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'''国連ミレニアム宣言'''(こくれんミレニアムせんげん、{{lang-en|United Nations Millennium Declaration}})は、[[2000年]][[9月8日]]、[[ニューヨーク]]の[[国際連合]]本部で開催された[[国際連合総会決議]]55/2で採択された宣言。
==概要==
本総会は、[[9月5日]]〜8日の3日間にわたり189の国連加盟国が参加した'''{{仮リンク|国連ミレニアム・サミット|en|Millennium Summit}}'''に続いて開催され、本宣言にはその成果が盛り込まれた<ref name="UN_ARES552">[http://www.undemocracy.com/A-RES-55-2 A/Res/55/2 United Nations General Assembly Resolution 2 session 55 United Nations Millenium Declaration (2000年9月8日)]</ref>。同サミットは、147の[[国家元首]]を含む189の国連加盟国の[[首脳]]が一堂に会した国連設立以来最大規模の会議であり、本会議で採択されたミレニアム宣言は、[[国際連合憲章]]と[[国際法]]に関する政治的[[コミットメント]]としては極めてレベルが高い。[[ウィーン宣言及び行動計画]]と共通する事項も多い。
 
[[2000年]][[12月4日]]の総会で、本宣言を履行へと導くためのミレニアム宣言の結果のフォローアップについて採択され<ref>{{Cite web |url=http://www.undemocracy.com/meeting/A-55-PV.85#pg001-bk06 |title=United Nations General Assembly Verbotim Report meeting 85 session 55 page 1 |accessdate=2000-12-14}}</ref>、[[2005年]]、本宣言の履行の進捗状況は、'''{{仮リンク|2005年世界サミット|en|2005 World Summit}}'''でレビューされた。
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国連ミレニアム宣言は、8つの章と32の主要目標からなり、サミットにおいて189ヶ国の世界の首脳によって採択された<ref name="UN_ARES552"/>。宣言の全文は以下のとおりである<ref>[https://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/kiroku/s_mori/arc_00/m_summit/sengen.html 外務省:ミレニアム宣言(仮訳)], 平成12年9月8日</ref>。
 
<div style="margin-left:50px">
<OL>
=== I. 価値と原則 ===
</OLdiv>
<LI> 我々、元首及び政府首脳は、新たな千年期の黎明に際して、2000年9月6-8日にニューヨークの国連本部に参集し、より平和で繁栄し公正な世界の不可欠の基礎としての国連及び[[国連憲章]]に対する信頼を再確認した。
{{Ol
<LI>| 我々、元首及び政府首脳は、新たな千年期の黎明に際して、2000年9月6-8日にニューヨークの国連本部に参集し、より平和で繁栄し公正な世界の不可欠の基礎としての国連及び[[国連憲章]]に対する信頼を再確認した。
 
<LI>|我々は、各々の社会に対する個別の責任に加え、全世界にわたり[[人間の尊厳]]、平等及び衡平を支持する集団的責任を有していることを認識する。したがって、我々は指導者として世界の全ての人々、特に、[[社会的弱者|最も弱い人々]]、将来未来を担う世界の子供達に対して責任を負っている。
 
<LI>|我々は、時を越え普遍的なものであることが明らかな国連憲章の目的と原則に対するコミットメントを再確認する。国家と人民がますます相互に関連し依存するようになってきたことから、国連憲章の目的と原則の重要性と示唆力は大きくなってきた。
 
<LI>|我々は、憲章の目的と原則にしたがい、世界中に公正で持続的な平和をうち立てることを決意する。我々は、全ての国家の主権的平等、全ての国家の領土保全と政治的独立性の尊重、平和的手段による公正の原則と[[国際法]]に則った[[紛争]]の解決、依然として[[植民地支配]]や外国による占領下にある [[民族自決|人民の自決権]]、国家の[[内政不干渉の原則|内政への不干渉]]、[[人権]]及び基本的自由の尊重、[[人種]]・[[性別]]・[[言語]]・[[宗教]]の違いによらない万人の平等な権利の尊重、及び経済的・社会的・ 文化的或いは[[人道]]的性格の国際問題の解決のための国際協力を支持するあらゆる努力を支援することに改めて献身する。
 
