、これらをカリ長石という。灰長石を含む系列ではカルシウム、ナトリウムを含む鉱物が一般的に産出し、これらを斜長石と言う。
 
化学式は (Ba,Ca,K,Na,NH<small><sub>4</sub></small>,Sr)(Al,B,Si)<small><sub>3</sub></small>O<small><sub>8</sub></small> と表される。
-->
=== アルカリ長石 ===
[['''アルカリ長石]]'''(alkali feldspar)グループ。[[カリウム]]に富む長石は[['''カリ長石]]'''(K-feldspar)といわれ、正長石、微斜長石が含まれる。[[火山岩]]中の長石のように高温で形成された場合はサニディン、アノーソクレースになり、[[深成岩]]や[[変成岩]]中の長石のように中温~低温で形成された場合は正長石、微斜長石になる。
 
; [[正長石]](orthoclase)
: KAlSi<sub>3</sub>O<sub>8</sub>。[[単斜晶系]]。中温~低温で形成されたカリ長石。白色だが、灰色、黄色、赤のものもある。緑のものはめったにない。モース硬度6の基準。[[磁器]]の材料や[[クレンザー|みがき粉]]の原料になる。
: 透明で菱形のものは[[氷長石]](adularia、アデュラリア)ともいう。
; [[サニディン]](sanidine、玻璃長石、sanidine)
: (K,Na)AlSi<sub>3</sub>O<sub>8</sub>。単斜晶系。高温で形成されたアルカリ長石で、[[ナトリウム]]を少し含む。[[火山岩]]の中に産出する。
: 青白い色が月の光のように揺らめいているように見える美しいものは[[ムーンストーン]][[月長石]]、moonstone)と呼ばれ、[[宝石]]になる(アノーソクレースの場合もある)。
; [[微斜長石]](microcline、マイクロクリン)
: KAlSi<sub>3</sub>O<sub>8</sub>。[[三斜晶系]]。中温~低温で形成されたカリ長石。正長石とは内部の構造が異なるため属する晶系も異なる。しかし、見た目には正長石とほとんど区別がつかない。
: 青緑色の[[アマゾナイト]](天河石、amazonite)は微量の鉛を含む。
; [[アノーソクレース]](anorthoclase)(anorthoclase、曹微斜長石)
: (Na,K)AlSi<sub>3</sub>O<sub>8</sub>。三斜晶系。高温で形成されたアルカリ長石で、サニディンよりもナトリウムを多く含む。
 
<gallery>
ファイル:OrthoclaseBresil.jpg|[[正長石]]
ファイル:|[[サニディン]](玻璃長石)
ファイル:Feldspar(Microcline)USGOV.jpg|[[微斜長石]](マイクロクリン)
ファイル:|[[アノーソクレース]](曹微斜長石)
</gallery>
 
=== 斜長石 ===
'''[[斜長石]](plagioclases)'''([[:en:plagioclase|plagioclases]])グループ。[[ナトリウム]]の多い端成分が曹長石、[[カルシウム]]の多い端成分が灰長石であり、[[固溶体]]を形成する(厳密には曹長石と灰長石の微細な結晶の集合体)。かつては曹長石(Ab)と灰長石(An)の間を[[灰曹長石]](oligoclase、Ab<sub>90-70</sub>An<sub>10-30</sub>) - [[中性長石]](andesine、Ab<sub>70-50</sub>An<sub>30-50</sub>) - [[曹灰長石]](labradorite、Ab<sub>50-30</sub>An<sub>50-70</sub>) - [[亜灰長石]](bytownite、Ab<sub>30-10</sub>An<sub>70-90</sub>)に分けていたが、現在は独立種でない<ref>松原聰 『フィールドベスト図鑑15 日本の鉱物』 学習研究社、2003年、234頁、ISBN 4-05-402013-5。</ref>([[固溶体#固溶体を形成する鉱物の命名|固溶体]]のいわゆる「50%ルール」による<ref>E.H. Nickel, "Solid solutions in mineral nomenclature", ''Canadian Mineralogist'', Vol. 30, pp. 231-234, 1992. [http://www.mineralogicalassociation.ca/doc/abstracts/ima98/ima98(07).pdf PDF]</ref>)。
<gallery>
ファイル:Oligoclase-Sunstone from India2.jpg|灰曹長石
ファイル:01722 Andesine.jpg|中性長石
ファイル:Labradorite.jpg|[[曹灰長石]]
ファイル:Feldspar - Bytownite Sodium calcium aluminum silicate Crystal Bay Minnesota 2689.jpg|亜灰長石
</gallery>
 
; [[曹長石]](albite、アルバイト)
58 ⟶ 48行目:
: CaAl<sub>2</sub>Si<sub>2</sub>O<sub>8</sub>。三斜晶系。
: ある一定方向から見ると虹のような光を放つ[[ラブラドライト]](labradorite)は準貴石の扱いをうける。赤い色の[[サンストーン]](日長石、sunstone)はこの種に属し、準貴石の扱いを受ける。サンストーンの発色は微量に含まれる銅によるものと考えられている。
 
