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{{出典の明記| date = 2023年1月}}
'''教育勅語等排除に関する決議'''(きょういくちょくごとうはいじょにかんするけつぎ)と'''教育勅語等の失効確認に関する決議'''(きょういくちょくごとうのしっこうかくにんにかんするけつぎ)は、ともに[[教育勅語]]の指導性を[[否定]]した[[国会]]の各[[議院]]による[[決議]]である。「教育勅語等排除に関する決議」は[[衆議院]]の決議であり、「教育勅語等の失効確認に関する決議」は[[参議院]]の決議である。双方とも[[1948年]]([[昭和]]23年)[[6月19日]]に各議院で決議された。
 
'''教育勅語等排除に関する決議'''(きょういくちょくごとうはいじょにかんするけつぎ)と'''教育勅語等の失効確認に関する決議'''(きょういくちょくごとうのしっこうかくにんにかんするけつぎ)は、ともに[[教育勅語]]・[[軍人勅諭]]等の指導性を[[否定]]した[[国会 (日本)|国会]]の各[[議院]]による[[国会決議]]である。「教育勅語等排除に関する決議」は[[衆議院]]の決議であり、「教育勅語等の失効確認に関する決議」は[[参議院]]の決議である。双方とも[[1948年]]([[昭和]]23年)[[6月19日]]に各議院で決議された
[[日本国憲法]]、[[教育基本法]]、[[学校教育法]]が[[施行]]される中で決議され、[[第2次世界大戦]]前の[[教育]]に用いられていた[[教育勅語]]の指導原理性を国会によって否定するとともに、各[[学校]]に下賜(配布)されていた教育勅語の[[謄本]]を[[行政]]が回収するべきこと宣言している。なお、教育勅語の奉読([[朗読]])と神聖的な取りあつかいについては、既に[[1946年]](昭和21年)から行われなくなっていた。
 
== 概要 ==
決議文の文章は各議院ごとに異なり、またその趣意も各議院によって微妙に異なる。衆議院は、[[日本国憲法]][[日本国憲法第98条|第98条]](最高法規)の本旨に基づいて排除することとし、対して参議院は、日本国憲法に則って教育基本法を制定した結果として、教育勅語は既に廃止されて効力を失っているとした。
「教育勅語等排除に関する決議」は[[衆議院]]の決議であり、「教育勅語等の失効確認に関する決議」は[[参議院]]の決議である。双方とも[[1948年]]([[昭和]]23年)[[6月19日]]に各議院で決議された。
 
[[日本国憲法]]、[[教育基本法]]、[[学校教育法]]が[[施行]]される中で決議され、[[第2次世界大戦]]前の[[教育]]に用いられていた[[教育勅語]]の指導原理性を国会によって否定するとともに、各[[学校]]に下賜(配布)されていた教育勅語の[[謄本]][[行政]]が回収するべきと宣言している。なお、教育勅語の奉読([[朗読]])と神聖的な取りあつかいについては、既に[[1946年]](昭和21年)から行われなくなっていたが、まだ学校教育で教育勅語の朗読をしている場所もあった。
決議のきっかけとしては、まず[[アメリカ合衆国]][[アメリカ国防総省|国防総省]]が教育勅語を全面的に否定する方針を打ち出し、[[極東委員会]]においても「日本教育制度に関する政策」で、教育勅語は[[教授]]、[[研究]]、[[儀式]]のよりどころしてはならないと決定された。これに基づいて、[[1948年]](昭和23年)[[5月]]に[[連合国軍最高司令官総司令部]] (GHQ/SCAP) 民政局 (GS) が、衆参両議院の[[文教委員会]]の委員長を呼んで、教育勅語を否定する決議をするように口頭で指示したとされている。その後、衆参両議院で個別に打合会が開かれ、何度か衆参両議院の文教委員長同士の協議もされた。[[6月19日]]には、両議院とも[[委員会]]の審査を省略する形で、決議案が[[本会議]]に提出されて可決、成立した。
 
決議文の文章は各議院ごとに異なり、またその趣意も各議院によって微妙に異なる。衆議院は、[[日本国憲法]][[日本国憲法第98条|第98条]](最高法規)の本旨に基づいて排除することとし、対して参議院は、日本国憲法に則って教育基本法を制定した結果として、教育勅語は既に廃止され効力を失っていると決議した。
==法学的な問題点==
 