<LI>|今日我々が直面する主たる課題は、[[グローバリゼーション]]が世界の全ての人々にとり前向きの力となることを確保することである。というのも、グローバリゼーションは大きな機会を提供する一方、現時点ではその恩恵は極めて不均等に配分され、そのコストは不均等に配分されている。我々 は開発途上国及び経済が移行期にある諸国がこの主たる課題に対応する上で特別の困難に直面していることを認識する。したがって、我々に共通な多様な人間性 に基づく、共通の未来を創るための広範かつ持続的な努力を通じてのみ、グローバリゼーションは包括的かつ衡平なものとなりうる。これらの努力は、開発途上 国及び移行期にある経済のニーズに対応し、これら諸国の効果的な参加により形成され実施される、世界レベルの政策や手段を含まねばならない。
<Li>|我々は、いくつかの基本的価値が、[[21世紀]]における国際関係にとり不可欠であると考える。それらの価値には以下が含まれる。
 
<blockquote>
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*'''責任の共有''':世界の経済・社会開発並びに国際の平和と安全に対する脅威への取組の責任は、世界の国々によって分かち合われ、多角的に果たされなくてはならない。世界で最も普遍的で最も代表的な機関として、国連は中心的な役割を果たさなくてはならない。</blockquote>
 
<LI>|これらの共有される価値を行動に変えるために、我々が特に重要と考える主要な目標を確認した。
}}
 
<div style="margin-left:50px">
=== II. 平和、安全および軍縮 ===
</div>
{{Ol|start=8
<LI>|我々は、過去10年間に500万人以上の命を奪った、国内或いは国家間の戦禍から人々を解放するため、いかなる努力も惜しまない。我々はまた、大量破壊兵器がもたらす危険を根絶することを追求する。
 
<LI>|それゆえ我々は、
<LI>我々は、過去10年間に500万人以上の命を奪った、国内或いは国家間の戦禍から人々を解放するため、いかなる努力も惜しまない。我々はまた、大量破壊兵器がもたらす危険を根絶することを追求する。
 
<LI>それゆえ我々は、
 
<blockquote>
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*全ての国家に対し、[[対人地雷禁止条約]]及び[[特定通常兵器使用禁止制限条約]]の改正された地雷議定書への加入を呼びかけることを決意する。</blockquote>
 
<LI>|我々は、加盟国に対し、個々にまた集団的に、現在および将来において、[[オリンピック停戦]]を遵守するよう、また、スポーツとオリンピックの理念を通じて平和と人類の理解を促進する[[国際オリンピック委員会]]の努力を支持するよう促す。
}}
 
<div style="margin-left:50px">
=== III. 開発および貧困撲滅 ===
</div>
{{Ol|start=11
<LI>|我々は、我々の同胞たる男性、女性そして児童を、現在十億人以上が直面している、悲惨で非人道的な極度の[[貧困]]状態から解放するのため、いかなる努力も惜しまない。我々は、全ての人々が開発の権利を現実のものとすること、並びに全人類を欠乏から解放することにコミットする。
 
<LI>|それゆえ我々は、開発及び貧困撲滅に資する環境を、各国及び世界レベルで同様に創出することを決意する。
<LI>我々は、我々の同胞たる男性、女性そして児童を、現在十億人以上が直面している、悲惨で非人道的な極度の[[貧困]]状態から解放するのため、いかなる努力も惜しまない。我々は、全ての人々が開発の権利を現実のものとすること、並びに全人類を欠乏から解放することにコミットする。
 
<LI>それゆえ我々は、開発及び貧困撲滅に資する環境を、各国及び世界レベルで同様に創出することを決意する。
 
<LI>|これらの目標の達成の成功如何は、とりわけ国内のよい統治にかかっており、また、国際レベルでのよい統治、及び[[金融]]・[[通貨]]・[[貿易]]体制における透明性にもかかっている。我々は、開かれ、衡平で、ルールに則り、予見可能で、無差別な多角的貿易・金融体制にコミットしている。
 
<LI>|我々は、[[開発途上国]]が持続的開発に必要な資金を調達するために必要な資源を動員する上で直面している障害を懸念する。それゆえ、我々は、2001年に開催される開発資金会議の成功を確保するため、あらゆる努力を行う。
 
<LI>|我々はまた、後発開発途上国の特別なニーズに対処することを企図する。この関連で、2001年5月の第三回国連LDC会議を歓迎し、その成功を確保するため努力する。我々は先進国に対し、
 
<blockquote>
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</blockquote>
 
<LI>|我々は、また、低・中所得開発途上国の債務問題に、これら諸国の債務を長期的に持続可能なものとするような様々な国内的及び国際的措置を通じて、包括的かつ効果的に取り組むことを決意する。
 
<LI>|我々は、また、バルバドス行動計画および第22回特別総会の成果の迅速かつ完全な実施により、小島嶼開発途上国の特別なニーズ に対処することを決意する。我々は、国際社会に対し、脆弱性指標の改善において[[小島嶼開発途上国]]の特別なニーズが考慮されることを確保するよう促す。
 