<gallery>
ファイル:Albite2.jpg|[[曹長石]](アルバイト)
ファイル:Anorthit Miyake,Japan.JPG|[[灰長石]](アノーサイト)
ファイル:LabradoritD.jpg|曹灰長石([[ラブラドライト]])
ファイル:Sunstone1.jpg|日長石([[サンストーン]])
</gallery>
 
=== その他の長石 ===
63 ⟶ 60行目:
* [[パラ重土長石]](paracelsian)
* [[バナルシ石]](banalsite) - BaNa<sub>2</sub>Al<sub>4</sub>Si<sub>4</sub>O<sub>16</sub>、斜方晶系。
* [[ストロナルシ石]](stronalsite) - SrNa<sub>2</sub>Al<sub>4</sub>Si<sub>4</sub>O<sub>16</sub>、斜方晶系。
* [[スローソン石]](slawsonite) - SrAl<sub>2</sub>Si<sub>2</sub>O<sub>8</sub>、単斜・三斜晶系。
* [[アンモニウム長石]](buddingtonite) - (NH4)AlSi<sub>3</sub>O<sub>8</sub>、単斜晶系。
69 ⟶ 66行目:
加蘇長石(kasoite、カリウムに富む重土長石)はかつて独立種とされていたが、現在は否定されている。
 
== 準長石 ==
<!--
{{Main|準長石}}
== 産出地 ==
[[二酸化ケイ素]]に乏しいマグマ中では、長石の代わりに[[霞石]](NaAlSiO<sub>4</sub>)などが生成する。このようなものは'''[[準長石]]'''と呼ばれる。
主産地(国、または地方)
 
== 性質・特徴 ==
*性質・特徴など詳しい説明
*生成メカニズム、生成状況など
*変わった結晶、色変わり結晶など
 
== 用途・加工法 ==
*用途(工業分野と装飾分野など)
*加工法
 
== サイド・ストーリー ==
鉱物にまつわる話や語源・名前の由来など
-->
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}
<references/>
 
== 関連項目 ==
99 ⟶ 83行目:
* [[黒田吉益]]・[[諏訪兼位]] 『偏光顕微鏡と岩石鉱物 第2版』 [[共立出版]]、1983年、ISBN 4-320-04578-5。
* [[森本信男]] 『造岩鉱物学』 [[東京大学出版会]]、1989年、ISBN 4-13-062123-8。
* [[松原聰]] 『フィールドベスト図鑑15 日本の鉱物』 [[学研ホールディングス|学習研究社]]、2003年、ISBN 4-05-402013-5。
* 松原聰・宮脇律郎 『[[国立科学博物館]]叢書5 日本産鉱物型録』 [[学校法人東海大学出版会|東海大学出版会]]、2006年、ISBN 978-4-486-03157-4。
 
== 外部リンク ==
* [http://www.mindat.org/min-1624.html Feldspar Group](mindat.org)
* [https://web.archive.org/web/20160304073943/http://home.hiroshima-u.ac.jp/er/Mn/Mn_KLG_fel.html Feldsparグループ](地球資源論研究室)
* [http://www15.plala.or.jp/gemuseum/gemus-feldspat.htm 長石族の鉱物](空想の宝石・結晶博物館)
 
[[Category:鉱物|ちようせき]]
 
{{Authority control}}
[[ar:مجموعة الفلدسبار]]
{{DEFAULTSORT:ちようせき}}
[[bs:Feldspat]]
[[Category:ケイ酸塩鉱物]]
[[ca:Feldspat]]
[[Category:テクトケイ酸塩鉱物]]
[[cs:Živec]]
[[Category:アルミニウム鉱物]]
[[da:Feldspat]]
[[Category:アルミノケイ酸塩]]
[[de:Feldspat]]
[[en:Feldspar]]
[[eo:Feldspato]]
[[es:Feldespato]]
[[et:Päevakivi]]
[[fa:فلدسپات]]
[[fi:Maasälpä]]
[[fr:Feldspath]]
[[gl:Feldespato]]
[[he:פצלת השדה]]
[[hu:Földpátok]]
[[is:Feldspat]]
[[it:Feldspato]]
[[ko:장석]]
[[lt:Lauko špatas]]
[[lv:Laukšpats]]
[[nl:Veldspaat]]
[[nn:Feltspat]]
[[no:Feltspat]]
[[pl:Skaleń]]
[[pt:Feldspato]]
[[ro:Feldspat]]
[[ru:Полевые шпаты]]
[[simple:Feldspar]]
[[sk:Skupina živca]]
[[sv:Fältspat]]
[[tr:Feldspat]]
[[zh:长石]]