決議のきっかけとしては、まず[[アメリカ合衆国]][[アメリカ国防総省|国防総省]]が教育勅語を全面的に否定する方針を打ち出し、[[極東委員会]]においても「日本教育制度に関する政策」で、教育勅語は[[教授]][[研究]][[儀式]]のよりどころしてはならないと決定された。これに基づいて、[[1948年]](昭和23年)[[5月]]に[[連合国軍最高司令官総司令部]] (GHQ/SCAP) 民政局 (GS) が、衆参両議院の[[文教委員会]]の委員長を呼んで、教育勅語を否定する決議をするように口頭で指示したとされている。その後、衆参両議院で個別に打合会が開かれ、何度か衆参両議院の文教委員長同士の協議もされた。[[6月19日]]には、両議院とも[[委員会]]の審査を省略する形で、決議案が[[本会議]]に提出されて、両院とも全会一致で可決、成立した。
両院の決議文における趣意の違いは、[[法学]]的な観点から議論になることもある。
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== 法学的な問題点 ==
衆議院の決議文については、教育勅語に[[国務大臣]]の[[副署]]がなく[[国務]]に関しない[[詔勅]]とされているのに決議が可能であるのかということが問題になる。[[大日本帝国憲法]]第55条第2項には、「凡(すべ)テ法律勅令其ノ他国務ニ関ル詔勅ハ国務大臣ノ副署ヲ要ス」という規定があった。しかし、日本国憲法が排除する詔勅を国務に関するものに限定する規定もまた存在していない。
両院の決議文における趣意の違いは、[[法学]]的な観点から議論になることもある。
 
衆議院の決議文については、教育勅語に[[国務大臣]]の[[副署]]がなく[[国務]]に関しない[[詔勅]]とされているのに決議が可能であるのかということが問題になる。[[大日本帝国憲法]]第55条第2項には、「凡(すべ)テ法律勅令其ノ他国務ニ関ル詔勅ハ国務大臣ノ副署ヲ要ス」という規定があった。しかし、日本国憲法が排除する詔勅を国務に関するものに限定する規定もまた存在していない。
 
参議院の決議文については、教育勅語が既に廃止されていたことになっているのが問題になる。日本国憲法にも教育基本法にも教育勅語を「廃止」する旨の規定は、明文で定められていない。しかし、実質的に教育勅語が大日本帝国憲法と一対のものであったということから日本国憲法の制定によって実質的に廃止されたする考え方もある。また、参議院においては、学校教育法の施行によって、教育勅語と関わりのある各種の学校令を廃止したので教育勅語は過去の文書となったという見解があった。
 
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==関連項目==
 
== 関連項目 ==
*[[教育勅語]] - [[軍人勅諭]]
* [[教育勅語]] - [[軍人勅諭]]
* [[日本国憲法]] - [[教育基本法]] - [[学校教育法]]
* [[連合国軍最高司令官総司令部]] (GHQ/SCAP) - [[極東委員会]] (FEC)
 
== 外部リンク ==
{{Wikisource|教育勅語等排除に関する決議}}
{{Wikisource|教育勅語等の失効確認に関する決議}}
*[https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=100205254X06719480619 教育勅語等排除に関する決議(衆議院会議録)]
*[https://www.sangiin.go.jp/japanese/san60/s60_shiryou/ketsugi/002-51.html 教育勅語等の失効確認に関する決議]
 
* [http://wikisource.org/wiki/%E6%95%99%E8%82%B2%E5%8B%85%E8%AA%9E%E7%AD%89%E6%8E%92%E9%99%A4%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%B1%BA%E8%AD%B0 教育勅語等排除に関する決議](ウィキソース)
* [http://wikisource.org/wiki/%E6%95%99%E8%82%B2%E5%8B%85%E8%AA%9E%E7%AD%89%E3%81%AE%E5%A4%B1%E5%8A%B9%E7%A2%BA%E8%AA%8D%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%B1%BA%E8%AD%B0 教育勅語等の失効確認に関する決議](ウィキソース)
* [[b:教育勅語|教育勅語解説]]([[ウィキブックス]])
 
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[[Category:国会決議]]
[[Category:1948年の日本]]
[[Category:占領下の日本の政治]]
[[Category:戦後日本の教育]]
[[Category:1948年の政治]]
[[Category:1948年6月]]
[[Category:長大な項目名]]