<LI>|我々は内陸開発途上国の特別のニーズと問題を認識する。我々は、二国間及び多国間の援助国に対し、これらの諸国の特別な開発上のニーズに沿うよう資金協力および技術協力を増加させ、交通・輸送体制の改善により地理的障害の克服を支援するよう促す。
 
<LI>|我々は、更に
<blockquote>
*2015年までに、一日の所得が1ドル以下の人口の比率、及び[[飢餓]]に苦しむ人口比率を半減すること、また同期日までに、安全な[[飲料水]]を入手できず、またはその余裕がない人口比率を半減することを決意する。
89 ⟶ 95行目:
</blockquote>
 
<LI>|我々は、また、
<blockquote>
*貧困、飢餓や疾病に取り組み、また真に持続可能な開発を促進する効果的な方途として、男女平等と女性の[[エンパワーメント]]を促進することを決意する。
96 ⟶ 102行目:
*開発と貧困撲滅の推進の追求において、民間部門、市民社会団体と強力なパートナーシップを発展させることを決意する。
*最新技術、とりわけ[[情報通信技術]]の恩恵が、経済社会理事会2000の閣僚宣言に含まれる勧告にしたがい、全ての人々に行き渡るよう確保することを決意する。</blockquote>
}}
 
<div style="margin-left:50px">
=== IV. 共有の環境の保護 ===
</div>
{{Ol|start=21
<LI>|我々は、全ての人類、就中、我々の子供達や孫達を、人間の諸活動によって回復不能なまでに損なわれ、必要な資源が十分でなくなった地球に暮らす脅威から解放するため、いかなる努力も惜しまない。
 
<LI>|我々は、[[環境と開発に関する国際連合会議|国連環境開発会議]](UNCED)で合意された[[アジェンダ21]]に盛り込まれた原則も含め、[[持続可能な開発]]の原則に対する支持を再確認する。
<LI>我々は、全ての人類、就中、我々の子供達や孫達を、人間の諸活動によって回復不能なまでに損なわれ、必要な資源が十分でなくなった地球に暮らす脅威から解放するため、いかなる努力も惜しまない。
 
<LI>|それゆえ我々は、我々の全ての環境関連の行動において、保全と管理の新しい倫理を採用することを決意し、その第一歩として、
<LI>我々は、[[環境と開発に関する国際連合会議|国連環境開発会議]](UNCED)で合意された[[アジェンダ21]]に盛り込まれた原則も含め、[[持続可能な開発]]の原則に対する支持を再確認する。
 
<LI>それゆえ我々は、我々の全ての環境関連の行動において、保全と管理の新しい倫理を採用することを決意し、その第一歩として、
<blockquote>
*望ましくは2002年の国連環境開発会議十周年までに[[京都議定書]]の発効を確保すべく、あらゆる努力を行うこと、また、必要とされる温室効果ガス排出の削減に乗り出すことを決意する。
111 ⟶ 119行目:
*自然災害および人によってもたらされる災害の数とこれによる被害を削減するための協力を強化することを決意する。
*[[ヒトゲノム]]塩基配列に関する情報への自由なアクセスを確保することを決意する。</blockquote>
}}
 
<div style="margin-left:50px">
=== V. 人権、民主主義および良い統治 ===
</div>
{{Ol|start=24
<LI>|我々は、[[民主主義]]を推進し、[[法の支配]]並びに発展の権利を含む、国際的に認められた全ての人権および基本的自由の尊重を強化するため、いかなる努力も惜しまない。
 
<LI>|それゆえ我々は、<blockquote>
<LI>我々は、[[民主主義]]を推進し、[[法の支配]]並びに発展の権利を含む、国際的に認められた全ての人権および基本的自由の尊重を強化するため、いかなる努力も惜しまない。
 
<LI>それゆえ我々は、<blockquote>
*[[世界人権宣言]]を完全に尊重し支持することを決意する。
*全ての国において、万人の市民的、政治的、経済的、社会的及び文化的権利の完全な保護と促進のために努力することを決意する。
123 ⟶ 133行目:
*[[移民]]、移住労働者、及びその家族の人権の尊重と保護を確保し、多くの社会で増加しつつある[[人種主義]]や[[外国人嫌悪|外国人排斥]]の行動を撲滅し、及び、全ての社会においてより一層の協調と寛容を促進するための措置をとることを決意する。
*全ての国で全ての市民の真正な参加を可能にする、より包括的な政治プロセスのために協力して取り組むことを決意する。
*[[メディア (媒体)|メディア]]がその本質的役割を果たす自由と、大衆の情報アクセスの自由を確保することを決意する。</blockquote>
}}
 
