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'''Bウイルス感染症'''(びーういるすかんせんしょう)とは[[旧世界ザル]]由来の[[人獣共通感染症]]。[[感染症]]法における[[四類感染症]]。[[ヒト]]および[[新世界ザル]]において致死的な疾病として知られる。
 
== 歴史 ==
[[19321933年]]<ref name=niid>[https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/470-b-virus-info.html Bウイルス病とは] 国立感染症研究所</ref>に米国の[[急性灰白髄炎|ポリオ]]研究者Brebner, W.が[[アカゲザル]]に咬まれ、[[急性進行性髄膜脳炎]]で死亡したものが最初の報告とされている。Bウイルスという名はこの患者の名前に由来する。
 
日本国内では、[[2019年]]11月に[[鹿児島市]]の株式会社[[新日本科学]]の安全性研究所(サルを扱う動物実験施設)に勤務している技術員への感染が確認された<ref>株式会社新日本科学「[https://www.snbl.co.jp/cat_important/4702/ Bウィルスに関するお知らせ]」(2019年11月28日)</ref><ref name="infection">{{Cite web|和書|title=サル由来Bウイルス、人に初感染 鹿児島の施設、拡大の恐れなし | 共同通信|url=https://this.kiji.is/572708230754927713?c=39546741839462401|website=共同通信|date=2019-11-28|accessdate=2019-11-28|language=ja|last=共同通信}}</ref>。
 
== 原因 ==
[[ヘルペスウイルス科]][[アルファヘルペスウイルス亜科]]に属する[[Bウイルス]]([[:en:Herpes B Virus|en]])の感染を原因とする。正式名称は ''cercpithecine herpesvirus 1'' であるが、一般的にBウイルスと呼ばれる。その他にherpes simiae virus(サルヘルペスウイルス)、cercopithecine herpesvirus(''herpes 1(simiae virus'')、オナガザルヘルペスウイルス(''cercopithecine herpesvirus 1'')とも呼ばれる。
 
== 疫学 ==
主に米国における発症例が確認されており、世界中で4050例程度が報告されている。Bウイルスは東南アジアに常在する。Bウイルスは日本にも存在するがヒトでの感染例も確認されていないる<ref name="infection"/>。[[レゼルボア|自然宿主]]は[[マカク属]][[サル]]であり、[[単純疱疹]]様の症状を呈するが、死亡例はきわめてまれである。サル間では主な伝播経路は[[接触感染]]あるいは母子間の[[産道]]を介した[[垂直感染]]である。ヒトへの伝播はサルによる咬傷が主な感染源であり、実験室でサルの組織材料などを扱う際に傷を通して感染することもある。
 
== 症状 ==
潜伏期間は、最短2日。通常は、2〜5週間。早期症状として接触部の[[激痛]]、[[掻痒感]]、外傷部周囲の[[水疱]]や[[潰瘍]]、[[リンパ節]]腫大、中期症状として[[発熱]]、接触部の[[感覚異常]]などであり、晩期症状として[[頭痛]]、[[悪心]]、[[嘔吐]]、[[意識障害]]、[[脳炎]]を示す。致死率は50%程度とされる<ref>本藤良、[http://www.jsvetsci.jp/05_byouki/infect/07-B-virus.html Bウイルス感染症] わが国への侵入/蔓延が危惧される動物由来感染症 日本獣医学会</ref>。前述のとおりサルでの死亡例はまれであるが、実験的に脳内接種すると、脳炎、脊髄炎を起こして死亡することが報告されている。生存例でも重篤な神経障害や後遺症が残る。
 
== 診断 ==
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== 治療 ==
症例が少なく治療法は確立していないが、感染初期における[[アシクロビル]]や[[ガンシクロビル]]の投与は発症予防に有効であるとされる。
 
== 予防 ==
[[ワクチン]]は実用化されていない。サルを取り扱う者は飼育管理、防御衣類、消毒処置などに関するガイドラインを遵守する。ウイルスは4 ℃では安定であるが、40 ℃を越す条件では失活しやすく、また有機溶剤で容易に感染性を喪失する。
 
ウイルスは4 ℃では安定であるが、40 ℃を越す条件では失活しやすく、また有機溶剤で容易に感染性を喪失する。
== 出典 ==
* [http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k00-g45/k00_41/k00_41.html 感染症の話 Bウイルス病 2000年第41週(10月9日〜15日)、42週(10月16〜22日)掲載] 国立感染症研究所 感染症発症動向調査週報{{リンク切れ|date=2019年11月}}
 
== 脚注 ==
{{Reflist}}
 
== 関連項目 ==
* [[単純ヘルペスウイルス]]
* [[SA8ウイルス]]
 
== 参考文献 ==
* 大里外誉郎編著 『医科ウイルス学改訂第2版』 [[南江堂]] 2000年 ISBN 4-524-21448-8
* 高島郁夫、熊谷進編 『獣医公衆衛生学第3版』 [[文永堂出版]] 2004年 ISBN 4-8300-3198-0
 
== 外部リンク ==
* [https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-04-26.html Bウイルス病] 厚生労働省
* 佐藤浩、[http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/lac/kouhouB.html Bウイルス感染症について] 長崎大学先導生命科学研究支援センター 動物実験施設
 
 
{{日本の感染症法における感染症}}
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[[Category:人獣共通感染症]]
[[Category:ウイルス感染症]]
[[Category:四類感染症]]