<div style="margin-left:50px">
=== VI. 弱者の保護 ===
</div>
 
{{Ol|start=26
<LI>|我々は、[[自然災害]]、[[ジェノサイド]]、[[武力紛争]]、その他の人道的緊急事態の影響を不釣り合いに被る、児童や全ての市民が、できる限り早期に通常生活を再開できるように、あらゆる支援と保護が与えられることを確保するため、いかなる努力も惜しまない。
 
それゆえ我々は、
134 ⟶ 146行目:
*[[難民]]の受入国に対する[[人道支援]]の負担分担と調整を含む国際協力を強化すること、及び全ての難民と避難民が安全かつ尊厳をもって自発的に帰還し、社会に円滑に再統合できるよう援助することを決意する。
*[[児童の権利に関する条約]]、児童の武力紛争への参加に関する選択議定書、並びに児童売買、児童買春、及び児童ポルノに関する選択議定書の批准および完全な実施を奨励することを決意する。</blockquote>
}}
 
<div style="margin-left:50px">
=== VII. アフリカの特別なニーズへの対応 ===
</div>
{{Ol|start=27
<LI>|我々は、[[アフリカ]]における民主主義の強化を支持し、持続的平和、貧困撲滅及び持続可能な開発におけるアフリカの人々の努力を支援し、それにより世界経済の主潮流にアフリカを統合していく。
 
<LI>|それゆえ我々は、
<LI>我々は、[[アフリカ]]における民主主義の強化を支持し、持続的平和、貧困撲滅及び持続可能な開発におけるアフリカの人々の努力を支援し、それにより世界経済の主潮流にアフリカを統合していく。
 
<LI>それゆえ我々は、
<blockquote>
*アフリカにおける振興民主主義国の政治組織及び組織構造に対して完全な支持を与えることを決意する。
145 ⟶ 159行目:
*債務帳消し、市場アクセスの改善、[[政府開発援助]](ODA)の拡大や外国直接投資(FDI)の流入増加、並びに技術移転を含む、アフリカにおける貧困撲滅と持続可能な開発の諸課題に対処するための特別な措置をとることを決意する。
*HIV/AIDS及びその他の[[感染症]]の蔓延に対するアフリカの対処能力の向上を支援することを決意する。</blockquote>
}}
 
<div style="margin-left:50px">
=== VIII. 国連の強化 ===
</div>
{{Ol|start=29
<LI>|我々は、国連を、全世界の人民の開発のための闘い、貧困・無知・疾病との闘い、不公正との闘い、暴力・恐怖・犯罪との闘い、及び我々共通の住まいの劣化・破壊との闘いという全ての優先課題の追求のためのより効果的な機関にするため、いかなる努力も惜しまない。
 
<LI>|それゆえ我々は、
<LI>我々は、国連を、全世界の人民の開発のための闘い、貧困・無知・疾病との闘い、不公正との闘い、暴力・恐怖・犯罪との闘い、及び我々共通の住まいの劣化・破壊との闘いという全ての優先課題の追求のためのより効果的な機関にするため、いかなる努力も惜しまない。
 
<LI>それゆえ我々は、
<blockquote>
*国連の主たる審議機関、政策形成機関、代表的機関として、総会の中心的地位を再確認し、その役割を効果的に果たすことを可能にすることを決意する。
165 ⟶ 181行目:
</blockquote>
 
<LI>|我々は総会に対し、この宣言の規定の実施の進展を定期的に再検討するよう要請し、事務総長に対し、総会における検討のため及び更なる行動の基礎として定期的な報告を発行するよう要請する。
 
<LI>我々は、この歴史的な機会に際し、国連が人類全体という家族の共通の不可欠な家であり、これを通じて平和、協力、及び開発のた めの普遍的な目標の実現を追求することを厳かに再確認する。それゆえ我々は、これら共通の目標に対する惜しみない支持と、その実現の決意を誓う。
 
<LI>|我々は、この歴史的な機会に際し、国連が人類全体という家族の共通の不可欠な家であり、これを通じて平和、協力、及び開発のた めの普遍的な目標の実現を追求することを厳かに再確認する。それゆえ我々は、これら共通の目標に対する惜しみない支持と、その実現の決意を誓う。
</OL>
}}
 
== 脚注 ==
191 ⟶ 206行目:
 
{{DEFAULTSORT:こくれんみれにあむせんけん}}
[[Category:宣言]]
[[Category:国際連合総会決議]]
[[Category:国際開発]]
198 ⟶ 214行目:
[[Category:2000年の法]]
[[Category:平等主義]]
[[Category:2000年の国際連合|みれにあむせんけん]]
[[Category:2000年の国際関係]]
[[Category:2000年9月]]